ととのいと煩悩のあいだに(後編)
こちらは昨日の後編です。読んでいない人は先に以下をお読みください。
ちなみにここ1週間で1番読まれています。
noteは有益性なんて関係ないんですね。
次にやってきたのは、40〜50代のおじさんだ。少し前におっさんずラブなど可愛いおじさんブームがあったが、今ここにいるおじさんは本当の本当のおじさんだ。
おじさんと画像検索をして、3番目くらいに出てくるおじさんだ。
どうやら年上のおじさんと、年下のおじさんだ。片方は敬語を使っている。
(年上おじさん、年下おじさんと呼ぼう)
おじさんの魂会はどんなものなのだろうか。僕は魂会のその深淵に潜り込んだ。
年上おじさん「ここは整いスペースが広いから気持ちいな」
年下おじさん「間違い無いっすね。先輩は最近はよく整ってるんですか?」
年上おじさん「よく整ってるよ。最近は健康診断で“尿酸値、正常”って言われたときかな(チラっ)。」
年下おじさん「それは…!整ってますね…尿酸値が…」
おじさんとは大変なものである。
おじさんの何が大変かって、周りもおじさんだからだ。
体力もなくなって、あらゆる興味関心を失い、おじさんとして生きるのは大変であるが、周りの人もそんなおじさんなのだ。周りに若い子がいればまだいいが、おじさんにはおじさんしかいない。
おじさん負のループなのだ。
年下おじさんは年上おじさんの「おじさんギャグ」に突っ込むか笑うか考えているうちに、「それは…!」と謎の返しをしてしまった。
会話の中で「それは…!」は意味不明であろう。
年上おじさん「てかさ、最近の若い奴、なんでみんなサウナ好きなんだ?」
年下おじさん「なんかニュースで言ってましたよ。不快さがいいんですって。ロウリュウの熱さと水風呂の冷たさの不快感が、耐えてるうちに心地良くなってくるんですって。
“現代に足りないのは不快さだ”って言ってましたよ」
年上おじさん「じゃあ俺なんか、部長室で毎日整ってるじゃん」
年下おじさん「部長室そんな不快なんですね。僕らの部署もだいぶ整ってますよ」
年上おじさん「じゃあオレは社内のロウリュウってことか(チラッ)?」
年下おじさん「それは…!違いますよ…ロウリュウなんかじゃ…」
おじさんは常に逆をいく。
子供への愛情は気持ち悪いと言われ、嫁への感謝は嫌味と捉えられ、部下への教えはパワハラと捉えれる。
やることなすことが全て逆になってしまうのだ。考えてもみれば可哀想である。
年上おじさんも本当は「オレ、部署のみんなに嫌われてないかな?みんな気持ちよく仕事できてるかな?」と聞けばいいのに
「じゃあオレは社内のロウリュウってことか?」なんて、遠回しに否定を回収しにきている。
部下の方をチラチラ見てつっこんで欲しいのだが、何も言わずにニヤニヤ。
全てが逆なのである。
逆すぎてまたも「それは…!」ともやは意味をなしていない、単語が出てしまっている。
年下おじさんも大変である。
しかしこういう年下おじさんは自分の下にも同じことをする。
つまり下下おじさんも同じ経験をする。そして下下下おじさんも下下下下おじさんに対して、同じことをする。
こうやって日本の伝統的なおじさん文化は継承されていくのである。
年上おじさん「お前は最近整ってるのか?」
年下おじさん「はい、整ってますよ。
でもね、先輩。僕にとっては、“くだらないことを本気で話せる”ってのが、一番整うんですよ。
だから先輩といくランチやサウナめっちゃ整います。不快って意味じゃないですよ?(チラッ)」
年上おじさん「お前…」
おじさんは最高である。
おじさんの周りにはおじさんしかいない。だから最高だ。
おじさんの気持ちをおじさんが分かってあげてる、これこそが真のおじさんの友情だ。
おじさんが欲しい言葉なんて、おじさんにしか紡げない。
おじさんが見たい景色なんて、おじさんにしかつくれない。
おじさんこそが至高、おじさん万歳、おじさん万歳!
整いスペースはもはや魂の会話を超えて、魂同士を繋ぎ合わせる、究極のスペースなのかもしれない。
おじさんであれ、大学生であれ関係ない。
整いスペースにやってくるものは、魂同士が繋ぎ合わさり、真の友情を見つけるのである。
整うのではなく、見つけるのである。
僕らはまたサウナへ向かう。あいつと、僕らの大切な友情を見つけるために。
