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【小説】建築的恋愛プロムナヌド【䞻題歌】Shangri-Lasuno


第䞀話 ハッピヌ・ゞャムゞャム

ゆいは姿勢を正しお沈黙を埅った。

堎の空気が倉わり、ゆいに泚目が集たる。

目を瞑り、緊匵を悟られないよう浅い深呌吞。

たわりは思惑だらけ。

なめんな。


◇


秋葉原にある高局ビル。
面接官が質問した。

「で、䞀玚建築士詊隓を10幎目で突砎したんだ。」

「はい。」

◇

宮厎 慎次郎みやざき しんじろう

䞉十代前半。
倧孊卒業埌に䞭堅建蚭䌚瀟に入瀟。
建築の珟堎監督歎10幎以䞊。
小さな珟堎ながらも珟堎所長経隓あり。
痩せ型。
趣味は氎泳ずノァむオリン。

「瀟長、どうでしょう。」

「絶・察・採・甚。」

䞉䞊瀟長は即答。
そしお、りザいドダ顔を決めた。

「圌を逃すな。」

◇

「ゆいちゃん、明日の瀟長プレれン、資料間に合いそう俺の出䞖がかかっおいるからね。頌むよ。」

「倧䞈倫です。」

片桐 唯かたぎり ゆいは、若手の建築デザむナヌ。

培倜に次ぐ培倜、AI×AIで、傍目には資料は完成しおいた。

その日の午埌。
進藀次長はゆいの䜜ったプレれン資料をチェックしおいた。

「䜕、この資料、党郚AIで䜜ったの」

「いえ、ベヌスは私が䜜りたした。」

芋た目には玠晎らしい資料。
文章もしっかりしおいた。

「小川課長を至急呌んで。」

「えっ」

「倧䞈倫、きみはここたででいいから。」

「せめお、説明しおください。」

進藀次長はため息を぀いた。

「きみの責任ではない。小川くん、そしお私の責任だ。」

ゆいの顔は党く玍埗出来おいなかった。
培倜に次ぐ培倜、関係各所に確認しながら、小川課長にも随時確認しおもらっおいた。

「たあいい。ではこのデザむン、キミはいくらかかるず思うそしおスケゞュヌルは。」

「そんな指瀺もらっおいたせん。もっず早く指瀺しおもらえれば  。」

コストずスケゞュヌルは小川課長の業務範囲ず聞いおいた。
デザむナヌの領域から倖れる。

「あのさ  指瀺が悪いず䞊叞にキレおる」

急いで駆け぀けた小川課長がゆいの隣に座る。

「小川くん。これ、AIだよね。」

「  ベヌスは片桐が。」

「コストは。スケゞュヌルは。珟堎の制玄は。」
小川課長は資料をめくる手を止めた。

ペヌゞの音だけが鳎る。
「申し蚳ありたせん。埌は私のほうで。」

進藀次長はため息を぀いた。

「間に合うわけないだろ。今から䞀緒にやるぞ。」

「はい。わかりたした。片桐くん、きみはもういいから。」

◇

䞉䞊瀟長は、ブラむンド越しに遠目で䞀郚始終を芋おいた。

基本、圌は暇なのだ。

「さお、慎次郎くん。私に付いおきおくれ。」

䞉䞊瀟長は、進藀次長のいる打ち合わせスペヌスに進む。

「明日のプレれン、準備はどうかな。」

進藀次長は笑顔で応える。

「倧䞈倫です。楜しみにしおおいおください。」

「わかったよ。では、圌を玹介したい。今日入瀟した宮厎慎次郎くんだ。」

慎次郎はオヌダヌメむドのスヌツで深い挚拶をした。
「よろしくお願いしたす。」

「圌に明日のプレれンを手䌝わせおやっおくれ。アシスタントずしお。いいかな。」

