接客の全国大会に挑んだ一日~S1サーバーグランプリ決勝大会~
※この記事は2026年3月に執筆された過去記事の再掲です。
※紹介している第19回“S1サーバーグランプリ”は現在終了しております。
DD社員の挑戦を記録としてお届けします。
2026年3月4日(水)東京・なかのZERO。
全国の飲食業界で活躍するサービスマンの中から「また逢いたい」接客日本一を決める舞台、第19回S1サーバーグランプリ決勝大会が開催されました。

主催は、NPO法人 繁盛店への道。
1次審査から決勝まで、筆記・ロールプレイング・スピーチと多角的な審査が行われ、接客力・人間力・専門性の3つの視点から、総合的に評価されます。
最大の評価基準は、「また逢いたい」と心から思わせることができるかどうか。マニュアルだけでは決して測れない、その人自身の“らしさ”や“想いの伝え方”が問われる、サービスの本質に迫る大会です。
今大会、ダイヤモンドダイニングからは総勢38名がエントリー。
全国からエントリーした1,028名のうち、4回の筆記審査や動画審査を経て、一社から4名が4次審査へ進出するという、他社に例を見ない快挙を成し遂げました。
そして、全国から選ばれたわずか12名のファイナリストとして、なかのZEROの舞台に立ったのが、以下の2名です。

惜しくも「日本一」という称号には届かなかったものの、舞台の上で見せたおふたりの接客は、まさに日々の現場で積み重ねてきた「おもてなし」そのものでした。
スポットライトを浴びる緊張感の中、普段と変わらぬ温かい笑顔と、お客様に寄り添う一言。その一挙手一投足からは、マニュアルではない、心からのホスピタリティが溢れていました。
ここからは、決勝大会でのおふたりの様子を、具体的な審査内容とともにご紹介します。
DX時代に問いかける「人の接客」の価値とは
今回の決勝大会の問題は、
「テクノロジーが進化した飲食店に、お客様は何を求めて来店するのか。」
という問いを起点に設計されたと、会場で大会運営の方から説明がありました。
いま飲食業界では、
・モバイルオーダーによる注文の簡略化
・配膳ロボットによる運搬の自動化
・セルフレジによる会計の非接触化
など、DX化による効率化が大きく進んでいます。
これらは、深刻な人手不足を補い、店舗運営を支える大きな力となる一方で、サービスマンとお客様との会話や、心の通い合いが生まれる場面を減らしている側面もあるとのことでした。
そんな効率化が進む時代だからこそ、人によるアナログな接客の価値はむしろ高まっているという考えのもと、「人と人の感情を揺さぶる接客」 をテーマに問題を作成したとのことです。
前半審査【クイック審査】
決勝大会の前半に行われたのは、全2問のクイック審査です。
①クイック論述審査(45秒)
お題:「入店・料理提供・退店」の3シーン 「この中で最も店の価値が決まる」と思うシーンとその理由は?
日常の接客の中で必ず訪れる3つの場面。
どこに価値を見出すのかは、サービスマンそれぞれの考え方によって異なり、唯一の正解はありません。
そのため、潜在的思考と、簡潔明瞭に時間内に伝達する力が評価ポイントとなりました。
②ショートロールプレイング(1分)
くじ引きで選ばれた3つの「予期せぬトラブル」のシチュエーションに対し、その場で即興の接客を行います。
シチュエーションA:システムトラブル
決済端末の突然の故障(現金会計のみになった)
シチュエーションB:極深刻な人手不足
インフルエンザでスタッフの半分が当日欠勤(予約満席/既に半分が来店済)
シチュエーションC:設備トラブル
気温35度の猛暑日に突然エアコンが故障
ショートロールプレイング審査で求められているのは、不測の事態にも臨機応変に対応できる能力。そして、いかなる状況でも平常心で安心を提供できる能力です。
・お客様の不安にどう向き合うか
・状況をどのように説明するか
・どんな提案ができるか
サービスマンとしての姿勢が評価のポイントになります。
トップバッターでも自分らしく。大矢さんの笑顔あふれる接客
審査のトップバッターという、最もプレッシャーのかかる大役を担ったのは、入社1年目の大矢さん。
会場をパッと明るくするような弾ける笑顔で登場し、ステージ中央をめがけて手を振りながら小走り。応援に駆けつけた社員たちから思わず「可愛い!」という声が漏れるほどの天真爛漫な姿で、緊張の舞台を自分のホームへと変えていきました。

