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#2⚠️STOP‼️笑顔の死 ″Smiling Death"~クラッシュ症候群を「知識」ではなく「判断力」で理解する~ 

第2回 ポンコツ救命士の失敗談

~私が「救出前輸液」の判断で学んだこと~


お疲れさまです🍵

あおぞらです😊

前回は、

この連載で一番お伝えしたいことは、

「クラッシュ症候群を暗記することではなく、現場で疑える判断力を身につけること」

だとお話ししました。

今回は、そのきっかけとなった私自身の経験をお話しします。

タイトルどおり、

ポンコツ救命士の失敗談です😅

でも、この経験があったからこそ、今の私の判断があります。

少しだけ、お付き合いください。


試練は、いつも突然やってくる

季節は冬。

寝静まった午前3時。

突然、指令が鳴りました。

🚨普通救急(交通)

「警察通報。公園内で乗用車単独事故。詳細不明。警察官現場急行中。」

……

警察からの通報は、

詳しい情報が入らないことも少なくありません。

「公園で単独事故……?」

嫌な予感だけを胸に、

追加情報のないまま現場へ向かいました。



現場到着

救急隊と警察官が、ほぼ同時に到着。

目の前にあったのは、

街路樹をなぎ倒し、

フロント部分が大きく潰れた乗用車でした。

20代の男性運転手は、

車内に閉じ込められています。

私はすぐに無線を入れました。

📡

「内部閉じ込めあり。

自隊での救出は困難。

救助隊の応援を要請します。」

その瞬間から、

頭の中では時間の計算が始まりました。

「救助隊到着まで約10分。」

「救出完了までは20分くらいか……。」

わずかに開いた隙間から傷病者を観察します。

意識は混濁。

激しい痛みを訴え、

自力で脱出しようと必死にもがいています。

両大腿部中央から下は、

車体に強く挟まれたまま。

下腿には出血。

頭部にも外傷があります。

著しいショック所見こそありませんでしたが、

一目で多発外傷を疑う状況でした。

そして、その時です。

頭の中に、

ある言葉が浮かびました。

「クラッシュ症候群……。」



判断

しかし、

すぐに迷いが生まれます。

エンジンは止まり冷えているので、それなりには時間は経っているはず…

でも、事故が起きた時間は分かりません。

どれくらい圧迫されているのか。

誰にも分からない状況でした。

それでも、

一つだけ確かなことがあります。

「大きな筋肉が、強い力で圧迫され続けている。」

という事実です。

頭の中では、

二つの考えが何度もぶつかります。

「まだクラッシュ症候群とは限らない。」

「でも、本当にそうだったら……。」

その時、

私は自分に言い聞かせました。

「オーバートリアージでもいい。」

「空振り三振でもいい。」

疑うのであれば、

動かなければならない。

私はメディカルコントロールで医師へ相談し、

クラッシュ症候群を疑って、

救出前輸液を開始することを決断しました。

夜間だったため、

ドクターカーの出場体制はありません。

現場でできることは、

自分たちでやるしかありませんでした。


もう一つの判断

その頃、

救助隊は油圧救助器具を使い、

着実に救出活動を進めていました。

「もうすぐ出せる。」

そう思った矢先、

私はもう一つの判断を迫られます。

傷病者は、

さらに激しく興奮し、

身体を大きく動かして抵抗します。

この状況で静脈路確保を続けることは、

傷病者にとっても、

隊員にとっても危険でした。

それでも、

頭の片隅には、

別の不安が残っています。

「もし、本当にクラッシュ症候群だったら。」

「救出した瞬間から急変するかもしれない。」

だからこそ、

救出前輸液にこだわってきました。

しかし、

今、この傷病者にとって、

本当に優先すべきことは何なのか。

私が出した答えは、一つでした。

安全に、一刻も早く救出すること。

その瞬間、

救助隊員の声が響きます。

👨‍🚒

「救急隊長!出せるよ!」

私は傷病者を見つめ、

迷わず答えました。

⛑️

「お願いします!」

輸液は中止。

怖くなかったと言えば嘘になります。

それでも、

処置を完遂することより、

傷病者を安全に救出することを優先しました。

あの時、

私が信じた最善の判断でした。


搬送後

救出後、

大きな容態の急変はなく、

救命センターへ搬送しました。

初期診断は、

交通外傷(両下肢骨折・クラッシュ症候群疑い(重症))

搬送中も、

両下肢の腫脹は徐々に増大していきます。

その後の検査では、

アンフェタミン陽性。

あの異常な興奮や不穏は、

外傷だけが原因ではありませんでした。


検証

事後検証では、

クラッシュ症候群を疑い、

医師へ相談し、

救出前輸液を試みた判断そのものは、

適切だったと評価されました。

しかし、

私には忘れられない指摘がありました。

それは、

「処置に意識を奪われ過ぎていた。」

という言葉です。

私は、

輸液を成功させることばかり考え、

本来、最も冷静に観察しなければならない傷病者の状態を、

十分に評価できていませんでした。

興奮状態の傷病者への針刺し行為は、

救急隊だけでなく、

救助隊にも針刺し事故などの二次災害を招く危険があります。

もっと早く、

「この状況では継続は危険だ。」

そう判断しても良かった。

私は、

その言葉を今でも忘れていません。


私が学んだこと

この経験以来、

私はいつも自分に問い掛けています。

特定行為は、目的ではありません。

目的は、

傷病者を救うことです。

処置を行うことではなく、

今、この傷病者にとって、

何が最善なのか。

その問いを持ち続けることが、

救急隊には求められているのだと思います。

そして、

もう一つ学んだことがあります。

それは、

病態を理解していなければ、疑うことさえできない。

ということです。

あの現場で私がクラッシュ症候群を疑えたのは、

完璧に理解していたからではありません。

「もしかすると……。」

という、小さな違和感に気付けたからでした。

その違和感が、

医師への相談につながり、

救出前輸液という選択肢につながりました。

現場では、

100%確信できる状況は、ほとんどありません。

だからこそ、

病態を理解し、

危険を予測し、

最善を考え続ける。

それが、

救急隊に求められる「判断力」なのだと思います。


📖 次回予告

前回は、

私が実際に経験した事案をお話ししました。

では、

なぜ私は、あの現場でクラッシュ症候群を疑ったのでしょうか。

事故発生からの時間は分かりませんでした。

それでも、

私は「クラッシュ症候群かもしれない」と考えました。

次回は、

私が現場でいつも意識している

「受傷機転の見方」

についてご紹介します。

「何時間挟まれたか。」

だけでは見えてこない、

現場で本当に大切な視点を、一緒に整理していきたいと思います😊





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