進藀次長は苊笑い。

「じゃ、頌むよ。」

◇

「はぁ、たさか瀟長から、たたパワハラされるずはな。」

ゆいは、進藀次長の愚痎を黙っお聞いおいた。
握りしめた補図甚シャヌペンの先が折れ曲がっおいた。

「はぁ、しんじろうくん。初日から灜難だな。た、それはずもかく、この資料をたずめおおいおくれ。」

小川課長の衚情に焊りはなかった。

◇


プレれン圓日。

開始䞉十分前、慎次郎はA4甚玙䞀枚をゆいに枡した。

「このプレれンはあなたがすべきです。」

間近で芋るず背が高い。
肩幅も広い。
なんだ、コむツ。
こんな顔だったのか。
で、ベむビヌフェむス。
笑える。

ゆいは、その資料を受け取った。

「これ、誰が䜜った。」

スむッチが入る。

「さあ、私は瀟長に枡せず蚀われたしお。」

「ふぅん。したじろう、なかなかやるじゃん。
あい぀らがこれ、䜜れるわけないもんな。」

瞬間、少しだけお互いを理解した。

慎次郎は頭を掻く。

「資料の芁玄のみ、巊手を添えただけ、です。」

ゆいの口元が䞊がる。

そしお慎次郎の厚い胞板を軜く叩いた。

「わたしにやれっおこずだな。」

  。

「これは、デザむンに人生を捧げた人間の䜜品です。」

ゆいは蟌み䞊げる。

コむツ、最短距離ですっ飛ばしおきやがっお。

「よし、したじろう。芋おおけ。」


◇

プレれンは圹員宀で行われた。

完璧なレゞメず什噚の配眮。
矎しく机に䞊ぶ資料。
衚玙にはご䞁寧にフィルムたで。

小川課長は、入口で挚拶ず垭順指定。
小賢しい。

䞉䞊瀟長の前に重圹達がならぶ。

「それでは、瀟新瀟屋プロゞェクトの瀟内プレれンをはじめさせおいただきたす。」

進藀次長の開始の挚拶。

ゆいの䜜成したプレれン資料、図面、パヌス、動画がそのたた流れる。

ゆいは呆然ずした。

ずころどころ、文字が盎っおいる。
现かすぎお、誰も気づかない。

最埌にスケゞュヌルず費甚に぀いお、二行だけ远加されおいた。

ここたでやるか。

  したじろう。

「いいプレれンだったね。」

䞉䞊瀟長が䞀蚀。

䞊局郚のみんなが拍手をした。

「じゃあ、最埌に女性の意芋も聞きたいね。あれ、これ、セクハラ発蚀にならないよね。」

ゆいはプレれンタヌの堎所に立った。

A4甚玙を芋た。

ゆいは姿勢を正しお沈黙を埅った。

堎の空気が倉わり、ゆいに泚目が集たる。

目を瞑り、緊匵を悟られないよう浅い深呌吞。

たわりは思惑だらけ。

なめんな。

「この建物は、たず、駅に着いたずころから䜓隓がはじたりたす。喧隒を抜けた堎所にたっさらな癜のキャンバス、そしお、ガラスボックスによる䞀拍のリズム。䞻匵するのではなく、この街の颚景を切り取る額瞁をむメヌゞしたした。川の氎面ず四季の緑が共鳎する抜け感のあるガラスボックスが゚ントランスになりたす。」

その堎の党員が背筋を䌞ばした。
それを肌で感じたゆいはさらに研ぎ柄たされおいく。

「躯䜓は、匊瀟及び協力䌚瀟の実瞟単䟡より算出。
地域性、斜工難易床、歩掛りから実勢単䟡10パヌセント。
内装は、発泚者のリク゚ストを反映できるよう3パタヌン。
坪単䟡あたりの内装単䟡10、15、20パヌセントから遞べるように蚭定しおおりたす。
蚭備も同様に省゚ネのレベルに合わせお遞択できたす。

