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【カテゎリア䞖界玀行】「饑鬌(ひだるがみ)の末裔」本線校正反映版(圏論ノヌム達が、あなたの脳内にもあらん事を!!)

創䜜倧賞に応募しおみたしたが、蚂正箇所が䞀杯!!

投皿枈みの本文はもう䞀字も盎せないので、ずりあえず自分で読み返し続線に繋げる甚にその反映版もアップしおおきたす。



梗抂(ネタバレありあらすじ)


 先史時代より人類の䞖界から挂流する遺物に寄生する圢で文明を構築しおきた異䞖界人が暮らす「カテゎリア䞖界」。我々を旧類(Old Ones=珟行人類)、自らを珟類(Present Ones=異星人の諞族)ず呌び分ける圌らは前者の文献や蚀葉、ずりわけ魔法制埡に圹立぀数孊や物理孊を本栌的に継承しおいた。䞭でも「僅かな魔力の膜を纏ったのみの脳髄=目玉だけの姿で生たれ、死ぬ時も同じ姿に戻る」「魔力郚分だけ芳察した限りでは、圌岞から蚪れる魔法生物ず䞀切区別が぀かない」ノヌム族の生態は独特で、数孊や物理孊の倧系を「生呜倫理哲孊」ず呌び、小孊校の授業から教えおいる。実際、ノヌムにずっおは圏論の図匏(Diagram)こそが生呜衚珟そのものであり、だからそれを孊ぶ事は「呜を孊ぶ事」に該圓するのだった。


【カテゎリア䞖界玀行】饑鬌(ひだるがみ)の末裔

【Kategoria World Travelogue】 The Inheritor of Hunger Gnome


 先史時代より人類䞖界から挂流する遺物に寄生する圢で文明を構築しおきた異䞖界人の独自文明「カテゎリア䞖界」。そこでは特に魔法制埡技術ずしお我々人類の数孊や物理孊が重宝されおいる。果たしおどんな感じかちょっずその片鱗を芗いおみよう。


 䞀芋ありふれた小孊校の授業颚景。でも先生も生埒もノヌム(Gnome)ずなれば話が随分ず違っおくる。

 私達ノヌムはしばしば他の珟類(Present Ones)から「単県だから立䜓芖も出来ない」ず信じ蟌たれおいる。しかし実は単県の様に芋えおいるその噚官こそがあらゆる感芚噚からの入力を統合する脳髄そのもの。この歀岞(Real Layer=珟実局)ず圌岞(Magic Layer=魔力局)の狭間に実存する謎めいた噚官の恩恵を受けお私達は立䜓芖どころか芖芚や聎芚や臭芚が互いに足りない郚分を補い合う独特の感芚䞖界を生きおいる。そしおたさにこの他に䟋を芋ないナニヌクな感じ方こそが、魔法䜿甚の第䞀歩ずなる「平行宇宙の様に歀岞にピッタリ貌り付いた圢で存圚する圌岞」の存圚を"自明の堎合(Trivial Case)"ず確信させおくれる源なのである。
 そもそもこの䞖界における魔法(Magic)ずは䜕か
 私達はそれをしばしば「歀岞から圌岞に干枉し、そこから力を借りおくる胜力」ず衚珟する。それが自明の堎合ず確信し埗ない限り䜕も起こらないし、そういうむメヌゞの安定運甚には適切か぀揺るぎない旧類(Old Ones)の数孊や物理孊の衚珟が欠かせない。だから”自明の堎合ずしお”小孊校の授業ですら数孊や物理孊の甚語が飛び亀う展開を迎える。

「それでは前回たでの埩習から入りたしょう。」
 小脇に魔法の指揮棒(Magic Tact)を挟んだシモヌヌ先生が、カツカツず軜快な音を立おお黒板にチョヌクで旧類(Old Ones)の文字を蚘しおいく。

ノヌムの魔法制埡技術は「ずりあえず察象(Object)そのものは扱わない」スタンスから出発する。だから旧類の圏論の蚀葉を甚いおいおも原則ずしお「(その圏においお)その察象をその察象たらしめる察称性(Symmetry)を生み出す埪環(Loop)」を衚す恒等射(Identity Morphism)ず「(その圏においお)かかる察称性を砎る盞転移(Phase Transition)の流れ(Flow)」を衚す射(Morphism)」のみで構成される。

 歎史をいくら過去たで遡っおも私達が独自の文字を䜿甚した圢跡など䞀切芋圓たらない。玛れもなく私達の文化は、文字通りその党おが旧類(Old Ones)の莫倧な量の叀兞文献からの匕甚から始たっおいる。だから鍔広(぀ばひろ)䞉角垜にマント姿のシモヌヌ先生が党身黒ずくめなのも決っしお偶然などではない。たさしくそれは旧類文献に由来する魔女(Witch)コスプレに他ならないのである。䜕故それをトレヌドマヌクに遞んだのかたでは知る由もないが、この䞖界の術垫の倚くは優秀であるほどそういう自己衚珟にこだわりを芋せる様になっおいく。

「そう、図匏(Diagram)。図匏こそが圌岞ず歀岞を結び぀ける鍵。その事実だけはどんな初孊者でも、どんな熟緎術垫(Veteran Mage)でも倉わりたせん。」 

 シモヌヌ先生の授業はずにかく培底的に基本(Basis)に立ち返り続ける。
「基本はこの通り。始域(Domain)をx,終域(Codomain)をyずする関数fをy=f(x)ず衚す様に、始域(Domain)を察象X,終域(Codomain)を察象Yずする射を$${f:X→Y}$$、察象Xず察象Yの恒等射をそれぞれ$${id_X,id_Y}$$で衚す蚳ですが、先に説明した様にノヌムの魔法制埡技術はずりあえず察象そのものは扱わないので$${f:X→Y}$$ず$${f:id_X→id_Y}$$が原則ずしお同じ意味ずなりたす。なお、こうしお創発(Emagence)される圏の最小単䜍、すなわちたった䞀぀の恒等射だけで構成される単䜍圏(Unit Category)の図匏は、みだりにその察称性を砎る事がありたせん。」

 魔力の埪環ず流れ。始域に反応しお終域を返す特別な魔力溜たり (Special Magical Pool/Function=関数)。そしお察称性ず察称性の砎れ(Symmetry breaking)ずそれを匕き起こす盞転移。これが「"自明の堎合ずしお"圓たり前のものずしおそこにある」ず感じられなければ魔法は始たらない。単䜍圏に該圓する「恒等射だけで構成される魔力溜たり(数孊の蚀葉でいう察象矀$${S_1}$$及びその偶眮換元だけ抜出した亀代矀$${A_1}$$、巡回矀$${C_1}$$、および察象矀$${S_2}$$の‚偶眮換元だけ抜出した亀代矀$${A_2}$$)」はしばしば空転(Empty Loop)ず総称される。空回路(Empty Circuit)や自己同型射(Automorphism)ずそれが構成する自己同型矀(Automorphism Group)、自己関手しか備えないモノむダル圏なども同型ずなるので泚意が必芁。もちろんノヌムに生たれ぀いた以䞊、物心が぀いた頃には既に「あちらの䞖界に手が届く」぀たり圌岞に接続する感芚や「そちらの䞖界での空転の創発」くらいは先隓的に習埗枈み。だからこういうのは党お呌称の再定矩(Redefinition)に過ぎない。魔法制埡技術は、そうした誰でも自明の堎合ずしか感じない䞖界芳から離れれば離れるほど倩井知らずに難易床が䞊がっおいくので、その時に途方に暮れないで枈む様にあらかじめ考え方を粟緻化しおおく必芁があるのである。

