メモをする③/3|シロクマ文芸部
メモをする彼女
メモをする彼女を始めてみたのは駅前のカフェ。
一心不乱に何かを書いていた。
心理学の講義で顔を合わせることはあっても話したことはなかった。
あとから、知ることになる。
文庫本くらいの小さなノートに、 思いついたことを、短く書く。
「今日の風、洗濯物の匂いがした」
「コンビニ店員の“ありがとうございました”が少し眠そう」
「信号待ちの犬、人生二周目みたいな顔」
最初に見たとき、変な人だと思った。
けれど、三回くらい見かけると、人は勝手に親近感を覚える。
「何を書いてるの?」
ある日、つい聞いてしまった。
彼女ははにかみながらノートを閉じた。
「忘れないように」
「そんな大事なことなの?」
「消えちゃったら大事だったかどうかもわからない」
その答えに僕は妙に納得した。
たしかに僕は、大事な予定は覚えている。
論文の締切。
ゼミ仲間の飲み会。
アルバイトのシフト。
けれど、それらの記憶よりも短いものがたくさんある。
春の匂い、
帰り道の夕焼け、
誰かがふと笑った顔。
それから僕も、 たまにメモをするようになった。
「アイスコーヒーを混ぜる音が、少しだけ夏」
「終電のホーム、みんな静かに疲れてる」
「彼女、今日めずらしく髪を結んでいた」
ある日、彼女が言った。
「メモってね、ただの記録じゃないんだよ」
「じゃあ何?」
「たぶん、“存在証明”」
そう言った彼女の横顔は、メモなんか残さなくても僕は決して忘れない。
小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します。
三部作を作りました。
Claude、Gemini、ChatGPT、それぞれの初稿を元にしています。
その順で、
2026/05/18(月)6:30、11:30、18:30に投稿します。
これはChatGPT版。
よろしければどれが一番好きかなど、感想をお寄せください。
