なぜ20代の女性も検診を受けやくなるように、課題を解決しようとしないのか?
あることを成し遂げるために2つの方法があるのに、片方だけを積極的に勧める流れができていることは不自然だと感じます。なぜ課題が見えているのに、もう一方に取り組もうとしないのでしょうか。
どちらも守る道があるのに
4月18日に足利市で開催された、「HPVワクチンのほんとうのこと おはなし会と追い風展」に参加させていただきました。HPVワクチン薬害訴訟の原告であり、顔と実名を出して被害の実情を訴えている倉上万莉佳さんのお話から、私が感じたことを何回かにわけて書こうと思っています。今回は、その3本目です。
1本目
2本目
HPVワクチン薬害訴訟で被告側(国と製薬会社2社)は、原告117人の症状はすべてワクチンとは関係ない心因性だと主張しています。裁判の主な目的は、治療法の確立、医療体制の整備、教育や就労の支援など、原告だけでなくすべての被害者が、将来に希望を持って生きていけるようにすることです。
つまり、現段階ではそれらは実現できていません。だから、体調不良や誹謗中傷に耐えながら、原告さんたちは本人尋問やお話会などで現状や想いを自分の言葉で語っているのです。
以下、倉上さんのお話から。
日々の生活習慣や適切な性教育、 検診の重要性を国民に伝えていくことで
子宮頸がんに苦しむ人も、私たちのように苦しむ人も増えない社会にしていけるはずです。これは誰のためのワクチンなのか。なぜ大切なことを伝えてくれないのか。 メディアや行政機関には圧力がかかりやすく、様々なしがらみのある中で、出すことが許される情報と出そうとすると潰される情報があります。大きな場所から出る情報には、信頼や安心感があるかもしれませんが、全ての情報が伝えられているわけではないということを頭の片隅に入れておく必要もあります。
HPVワクチンの定期接種(公費で受けられるワクチン)は、2026年度から「シルガード9」一択になりました。このことについて、知らない人も多いようですが、下記の記事で取り上げています。
「シルガード9」の添付文書には、下記のように書かれています。

ワクチンは「定期的な検診の代わりになるものではない」、「予防効果の持続期間は確立されていない」と書かれています。
ワクチン推進派はワクチンの必要性ばかり発信していますが、本当に子宮頸がんに罹患する人を減らしたいなら、検診の大切さこそ伝えるべきではないのでしょうか。
倉上さんのお話の前に、元NHKの記者であり、薬害オンブズパースン副代表の隈本邦彦氏による解説がありました。検診に関する海外との比較の中で、「スメアテイカー(Smear Taker)」についての話が印象に残っています。
受診率の高いイギリスなどでは、女性の医療従事者が「スメアテイカー」として検体採取することで、検査への抵抗を減らすことができているそうです。「スメアテイカー」の養成について、日本ではどのような状況か掘り起こしました。
看護職対象のスメアテイカー養成プログラム
科学研究費助成事業のサイトに、下記の研究成果報告書がありました。
研究期間 2017年~2019年
研究の背景から一部引用
①日本の女性は内診等の婦人科受診に特有の診察に対して過度の羞恥心を持っている。また婦人科検診の重要性が健康教育として提供されることが
少ないため、悪化する可能性のある婦人科疾患と直接的結びつきにくい症状では、羞恥心が勝り、受診の先延ばしにつながっている。
②日本の婦人科は産科と併設が多く、婦人科検診での受診の敷居を高くし、また婦人科特有の内診を含む診察環境がプライバシーを十分守るものとなっていない。
③産婦人科医の男性医師比率は 71%と高く、受診者の多くは希望する女性医師の診察を受けにくい。
④特に思春期や青年期の受診に関しては、受診者の母親の意見が影響する。母親自身の産婦人科受診経験がよければ娘にも受診を勧めるが、悪い場合は娘の受診の妨げとなる。
この報告書には、2016年4月に国会答弁にて「医師の指示の下で子宮頸がんの検査のために膣内から細胞を採取することは診療の補助に該当し、看護師が当該行為を業として行うことは可能である」と示されたと、書かれています。この答弁により、子宮頸がん検診を行うクリニックで医師の指示の下、女性看護師がきめ細やかな配慮をもって、スメアテイカーとして子宮頸がん検診を実施することができるようになったとのことです。
これについて、議事録などを掘り起こしました。
まず、少しさかのぼって2014年11月11日の議事録です。前回の記事で触れた、三原じゅん子氏も委員として出席しています。