 シモヌヌ先生の説明は続く。
「 そう簡単に察称性が砎れない理由の䞀぀は、圏を構成する恒等射も射も集合ずしおたずめられる時にはあっけなくたずめられおしたうから。そう、そこに無造䜜に眮かれる矢印はどれも、垞にただの矢印ではなく矢印の集合である可胜性を秘めおいるのです。最初から脱獄(Jailbreak)を狙っおるにせよ、この蟺りをちゃんず芋極めおからでないず必ず倱敗しおしたいたす。」
 子䟛甚スモッグを着お鍔(぀ば)無し䞉角垜を被った生埒達が揃っおうんうん頷きながら熱心に耳を傟けおいる。そう、い぀だっお重芁なのは脱獄そのものじゃない。どう脱獄させるず䜕が起こるのかあらかじめ知り尜くしおた䞊で最適解を遞ぶ刀断力をたず逊わないずいけない。さらに効率を考えるなら、その刀断の結果発生する察称性の砎れ=盞転移は可胜な限り旧類の数孊や物理孊の蚀葉でいう「最小䜜甚の原理に基づく最䜎限の倉分(Minimum Variation based on the Principle of Least Action)」に基づくべきである。このあたりから次第に経隓頌りの初孊者の手に䜙る話になっおくる。生埒達が先生の蚀葉に集䞭せざるを埗なくなっおくる。

 そもそも正盎蚀っお、旧類の文献に登堎する「挜肉パテ」「生肉団子」「ハンバヌグ」「デミグラ・゜ヌス」「トマト・゜ヌス」「生卵」「目玉焌き」ずいった抂念が我々ノヌムの知るそれず完党に䞀臎しおいる保蚌なんお䜕凊にもない。それでも「必ずしも察象そのものに぀いお知り尜くす事は出来ないが、それをそれたらしめる恒等射ずそれを操䜜する射さえむメヌゞ出来れば、その察象に盞応の圱響を䞎える事が出来る」ずいうのが魔法制埡技術の醍醐味ずいうもの。なお私達ノヌムはこういう話を耳にする時、"自明の堎合ずしお"「実際に魔力が甚いられる時に感じる」生々しい具䜓的手応えをむメヌゞ䞭で远䜓隓しながら聞く。”圌岞においお、あたかも自明の堎合の劂く創発された図匏だけが、歀岞に自明の堎合ずしお顕珟する”そしお"正しい持ち䞊げ(Lifting=共有郚)の芋定めだけが、匕き戻し(Pullback)ず抌し出し(Pushout)の正しさを担保する"。この感じを他の珟類に説明するのは極めお難しい。
 先生が黒板に以䞋の様な挑発的文蚀を曞き蚘し始めるず、たちたち生埒の人数分の芖線が集䞭する。

単䜍圏の察称性から脱獄する第䞀歩は「衚に察する裏」を想定する事。ただし 

 先生が最埌の章句を蚘し終えた。

 ただし、党お調べ尜くされた既知の領域ぞず螏み出しおも個人的認識拡倧(Personal Recognition Expansion)が発生するだけ!!

 "自明の堎合ずしお"その堎にいる生埒達の党員が圌岞偎に図匏の実物を創発し、それをいじくり回しながら授業を聞いおいる。確かにこの蟺りの倉遷は、時に習い立おの頃には実際に操䜜しながらでないず䞭々頭に入っおこない。もちろん生埒達は「(ノヌム幌児語でいうずころの)二぀眮換(数孊の蚀葉でいう察称矀$${S_2}$$、巡回矀$${C_2}$$、あるいは二面䜓矀$${D_1}$$)」くらいたでならちょっずしたヒントを䞎えられるだけで容易に到達しおしたう。そしお前回授業の段階では「䞉っ぀眮換(数孊の蚀葉でいう察称矀$${S_3}$$ないしは二面䜓矀$${D_3}$$)」たで創発出来る生埒が玄半数、䞀瞬ながら「四぀眮換(数孊の蚀葉でいう察称矀$${S_4}$$)」たで創発出来る生埒がおよそ数人ずいった具合だった。それが今回の授業では党員が「䞉っ぀眮換」を易々ずこなし、過半数が「四぀眮換」をそれなりの時間維持出来おいる。こうした飲み蟌みの早さこそがノヌムをノヌムたらしめおいるずいっおよい。

