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『水曜どうでしょう』「トップガンみたい」大泉洋がヘリに乗って見せた最高のリアクション|第37夜

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前回の第36夜では、「雪面の飛び魚」とともに、何も知らされないまま淡路島へ連れてこられた大泉洋さんについて書きました。

理不尽な旅が再び始まる中で、「騙される大泉洋」という『水曜どうでしょう』の大切な形が見え始めていました。

そして今回の第37夜では、サイコロ3後編最大の見せ場ともいえる場面がやってきます。ヘリコプターです。

「ケビン・コスナーじゃん」

「エアーウルフじゃない?」

「トップ・ガンみたい」

深夜バスで疲れ切っていたはずなのに、ヘリに乗ると聞いた瞬間、大泉さんは子どものようにはしゃぎ始めます。そして、その数十分後には、一言も発することなくヘリから降りていくことになるのです。


ヘリに乗れると聞いて大いに浮かれる若き日の大泉さん
(引用元:DVD「サイコロ3後編」より)

今見返しても、この場面は不思議です。普通なら、初めてヘリに乗ると聞けば、「酔うかもしれない」「大丈夫だろうか」と少し身構えるかもしれません。

ところが大泉さんは違いました。頭に浮かんだのは、当時大泉さんがテレビで見たというワンシーンです。「ケビン・コスナーじゃん。」「トップ・ガンみたい。」そして、敬礼のポーズまで決めてしまう。後に、このシーンはDVDのジャケットにも使われました。

藤村Dはよく、大泉さんのことを「一流のバカ」と呼びます。もちろん愛情を込めて、です。一つのことに夢中になり、その世界に入り込んでしまう。

だからこそ、普通の人なら考えてしまうことを考えない。目の前の出来事を、全力で楽しんでしまうのです。

このヘリの場面は、その大泉洋という人の魅力が、これ以上ないほど表れているように思います。深夜バスで疲れていたことも、次の移動のことも忘れて、ただヘリに乗れることだけを喜んでいる。

その姿は、まるで少年そのものでした。

ところが、その幸せな時間は長く続きません。但馬空港へ向かう30分の間に、少しずつ異変が起こります。

最初に気持ち悪くなったのは、実は藤村Dでした。カメラを回しているうちに酔ってしまい、途中からミスターがカメラを持っていたそうです。そして、その騒ぎが落ち着いた頃、今度は大泉さんの様子がおかしくなっていきます。


具合が悪くなりカメラを交代した藤村D
(引用元:DVD「サイコロ3後編」より)

だんだん静かになり、顔色が変わっていく。田島空港に一度着陸した時には、すでにかなり具合が悪かったそうです。それでも大泉さんは、吐こうとはしませんでした。普段から、吐いても楽にならないことを知っているからです。

呼吸法を使いながら、なんとか耐えようとしていた。しかし、湯村温泉へ向かう最後の数分、機長が着陸のアナウンスを始め、優しく声をかけます。

「機体が揺れたことをお詫び申し上げます…」

その言葉で、ふっと緊張が切れてしまった。そして、大泉さんは吐いてしまいます。

このエピソードが、私はとても『水曜どうでしょう』らしいと思うのです。理不尽な目に遭って倒れるのではない。優しい言葉をかけられて、気持ちが緩んでしまう。その人間くささが、何とも言えず愛おしいのです。

嬉野Dは後に、この場面についてこう語っています。

「ヘリに乗って絶頂している人が、酔って吐いて落ちていく姿がいい。」

私は、この言葉がとても好きです。なぜなら、この30分間には、大泉洋という人の魅力が全部詰まっているからです。最高にうれしそうな顔をする。子どものようにはしゃぐ。そして、きれいに落ちていく。


大泉さん発射までの死のカウントダウン 残り1秒
(引用元:DVD「サイコロ3後編」より)

着陸した後、大泉さんは一言も言わず、荷物も持たず、すっとヘリを降りていきます。そこには、さっきまで「トップ・ガンみたい」とはしゃいでいた人の姿はありません。でも、だからこそ面白い。

人は普通、かっこいいところだけを見せようとします。失敗した姿や情けない姿は隠したくなるものです。しかし、大泉洋さんは全部見せてしまう。

はしゃぐ姿も、酔う姿も、吐く姿も、そのまま見せてしまうのです。

だから私たちは笑ってしまうし、どこか自分のことのようにも感じてしまうのではないでしょうか。

後に大泉さんは、この時のことを「テレビ的によかったとは思っていない」と振り返っています。ただ、貪欲に次の笑いを探していただけだった、と。

その言葉を聞いて、私は『水曜どうでしょう』がなぜ30年愛されているのか、少し分かった気がしました。

この番組は、かっこいい人たちの物語ではありません。うまくいかないことも、情けないことも全部含めて、人間そのものを面白がる番組だったのです。

だから私たちは、今でも「トップ・ガンみたい」という一言を聞くだけで、あのヘリの中で少しずつ静かになっていく大泉洋さんの姿まで思い出して、笑ってしまうのでしょう。


(※記事中の画像は、作品紹介および考察を目的として、解像度を下げて引用しています。著作権は各権利者に帰属します。)


次回、第38夜は、予定を変更して特別編どうでしょう解説ゼミ』潜入レポート↗をお送りいたします。

2026年7月4日に開催されたこのイベント、ここからなぜ30年経った今でもどうでしょうが語り続けられるのかを考えていきます。

この連載は、これからも『水曜どうでしょう』の魅力を一つずつ読み解いていきます。「❤️スキ」「👤フォロー」で応援いただけると励みになります。


📌今回の内容を踏まえて、皆さんは……

A:初めての体験には、とりあえず飛び込んでみる
B:まずは慎重に考えてから行動する

どちらに近いでしょうか。理由もあればぜひコメントで教えてください。
(コメントには必ずご返信させていただきます)
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