クイック論述審査では、「第一印象となる入店のシーンが一番大事だと思う」と回答。
元気な声でお客様をお迎えし、スムーズに席へご案内する。
料理説明やおしぼりの提供の中でも、お客様とのコミュニケーションを大切にする。忙しい時でも笑顔を忘れない。
日々の現場で大切にしている接客観が、短い時間の中で堂々と語られていました。
続いて行われたショートロールプレイングでは、くじ引きで選んだシチュエーションC:気温35度の猛暑日に突然エアコンが故障に挑戦。
冷たいおしぼりを複数枚用意し、首元を冷やせるよう提案。さらに、うちわをお渡し、修理の連絡を行うといった対応を行いました。
わらやき屋のお店に置いてあるうちわは、実はDDグループが高知よさこい祭りに「DDよさこいチーム」として参加する際に制作したもの。
「よさこい祭りで使った可愛いうちわで暑さを凌いでいただければ」とお声がけをすることで、高知文化に触れることができる体験価値へと繋げていました。

突発的な状況の中でも、お客様に高知の食文化を届ける「わらやき屋」ならではの楽しみ方をしていただくための工夫ある提案が、非常に印象的でした。
ピンチはチャンス。お店の魅力を伝える岡さんの接客
クイック論述審査で、岡さんは、迷いなくこう答えました。
「私は、入店の瞬間を一番大事にしています。」
普段から、お店の顔であるフロント(入口)のポジションを担当することが多い岡さん。その時に意識しているのは、ドアが開く前の瞬間だといいます。
お客様がどんな表情で歩いてくるか。店内に足を踏み入れるスピードはどうか。
「入店する前から、もうサービスは始まっていると思っています。」
だからこそ、ドアを開けて入ってくる瞬間のお客様の様子をしっかり見て、どんな気持ちで来店されたのかを想像しながらお迎えする。
岡さんにとって、入店の瞬間こそが、お店の価値が伝わる大切な時間だといいます。
続けて行われたショートロールプレイングでは、大矢さんと同じくシチュエーションC:気温35度の猛暑日に突然エアコンが故障を引き当てました。
「外、かなり暑かったですよね」
まずは、お客様の体感に寄り添う優しい一言からスタート。そして、店内の空調不良というマイナスな状況を、あえて隠さず正直に伝えます。
さらに、わらやき屋特有の「わら焼きの炎の熱気」についても言及。
冷たいおしぼりやキンキンに冷えたドリンクを提案しながら、「当店はわらやき屋なので、目の前で炎が上がる迫力も楽しんでいただけます。」と、お店の魅力もしっかりと伝えます。

暑さというネガティブな要素を否定するのではなく、お店のアイデンティティである「炎」とセットで提示する。不測の事態においても、お店の魅力を堂々と伝えるその姿は、まさに「ピンチをチャンスに変える」プロの仕事でした。
後半審査【ロングロールプレイング/スピーチ】
後半審査は4分間のロングロールプレイング。
店内には空席があり、お客様は 初来店の2組。
こちらも3つのシチュエーションからくじ引きで1つ選びます。
なお、接客スタイルやツールそのものは審査対象ではなく、接客の正解も設けていないとのこと。
そのため、評価ポイントとしては以下の3点が重視されました。
想像力・共感力
お客様が何を求めているかを察して小さな感情に寄り添う力
提案力
状況を整理し、最適な提案を簡潔に行う力
自己表現力
マニュアルを超えて、自分の言葉で心を届ける力
全シチュエーションに共通していたお題は、
「お帰りのお客様が2軒目のお店を探している」という内容。
周辺のお店の把握度合いや、お客様に寄り添った提案力が求められます。
シチュエーションA:制限のあるお客様
塩分制限のあるお母様と、それを心配する息子さん
体調への配慮と、食事を楽しみたい気持ち。
その両方に寄り添う接客が求められます。
シチュエーションB:初対面のお客様
マッチングアプリで初めて会う男女。
まだ距離感のあるおふたりが、より安心して過ごせる時間をどのように作るか。さらに、緊急の会社からの呼び出しで帰らなければならないというタイミングで、店員としてどのようにフォローし、おふたりの関係性を次へつなげるかという接客が求められます。
シチュエーションC:上司と部下のお客様
部下は「接客力を上げたい」「上司と仲を深めたい」そんな思いを持って来店。二人の関係性を尊重しながら、場の雰囲気を盛り上げる接客が求められます。
ロールプレイング終了後、決勝大会の最後の審査として、ファイナリストたちによるスピーチが行われました。
共通テーマは、「あなたが思う、飲食店の価値とは何ですか。」
日々忙しい現場で働くサービスマンにとって、「なぜこの仕事をしているのか」「飲食店は何のためにあるのか」といった問いに、あらためて向き合う機会は決して多くありません。
会場では大会運営の方から、この設問には、サービスマンが一度立ち止まり、自分の仕事の意味や飲食店の価値を見つめ直す時間にしてほしい、という想いが込められていると説明がありました。
そして、ファイナリスト一人ひとりの言葉が、これからの飲食業界にとっての希望の光となることを願って設定されたテーマでもあるとのこと。
それぞれのスピーチには、接客への想いと、飲食店で働くという仕事への愛が込められており、スピーチが終わるたびに、大きな拍手が会場を包み込みました。
心がほっこり温かくなる場所をつくる。大矢さんが魅せた寄り添い力抜群の接客