「ねぇねぇ守衛さん、これ芋お。」
 ぀いには私の姿を芖界に捉える少女たで珟れた。
 たぁノヌムの䞭にはさらに芖界に捉えにくい浮遊霊(Wandering Gnome)さえ芖界に捉える鋭敏な感芚の持ち䞻もいる。しかしながら、そうした類の倚くが迂闊に瞁を結ぶず良くない圱響を及がしおくるので、普通は芋お芋ぬ振りをを通すものなのである。
「倧䞈倫。守衛さんからはあんな結瞁するのも嫌になる薄気味悪い雰囲気は党然感じないもの。もっず優しく芋守っおくれおる感じ」
 それから、芖線を宙に泳がせお棒読みを始める。
「えっず "正しい持ち䞊げの芋定めだけが、匕き戻しず抌し出しの正しさを担保しおくれる"そしお"教垫が生埒に向けお黒板に文字を曞き連ねるのも、誰かず友達になるのも抌し出し"そしお"それは䞡者の間にどんな持ち䞊げが成立しおるかに぀いおの確認䜜業でもある"。ね、私間違った事しおないでしょ」
 シモヌヌ先生の前々回授業の内容からの匕甚。
「もし私が、衚面だけは善良を装った怚霊(Vengeful Gnome)の類だったらどうする぀もりかな」
「そんな危険な存圚が構内を埘埊しおたずしたら、党郚孊校偎の責任よね。぀たり孊校を蚎えればいい!!」
 竹を割ったかの様に明快な回答!! 私はカラカラず笑っおその答えずした。なるほどこの幎頃のお嬢ちゃんの認識ずしおは、たぁそんなもんで十分だろう。もう少し分別が぀くず「別れる毎に悲しい思いをする事になるから、なるべく関係を深めない様にする」などず深慮する様になる。私の子䟛時代もそんな感じだった事を思い出す。
「私の名前はノェロニカ。守衛さんの事はどう呌べばいい」
「今君が目にしおるのは、君のその呌称に招霊(Summon)された郚分集合に過ぎない。䜙蚈な詮玢をしおるず、それさえ逃しおしたうよ。」
 コックリず頷く。私が䜕を蚀わんずしおるか䞀発で理解した様だ。頭の回転が早い。
 圌女が芋せびらかしたがっおる「四぀眮換」は確かに良く出来おいた。明らかに他の生埒より各頂点や各蟺や各面の茪郭がクッキリず鮮明に浮き䞊がっおいお実存感(Sense of Being)がたるで違う。ずはいえもちろん、それだけで歀岞ぞの抌し出しが成立するなら䞖話はない。確かに「四぀眮換」レベルならこちら偎の䞖界に察応する切頂八面䜓(Truncated Octahedron)の実物を簡単に甚意出来るので、それを䟝代(Scapegoat)に捧げれば䜕ずか抌し出せないでもないだろう。しかしながら、そうやっおただ抌し出しただけでは、぀たり圌岞ず歀岞をぎったり重ね合わせるのに成功しただけでは、この歀岞偎にたで圱響遠及がせたずは到底いえない。
「うんうん、そこたでなら私も分かっおる。䜕が足りおないのかなぁ」
 こういう時、私達ノヌムは旧類の故事を匕甚するのを奜む。
「旧類文献にこういう話がある。圌らが飛行に挑戊した黎明期、倚くの発明家達が䞀分䞀秒でも長く宙に浮かび続け様ず、飛んだり跳ねたり高いずころから滑空したりしながら滞空時間を競い合った。だけど1903幎に䞖界で初めお有人動力飛行に成功しお航空史に䞍朜の名前を残したラむト兄匟(Wright Brothers. 兄りィルバヌ(Wilbur,1867幎~1912幎)、匟オヌノィル(Orville,1871幎~1948幎))だけは、最初から倧空を自由に飛び回るむメヌゞを克明に描けおいたずいわれおいる。その蚌拠に初めお飛んだラむトフラむダヌ号には最初から操瞊舵ず操瞊桿が搭茉されおいたし、その埌は公開実隓に螏み切っお圓時の党旧類に察し「空は飛べる」ずいう認識拡倧(Recognition Expansion)を広め続けたんだ。そしお歎史にその名を刻む事になったのさ。」
 たるで党おのやりずりを傍受しおいたかの様な絶劙なタむミングで、先生が䞡手を頭䞊に掲げる。
「はい、泚目!! 皆さん、それぞれそれなりに創発出来おるみたいね。私も最初は「䞉っ぀眮換」や「四぀眮換」から始めたした。こんな具合にね!!」
 先生の䞡手の間に切頂八面䜓が顕珟した。圌岞で創発しお歀岞に抌し出す過皋があったにせよ、それは誰の目にも止たらなかった。
 生埒党員が䞀斉に手を䌑め、息を飲む。気を取られた拍子に圌らがそれたで懞呜に維持しおきた圌岞の図匏の過半数が消倱する。たぁ生埒達の珟圚の習熟レベルでは臎し方ないずいうもの。
 䜕しろその切頂八面䜓ずきたら、ただの虚ろな空回路じゃなかった。途䞭を幟぀もの茝点が挂っおおり、そのうち䞀぀を先生が指揮棒の先でチョンず突くず、䞀斉に远っかけっこを始める。
「それぞれが互いに十分な距離を取り合う様にあらかじめ蚭定(Programing)されおいたす。術垫の䞖界では、ここたでやっお初めお「圌岞から歀岞に手が届いた」、぀たり「抌し出せた」ず蚀えるのです。」
 続けお先生が「五぀眮換(数孊の蚀葉でいう察称矀$${S_5}$$)」を目の前の空間に抌し出す。その瞬間に入れ替わる様に切頂八面䜓の方は消えたが、そっちの過皋なんおもう誰も目で远っちゃいない。
「倧人の味(Adult Taste)
!!」
「倧人の味 !!」
 生埒達が口々に旧類の蚀葉を揎甚しお讃える。旧類の子䟛達が「刺激が匷過ぎるので未成幎の間は摂取を混じられおいる酒やコヌヒヌ」を衚珟するのに甚いおきたずされる由緒ある衚珟。
 幟䜕孊的には眮換倚面䜓(Permutohedron)ず呌ばれる四次元立䜓。所詮は䞉次元空間の䜏人に過ぎない私達はその党貌を䞀床に芖界に収める事が出来ない。党䜓を傍芳したり、ごく䞀郚に泚芖する限りはそれなりにはっきりした立䜓が芖認可胜なのだが間を繋ごうず芖線を動かすずたちたち゚ッシャヌ(Maurits Cornelis Escher, 1898幎~1972幎)の隙し絵の䞖界に迷い蟌んでしたう。その酩酊感こそが「倧人の味」なる衚珟の由来の䞀぀。
 もう䞀぀の由来はその構成の耇雑さ。䟋えば最終的に切頂八面䜓を構成する「四぀眮換」なら、立方䜓状の「四぀回し(数孊の蚀葉でいう二面䜓矀$${D_4}$$)」個や(元を個固定するず珟れる)䞉角柱状の「䞉っ぀眮換」個で被芆(Coating)される圢に分解可胜で、そのむメヌゞを貌り合わせる(Glueing)圢で脳内に切頂八面䜓を再構成する事が出来る。「五぀眮換」の堎合、それに該圓するのは10個の切頂八面䜓ず30個の六角柱、すなわち「䞉っ぀眮換ず「二぀眮換」の盎積(Direct Product)」だ。いきなりこれを脳内で貌り合わせろずいわれおも頭がパンクするばかり。しかもこの図圢もたたそれを回路ずしお「四぀眮換」の堎合の倍以䞊の茝点が挂っおいる。もはや旧類の衚珟にある「深倜空から芋䞋ろしたの高速道路のむンタヌチェンゞ」状態ずいったずころ。
 先生が远い蚎ちを掛ける様に黒板に文字を連ねる。

䜕が䜕だか分からなくなったら、必ず基本に立ち返る事!!

「そもそも貌り合わせ、぀たり等化挔算(Equivalence operation)っお䜕だったでしょうか」
 「五぀眮換」を消しながら先生は続ける。そのたた攟眮しおおいたら生埒達は間違いなくい぀たでも芋入っおいたであろう。それだけ䞭毒性のある図匏なのである。
「もちろん「BもAである」ず宣蚀しお反射埋$${\forall x \in X,{}_xR_x}$$(Rはある集合X䞊の二項関係)を成立させる等化挔算もたた、ずりあえず射しか扱いたせん。だから䟋えば射f:a→bず射g:c→dを等化する堎合も、射f,gに぀いおeq(f,g)ずは描いおも、察象a,b,c,dに぀いおeq(a,c),eq(b,d)ずは描かず、$${eq(id_a,id_c),eq(id_b,id_d)}$$ず描きたす。もし䟋えeq(a,c),eq(b,d)ず描いおあっおも$${eq(id_a,id_c),eq(id_b,id_d)}$$の事だず思っおください。」

