診断名がついて、良いこともあるよ。
朝起きられなくて、会社や学校を休みがちに。
何を食べても味がしない。
夜になっても眠れない。
あるいは逆に、眠くて仕方がない。
そんな心や体の不調が続いていると、
「一度、診てもらおうかな」と思う時がありますよね。
それで、近くの病院の場所を調べる。
でも、また閉じてしまう。
もしかしたらあなたも、そんな日々を過ごしたことがあるかもしれません。
少し億劫なのと同時に、受診して自分の状態に名前がつくのが怖いんですよね。
「もしかして」と思っているうちは、「違うかも」と思えるし。
「私の不調は、診断がつくほどのものじゃないかも」
「名前がついたところで、何も変わらないし」
そうですよね。
気持ちはわかるんですけど、「診断」がつくのって、そんなに怖いものでもありませんし、診断がついて良いこともありますよ。
なかなか難しい、心の病の診断
診断名は一度ついたら、ずっと動かないものなのでしょうか。
いいえ。
特に「心の病」の場合は、確定診断がしづらいものです。
インフルエンザなら、ウイルスを見れば確定診断ができますね。
でも心の病の場合は今のところ、そういうのができません。
症状から原因となる疾患名を当てはめるので、医師の診察だって手探りで、治療しながら変わることもしばしばです。
実際に、私は最初「抑うつ症」と診断されました。
「適応障害」と診断されたこともあり、色々あって、今は双極性障害に変わりました。
双極性障害は診断が難しい病気です。
典型的には、異常に元気な「躁」の状態と、落ち込んだり無気力感のある「うつ」状態を定期的に繰り返すような病気として知られています。

うつ状態の時は病院にかかりますし、治療にも積極的なんですが、躁状態の時は、病院に行かなくなってしまうことがあります。
実際に、躁状態の私はひたすら元気で、「これが本当の自分だ」と思っていました。
元気な時、自分が「病気だ」と思える人は少ないのではないでしょうか?
なので医師に状況を伝えなかったり、通院自体をやめてしまったりする。
うつ状態の時しか病院に行かないのですから、医師は「うつ病かな」と思いますよね。
そんなわけで、双極性障害かうつ病かを診断するのが難しいんです。
(なお、最近、順天堂大学の加藤 忠史教授の研究によって、双極性障害の原因は脳の視床室傍核という部分ではないか、と明らかになっています。それでも生前にMRIで映すのは難しく、診断に使うのは難しいものです)
他の病気でもそうですが、こんな風に心の病の領域では、「診断名」は流動的なんです。
医師も患者もそれはなんとなく分かっているものなのですが、一度もかかったことがない方には、分かりませんよね。
診断がつくと、変わること
では診断がつくと、何が変わるのでしょうか。
まず、責める相手かな。
なかなか自分の思った通りに動けないと、「私はサボってるんだ」とか「根性なしだ」なんて思ってしまうんですよね。
自分に矛先が向くんです。
でも、診断名がついたら、
「ああ、私が悪いんじゃなくて、病気のせいだったんだ」
「本当の私は、こうじゃないんだ」
と気持ちが楽になりますよね。
発達障害でも診断がないと、子どもの頃から「だらしがない」「人の気持ちが分からない」「どんくさい」などと言われ、自分や他人を責めながら大人になる場合があります。
私たちは、足が無い人に「走れ」とは言わないけれど、見た目で分からないことは「この人は、まじめにやってないから出来ないんだ」と思ってしまいます。
周りがそう思うのはもちろん、自分に対しても思ってしまうんです。
「私が本当に劣っているんだ」
「私がおかしいんじゃなくて、周りがおかしいんだ」
どちらも、そんなに幸せじゃ無さそうですよね。
そういう時、発達障害の診断がつけば、「私はだらしがないんじゃなくて、特性のせいだったんだ」と思えますよね。
それでようやく、「仕方なかったんだ」と納得できるものじゃないでしょうか。
だから診断名がつくことは、時に自分や周りを許すことにつながるんですよね。
そして、症状に名前がつけば、治療の道筋も見えてきます。
診断によって、使える薬と避けた方がいい薬は変わるんです。
例えば双極性障害の場合は、一般的な抗うつ薬の使用は推奨されていません。「躁」状態になってしまう懸念があるからです。元気ならいいじゃんと思いきや、人間関係や自分の環境を破壊してしまい、後で本当に辛い思いをする場合があります。
代わりに、診断さえつけば、「この薬は効きやすい」というエビデンスもたくさんありますから、効果が出やすい治療ができますよね。
そして、名前があると、人にも説明しやすくなります。
「最近調子が悪くて」としか言えなかったことを、「こういう診断名で、こういう症状がある」と伝えられるようになる。
特に最近では、「うつ病」の認知は広がってきましたので、「うつ病で…」と言っただけで、かなり分かってもらえることもあるでしょう。
双極性障害は説明が難しいけれど、調べようと思えば調べられます。
周りの人に理解してもらいやすくなるというのは、とても心強いことだと思います。
病院、行った方が良いかな? と思ったら
「あの人の方がもっとしんどいのに」とか周りと比べず、
お困りなら、気軽に行ってみて良いのはないかと思います。
(※ただし精神科領域の場合、初診の病院がどこだったか、が後で大切になるケースがありますので、病院の評判は確認することをお勧めします。)
もちろん、病院に行ったから全てが解決するわけではありません。
うつ病だって双極性障害だって依存症だって、診断がついても治療に長い時間がかかります。
でも、始めなければ良くなりません。
自分が今、生きづらさを感じ、体調や仕事にも影響してしまっているなら。
もう、そろそろ医療を頼って良いのではないでしょうか。
もちろん、病院に行き、何らかの診断がつくと、
かえって重く受け取ってしまう方もいるかもしれません。
個人差がありそうですが、
少なくとも心の病は、即座に命を落とすようなものではないので……。
個人的には、乳がん検診で引っかかった時に、
生検結果を聞く時の方がずっとドキドキしました。(良性でした)
一方、心の病なら後から診断が頻繁に変わることもありますし、
「あ、今はそう思われているんだな」と、
そのぐらいの気持ちでいればいいのではないかと。
もし既に通院されていて、「私ってもしかして…」
と不安なことがあるなら、医師に伝えてみてください。
そういう相談がしづらい医師なら、
転院を考える気持ちを持ってもいいと思います。
この記事が、診断がつくのが怖くて受診できないでいるかもしれないあなたの、ほんの少しの後押しになれば嬉しいです。
なお、こんな感じで双極性障害を抱えながら3年間、毎日投稿を続けている私は、メンバーシップもやっています。
残念ながら私のメンバーシップに入っても病気の治癒にはなりませんが、生きづらさを感じておられる方の、ヒントにはなるかもしれません。
興味があれば、ぜひ覗いてみてくださいね。
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