いい歳こいたおっさんが久しぶりにプラモデルを作る話 その8 ノースロップF-5E編
この記事の目的
筆者は1970年代前半生まれの50代男性で、学生時代は熱心な「模型少年」でしたが、90年代の就職後はプラモデル製作から離れていました。コロナ禍による「巣ごもり需要」でプラモデル人気の高まりを感じ模型熱が再燃し、約30年ぶりに製作を再開しました。
しかし、模型業界は大きく変化しており、初心者同然の状態で戸惑いながらも、昔の基本知識を頼りに製作を楽しんでいます。
この一連の記事は、初心者や未経験者に向けて基本的な道具・素材・技術だけでプラモデルを作る楽しさを紹介することを目的としています。
そのため、この記事では
・高価な工具は出てきません
・特殊な素材は出てきません
・スーパーテクニックもありません
(エアブラシもパテ埋めも出てきません。スミ入れ、ウォッシング、ウェザリングは禁句です(笑))
私と同じ「戸惑い」を感じて模型製作の入口で立ち止まっている皆さんに「自分にもできそう」と感じていただき、プラモデルに触れるきっかけになればこの記事の目的は達成です。
米軍のFナンバーズを作るぞ企画 その5 ノースロップF-5E タイガーII

今回はホビーボス(中国)製のF-5EタイガーIIを製作します。国内では童友社名義で流通しています。
F-5系列は複雑な経歴を持っています。
1950年代、アメリカ政府はソ連をはじめとする共産主義陣営への対抗のため同盟諸国に軍事協力するにあたり、機密やコスト、技術的難易度の観点から米軍で採用している一線級の戦闘機は供与できないと判断し、その代わりとなる小型軽量・安価で構造も簡素でそれでいて高性能な戦闘機を探していました。
丁度その頃、ノースロップ社は「第二次世界大戦が終わった今、小型空母で運用できる小型軽量のジェット艦載機が必要になるはずだ」と考え、自主的に軽戦闘機N-156を開発していました。
結局海軍が小型空母を退役させるという決断をしたためN-156は海軍には採用されませんでしたが、そこに政府が目を付け、N-156をF-5Aフリーダムファイター(自由の戦士)として採用しました。
こうしてF-5Aは(スコシタイガー作戦で試験的に運用された事例を除き)米軍に正式採用される事なく同盟諸国に配備され、ソ連製のミグに対抗する存在となります。
別の記事でF-5Bフリーダムファイターを取り上げていますので、後でご覧ください(↓)。
時は流れて1970年代、ミグの性能が向上したためF-5Aでは対抗できなくなりました。このため、F-5のエンジンを強化したり、レーダーを搭載したり、ストレーキを大型化して空力特性を改善したり……と、様々な改良を施し誕生したのがF-5EタイガーIIです。タイガーIIもまた自由主義陣営の空の防人として世界中の空で活躍しました。
逆に言うと、F-5AやF-5Eという米国の提案を拒否し、当時最新鋭だったF-104やF-15を採用し続けた日本って、ある意味凄いですね(流石にF-22の購入は米国から拒否されましたが……)。
さて、私は小学生の頃から元々ハセガワのF-5Aフリーダムファイターが好きだったのですが(250円であんな格好良い戦闘機が買えるなんて!)、映画「トップガン」を見てF-5Eも好きになりました。しかしその当時はF-5Eというとイタレリ製ぐらいしか店頭になくてハセガワのF-5Aの数倍の値段だったので躊躇して結局買いませんでした(お金の無い学生にとってこの問題は大きいです)。それから40年後の今年、ついにF-5Eを購入出来ました(感涙)。ただし、当時憧れたイタレリ品ではなく、その後台頭してきた中国メーカーの一つ、ホビーボスの製品(スケールは1/72)です。
これも時代の流れか。
では、内容を見ていきましょう。
製作

内容物はこれだけ。実にシンプルです。こういうの、大好きです。いたずらに部品点数を増やして超絶ディティールを誇るのも良いですが、私はほどほどのディティールで組みやすくアレンジするのが設計者の腕の見せ所だと思っています。

ところが、パーツを検品していたらとんでもないエラーに気づきました。翼端のミサイルランチャー、翼の厚み方向に座標を間違えているように見えます。

図で表すと、こんな間違いです。CADで設計している時、明らかに上下方向のレイアウトを間違ってますね。凡ミスだなぁ。
(ところが、ミスはこれで終わりでは無かったのです……)