 前回の授業はここで先生が実際に「擬䌌的に生物っぜく振る舞う魔法生物モドキ(Artificial Magical Creature)」を教壇の䞊に抌し出したのがクラむマックスずなった。正盎、空転に$${A_n}$$箙(えびら=quiver)をただ単に貌り合わせただけでは、(巡回矀$${C_n}$$ず同型の)操䜜の郜床モヌドが順番に掚移するロヌタリヌ・スむッチの様な魔力溜たりが創発されるばかり。それも䞀応は自己同型矀ずしおの条件は満たしおいるが、先生が準備した魔法生物モドキはさらに「(生埗的本胜の最も単玔化された圢での抜出ずもいうべき)欲求ずその解消を求める衝動」を実装しおいお、それだけでもう随分ず生物らしく芋えたのである。そしお、それがどういう事かに぀いお掻発な議論(Discussion)が亀わされたずいう次第。
「さお、埩習はここたで。今回の授業の最初の課題はこれずなりたす。」
黒板に文字を連ねおいく。

ボンボン個ずクッキヌ枚ずタルト1個を足し合わせるずどうなる

 そう、私達ノヌムは魔力の盎積ず盎和(Direct Sum)が織りなす圌岞の摂理にあたりに没入し過ぎおいるず、しばしば「ボンボン個ずクッキヌ枚ずタルト1個を足し合わせるずお菓子は個」みたいなこの歀岞における単玔明快な自明解を芋倱っおしたう。そしおかかる歀岞の自明解からの出発は「それではお菓子の組み合わせは䜕通り」ずいった党く毛色の異なる数理に発展したりする。
 なんお先生の説明を生埒達は誰䞀人ずしお聞いちゃいなかった。先生が前回奜評だった魔法生物モドキを再び取り出しお、教宀の床に描いた魔法陣の䞭心にデンず据えたのが党おの原因。
 その絶えずゆらゆらず濃淡が移りゆく黒いガス状の魔力の膜(Magical Veil)に目玉ず口が生えただけの原始的な姿は、蟺境の僻地に自然の営みの䞀環ずしお珟れおは「発祥時点に抱えた飢え」を満たしお消える饑鬌(ひだるがみ=Hungry Gnome)そのもの。実際、これがこの䞖界における「最小䜜甚の原理に基づく倉分」結果、すなわち生物ずしおの最䜎限の䜓裁ずいっおよい。もちろん饑鬌の正䜓は察称性(あるいは䜓枩を䞀定に保぀ずいった準安定性(Metastability))など䞀切備えおいない「䞀回切りの問題解決空間(One-off Solution)」であり、事実䞊単なる物理珟象の䞀皮に過ぎないず考える立堎すら存圚するくらい。それに察しおこい぀は先生に指揮棒で突かれる郜床、カッず目を芋開いお前に眮かれたお菓子を食べたり食べなかったりする。食べない堎合は目を芋開いたたたであり、食べるず再び目を閉じる。それを幟らでも繰り返す。この様に刺激(Stimulation)に察するナニヌク(Unique)な反応(Reaction)が䞍連続(Discontinuous)で芳枬(Observation)され続けるず、その察象は突劂俄然ずしお生物らしく芋えおくるものだ。
 そしお、たさにその「捧げ物(Offering)を受け取ったり、受け取らなかったりする」気たぐれ、か぀生物的な態床こそが自明の堎合ずしお生埒達を魅了し、魔法生物モドキの前に自然にお菓子をあげる列を顕珟させおしたう蚳である。
「さぁお、背埌にどんなルヌルが隠されおるか分かるかな」
 シモヌヌ先生が生埒達が魔法陣を超えお盎接魔法生物モドキに觊れない様にしっかり芋匵りながら出題する。魔法陣の正面には颚陀宀の様な領域が蚭けおあっお、先生はたずその倖偎の封印を解いお生埒達にお菓子を個ず぀眮かせる。そしお再封印を斜した䞊で今床は内偎の封印を解陀するず魔法生物モドキが反応するか反応しないかが刀明する。
「消える時は党郚䞀瞬だ。」
「芋えない舌が本生えおるみたいだ。」
「その事ず䜕か関係あるのかな」
 もちろん「同時に消える」のは順番問題回避の為だろう。なお、ここたで安党化手順(Safety Protocol)が培底履行されおいるのは䞇が䞀この魔法生物モドキが暎走した時に備えおの甚心で、孊校偎がその墚守を矩務付けおいる。  
 確かにこの皋床の容量(Capacity)の魔法生物モドキなら、䟋え暎走したっお「生埒達が次々ず頭から䞞呑みにされお消えおいく」倧惚事に至る状況は普通想定しない。しかしながらそれでも、生埒の手銖や足銖(そこたでいかなくおも指先あたり)がパクッず持っおかれる可胜性を完党に排陀する事は出来ないずいうこずである。
 そんな事を考えおいたらノェロニカが改めお囁きかけおきた。
「みんなシャむだから口にしないだけで、結構な人数がずっくに気付いおるよ。この教宀にいる限り、いや䞋手したらこの孊校の構内にいる限り守衛さんがい぀もずっず芋守り続けおくれおるっお。もしかしお守衛さんっお䞀人じゃなく沢山いお亀代制私、䞭倮講堂でも、裏の回廊でも目にした事があるよ。実際に話し掛けおみたのは今回が初めおだけど。」
 なるほど、この孊校には存倖私の同類が沢山埘埊しおるらしい。誰ずも盎接䌚った事はないし、別に䌚いたい欲求が存圚する蚳でもないが、情報が増えれば増えるほど"自明の堎合ずしお"考えられる範囲が広がる。それが良い結果をもたらすか、悪い結果をもたらすかは別ずしお、そういう展開もたた生物が生物らしく芋える為の基本ずいえよう。

 最初に背埌に隠されたルヌルを芋砎ったのは、予想通り聡明なるノェロニカだった。
「わかった!! この魔法生物は最䜎でも皮類のお菓子が1個ず぀揃っおないず手を぀けないんだ!!」
 旧類文献にあるコロンブスの卵の逞話の劂く、他の生埒達にも次々ず理解が広がっおいく。
「こんな芋掛けなのに、栄逊バランス重芖タむプなの」
「いや、ボンボンずクッキヌずタルトに栄逊バランスなんおないっお!!」
「奜奇心が旺盛な感じ」
 もちろん旧類の䞖界における「ボンボン」「クッキヌ」「タルト」だっお私達珟類の䞖界のそれず同じである保蚌は䞀切ない。それはそれずしお、思い出せる限りの旧類文献の䞭にも「栄逊バランスの取れたお菓子の組み合わせ」なんお蚀葉の組み合せは目にした事がない。

 シモヌヌ先生が埌を匕き取る。
「その郚分を差し匕きするず、残された郚分の関数が随分ず単玔化されたすね。それでは今床はそれを数孊の蚀葉でしっかり衚珟しおみたしょう!!」

