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中国映画 『春樹』 鑑賞記録 & 監督主演Q&A 東京国際映画祭 受賞作品

第38回東京国際映画祭コンペティション部門作品。ワールド・プレミアの一番最初の上映回で、監督と出演者3人のQ&A付きを鑑賞することができました。監督とお三方も一緒に鑑賞していらして気分上がりました!

本作でチャン・リュル監督は見事、最優秀監督賞を、主演のワン・チュアンジュンは最優秀男優賞に輝きました。おめでとうございます!
受賞作の初演と舞台挨拶に立ち会うことができてラッキーでした。

まだ本国でも上映前なので内容については極簡単にして、Q&Aの様子を盛り込みたいと思います。

※ 2026年7月3日より本邦公開決定、邦題が映画祭時の『春の木』から『春樹』に変更されたのでテキストを更新しました(2026/5/15 追記




原題 春树
邦題 春樹
英題 Mother Tongue
監督 / 脚本 チャン・リュル 張律
2025年10月29日(第38回東京国際映画祭)
122分


緩やかな癒しの映画

概要は東京国際映画祭サイトでどうぞ。
出演は、春樹 を演じるバイ・バイホー 白百何冬冬を演じるワン・チュアンジュン 王传君、春樹の恩師リウ・ダン 刘丹、春樹 の母親役にポン・ジン 彭瑾、他。登場人物は少ない。ちなみに 彭瑾は本作のプロデューサーでもあるそうだ。

北京で女優をしている 春樹には一つだけヒット作があるが、その後は思うようなキャリアを積めていない。新たにオーディションで役がついたが、制作の思惑通りではなかったことが判明してキャンセルになってしまう。成都生まれである彼女の成都語が起用理由だったのに、春樹は成都語を話せなくなっていたのだった。

前途に失望した彼女は同居のパートナーに結婚を持ちかけてみるが、煮え切らない態度でスルーされる。思い余った春樹は郷里、成都に帰郷する。

成都ではかつて女優を目指していた母親が自由奔放な暮らしをしていた。
俳優は方言をしゃべってはいけないと春樹に厳しく指導した恩師も在住している。彼女はアルツハイマーで症状がまだらに出現するのだが、本当のところは曖昧で、演じている?疑惑もある。

また上海の祖母に預けられて育った恩師の息子 冬冬が母を看るために帰郷している。彼は上海語を話し、以前から春樹を知っていたようだ。考えすぎる男、というのが母親評だ。

こうして普通語、成都語、上海語やフランス語など、様々な言語、方言が飛び交う中で、春樹を中心として母親や恩師、そして冬冬との人間関係が交錯していく。


脱力系

時折飼い猫の視点になったりするカメラワークが独特。手前の人物に焦点があたると後ろの景色はぼやける。反対に後ろの景色に焦点で人物がぼやけたりする。映画であまり見ない手法だなと思った。

ふゎ〜っと進む日常。方言が鍵となる起伏、峨眉撮影所のレトロ感

言語だけではなく、各地の食も話題に上がるのが面白い。
脱力系とでもいおうか、ゆるゆるとした空気が流れ、起承転結どこへやら。物事がゆったり進行する、目的地へ急がない作風だ。

彼らが散歩したり恩師が徘徊する視点を通して、成都の街の風景や、取り壊される予定の峨眉撮影所、パルムドールという名が冠された居住地区等を、まるで観光しているような気持ちになる。
何を感じ取るかを観客に委ねる自由さが心地よい。

徐々に判明する、かつての恩師と春樹の関係性、恩師と春樹の母親、そして恩師自身のこと。春樹には厳しく戒めていたのに実は自分は上海語ペラペラだったりもする。

テーマはアイデンティティーの喪失と再生ということになろうか。主軸は春樹と冬冬の間で徐々に温まっていく恋愛、そして二人の成長
だが、何しろ答えをズバリ出さない作風なので、あれ、この描写ってこの先暗転の傾向なの?とか、ラストシーンは何か暗示してる?とか感じさせつつ余韻を残して物語は終わる

悩みながらも自分自身を取り戻そうとしている春樹。共感とまではいかなかったが、応援したい気持ちにはなった。

印象的なのは、王传君 が珍しく下衆じゃない役! これは肩透かしというか、驚きだった。特にごく最近『She Has No Name』での激しい下衆ぶりを観たばかりなので 笑
大人しくて草食な役柄が素の本人(近くで拝見して受けた感じ)によく合っている気がする。
甲斐甲斐しく春樹のアパートに花台を取り付けたり、虫よけスプレーをすかさず差し出したりとこまめに気遣う優しい彼氏ぶりが新鮮(笑)

ユルい人達の中で一風変わった恩師の存在もアクセントになってる。
春樹の母も個性的でストーリーに奥行を出していたと思う。


監督と主演のみなさん Q&Aにて


Q&A、受賞後記者会見と王传君

Q&Aの様子は東京国際映画祭公式動画(23分20秒)
受賞後記者会見は公式動画(1時間19分ごろ)をどうぞ。

クロージングセレモニーでの 王传君の受賞スピーチ文字起こし全文は事務所が微博にアップしてくださっている。よかったら画像翻訳で。(本当にこういうところ中国の事務所は至れり尽くせりでありがたい!)


最後「然后」以降の、娘さんのエピに感動。優しいパパの顔が知らなかった新たな一面で、ご本人の控え目で謙虚な様子と相まって、ますますファンになってしまった。

というのも、映画上映前のロビーにタッフさんと4-5人で歩いてこられたところに遭遇し、ビックリ! 上下ジャージのカジュアルな服装、優しそうで物静かな感じがとても素敵だった。長身で一歩下がらないと全身が視野に入りきらないくらいなスタイルのよさもポイント高し!
事務所から銀座界隈で撮影された写真が公開され、後日聖地巡りをしたのは言うまでもない 笑


スタイリングのトーンが3人合わせたかのように同系で素敵だった
白百何はアンクレット2本でとてもオシャレ
刘丹もキリっとした雰囲気だけどお話しはとてもソフトで気さく、好感度爆上がり!


にこやかで楽しそうなみなさん


期間中展示されていたゲストのサインボード


王传君のサインは左の端


どこか郷愁を感じる風景、ゆっくり時間が流れる中で自分のアイデンティティーを探す旅。映画は出逢いだなと改めて感じた次第。
今後日本でも沢山の方に鑑賞の機会がありますように。




期待が裏切られずよい作品で、賞も受賞してよかったです。
映画祭ならではの、初演で監督主演のQ&Aという贅沢な体験ができたことも思い出になります!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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