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中国映画 『She Has No Name』 酱园弄 鑑賞記録 

本記事から今年の東京国際映画祭で鑑賞した映画について記録していきます。
本作は、第38回東京国際映画祭のガラ・セレクションとして上映され、チケットは先行抽選で販売されました。

超豪華なキャスティングと、演員さんたちの意表を突くビジュアルが注目を集め、情報が出た時からわたしも是非とも観たいと願っていました。
運よくピーター・チャン監督のQ&Aにも参加することができたので、後半にその様子を加えます。

本国でも2025年6月14日に上海国際映画祭のオープニングで上映されただけなので、内容の詳細は最小限にとどめておきますね!




原題 酱园弄
邦題 She Has No Name
監督 ピーター・チャン 陳可辛
中国公開 2025年6月14日(上海国際映画祭)
94分


概要

あらすじはこちらの東京国際映画祭サイトでご覧いただくとして。
今これを書いていて本作がたったの94分だったことに驚いている。中身が濃いというか、ビジュのインパクトの強さも手伝っているだろうが、ズッシリ重たい感触が残る映画だった。

1940年代、上海。
チャン・ツィイー 章子怡 演じるジャン・ジョウ 詹周は暴力夫の虐待に耐えかねていた。その、ワン・チュアンジュン 王传君 演じるがバラバラ死体となって発見されるところから物語は始まる。

殺人容疑で レイ・ジャーイン 雷佳音 演じる悪徳警官 薛至武から厳しい取り調べを受けるジャン・ジョウ。物証が揃わない中、彼女の単独犯として立件したい 薛至武は、彼女を非人道的(ほぼ殺人未遂)な方法で脅迫し、自白を強要する。文盲であることに乗じ偽の供述書に拇印を押させるが、ジャン・ジョウは裁判で無罪を訴え、世論も物証がなく単独犯行には無理があると警察を非難する…

一人の人間としての尊厳と女性の自立をテーマに、夫殺しの濡れ衣を着せられて強者や権力と戦うジャン・ジョウと、周囲の人々を描く力作。

社会の底辺で生まれ育ったが故の不平等。仕事、夫、そしてその夫がいなくなったら今度は警察による理不尽極まりない状況。すべての権力に痛めつけられても屈しない彼女の力強さ
目をそむけたくなるほどの残酷ないシーンもあるが、どんな目にあってもひたむきに立ち向かっていくジャン・ジョウと、彼女の力になろうとする人たちの勇気が胸を打ち、思わず応援したくなる。



豪華なキャスト

そしてキャストがとにかく豪華。その上、意表を突く役処や見た目で登場する。 えっ今のはあの人? いつもと全然違うけどこれはあの人よね? と驚愕しっ放しだ。

ジャン・ジョウ夫婦の階下に住む盲目の占い師イー・ヤンチェンシー 易烊千玺 。 同く住民の何ダーポン 大鹏。 検視官は 章宇。 牢名主ヤン・ミー 杨幂。 ジャン・ジョウが夫に内緒の働き口を世話する、下心ありの 张宝福には李現。悪徳警官と裏で繋がるジャーナリストイン・ファン 尹昉

そして女性の権利を訴える文筆家 シー・リン 西林にはチャオ・リーイン 赵丽颖が扮している。劇中劇『人形の家』の上映挨拶で登場し、ジャン・ジョウを影で支えていくもう一人の要だ。
劇場の支配人彭昱畅、他、主役級の演員が多数顔を揃えていいて、キャストだけでも相当な見応えがある。


ビジュアル、音楽

それにしてもレイ・ジャーインが諸々すごい有り様で登場して驚く。豹変具合が圧巻だった。
ワン・チュアンジュン はその点、通常運転だ(笑)

ビジュアルや描写のリアルさにも驚きの連続だが、それを助長するのが音楽、劇伴。ザワザワとした不安感を煽る怖ろしい迫力に身の毛がよだつ。
当時の街並みやアパートの様子もリアルだった。

時代背景としては世界大戦末期から終戦後であり、その間政権が変って世の中は一変する。
事件にはまだ解明されていない謎も数多く残っており、権力や野心によって書き換えられた "事実" とされる事象には何の裏付けもない
ジャン・ジョウやシー・リンはこれからどうなっていくのか…

ラストでは一旦解決したようにも見えるが、実は本作にはまだ2時間半の続編が控えているとのこと(監督談)
その辺りを次のパートで記してみたい。


制作、監督Q&A



Q&Aで ピーター・チャン 陈可辛監督のお話を伺えて理解が深まったのも、とてもよかった。
以下は聞きながらメモした概要。

・劇中劇や語りでフィーチャーされているイプセンの『人形の家』は構想段階からあった
・今回の上映分は完成版ではなく、後半が2時間半分ある
・権力者の視点をカメラアングルでも表現 している。時代の変化に左右される人々を描いた

ジャン・ジョウのその後の人生がまだまだ描かれるようなので、どんな変化が待ち受けているのか、真実は何なのか、結末はどうなるのかなど楽しみが多い。
既にあの世に行った方々は回想で、生きてる方々は現役で登場するのかな。後編は2026年に公開予定とのこと。
とても待ち遠しい!




鑑賞してからしばらく時間が経ちましたが、振り返ってみて面白かったなという思いが残っています。
謎の散りばめ方、キャラの人物造形、そこに一本の筋を通す 章子怡の好演。いろいろな見どころのある映画でした。

お付き合いいただきありがとうございました!