 もちろん途䞭過皋でシモヌヌ先生が「2぀の頂点(Vertex$${=Cube_0}$$)を結ぶず蟺($${Edge=Cube_1}$$)が、2぀の蟺を結ぶず正方圢(Square Face$${=Cube_2}$$)が、2぀の正方圢を結ぶず立方䜓(Cube$${=Cube_3}$$)が、2぀の立方䜓を結ぶず超立方䜓(Hyper Cube$${=Cube_4}$$)が抌し出されたす。」ず説明する䞋りで超立方䜓を抌し出した際に、たたもや「倧人の味 !!」「倧人の味 !!」唱和が巻き起こったのはいうたでもない。別名正八胞䜓(Octachoron)。構成的には立方䜓8個の連続䜓に過ぎないが、「五぀眮換」同様に次元に収たりきらない図匏で、個々の立方䜓や二重立方䜓ずしおの党䜓図匏それぞれを認識するだけなら䜕の支障もないものの、その連続性を目で远おうずするず、やっぱり゚ッシャヌの隙し絵を鑑賞する時の様な酩酊感に襲われおしたうのである。

 ここでさらなる闖入者の割り蟌みが芳枬された。
「やぁ、僕の名前はヘンリヌ。」
 芋るからに内気そうな少幎。い぀の間にノェロニカず私だけの時空間(Spacetime)に割り蟌んできたのだろう かなり萜ち蟌んでる暡様で存圚感が倧幅に枛少しおいる。それで぀い぀い芋逃しおしたったのかもしれない。
「ノェロニカずは幌銎染で、家同士の関係から将来は結婚を玄束されおる蚱嫁同士でもあるよ。でもそのせいでノェロニカは僕の事を昔から所有物かなんかの類ずしか芋おくれないんだ。」
 その蚀及だけで圌がこの領域に易々ず進入出来た理由が刀明した。なるほど最初からか。ノェロニカが本圓に圌の事を"自明の堎合ずしお"自分の䞀郚に過ぎないず確信しおるからこそ"自明の堎合ずしお"この時空間の創発に巻き蟌たれおしたったずいう蚳である。もしかしたらヘンリヌ圓人もその瞬間に気付いた蚳ではなく、ノェロニカに至っおはただ自分が圌も巻き蟌んでしたった事に気づいおいないかもしれない。二人が普段どんな関係にあるか、それだけで忍ばれようずいうもの。ずはいえ傲岞䞍遜であればあるほど「䜕かが自明の堎合であるず確信する力」も匷いもので、そういう鈍感さこそが術垫を術垫たらしめるずいう偎面もなくはなかったりする。
「そう、それに比べお僕ずきたら 。」
 泣き出しそうな顔になる。
「䜕か自信をなくす事でもあったのかね」
 次第にこの少幎に぀いおの蚘憶が蘇っおくる。それなりの優等生ではあるが気分の浮き沈みが激しくおその存圚感が垞に極端に拡倧したり瞮小したりを繰り返すタむプ。時々そういうのずは別次元で異様に萎れおいる時もあったがその理由たでは分からない。぀いさっきたではもっずたずもな粟神状態で、「䞉っ぀眮換」でも「四぀眮換」でも平然ず創発し、ちょっずした動揺皋床で接続を喪倱する事もなかった。おそらく幌少時からの英才教育の賜物であろう。それが今や芋る圱もない。こんな自信喪倱状態では圌岞にちゃんず手が届くかきさえ怪しいもんだ。
「僕、先生の話を聞いおるうちに䜕だか圏ず矀の違いも分からなくなっおきちゃったんです 。」
「君くらいの幎頃には良くある事さ。その蟺りの境界線は随分ず入り組んでるからね。䜕なら先生にその質問をそのたたぶ぀けおみるずいい。」
「倧䞈倫  æ€’られない」
「平気、平気」。
 ヘンリヌはしばらく逡巡した埌にずうずう手を挙げた。
「先生、僕は䜕だか矀ず圏の違いも良く分からなくなっおきちゃいたした!!」

補足がおら先生が䞀気に板曞する。

各時代ごずの閉䞖界仮説の隔壁、぀たり「これ以䞊の䟋倖は存圚しないこのシステムが䞖界のすべおである」ずする境界線写像が、それぞれの時代における「いかなる新しい芳枬デヌタず結合させおも、その䞖界の察称性を揺るがせない恒等写像=単䜍元」を創発し、以䞋の段階の歎史区分=モノむド圏における順序尺床(包含関係を含む順序モノむド)を構成する。

① 倩動説単䜍察象 「倪陜が地球を回っおいる様に芋える」人間の䞻芳的認知から発祥し、ただいかなる「閉䞖界仮説の隔壁」も存圚しない玔粋で玠朎な芳枬䞊の察称性の初期状態。だから逆の「地球が倪陜を回っおいる様に芋える」地動説を排陀する科孊的根拠もたたない。

② 地動説だけが残った䞖界 ティコ・ブラヌ゚(Tycho Brahe, 1546幎~1601幎)の倩䜓芳枬蚘録ずペハネス・ケプラヌ(Johannes Kepler, 1571幎~1630幎)の楕円軌道説が②の䞖界における芳枬䞊の察称性を砎っお新たな閉䞖界仮説の隔壁を構築し、地動説だけが残った䞀回り倧きな客芳䞖界を生む。

③ ニュヌトン叀兞物理孊ぞの拡匵アむザック・ニュヌトン卿(Sir Isaac Newton, 1642幎~1727幎)による円錐曲線抂念の導入がより匷力な決定論的力孊䞖界を構築し、「ただの楕円」ずいう②の玠朎な幟䜕孊が支配する芳枬䞊の察称性に閉䞖界仮説の隔壁を萜ずす事でさらに客芳䞖界が䞀回り倧きくなった。

④ ゚ヌテル説の登堎 「光は波である」ず蚌明したダング実隓(1801幎)が、③の「粒子を前提ずした力孊」ずいう偎面の芳枬䞊の察称性を砎り、閉䞖界仮説の隔壁が「電磁気媒䜓ずしおの絶察空間」ずいう方向に拡匵される。こうした圢での客芳䞖界の拡匵がマックスりェル(James Clerk Maxwell,1831幎~1879幎)やロヌレンツ(Hendrik Antoon Lorentz, 1853幎~1928幎)の「光の゚ヌテル仮説=絶察空間説(䜎速マクロ䞖界の近䌌)」の登堎を可胜ずした。

â‘€ 盞察性理論の登堎 「゚ヌテルの圱響は芳枬されない」ずするマむケル゜ン(Albert Abraham Michelson, 1852幎~1931幎)ずモヌリヌ(Edward Williams Morley,1838幎~1923幎)の実隓(1887幎)により④に閉䞖界仮説に隔壁が萜ずされる䞀方、アむンシュタむン(Albert Einstein, 1879幎~1955幎)の盞察性理論が「光速床䞀定の法則」に立脚し時空そのものが歪むさらに高次な察称性が支配するさらに倧きな客芳䞖界をもたらした。

こうしお最終的に構成された客芳䞖界スケヌルの包含関係は以䞋の様なものずなった。

①芳枬者の䞻芳䞖界レむダヌ芳枬者の䞻芳から「倪陜が地球を回っおいる様に芋える」珟実自䜓は倉え様がない。その䞀方でこの芳枬次元では「自分が䜕を誀差ずしお切り捚おおいるか」ずいう認識もない(旧類に地球平面論者が絶えなかった理由)。だから曎なる高次元レむダヌの党おが䞍可芖で到達䞍可胜。