221・薬師寺みちよ
○薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。
今日は、若い女性の健康について、いろいろと議論させていただきたいと思います。まずは、子宮頸がんでございます。
(中略)
資料の二を御覧くださいませ。
じゃ、外国もこのように多くの問題を抱えているのかと申しますと、これを見ていただいたら分かりますように、死亡率というものは諸外国で急激に低下していることが分かります。しかし、日本は横ばい状況です。これは検診率に大きなつながりがあると言われています。例えば、OECDの平均でいえば六一・一%、韓国でも六五・三%、アメリカなんかは八〇%ぐらいの検診率。一方で、日本はというと、二四・五%ということが二〇一一年でも言われております。
では、資料三を御覧ください。
先ほどから若い女性がかかりますよというふうに私申し上げておりますけれども、じゃ、若い女性が検診に行っているのか。この資料を見ていただくと、大変残念ながら、罹患率が高くなってきている二十代の女性の検診率、平成二十年でも一〇・二%、二四・二%、大変低うございます。この二十代の検診率を上げていくということも、一つ我々としても重要な施策かと思います。
そのために、ちょっと一問質問させていただきたいんですけれども、このように二十代の女性の子宮がん検診の検診率が上がらない理由をどのように分析なさっていらっしゃるのか、そして、この若い女性をターゲットとして検診率を向上させるための策を既に講じていらっしゃるかと思いますけれども、教えていただけますでしょうか。
222・新村和哉
○政府参考人(新村和哉君) お答えいたします。
(中略)
子宮がん検診も含めましたがん検診の受診率が上がらない原因といたしまして、平成二十四年度がん対策に関する世論調査によりますと、受ける時間がないからというのが四七・四%、がんであると分かるのが怖いからというのが三六・二%、費用が掛かり経済的にも負担になるからというのが三五・四%などの理由が挙げられてございます。
厚生労働省といたしましては、検診率向上のために平成二十一年度から、自治体による子宮頸がん検診に対するクーポン券の配布、それに伴う受診勧奨の実施を行っております。また、がん検診五〇%を目指した集中キャンペーン月間の設定や、がん検診五〇%推進全国大会の開催などの取組を行ってきております。また、がん対策の推進企業アクションという取組を通じまして、企業や保険者などとも連携しまして、子宮頸がんの検診受診率向上のための好事例の共有、あるいは説明会を開催するなど、がん検診に関する普及啓発にも取り組んでいるところでございます。
以上のような取組を通じまして、がん検診の受診率向上には引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
厚労省が取り組んでいることは、20代の女性が子宮頸がん検診を受けないことの対策とはズレていると感じます。
その後、薬師寺氏は2016年4月21日に、下記の質問主意書を提出しました。
看護師が行う業務の範囲に関する質問主意書
看護師の定義は、保健師助産師看護師法第五条「この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。」に定められている。
そこで以下質問する。
一 当該条文中の「療養上の世話又は診療の補助」の定義は何か。
二 看護師が医師の指示のもとに行う「療養上の世話又は診療の補助」の範囲に制限はあるか。
三 前記一及び二を受けて、看護師が医師の指示のもとに、子宮頸がんの検査のため細胞採取することは、法令上可能か。
これに対する答弁書には、下記のように書かれています。
二及び三について
ある行為が傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助に当たるか否かについては、当該行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要があるため、お尋ねの「療養上の世話又は診療の補助」の範囲について一概にお答えすることは困難であるが、例えば、医師の指示の下で子宮頸がんの検査のために腟内から細胞を採取することは診療の補助に該当し、看護師が当該行為を業として行うことは可能であると考えられる。
医師の指示の下であれば、看護師が子宮頸がんの検査のために腟内から細胞を採取することは可能であるとされたのです。
