次の上場先はどこ? ─ 取引所から読み解くSoFiUSDの未来戦略
先日の記事で、SoFiUSDが暗号資産取引所「Bullish」へ上場したことを取り上げた。
その直後、オンチェーンデータではSoFiUSDの発行残高が急増し、BitGo Hot Walletへの大量供給なども確認された。こうした動きから、実際に市場へ流動性を供給するインフラの整備が始まった可能性について考察した。
そのため、多くの投資家は「次はどこの取引所へ上場するのだろうか」と期待する。一方、「なぜその取引所に上場するのか」という視点から考えることが、SoFiUSDの未来戦略を読み解く鍵になる。
<取引所へ上場する意味>
暗号資産取引所へ上場する意味は、「そのコインが売買できるようになる」だけではない。
主要取引所へ上場すると、世界中の投資家が売買へ参加しやすくなり、流動性が高まる。その結果、価格形成も安定し、大口投資家や機関投資家も取引しやすい環境が整っていく。
さらに、その先にはOTC(店頭取引)、レンディング、デリバティブ、カストディ(資産保管)、DeFi(分散型金融)など、さまざまな金融サービスへの広がりも期待できる。そのため、取引所への上場は、その後の金融インフラ全体へ広がっていくための入口となる。
一般企業で例えるなら、「店舗展開」に似ている。
地方の商店街、全国展開する百貨店、あるいは空港や駅への出店、同じ商品を販売する場合でも、どこへ出店するかによって届く顧客層は大きく変わる。
暗号資産取引所も同じである。CoinbaseにはCoinbaseの市場がある。Binanceには世界中の個人投資家が集まり、Bullishには機関投資家が集まる。
つまり、「どこへ上場するか」は、「どの市場へ広がるか」とほぼ同じ意味を持つ。
<Bullishが最初だった意味>
SoFiUSDが、最初に上場したのはBullishだった。利用者数だけを見れば、Bullishは他の主要取引所に及ばない。しかし、Bullishには他社にはない特徴がある。
それは、機関投資家向けサービスを強みとしていることである。
近年、暗号資産市場では、個人投資家だけではなく、銀行・ヘッジファンド・資産運用会社など、大口資金の流入が進み始めている。
Bullishは、まさにその市場を狙っている取引所である。そう考えると、SoFiUSDが最初にBullishへ上場したことは、偶然とは思えない。重視したのは利用者数ではなく、機関投資家との接点とも読み取れる。
この考え方が正しいのであれば、次にどの取引所へ上場するのかも、「利用者数ランキング」だけでは見えてこない。その取引所がどのような利用者を抱え、どのような金融サービスを目指しているのか。そこを考える必要がある。
<世界の主要暗号資産取引所を比較してみる>
現在、世界には数百もの暗号資産取引所が存在している。しかし、その役割は決して同じではない。
・世界最大級の流動性を持つ取引所
・米国市場を代表する取引所
・機関投資家向けサービスを強みとする取引所
・決済市場を広げようとしている取引所
・デリバティブやWeb3を中心に成長している取引所
「暗号資産取引所」と一括りにはできないのである。そこで、主要な暗号資産取引所を比較すると、次のようになる。

各取引所によって、その規模や利用者層、得意分野は大きく異なる。
その背景には、目指しているビジネスモデルの違いがある。現在の暗号資産取引所は、「暗号資産を売買する場所」という枠を超え、一つの金融プラットフォームへと進化しつつある。
売買手数料だけで利益を上げる時代は終わりつつあり、現在ではサブスクリプション、機関投資家向けサービス、レンディング、決済など、収益源は大きく多様化している。
そのため、どのステーブルコインを採用するかは、自社の収益構造や将来戦略と深く結び付いた経営判断なのである。
では、各取引所は何を目指し、何で利益を上げているのだろうか。そこを知ると、SoFiUSDが次にどこへ向かうのかも、少し違って見えてくる。
<次回>
次回以降は、各取引所のビジネスモデルを一社ずつ詳しく見ていく。
CoinbaseはなぜUSDCを強く推進するのか。Krakenはなぜ機関投資家向けサービスを拡充しているのか。そして、BinanceやCrypto.com、Gemini、Bybit、OKXは、それぞれどのような市場を目指しているのか。
取引所がどのステーブルコインを採用するかは、それぞれの"儲け方"と深く結び付いている。次回は、その視点から各社を一社ずつ見ていきたい。
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