第5話:狂気の再契約スタンプラリー
「手取り月収90万円。そんなエリートの仮面を被った男が、わずか1週間で300万円を溶かし、再び地獄の底へ足を踏み入れる。これは、金銭感覚が完全に麻痺し、消費者金融の限度額が『自分の貯金』に見えてしまった男の、狂気の記録である。」
この物語を初めて読む方は、ぜひ第1話からお読みください。 【第1話:3度地獄を見た男の「再生」〜借金900万の果てに掴んだ副業月収50万の光〜】
「手持ちがなくなった。」ただそれだけの理由で、オレは再びあの場所へ向かった…。
一度は完済し、解約届を出して縁を切ったはずの消費者金融。あの時の清々しさはどこへ行ったのか。だが、迷いは微塵もなかった。
「給料日になれば返せる。いや、借りて当てれば給料日を待つ必要すらない」 そんな使い古された言い訳を自分に吐き捨てながら、オレは再び薄暗い無人契約機のブースに足を踏み入れた。
再契約の手続きは、驚くほどスムーズだった。一度経験しているから流れは熟知している。
「勤続年数が短いのが少し不安だが、直近2ヶ月の給与明細を見せれば一発だ」 確信はあった。
当時のオレの手取り月収は90万円。エリート営業マンとしての自負が、借金に対する恐怖心を完全に麻痺させていた。
契約完了の画面が表示されても、心は動かなかった。 自動券売機から出てきたカードを使っても敗北感なんてない。
自分の銀行口座からキャッシュカードで金を引き出す。それと同じ感覚だった。 「借りた金」ではなく、「自分の金」を引き出しているだけだ。脳のバグは、すでに修復不可能なレベルまで進行していた。
まずはアイフル…。
過去の完済実績が効いていたのか、いきなり100万円の枠が出た。
「なんだ、余裕じゃねぇか」
特にそれ以外の感想はなかった。
その100万円を手に、オレは再び平和島の水面へと向かった。 だが、その日のオレは狂っていた。1点に数十万をぶち込む異常な賭け方。
100万円なんて、競艇の轟音の中では一瞬で溶けて消える泡のようなものだった。
「まだプロミスがある。レイクもある」
溶かした直後には、もう次の調達先を考えていた。 プロミスで100万円。これも瞬く間に溶けた。 レイクでさらに100万円。狂ったオッズを追いかけ、またもや全額を失った。
都内の無人契約機を、営業車で駆け巡る
「再契約スタンプラリー」
仕事の合間に契約機に飛び込み、金を掴んで競艇場へ。 わずか1週間。たったの7日間で、オレは300万円という大金を溶かし尽くした。
「まだいける。アコムがある」 吸い寄せられるように向かった4軒目。
しかし、そこで初めて「現実」がオレの顔を殴りつけた。 画面に表示されたのは、無情な「審査落ち」の文字。 1週間で300万円を借りまくった男に、もはや貸す金はない。それが世間の下した審判だった。
「……嘘だろ?」 無人契約機の狭いブースで、オレは初めて立ち尽くした。
手取り90万のエリート営業部長。その仮面の下で、オレの人生は取り返しのつかない崩壊を始めていた。
だがこの崩壊ですらオレの人生のほんの一部にすぎない。
本当の地獄はまだまだ続く…。
第6話予告: 膨れ上がった借金を抱えながらも、オレはまだ「エリート営業マン」としての仮面を脱いではいなかった。 妻に給与口座を預け、月々数万円の小遣いで食いつなぐ極限の生活。
「これで、すべてが正常に戻るはずだ」
営業成績はトップ、家庭も円満。そんな「偽りの平穏」の裏側で、一度焼かれた脳は、静かに次の獲物を探し始めていた。
次回、第6話
「地獄の返済ロード:月収90万のプライド」
【最後まで読んでいただきありがとうございます!】
この物語は、私の実体験に基づく「再生の記録」であり全て実話です。
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