そういった背景もあり前述の研究は続けられ、成果も出ていますが、これをもっと広めようとする動きが、ワクチン推進ほど見られないのはなぜなのでしょうか。
2026年4月27日に行われた参議院予算委員会で、子宮頸がんについて「毎年3000人が命を落とす、深刻な病気です」と熱弁した三原じゅん子氏も、2014年11月11日に薬師寺氏の話を聞いているのだから、女性が検診を受けやすくすることの必要性は知っているはずです。なぜそちらの改善が遅れていることには触れず、男性の定期接種化を急がせるのでしょうか。
前述のスメアテイカー養成プログラムの研究は、継続して行われていました。
なぜもっと、このような研究に注目しないのでしょうか。
海外での取り組み
お話の会で隈本氏が紹介したイギリスのテレビ番組(2019年放送)では、生放送中に子宮頸がん検診を行っていました。
その動画がBBCのサイトに残っています。
以下、放送当時の状況です。
英国国民保健サービス(NHS)は、25歳から49歳の女性に対し、3年ごとに子宮頸がん検診を受けることを推奨しているが、多くの女性が恐怖心や恥ずかしさから受診を避けている。そこで、意識向上を目的として、婦人科がん慈善団体の共同設立者Chloe Delevingne氏が番組で生放送中に子宮頸がん検診を受けたとのこと。
Chloe Delevingne氏は21歳の時に子宮頸がんのスクリーニング検査で異常な細胞が発見されたことを受け、子宮頸がんの予防に関する啓発活動を行っているそうです(下記参照)。
Chloe Delevingne氏は生放送で検査を受けることで、検査へのハードルを下げる役割を自ら果たしていました。
子宮頸がんに罹患する人が減っているというオーストラリアでは、定期健診プログラム(NCSP)が成果を出しています。
オーストラリアの多文化公共放送局 SBSの記事 より
子宮頸がんの症例の70%以上は、これまで検査を受けたことがない人、あるいは検診が遅れている人に発生しています。
National Cervical Screening Program(NCSP)
オーストラリアで1991年にNCSPが導入されて以来、子宮頸がんを発症する人の数は著しく減少したと書かれています。
Xではワクチンの接種率が高いから子宮頸がんに罹患する人が減っていると言っている人が多いですが、本当にワクチンの効果なのでしょうか。
オーストラリア政府のサイトには、「HPVワクチン接種を受けた女性では、未接種の女性よりも子宮頸がん検診への参加率が高かった」とも書かれています。
なぜ検診の受診率が高いことには、目を向けないのでしょうか。
国立がん研究センターのサイトには、HPV感染から子宮頸がんへの進行について下記のように説明しています。
図1 HPV感染から子宮頸がんへの進行

多くの人は、HPVに感染しても自然に排除しています。持続感染した場合でも、CINの段階で発見することができれば、ほとんどの場合は子宮を温存することができるそうです。ワクチンを接種しても検診を受けることが必要ならば、若い女性も検診を受けやすくなるように課題を解決することが先決ではないでしょうか。
被害者の話に耳を傾けることと、検診の大切さを周知させて受けやすい環境を整えることは、両立できるはずです。そうすれば、ワクチンによる被害者を増やさず、子宮頸がんに罹患する人も減らせるのに、なぜ対立してしまうのでしょうか。
倉上さんのお話は、フリーの記者・藤江成光氏が当日撮影してくださった動画が公開されています。
国と製薬会社(2社)の責任を問うHPVワクチン薬害訴訟は、専門家証人尋問や原告本人尋問など、結審前の公開法廷を終え、2027年4月に判決が出る予定です。
裁判所が公正な判断をして、国と製薬会社の責任を明らかにするためには、世論の後押しが必要なのです。原告さんたちの発信を「反ワク」という先入観で見るのではなく、ご自身や家族が安心して診察を受けたり、医薬品を使うために関心を持っていただきたいです。
裁判の目的などについては、下記に書かれています。
裁判所宛
厚労省宛
原告さんや新たな被害者の方たちの声を聞く機会として、オンライン参加できるイベントもあります。申し込み方法などは、下記のページでご確認ください。




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— HPVワクチンの本当のことを知ってほしい実行委員会 (@hpv_hontou) September 24, 2025
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