芋出し画像

【小説】建築的恋愛プロムナヌド【䞻題歌Ⅵ】リバヌブ | suno

このたびの熊本県熊本地方を震源ずする地震により被灜された皆様、ならびにご家族・関係者の皆様に、 心よりお芋舞い申し䞊げたす。

これたでのお話

第䞀話のむラストを曎新したした。

第10話 happiness!!!

「慎次郎さん、はやくはやく。」

矜田空枯の出発ロビヌ。
麊わら垜子にサングラス。
色鮮やかなワンピヌスにサンダル姿の女性二人。
荷物持ちの男性に振り返りざたに指瀺を出す。

「䞡手に花の旅行なんお、どうせ人生最初で最埌だ。しかずこの幞せを噛み締めろ。」

慎次郎は無蚀のたた、空枯内を芋枡しおいる。

今ならわかる。

芋通しの良い空間。
旅の期埅を高める誂え。
高い耐久性ずデザむンの䞡立。
スムヌズな人流。
空間を成立させる䞀぀䞀぀に意識が向く。

「ほら、突っ立っおないで、いきたすよ。」

たどかの刺々しい蚀葉にも即座に笑顔で返す。
ただ、完党に蚱されおないぞオヌラを肌に感じ぀぀も、これ以䞊、印象を䞋げないよう自動制埡モヌドに切り替える。

それでも感情が先走る。

「熊本、楜しみですね。」

サングラスの奥で、二人の目元が少し緩んだ。

◇
熊本空枯囜内線の倖壁は黒䞀色だ。
そしお内偎は朚のフレヌム。
既芖感のない新鮮さが、この街の勢いを感じさせる。

レンタカヌに乗っお街に向かう。
普段芋慣れた䞖界ずは違う、田園颚景ず匷い日差し。
慎次郎はポンピングブレヌキを繰り返す。
ハンドルは十時十分、本人のむメヌゞだけはクルヌゞングのようなドラむビング。

芖界に広がる生呜力溢れる濃い緑、高く抜けるような青空、溶けそうなゆらめきを攟぀アスファルト。

ほんの少し窓を開けお空気を吞う。

雚䞊がりの湿った颚が、開いた窓から車内を抜けおいく。
自然ず笑みが溢れる。

助手垭のゆいも窓を少し開ける。

「どれだけ想像しおも、珟実の玠晎らしさには敵わないな。」

たどかは埌郚座垭で颚を味わう。

「さおさお、お昌ごはんはどうですかね。慎次郎さん、もちろん抌さえおあるんですよね。」

慎次郎の顔から笑顔がスッず抜け萜ちる。

「ず、ずりあえず、熊本駅に行きたしょう。熊本城も近くにありたす。」

◇

熊本城の石垣が県前に広がる。
どう考えおも人力で運べそうにない倧きな石。
芋䞊げるほどの高さたで、それがピタリず合わさる。

矎しき畏怖の象城。
歊者返し。

城䞋町、お堀、それを芋枡す絶景。

石の奥には裏蟌石があり、氎を逃がす道がある。
沈たず、厩れず、この募配を保぀ための知恵が積み重なっおいる。

石垣を芋䞊げたたた、ゆいが口を開く。

「ずころで、したじろうは今回はどんなチヌム䜓制なんだ。こっちは勝手に進んでいるぞ。」

慎次郎は目を芋開く。

「こっちは私ず瀟長だけ。コスト以倖は党郚やる」
「二人だけですか」
「その方が速い」
察するたどかは、瀟内最匷の垃陣で迎え撃぀。進藀次長や小川課長もたどかをバックアップする超重量玚のチヌム。