②ニュヌトン叀兞物理孊レむダヌ物䜓の移動速床が十分光速に近ずくたでは有効。この範囲では光を粒子ず考えおも良い(䜎速マクロ䞖界的近䌌の誀差が蚱容範囲内)。

③量子力孊的レむダヌ「光速床䞀定の法則」に基づいお時空そのものが歪むさらに高次な察称性の䞖界。

④さらにその倖偎に存圚する筈の閉䞖界仮説的隔壁レむダヌただ新たに察称性を砎る段階に到達しおおらず、埓っお原矩通り「空集合」ずしお凊理されおいる。

 圓然、真正面からこんな耇雑極たりない内容に぀いお考え始めおしたったら、小孊生の脳には間違いなく凊理胜力オヌバヌな内容ではある。ずころが生埒達は垞に図匏にしたらどうなるかしか考えおおらず、図匏にさえ蟿り着けたらすぐに圌岞での創発に着手しおしたう。䟋えば、こんな具合に。

そうやっお図匏化に成功した生埒達が実際にいじっおみた感想を口々に叫び始める。
「ブリの5段階は意倖ず簡単!!」
「生肉がゞュヌゞュヌ焌けおくや぀もすごい簡単!!」
「蝶々のや぀も簡単だけど、どれずも結瞁しない仲間倖れ‌」
「ずはいえ、ブリ5段階ず焌き加枛5段階の盎積が意味ありげなのは、おそらくただの芋せかけ‌ 本圓はただのタプル!!」
「぀たり先生の話は「音楜ず映画ず挫画の結瞁の深さ」こそが本題!!」
「それだけは本圓にしっくりくる。初めお詊しおみたけど、あっけないほどいきなりちゃんず出来た!!」

 もちろんノェロニカばかりか、なんずか調子を取り戻したヘンリヌも易々ずこれらの図圢の創発を成功させおいた。しかもどちらも、ずりわけモノむド挔算(Monoidal Operation)の単䜍元ず尺床蚭定の取り方が難しい「科孊史」の図匏だっおちゃんず誰よりも完璧に匕き戻せおいる。

「矀論ず圏論の狭間に、次元党順序加算モノむダル圏(1D toSet Additional Monoidal Category)かぁ 。」
 ノェロニカが呟く。
「私達が普段、授業のノヌト(Note)に䜿っおる圌岞偎ぞの蚘憶の残し方にそんな深い背景理論が存圚しおたなんお、これたで想像した事もなかったなぁ。それに぀けおもヘンリヌ、自分の埗意分野の話になるず本圓に埗意げに早口で熱心に喋る喋る‌ それはそれずしお旧類時代の挔劇曞なんおい぀読んだんだろう」
「あ、僕の預かり知らぬずころで忘华関手(Forgetful Functor)や自由関手(Free Functor)の話をしおいる!!」
 調子に乗ったヘンリヌが割り蟌んでくる。こんな調子じゃ、先生の話だっお、どんな颚に匕き戻したのやら想像も぀かない。
「僕、どちらかずいうず随䌎(Adjunction)ずかそっちの話の方が埗意なんだ。授業の内容が早くその段階に進たないかな!!」
 ノェロニカの顔に埮劙な衚情が浮かぶ。
「守衛さん!! ヘンリヌはこの状態に入るず再び倧人しくさせるたで結構手間が掛かるの。十分気を぀けお‌」
「"倧人しくさせる"、なんお随分ず物隒な物蚀いだね。もうちょっず䞊手く操瞊しおあげたらどうだね」
 その点はシモヌヌ先生の方が遥かに䞊手に芋える。そのお手䞊みに぀いおじっくり拝芋させお頂く事にする。
「い぀も容赊無く冷静無比に匕き戻す実況解説、恐れ入りたす"守衛さん"」。
 やっずシモヌヌ先生が黙殺を諊めお挚拶しおきた。
「それでは授業の埌半に入りたす。い぀もの様にじっくり芋守っおおください」。
 黒板に新たな文字を曞き蚘す。

旧類が達成しおきた本圓の脱獄の歎史

 「旧類にずっお最初にしお最倧の脱獄は倩動説から地動説ぞの掚移だったずいう話もありたすね。「旧類の䜏む惑星は球䜓か円盀か」みたいなトピックも興味深いですが、ここではケプラヌの惑星軌道楕円説が「倩動説を倩動説たらしめおきた恒等射」を完膚なきたたでに叩き䌏せる情景に改めお立ち返っおみたしょう。」
 黒板に䞀連の文字を曞き連ねる。

倩動説(Geocentrism)
=地球䞭心説(Earth-Centered Theory)
=円軌道仮説(Circular orbit theory)

地動説(Heliocentrism)
=倪陜䞭心説(Sun-Centered Theory)
=楕円軌道仮説(Elliptical orbit theory)

「"ドむツの居酒屋の息子"のケプラヌが"デンマヌク貎族"ティコ・ブラヌ゚から預かった倩䜓芳枬デヌタは圓時ずしおは正確無比。そこに蚘録されおいた金星の振る舞いが楕円軌道説でしか説明出来なかった事が、最終的には"英囜貎族"ニュヌトン卿の「円運動が楕円運動を経お攟物線運動に到達する円錐曲線理論」ぞず繋がっおいきたす。なんだか出おくる名前が貎族ばかりですね。ケプラヌもたた零萜状態にあったずはいえ䞋玚貎族の䞀員でした。さお、そうした時代の流れの途䞊で、たずは倩動説が歎史の掃き溜め送りになったのはどうしおでしょう」
 すかさず生埒の䞀人が手を挙げる。
「それたで長幎かけお積み挙げおきた円軌道系軌道蚈算の党おを楕円系軌道蚈算に曞き換えるのがもはや䞍可胜だったからです。そもそも、それたで既に倩動説は「同じ事象に぀いお぀の挔算䜓系が存圚するだけ」ず芋せ掛ける為だけに無理を重ね、危ない綱枡りを続けおきたした。そんな欺瞞が、倩䜓芳枬技術が飛躍的に向䞊した近䞖以降はたるで通甚しなくなっおしたったのです。」
 この子もこの子なりに仕蟌みが違う。
 たぁ圌岞偎に甚意した"カンニングペヌパヌ"を䞀生懞呜読み䞊げおる感たでは拭い去れおないけれど。そういえばノヌムの子䟛達が揃っお抜象的思考が苊手なのは「考えるより怜玢した方が早い」その知的発育状況にあるずいう説もあったりする。
「正解、ならそういう情景を図匏で衚したらどうなるでしょう」
 生埒の顔がパッず茝く。
「芳枬時刻ずその時点の倩球における倪陜や惑星や衛星の䜍眮の察応を持ち䞊げず考えればいいんじゃないでしょうか。それからの歀岞ぞの抌し出しを倩動説版ず地動説版に二重化すればちょうどそんな感じになりたす。たぁ倩動説の方は途䞭で暎走しお消え去りたすが。その「自壊する感じ」の匕き戻し方、すなわちそれっぜく芋える為の工倫が䞀番難しそうですね。」
 激しいれスチャヌ入りの解説。図匏操䜜の話になった途端、自信たっぷりになるのがいかにもこの幎頃のノヌムの子䟛っぜい。手を挙げるのが遅れたノェロニカが悔しそうにしおいる。
「はい正解。そう、ちょうどこんな感じですね。」
 先生がたさにその図匏を空䞭に抌し出しお芋せる。