取り敢えず修正をかけます。エッチング鋸(ノコ、あるいはソー)でランチャーを切断します。この記事では取り上げないと宣言したはずの特殊工具が登場してしまいましたが、カッターナイフやニッパーでも根気よくやれば切断できます。但し、切断後の仕上げに工数が掛かります。エッチングソーなら、切断面が最初から整っているので、仕上げ作業が不要になります。

切断したところ。

何となく面がうねっているように感じたので、全面にペーパーを掛けました。

切り離したランチャーを修正しても良いのですが、今回はハセガワのミサイルセットを用意して……

セットから同サイズのランチャーを持ってきます。

さて、ようやく定石通りコクピットの塗装を行います。C73エアクラフトグレーで床や計器パネルを塗装します。

計器パネルにデカールを貼ります。

いきなりですがコクピットを胴体に組み込みました。

胴体にはコクピットだけでなく、水平尾翼も挟み込んでいます。

このキットのエラーその2。主翼のダボを信じると、主翼が本来の位置から数mm前寄りに付いてしまうため、ボディとの間に修復不可能な隙間が出ます。
主翼と胴体の形状はちゃんと合うので、ダボのレイアウト(CAD上の座標)が間違っているという事です。

仕方が無いのでダボを切除します。

主翼を胴体に取り付ける前に、主脚の扉を加工して閉じた状態で接着します。このキットはF-20の製作より後に作っていますが、F-20ではここで失敗したので、同じ轍は踏みません(F-20もあとで記事化しますので、お楽しみに)。

主翼を胴体にピッタリフィットする位置で接着します。ダボがあった時よりも数mm後ろにズレています。ダボが無いのでいわゆる「イモ付け」になりますので、接着剤が硬化するまでランナーを枕木代わりに敷いて、主翼が垂れ下がらないように支えます。

機首(レドーム)をC92セミグロスブラックでスプレーします。隣にF9F-2パンサーが写っていますが、たまたまこの時外れたロケット弾の修理を同時にしたので一緒に写ってしまいました。パンサーも後で記事にしますので、お楽しみに。

レドームとコクピットを養生して……

C44タンを全体にスプレーします。隣に写っているのは同時製作していたF-35Aです。これもシリーズ最後に記事にしますので気長にお待ち下さい。

この時は粘着タックを使わず、マスキングテープで細いコヨリを作り、それで迷彩色の境界線を持ち上げてC43ウッドブラウンをスプレーしました。ところがこのコヨリが硬くキットの表面にあまり追従せず、マスキングテープが浮いた箇所がいくつか発生してしまい、塗料の吹き込みが盛大に発生してしまいました。

ウッドブラウンの吹き込みが何箇所もあるのが見て判ると思います。この時の反省から、迷彩色のボカシに粘着タックを使うようになりました。
また、インストでは迷彩色の3色目としてC39ダークイエローを塗る指示があるのですが、完全に気が萎えたのでこの2色で塗装を終了しました(泣)。

これはおまけの写真です。第三世代のF-5Eと第五世代のF-35Aのコクピット比較です。細かい機械式の計器がびっしり組み込まれているF-5Eと、スマートなグラスコクピットのF-35A。全くアピアランスが異なります。
プラモデルを作って行くとこの様なメカの進化の歴史を手に取って確認出来るのが面白いところです。

私は普段、キャノピーは単独で塗装してから胴体にに載せるのですが、この時は新たな試みとして先に胴体に接着してから塗装することにしました。
マスキングテープで窓枠を養生し、筆塗りします。

う~む、見事に塗料が侵入してしまいました。

そんな場合は爪楊枝の先端でカリカリ擦ると、塗膜を除去できます。

デカールを貼ります。
米海軍のトップガン教官機として完成させます。

完成です。
1日に約1時間の作業で、5日で完成しました(同時製作したF-35の工作時間を除く)。
教官機なので武装も無く、とてもシンプルな仕上がりですのでサクサク組み上がるはずでしたが、2つのエラーのためそうもいかなかったです。
ただ、そうは言っても完成してしまえばスマートで洗練されたF-5Eはカッコよく、私のお気に入りです。
完成写真









次回予告
「米軍のFナンバーズを作るぞ」企画、次回はダグラス・スカイレイとヴォート・クルセイダーを同時に製作します。それぞれF-6とF-8となりますが、F-7は正式採用されなかったため欠番となります。