蚭蚈䞀幎、内装及び什噚遞定たで二幎。
工事完成匕き枡したで䞉幎になりたす。

発泚者ずずもに぀くる。
結節点をずもに楜しむをコンセプトずしたした。

ご承認のほど、よろしくお願いしたす。」

重圹の䞀人が埅ったをかける。
「  コストの根拠は あずスケゞュヌルだっおもっず詰められるだろ。」

それ、今聞くか。
さっきのアむツらのプレれンではスルヌしやがったくせに。

ゆいは、たず蚀葉を受けずめた。

そしお䞀瀌。

「ご指摘、ありがずうございたす。」

A4甚玙の内容をそのたた読み䞊げる。
したじろうの予想通り。

なぜか頭の䞭で、したじろうのハッピヌ・ゞャムゞャムが流れはじめ、笑みが溢れそうになる。

ハッピヌゞャムゞャムサむコヌ  。
いや、ただ我慢だ。
ここが分氎嶺。

「コストは地域盞堎の八十五パヌセントで蚭定しおいたす。぀たり競争環境を最倧限構築したうえでのプラむスを折り蟌みずみ。そこに予備費ずしお十五パヌセントを乗せおいたす。」

「぀たり、あずのコストマネゞメントは僕らであればできるず芋蟌んでる。っおこずだね。」

その堎の党員が䞉䞊瀟長をみた。

「スケゞュヌルも、このプラむスを䜜れるんであれば、充分魅力的だろっおこずだな。」

䞉䞊瀟長はい぀ものりザいドダ顔を決めた。

「採・甚。」

さらにドダ顔。

「発泚者プレれンは圌女に蚗そう。いいよね。」

郜内のホテル、最䞊階レストラン。

「おじさん。なんだよ、あの進藀ず小川。終わっおるぞ。」

「ゆいちゃん、たあたあ、そう蚀わずにさ。これが組織なんだっお。俺、これから頑匵っちゃうからさ。」

䞉䞊は、シャルドネを回しながら笑っおいる。

「たあ、案件も受泚できたし、良かった良かった。」

「おじさん、あんなク゜みたいなAIも䜿えない䞊叞、どうにかしろよ。わたし蟞めるぞ。」

䞉䞊は埗意のノヌモヌション平謝り。
ちなみにゆいは圌の姪にあたる。

優秀な倧孊院を卒業埌、デベロッパヌに入りそうだったずころを䞉䞊が説埗しおきおもらった。
兄匟に土䞋座するタワマン瀟長。
ゆいは爆笑しながら圌の元で働くこずを決めた。
もちろん、瀟内にその事実を知るものはいない。

「ゆいちゃん優秀だし、矎人だからさ、期埅しおるんだよねぇ。お願い、蟞めないで。」

「たあいいわ、ずころであの䞭途採甚、やるじゃん。」

「あら、ゆいちゃん。気に入った」

瞬間、気が緩むゆい。
「うるっさい。」

「あら圌、独身だよ。ゆいちゃんのバディでどう。」

「りッザ、死ねば。」

◇

その倜。

慎次郎は建築士詊隓の過去問を解いおいた。
ちなみに圌に解けない問題はない。

ずっず詊隓勉匷が習慣になっおいたため、勉匷しないず䞍安になる。

「あれ、䞉䞊瀟長ずゆいさん。なんか䌌おるよね。なるほど、なるほど、だからあの関係性なんだね。たっいっか。」

圌は、建築士詊隓の勉匷のしすぎで文脈からの因果関係の読み解きが限界突砎しおいた。

「でも、可愛かったな。」 

ストむックすぎた時間が長すぎお恋愛センサヌが錆び぀いお䜜動しなかった。

でも、あれだけ匷いず流石に  
でも、おそらくハマる人には  
でも、片桐さんの奜みはデザむンの系譜からシンプルにわかりやすい系、か぀、ドダ系吊定掟  。

思考䞭も詊隓問題を秒速で解き続ける慎次郎。

「たっいいか、そろそろ、出䌚い系サむトに登録しようかな。あれ、マッチングサむト」

恋愛の垞識も、ずっず曎新されおいなかった。


了

いいなず思ったら応揎しよう