ロングロールプレイングでは、くじ引きで選んだシチュエーションA:塩分制限のあるお客様への対応に挑戦しました。
親子と思われるお客様の会話からある事情が見えてきます。
お母様は食べることが好き。しかし病気のため、塩分制限が必要とのことでした。
お母様が注文したのは「鰻の藁焼き」。
息子さんから、「塩分控えめでお願いできますか?」という相談が入ります。
塩分を控えながらも美味しく食べられる方法として、タレの量を調整する提案を行います。
「わら焼きの強い火で表面を炙ることで、うなぎの旨味がぎゅっと詰まるので、塩分控えめでも美味しく召し上がっていただけると思います」と、お店の調理方法を伝えることで、安心感と期待感を届けました。
さらに「実は私の父も塩分制限をしているんです。食事選びで悩むお気持ち、とてもよく分かります。」と、自身の経験を交えながら、お客様の気持ちに寄り添いました。
その言葉に、会場の空気も少し柔らいだように感じました。

スピーチでは、「飲食店とは、心がほっこり温かくなる場所」と語ります。その背景には、離れて暮らすご自身のお父様と過ごした、大切な食事の記憶があります。
お店の温かい料理と、笑顔で迎えてくれる店員さん。その存在があったからこそ、家族で穏やかなひとときを過ごせたという経験が、今の大矢さんにとっての原動力になっています。
「友達と来ても、会社の方と来ても、もちろん家族で来ても。お客様の心がほぐれて、自然と笑顔があふれるような空間のお手伝いを、これからも全力でさせていただきたいです。」
大矢さんの語る「おもてなし」の根源にあるのは、誰かの大切な時間を守りたいという、純粋で真っ直ぐな想いでした。
今日という日を少しだけ特別に。圧倒的な知識量の岡さんが魅せた接客

岡さんのロールプレイングでは、お店の商品知識や、持ち前の対応力を活かしながら、お客様との会話を大切にする姿勢が印象的でした。
2軒目のお店を探しているお客様に対し、すぐにお店を紹介するのではなく、「お腹の具合や酔い具合はいかがですか?」と、状況を丁寧に聞き取ります。さらに、「今日は日本酒を飲まれていましたが、この後も日本酒がよろしいですか?」と、お客様の気分を引き出す会話を重ねていきます。
続くシチュエーションでは、シチュエーションA:塩分制限のあるお客様への対応に挑戦しました。
お店の名物料理 「鰹のわらやき塩たたき」を食べたいというお母様に対して、身体の心配をする息子さんへ、岡さんはこう説明します。
「塩と一緒にお召し上がりいただく食べ方が主流ですが、つけなくても鰹自体の旨味を十分にお楽しみいただけます。わさび・にんにく・薬味をたっぷり乗せることで、塩を使わなくても美味しく召し上がっていただけると思います。」
制限せずに食事を楽しみたいというお母様のお気持ちにも考慮して、
「使用しているのは高知県で2か月ほどかけて作られる天日塩で、添加物は一切使用しておりませんので、お身体に優しいと思います。もしお客様のご体調として問題がなければですが、ほんの少量だけ付けてお楽しみいただくこともご提案のひとつです。」とご案内。

さらに、塩分を控えながらも楽しめる料理として野菜のわら焼きを紹介。豪快な藁焼きの炎で一瞬で焼き上げることで、外はカリッと中は野菜の甘みが引き立つという料理の魅力を丁寧に伝えました。調味料に頼らず、食材本来の美味しさを楽しめる提案が印象的な場面でした。
スピーチでは、「飲食店とは、今日という日を少しだけ特別にしてくれる場所。」と語ります。
その原点は、大人になった今でも忘れられない、子供の頃に少し背伸びをして居酒屋で食べた、オレンジシャーベットの味なんだそうです。
働く私たちにとっては「日常」の営業であっても、目の前のお客様にとっては「記憶に残る特別な一日」になるかもしれない。
その重みを、岡さんは誰よりも理解しています。
だからこそ、
・居心地の良い空間をつくること
・不安がないよう先回りして声をかけること
・目線を合わせて温かくお見送りすること
こうした当たり前の、けれど決して欠かしてはならない積み重ねを大切にしているそうです。
岡さんの言葉には、サービス業という仕事に対する真摯な誠実さが溢れていました。
ファイナリストを支えたデザインチームの挑戦
決勝大会の会場には、ファイナリスト一人ひとりのブースが設けられていました。
岡さん・大矢さんのブースや配布物は、社内のデザインチームが制作しています。
「S1サーバーグランプリ決勝大会を盛り上げたい」「おふたりが会場で印象に残る存在になってほしい」という想いを込めて、ありきたりな装飾ではなく、動きや立体感のある構成を意識し、丁寧にヒアリングを重ねながら、おふたりの想いを空間全体で魅せるデザインが行われました。