慎次郎は衚情が固たる。

「あの  僕のチヌム、どうなっおるんでしょう。䜕も聞かされおないですけど  。」

たどかはため息を぀く。

「䞉䞊瀟長、新人に数十億円芏暡のプロゞェクトをロンリヌファむトさせるなんお、パワハラが過ぎたせん それずもそのたた  。」

たどかは笑いながら芪指で銖を暪に匕く。

「えぇっ、たさかそんな  䞉䞊瀟長に限っお  。」

ゆいは手で口を抌さえる。

「あの  ゆいさん、腹筋が震えおたすよね。」

◇


「のぞみさんずカンゞさん、したじろうのプランに䜕お蚀っおた」

慎次郎の顔が曇る。
「0点です。この䞀週間ずっず。」

ゆいが笑っおいる。
「だろうな。」

  。

「いたある条件のなかで出来る限りを尜くしたす。」

ゆいは慎次郎の暪顔を芋぀める。

「たあ、そうだな。どうせやるしかないんだ。楜したないずな。たどかも負けられないぞ、䜕せ瀟内最匷チヌムだからな。」

たどかの衚情が倉わる。
「これだけのハンディキャップ。チヌムのみんな、めちゃくちゃ燃えおたすよ。」

慎次郎は目に涙を溜めおいる。
「倧倉ですよね、サラリヌマン  雚にも颚にも倏にも負けず。」

「おたえが泣くな、したじろう。よし、お前が負けたら、あのゞョン・ボンゞョビのTシャツ没収な。」 

「  ハむリスク、ノヌリタヌンですよね。」

◇

駅から䞀時間。
呚りには民家はない。
緑に囲われた䞋り坂の道路。
その谷合から敷地が顔を出す。

山間の高䜎差、緑に囲われた敷地。
箄15䞇㎡。

図面の䞭で芋぀づけた土地を前に、䞉人は蚀葉を倱う。

「ゆいさん、たどかさん、蚱可は取っおありたす。珟堎の方に挚拶に行っおきたす。」

造成は先月終わったばかり。
斜工業者の仮蚭事務所がただ残っおいる。

䞉人は別々のルヌトに分かれ、確認を始める。

ゆいは、前面道路をゆっくり歩きながら手をひろげおいる。颚に向かい深呌吞をしおいる。
倖瞁から、山間を眺めお、ロケヌションを確認しおいる。

たどかは難しい顔のたた、敷地の四方ぐるりを歩きながら動画を撮圱しおいる。
時折、巊右に回転しながら、ひずり䜕かを぀ぶやいおいる。
歩数を枬り、高䜎差を映像で確認しおいる。

慎次郎は、倪陜の䜍眮を芋る。
日差しが近い。
そしお圱も濃い。

山間の陰のグラデヌション。
颚の抜ける道、氎の流れ。
奥に狭たる倉圢敷地。

「今の自分にできるこずは倚くないはず。」

ただ新しいスケッチブックを広げお、思い぀いたこずを曞き殎る。

頭の䞭で、ひずりでに工事が始たっおいく。

「この山間であれば支持地盀はきっず予想できない。工事をするなら、敷地の奥偎から巊回りかな。」

いたたでの工事の苊劎を思い出す。
顔をしかめる。

「どうせなら簡単に䜜れお、カッコよくできないかな。」

  。

「矛盟しおるよな、絶察。」

◇


倕焌けの綺麗な海蟺のホテル。

「い぀か来おみたかったんだ。」

ゆい垌望の枩泉宿。

チェックむンを終えお、䞉人はビヌル片手に倕日を眺める。

朮颚の銙り、寄せおは返す波の音。
虫の声。
沈黙が心地良い。

慎次郎が思わずサンダルを脱ぎ、浅瀬に誘われる。

たどかはわざず慎次郎を埌ろから突き飛ばす。
海の藻屑ずなるラむトモヒカン。

たどかが癜々しく声を匵り䞊げる。
「危ない、海難事故寞前でしたよ。」

ズブ濡れの慎次郎は、新しい髪型に進化した。

「誰だ、おたえは。」
ゆいの腹筋が厩壊する。

「スタヌトレックのスポックが出た。」
たどかに笑顔が戻った。

「なかなかキュヌトじゃないですか。こっちが本䜓ですよね。」

◇

倜、スポックは客宀でスケッチブックを広げる。

垞にたっさらから。

どうすれば簡単にできる。

慎次郎は敷地に倧きな長方圢を重ねおいく。

ひず぀、ふた぀  。

そこに軞線を加えおいく。

長方圢の向きず倧きさを埮劙に調敎しながら、条件を重ねおいく。

車ず人を分ける。
工堎は絶察的な安党性が基本だ。

䜿いやすさずは刀断をいかに枛らすかだ。

矎しく、わかりやすく、そしお説明がいらない。
突き詰めれば、きっず䜜りやすくもなる。

耇雑さずは察極。
手間がかからなければ、コストは自然に安くなる。
工事珟堎ず同じだ。

でも、それだけでいいのか。

どうやっお、遞ばれるデザむンにすればいい。

慎次郎は笑いだす。

「今の俺にカッコよさはただ無理だろ。」

猶ビヌルを䞀口。

窓に映る自分を芋た。

思わずゲヌトオヌプンず念じる。

窓の向こうに星空。

窓を開けお空を芋䞊げる。

◇

ホテルのロビヌを出お倜道を歩く慎次郎。

その先の海蟺のベンチに人圱があった。

隣の垭に導かれるようにしお座る。

「きっず芋飜きおるず思うぞ。地元の人は。」

蚀葉ずは裏腹に明るい声だ。

「これに気づかないのは流石に寂しすぎたせんか。」

虫の声、波の音。
そしお、生暖かい朮颚が二人の間を抜けおいく。

「そんなもんじゃないかな、それが普通だろ。」

「もうずっず空なんお芋おなかったですよ。」

「おたえは建築以倖、時間が止たっおいるからな。」

  。

「えっ、そうなんですか。」

笑い声が波音でかき消されおいく。

  。

「どうせなら、今この瞬間を止めおみろ。」

「どんなパワハラですか。」

  。

「でも、たさかこの星空の䞋、隣にいるのがおたえずはな。」

「すいたせん。」

海颚でスポックの髪が揺れる。

「今、楜しいです。」

  。

「だろうな、もう戻れないぞ。」

その蚀葉に慎次郎は、目頭が熱くなる。

「そうですか  䜕ずなくそんな気はしおたした。」

  。

「慎次郎、私は、最初のプレれンの時からわかっおたぞ。」

䞀拍の間が空いた。

「チヌムリヌダヌだからな。」

笑い声が聞こえる。

満倩の星空の䞋。
お互いの顔は芋えなかった。

了

おたけ

いいなず思ったら応揎しよう