川はどこから始まる? 瑞穂町で源流を探してみた【都道府県シリーズ第2周:東京都no.2-2 瑞穂町編01】
都道府県ごとに地形・地質を見ていく「都道府県シリーズ」の2周目。
前回から新たに東京都瑞穂町編がスタート!
瑞穂町は東部の狭山丘陵を除く地域は古多摩川によって形成された段丘堆積物で構成されている土地でした。
そんな瑞穂町には、どのような地形があるのでしょうか?
※前回記事はコチラ👇
川を見よう
瑞穂町の大きな地形的特徴として「川が非常に少ない」が挙げられます。

この図を見て分かる通り、主要な河川は残堀川(ざんぼりがわ:上図青線)と不老川(としとらずがわ、ふろうがわ:上図水色線)の2河川のみであり、しかも両者とも源流は段丘平坦面内にあるように見えます。
一般的に考えて河川の源流は山間地域にありますが、これら2河川はパッと見た感じでは狭山丘陵に源流あるようには見えません。不思議ですよね。
この謎を解くために、上流部の地形・地質を詳しく見てみましょう。
不老川の源流を探る
まずは北の不老川から上流部の地形図を確認します。

この地域一帯は平坦地ではありますが、全体として概ね北東方向に緩やかに傾斜しています。
青太線で図示しているのが不老川であり、地形図で明確に確認できるのは、図の赤丸地点までです。
こんな平坦な土地で途切れてしまうのは明らかにおかしいですよね。
おそらく暗渠(地下水路)になっているか、地形図では表せないほど小規模な水路でつながっていると思われます。
そのように考えられる理由は、周囲の小河川(水路?)の存在です。
赤丸地点より南側に点在しており、緑丸で示した箇所になります。
またさらに南には明確な谷地形を流れる沢が確認できます(水色丸)。
これも地形図上ではすぐに途切れますが、おそらく小さな水路で北西の緑丸を経由し、不老川につながるのでしょう。
では狭山丘陵が源流なのでしょうか。
もちろん水色丸で示した沢など、源流の一部は狭山丘陵だと言えます。
しかし狭山丘陵は決して大きな山体ではなく、また狭山丘陵全体の水が不老川へ注ぐわけではありません。
「水系」を考える
では狭山丘陵の中でも、どの程度の範囲の水が不老川の源流になり得るのでしょうか。
このようなときは「水系」を確認するとイメージしやすくなります。

立体図で見ると分かりやすいと思います。
例えば上図の赤丸地点に流れ込む水を考えてみましょう。
川の水のもとは概ね雨水です。
図の真ん中付近に落ちた雨水(水色矢印)は、谷を流れて赤丸地点に到達しますよね。
しかし図の右の方に落ちた雨水は赤丸地点には到達しません。
つまり赤丸に到達する雨水の範囲は尾根(青線)で囲まれた区域になります。これが「水系」です。
では狭山丘陵の水系がどうなっているのか見てみましょう。

まずは地形だけで見てみましょう。
広範囲で見ると分水嶺が分かりにくくなるため、狭山丘陵の北西部を拡大しています。
どうでしょうか?不老川へ流れる範囲が分かるでしょうか?

図示しました。
上図の赤線でなぞった尾根を境にして水の流下先が変わります。
青矢印を図示している範囲が不老川へ流れる範囲。
緑矢印が狭山湖(山口貯水池)へ流れる範囲で、水色矢印が残堀川へ流れる範囲です。
これをもっと広範囲で見てみましょう。

こうなります。
このように見ると狭山丘陵に降った雨は様々な方向に流れているのが分かると思います。
その大部分は狭山湖に流れる水系で、南の残堀川に流れる水系などさまざまであることが分かります。
なお不老川(青)とその支流(水色)は、段丘平坦面の傾斜に合わせて北東方向に流れており、狭山丘陵からの水も同方向に流れていると考えられます。
そのため丘陵の東の水は不老川へは流れず、その他の川(橙色)へ流れると考えられるため、不老川の上流は黒太線の範囲のみと考えられます。
こうやって見ると、だいぶ狭いですよね。
しかも上記のように、この地域の水が北東に流れることを考えると、不老川本流の源流になり得るのは青丸範囲のみだと考えられます。
これは相当に小さいですよね。
つまり不老川の源流として、狭山丘陵からの水は想像以上に少なそうです。
なお残堀川(緑色)の源流も狭山丘陵北西部のほんの一部であり、東部は他の川(橙色)へ流下しています。
これはやっぱり、不老川・残堀川の両河川とも、その水源が謎です。
平坦地が源流になる要因とは何なのか?
次回へ続きます。
お読みいただき、ありがとうございました。