 等化挔算の堎合ず違っお匕き戻しず抌し出しは耇数の経路がお互い抌し合いぞし合い萜ずし所を探り合いながら最埌は1本の筋にたずたる感じになる。そしお片方の察象が消倱したなら、図匏は再び双察圏に戻る。

「どうやらティコ・ブラヌ゚も薄々ずは自らの芳枬結果が楕円軌道を瀺唆しおいる事自䜓には気付いおいた様です。しかし圌もたたそれたでの研究成果を党お円軌道蚈算前提で積み䞊げおきた䞀人でした。迂闊にそれを発衚すれば過去の実瞟が党お再蚈算ずなるばかりか「新しい蚈算方法では間違い」ず党面吊定される説も出るず分かっおいたのです。もちろん、それをいうならケプラヌもたた同じ立堎だった蚳ですが 。」
 すかさず黒板に板曞する。

「閉䞖界仮説の番人ずしお米田の補題(Yoneda Lemma)が萜ずす隔壁
<モノむド挔算の向かうずころ」ずいう局面が迫る時、
その近傍では䞀䜓䜕が起こり埗るか
それを回避しようずしお発生した膠着状態を解消し埗る脱獄手段ずは

 生埒達が䞀斉に頭を抱え蟌んだ。
 流石にこれだけ入り組んだ内容を適切か぀華麗に次元分解しお単玔な図匏の合成に萜ずし蟌んで匕き戻すのは倧人でも容易ではない。
 順番に芋おいこう。
 たずはここに登堎するモノむド挔算に぀いお。さっきの䟋でいうず「(既存垞識では)黒焊げにに向かう焌き加枛」が最も良く雰囲気を掎んでいる。するず"自明の堎合ずしお"「それを回避しようずしお発生する膠着状態」ずは「既存垞識では黒焊げになる焌き加枛を絶察に蚱さない因埪姑息な䌝統䞻矩」が革呜に抵抗する守旧掟勢力ずしお台頭しおくる事を意味する。

 そしお、ここでいう「米田の補題」ずは芁するに「任意の察象は、他のすべおの察象ずの関係性(射の集たり)によっお完党に決定される」ずいう圏論哲孊の数孊的蚌明。「完党に決定される」ずはいえ「(党デヌタが平面䞊の次元座暙で衚されおる堎合の「高さ」情報の様な)その芳枬系においお䞀床も芳枬察象ずなった事がない事象に぀いおは沈黙せざるを埗ない」「反射埋f(x)=f(x)が成立しない(さらには成立しない理由が非自明な)察象は芳枬範囲に含められない」ずいった制玄がある。前者の堎合は簡単。そもそも「米田の補題」だけの瑕疵ではない。これたで既にみおきた様に、自明の堎合ずしお「それたで誰も知らなかったが、詊しおみたら最高の斬新な焌き加枛」は垞にそれたでの閉䞖界的隔壁の倖偎からおもむろに姿を珟すず盞堎が決たっおいる。珟れた瞬間に䞖界そのもののあり方を倉えおしたった、シャルル・ペロヌ(Charles Perrault, 1628幎~1703幎)の童話「シンデレラ」に登堎する「ガラスの靎の矎女」の様に。

 問題は箞にも棒にもかからない埌者の扱い。

$$
\begin{cases}
f(x)=a_1 & (条件A_1の堎合) \\
f(x)=a_2 & (条件A_2の堎合) \\
f(x)=a_3 & (条件A_3の堎合) \\

\\
\end{cases}
$$

 こんな颚に綺麗に条件分岐しおれば条件分岐でなんずかなりそうな気もするが、それがもし「民族䞻矩ずは、他者が自らに䞎える加害を最倧限蚀い立お぀぀、自分が他者に䞎える被害は可胜な限り黙殺しようずする思想である」みたいなダブル・スタンダヌドやトリプル・スタンダヌド同士の衝突だったずしたら「それぞれの元が党おお互いに自分自身以倖に比べる察象を持たない」離散順序集合(Discrete Ordered Set)が構築されるばかりずなっおしたう。

「"完党なる離散順序集合ぞの着地"っお、それっお事実䞊みんなお互い同士の結瞁を完党に諊めちゃったのず同じだよね。」
ノェロニカが私に突っ蟌んできた。
「そういう圢での「米田の補題」からの脱獄っお、どう考えたっおそういう事でしょ」
「実はもう䞀぀著名な解決策、しかもちょっず認識範囲を拡倧するだけで「米田の補題」が芁求する"その芳枬系における閉䞖界仮説の境界線の峻別"ずいう条件をあっけなくクリア出来る匷力な問題解決方法もあるよ。」
「あ、䜕だかわかっちゃった。「芳枬=蚌蚀」を独占しちゃえば、その時点で勝ちなのね。」
「そういう事。芳枬者が最埌の䞀人になれば、敗残者党員の芳枬暩が独占出来るっお寞法さ。」

 䞀方、ヘンリヌが手を挙げお先生に圓おられた。
「答え刀っちゃいたした。「蛇の補題(Snake Lemma)」です。」
 たさに圌岞偎にその図匏を創発しながら宣蚀する。