岡さんのブースでは、布素材に
・本人の写真
・意気込みコメント
・高知の風景
などをプリントし、それぞれをリボン状に加工。
天井からテーブルへ垂らす構成にすることで、空間に動きを生み出し、自然と視線が集まる演出となりました。
さらに卓上には本人パネルを設置し、正面からのインパクトも強化。
岡さんの想いと存在感が、会場でも印象的な空間として表現されていました。
大矢さんのブースでは、5枚のパネルの高さをあえて変え、凹凸のあるレイアウトにすることで立体感を演出。会場の中でも目を引く構成です。
配布物として制作したパンフレットは、わらやき屋でも営業中に使用している、高知よさこい祭りを象徴する鳴子がモチーフになっています。

社会人1年目でありながら、S1ファイナリストに選出され、経験豊富な参加者が並ぶ中で挑戦し続けた大矢さんの「勇気」と「素直な成長力」を、どう伝えるかがデザインのテーマであったとのことで、
・上司の後押しをきっかけに挑戦を続けてきたこと
・メモを取り続ける姿勢
・笑顔や謙虚さ
といった日々の姿勢がストーリーとして掲載されています。
「経験の浅さ=可能性」というメッセージが込められているとのことです。
デザインチームの担当者は、空間全体でメッセージを伝える難しさと面白さを学ぶ機会となったと語っていました。

応援に駆け付けた社員をはじめとした来場者の方々は、配布物であるオリジナルパンフレットに目を通しながら、開演を心待ちにしていました。

決勝大会を終えて

第19回 S1サーバーグランプリ決勝大会は、こうして幕を閉じました。
結果として日本一には届きませんでしたが、舞台の上で堂々と自分たちらしい「おもてなし」を披露した岡さん・大矢さんの姿は、私たちにとって何よりの誇りです。
また、本大会に出場されたすべてのサービスマンの皆様にも、日々お客様と向き合い、磨き続けている接客への情熱に心より敬意を表します。
38名の挑戦者、それぞれが向き合った「本気」の数ヶ月
今大会にエントリーしたダイヤモンドダイニングの従業員38名にとって、この挑戦は決して審査当日だけの場ではありませんでした。
出場を決めたその日から、日々の営業と並行して、自分自身の接客と真正面から向き合い続けた多忙な日々。
社内での練習を重ねる中で得た新たな学び、日常の営業で実践できたことの喜び、上手く言葉が出なかった時の悔しさ。そして、その葛藤の先で再確認した「やっぱり、接客が好きだ」という純粋な想い。
この挑戦の過程で磨かれた一人ひとりの感性や学びは、決して消えることはありません。これからの現場へと還元され、これまで以上にお客様に寄り添う「安心」と、期待を超える「歓喜」として、今日も各店舗で届けられていることでしょう。
最後になりますが、
本大会を開催し、素晴らしい舞台を整えてくださった関係者の皆様、
共に切磋琢磨しあい、多くの学びをくださった他社のサービスマンの皆様、
そして、挑戦者を温かく支え、日々のシフト調整や当日の会場・配信での応援など、多大なる協力を惜しまなかった従業員の皆様。
何より、日々お店に足を運んでくださるお客様へ、心より感謝申し上げます。
ダイヤモンドダイニング一同、
これからも「お客様歓喜」を真摯かつ熱狂的に追求してまいります。
アーカイブ配信のご案内
大会当日の熱気、そしてファイナリスト12名による魂の接客を、ぜひ映像でもご覧ください。
■ 第19回 S1サーバーグランプリ 決勝大会 アーカイブ
※岡さん・大矢さん登壇シーン(目安時間)
岡さん:[前半審査32分43秒~/後半審査1時間41分〜]
大矢さん:[前半審査25分36秒〜/後半審査1時間17分35秒〜]
■ 第19回 S1サーバーグランプリ 決勝大会ダイジェストムービー
