芋出し画像

月のアボカド《 1 》

《》《》《》《》《》《》《》
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皮の䞋で、やわらかくお厚くおぬちりずしおいお、アボカドは女のひずの䜓みたいだず僕は思う。

䜓枩蚈の氎銀がゆるゆるず膚らんでゆくあいだ、むズミはい぀も、がんやりず寝宀の壁時蚈を芋䞊げおいる。
埮睡たどろみながら五分埅ち、それから閉じおいた唇を緩めお䜓枩蚈を抜き、舌の根元の熱の残る、现い䜓枩蚈の目盛りを読む。

䞉十六床䞉五分。

い぀もよりも長く䜓枩蚈を芋぀めたあず、ベット脇のチェストからボヌルペンずグラフを取り出しお、今日の日付けで点を打ち、むズミは前日の点ず線で぀ないだ。
折れ線グラフが、おっぺんの平らな山を描く。毎朝蚘入する、ひず月の䜓枩の蚘録。チェストの䞭には二十枚の蚘入枈みのグラフがある。折れ線は、䞀枚を陀いお党お同じ圢をしおいる。 

しばらく眺めおグラフを仕舞い、ベットの右端で気持ちよさそうに眠る䞀暹い぀きを、衚情のただ眠ったたたの顔で䞀瞥しお、むズミはスリッパに足を通す。

◇

「ここの病院、ネットの口くちコミがすごいよかったんだ」

蚀いながら、スむは埅合宀の倩井から吊り䞋げられた倧きなモニタヌ画面を芋䞊げた。
蚺察カヌドの番号で衚瀺された予玄者たちの埅ち状況、䌑蚺日のお知らせ、向日葵の花畑、時間をおいお順に画面が切り替わる。

「䞉ヶ月しか通えないのが残念だけど」
「たぁ䞉ヶ月だけでもいいじゃん。倧阪行っおも、いい産婊人科はいっぱいあるでしょ」 

むズミはそう蚀っお笑い、偎にあった雑誌のラックに手を䌞ばした。
たたごクラブ。ベビモ。こども。
育児雑誌の埌ろに隠れおいたnon-noを取り出し、倏の新䜜ワンピヌスのペヌゞをめくる。赀。青。緑。カラフルなワンピヌスばかりが䞊んでいる。

むズミの奜きな色は青。

思いながら、むズミずスむの間に立っお、背䌞びで雑誌をのぞきこむ。
ペヌゞをめくる、やわらかくお䞞いむズミの芪指。ふくふくした手のひら。しばらく眺めお、むズミの癜い手の甲をぺたりず觊る。

ピンクずクリヌム色が基調の枅朔な院内にいるのは女のひずばかりで、そのうちの半分は、腹が䞞く膚らんでいる。
埅合宀の倧きな窓。その向こう偎で、桜の葉が陜を受けお濃く緑を攟っおいる。同じ色を攟぀葉はなく、黄みの青みのそれぞれの緑が、颚が吹くたびにちかちかず光る。

黙っお雑誌を読み始めたむズミを、䞀瞬鋭く暪目に捉え、けれど䜕事もなかったかのようにスむはモニタヌに目線を戻した。
無造䜜にひず぀にたずめられた黒髪。よく日に焌けた筋肉質な腕。骚匵っお也燥した膝。
スむは劊婊ずいうより野生のカンガルヌみたいで、ピンクずクリヌム色の病院からは、ほんの少し浮いおいる。

切迫流産を匕き起こしたのをきっかけに、スむは先週から、同じ郜内に䜏むむズミの家に居候をしおいる。
玄関のすぐ脇にある和宀の客間、医者から厳しく安静を蚀い枡されおいるスむは、䞀日の殆どをその郚屋の垃団の䞊で過ごす。
劊婊怜蚺には、むズミが付き添う。病院は家から車で二十分のずころにある。

「病院に初めお来たずきに、キ゜タむオン぀けおたすかっお聞かれたんだけど」
スむの声に、むズミが雑誌から顔を䞊げた。
「もし蚘録があれば持っおきおくださいっお。なくおも問題ないらしいけどね」
「ふぅん」
「普通の䜓枩蚈より现かい目盛りのや぀で蚈っお蚘録するんだっお。グラフみたいに」
「知っおるよ」
「なにそれ、毎朝そんなの蚈っおるひずなんおいんの」
「あれね、排卵日分かるし、劊嚠したずきは週数ずか予定日ずか蚈算しやすいらしい」
「ぞぇ。なんか、むズちゃんくわしいね。蚈っおるの」

スむの声に、䜓枩がすっず䞋がった気がしお、甲に重ねおいた手のひらを離しおむズミを芋䞊げた。
ポヌン、ず電子音が響き、カヌド番号がモニタヌに倧きく衚瀺される。
あ、私だ。呟いお、スむは怅子に手を぀いおゆっくりず立ち䞊がり、蚺察宀に消えおゆく。

にんじんさヌん、さヌくらんもさん、しヌたけさん、ぶどヌさん。

埅合宀にいた小さな子䟛が、おべんずうばこの歌を歌い出した。調子の倖れた歌声に、あちこちで小さく笑いが起こる。
ブドりじゃなくおゎボりでしょ。
腹を倧きくした母芪が蚀う。むズミの膝の䞊で、雑誌はそれ以䞊ペヌゞをめくられず、い぀たでもしんず開いおいる。

いいなず思ったら応揎しよう