テーマパークの定石を外した「ジャングリア沖縄」
後出しじゃんけんのようで少し気が引けるのですが、ジャングリア沖縄について、ここまで見聞きして感じていることをまとめてみます。
私が「外している」と感じたテーマパークの“定石”は、次の3つです。
テーマの分かりやすさ
ゲストの期待を上回る体験(演出)
暗さを味方にする
1. テーマの分かりやすさ
テーマパークには当然「テーマ」があります。 ゲストはその世界観に惹かれて訪れます。
ディズニー → ディズニーの物語世界
スペイン村・ハウステンボス → 異国の街並み
富士急 → 絶叫アトラクション
USJ →(後述しますが)特殊な進化を遂げた例外
一方で、ジャングリア沖縄のテーマはどうでしょう。
テレビで森岡氏のインタビューを見たり、YouTubeで何度か見た記憶はあるのですが、「テーマが何だったか」を私はすぐに思い出せませんでした。
つまり、分かりづらく、頭や気持ちに入ってこない。
皆さんは「ジャングリアのテーマは何か」を、一言でスッと言えますか?
ジャングリアは、この “テーマのわかりやすさ” を外しています。
2.ゲストの期待を上回る体験、演出
アトラクション開発では、 「ゲストの期待を上回れ」 という言葉がよく使われます。
それは「プロなのだから、素人が考えている以上のものを作ろう」というプライドの表れでもあります。
実際、アトラクションが完成し、ゲストが期待を抱いて体験したときに、その期待を上回れるかどうかが勝負です。
ここで重要なのは、体験後の評価は「体験そのもの」だけで決まらないことです。
評価は絶対値ではなく、事前期待(=そこに至るまでの過程)と密接に結びついている。
同じ100点の体験でも、期待が適切なら120点に感じることもあれば、期待が過剰なら80点に感じることも起こります。
たとえば、テレビCMを見て「T-REX(恐竜)に追いかけられる体験ができる」とワクワクしていたのに、バラエティ番組の体験レポートでは“追いかけてこない”ように見える。YouTubeでも「がっかりした」という報告が重ねられていった――。
もちろん「そこそこ面白かった」という意見もたくさんありますし、冷静に見れば、結構なアトラクションだと思います。
ただ、テレビCMで作られた期待感からすると、落差が大きかった。
オープン前のブランディングに力を入れすぎて、基本を忘れてしまったようにも見えてしまいます。
3.暗さを味方にする
テーマパーク業界用語に「ダークライド」というものがあります。
乗り物に乗って、暗く演出された空間を進むアトラクションです。
暗さを味方にすると、コストをセーブしながら作り物を本物らしく見せられる。
さらに、さまざまな特殊効果も暗さがあってこそ活きます。
何より、暗さは“怖さ”の演出に効果てきめんです。
大きな建物が必要にはなりますが、ユニバーサルスタジオの「ジョーズ」のように一部だけインドアにして、暗さを活かすこともできます。
ジャングリアは、 この“暗さの活用”というテーマパークの王道を使っていません。
その結果、 “自然の明るさ”を活かした開放的な体験にはなっていますが、 演出の幅が狭くなっている ように感じます。
4.参考:USJは“テーマ無し”で成立した特殊例
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は当初、もちろん「ハリウッド映画の世界」でした。
ところが2010年頃から、ハローキティをパレードに投入したり、アニメ・ゲームIPを積極導入するようになりました。
元テーマパーク業界関係者としては「え?」と思っていたら、やがて「世界最高のエンターテインメントを」と言い出し、今はさらに進化して「NO LIMIT!」へ。
ある意味、“テーマ無し”で振り切っている。
ただこれは、考えてみると「USJだから成り立った」面が大きいとも感じます。
オープン時のジョーズ、ターミネーター、バック・トゥ・ザ・フューチャーなどは、当時最高レベルのアトラクションでした。
当時、我が家では「雰囲気はディズニー、アトラクションはユニバーサル」と言っていたほどです。
大阪出身なので、最初の頃からユニバーサルは、良く行きました。小学生の子供達も、映画は知らなくても、大いに楽しんでいました。
しかし、ある時、ツマラナイと言うのです。聴いてみたら、友達に話しても、誰も知らないので、ツマラナイと。
森岡氏が入る前のUSJは、全国区では、なかったのです。
ジャングリアの挑戦が今後どのように評価され、 どのように進化していくのか? 引き続き注目していきたいと思います。
元業界関係者として、日本のテーマパークの発展を願っている一人でもあります。何とか、追加投資を続け、憧れのパークに育ってほしいと思っております。
こちらもご覧ください。
どう組み立てるべきだったか。
定石の2と3について興味ある方は、楽天ルームで紹介しているこの本をお読みください。
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