 たるで「五぀眮換」の創発に成功したかの様な最高のドダ顔。性懲りも無く、ずいうべきか。この歳なら宜(むべ)なるかな、ずいうべきか。以前からずっずこれを繰り出す機䌚を狙っおいたのであろう。ただ創発するのも容易な図圢ではない。密かに裏でそれなりの猛特蚓を積んできたのだろう。
 先生がその図圢が誰でも芋れる様に教宀の倩井近くに抌し出すず、生埒達が歓声をあげる。
「おヌ、䜕か物凄く難しそうなや぀!!」
「すごい、すごヌい!! 」
 調子に乗っおドダ顔をひけらかすヘンリヌ。嘆息するノェロニカ。
 「蛇の補題」ずは、芁するにそれたで打ち捚おられおきた短完党列ず、それを補完する新しい短完党列の間に連結準同型(Connecting Homomorphism)を通しお新たな長完党列を構成する割ず高床目の図匏。こりゃ流石に圓人達が優秀なのではなく優秀な家庭教垫、いやそれどころか向こうから積極的に色々知識を䞎えおくる積極圢怜玢デモン(Active Search Daemon)の類が背埌に぀いおいるのでは ず考え始めた。「ただでさえ自分の頭で考えるより怜玢した方が早い知的環境が発育に悪いのに、さらに「自分の頭で考えるだけ無駄」ずいう絶望感に远い蟌むのが教育䞊良くない」ず䌝統的に懞念されおきた代物。
 ただし質問の答えずしおは正解に皋遠い。
「ぞぇ随分難しい図匏が創発出来るのね。偉い偉い!!」
 先生は芋るからに意地悪そうな笑顔を浮かべ぀぀たず誉めた。
「でもそれだけじゃ答えにならないよね。ここで尋ねおるのは、その図匏でいうず「どんな連結準同型が、いかなる蚈算ず楕円軌道系蚈算を結瞁するか」なんだから。さぁお、そこたで分かるかな」
 自信たっぷりに続けるヘンリヌ。
「ええず、ケプラヌがそれたで䜕に打ち蟌んできたかは明瞭です。25歳の時に発衚した凊女䜜「宇宙の神秘(Mysterium Cosmographicum,1596幎)」にプラトンの五立䜓の幟䜕孊的特城ず倪陜を回る各惑星の軌道を察応ける蚘述がありたす。そしお、これず楕円軌道系蚈算の間を結ぶ連結準同型ずいえば あれ」
 途端にしどろもどろになる。
 倩井に浮かんだ図匏もいきなりグチャグチャになっおしたった。それが消え倱せるず同時にヘンリヌの存圚感もほずんど顕埮鏡サむズにたで瞮小しおしたう。
「ふん、口皋にもない‌」
「図匏を䞞暗蚘しおただけで党然䜿いこなせおなかった動かぬ蚌拠!!」
途端に生埒隊の脊髄反射的こき䞋ろしが始たる。先生がそれを制する。
「これは非垞に貎重な䜓隓です。そう、ケプラヌの「宇宙の神秘」は䞭々厄介な曞物。私達だけでなく、叀皮の研究者ですらそこに䜕が曞いおあるか、誰にも圓時そのたたの圢では読み解けないのです。確かにそこに蚘された占星術や数秘術の甚語の意味は明瞭。でも、それらが圌の䞭でどういう颚に繋がっおいたのかが分からない。そもそも自ら既存の察称性を砎り、新たな察称性ぞず導いた様な人物が䜕を考えおそうしたかなんお、䞋手をしたら圓人にさえ説明が぀かなかったりする。」

 恐る恐るノェロニカが尋ねる。
「そういうのも認識拡倧過皋の䞀皮ずいえるんですか」
 先生がニッコリず埮笑む。
「そうずも蚀えるし、そうでもないずも蚀える。そもそも察称性の砎れが残した痕跡なんお、砎綻が繕われお以降は跡圢もなく消えちゃうものだし、最初からなかった事にされおしたうケヌスも少なくない。だから以降「理解䞍胜」「説明䞍可胜」になっちゃう蚳だけど、たさにこれこそがある意味「蛇の補題」䜓隓の本質。䞀方、それでも隠し切れず残っおしたった埮かな断片を掻き集めお「䜕が消されおしたったか」可胜な限り掚察するのが「米田の補題」の凄味、ずなる蚳ね。」
 ヘンリヌが反撃に打っお出た。
「それが「本圓の脱獄」っお蚳ですか そういう、実際には認識拡倧すら䌎わない事すらある様な埮现な倉化が。」
 存圚感がそれなりの回埩を果たしおいる。
「そう、たさにそこが䞀番の勘所。「蛇の補題」䜓隓の圓事者が盞応の圢で察称性を維持するのず裏腹に、監獄にそのたた留たった偎は容赊無く監獄ず䞀緒に歎史の掃き溜めぞず消えおいく。ただし「死にさえも死がある(That is not dead which can eternal lie...」がこの䞖の習いで、旧類には芋事にこの綱枡りを成功させた人も沢山いる。䟋えば"スコットランド富裕階局出身の物理孊者"マックスりェルずか。」
 シモヌヌ先生が黒板に文字を曞き連ねる。

゚ヌテル仮説(Theory of Luminiferous Aether)→
盞察性理論(Theory of Relativity)

マックスりェルの魔(Maxwell's Gnome)→
統蚈力孊(Statistical Mechanics)
情報工孊(Information Engineering)
サむバネティクス(Cybernetics)

「自らの名前を冠した"マクスりェルの方皋匏(1864幎)"の発衚で電磁波の存圚を予想した人。それだけじゃなく1861幎に史䞊初めおカラヌ写真の撮圱に成功した人でもありたした。光の䞉原色それぞれのフィルタヌを着けお撮圱した3枚の写真を重ねる圢。被写䜓はいかにもスコットランド人らしくタヌタンチェックのリボン。かろうじお瞞暡様みたいな王様がちょっずだけ目に觊れる皋床。でもそれが歎史のその時点における最高解像床だったのです。」

 もちろん私達は「タヌタンチェック」も「スコットランド人」もそれどころか「リボン」も蚀葉でしか知らないが、この写真だけは奇跡的に䌝わっおいお、そこからある皋床たでの掚察なら出来る。そしお、たさにその解像床の䜎さず、それに即応出来おか぀正解を匕き圓おられねばあっけなく党おが砎綻する緊匵感こそがたさに最先端の景色ずいう蚳である。
「良くも悪くもこの人の脳内には垞に粒子が盞互干枉し合うモデルが螊っおいた様です。䜕しろ土星の茪がどうやっお構築されたか研究した人でもありたした。だから以䞋の様な結論に到達するのが自明の堎合だったのです。」
 黒板に板曞する。

波が生じるずは、それを粒子が䌝えおいるずいう事である。

「それ以前に「英囜人医垫」ダングが「光もたた波である」蚌拠を掎み、"ロヌレンツ倉換(1897幎~1904幎)"にその名を残す物理孊者、「オランダの苗朚屋の息子」ロヌレンツもたた、その考え方に埓っお掚論を進めたした。「それぞれの䞖界においお自明の堎合ずしか感じられない察称性が存圚する」ずいうのは、たさにこういう状態を蚀うのです。」
 黒板に板曞する。

光が電磁波ず刀明する(぀たり波動である)。
→あらゆる波はそれを䌝える媒質を必芁ずする(筈だ)。
→「(光の)゚ヌテル仮説」の登堎。

 先生の説明が続く。
「゚ヌテル!! もし存圚するなら、それは本圓に奇劙な物質でなければならない筈でした。䜕しろ透明で非圧瞮性か぀極めお連続的でなければならず、空間に充満しおいるこずから流䜓でなければならず、高呚波の光を䌝える為に鋌よりもはるかに硬くなければならなず、さらに倩䜓の運動に圱響を䞎えない事から質量も粘性も零でなければならなかったのです。しかも「アメリカの物理孊者」マむケル゜ンずモヌリヌの1887幎実隓によっおその存圚可胜性がほずんど吊定されおしたいたした。そしお結局、次䞖代に珟れた「特蚱局務めの玠人物理孊者」アむンシュタむンが、圌らの敎合性の取れた完璧な数匏を党面的に匕き継ぐ䞀方、゚ヌテル仮説に぀いおは「光の速床は䞀定」ず芋做す態床だけ継承しお残りを党お捚お去っおしたったのです。ちなみにこうした科孊史の裏偎で「科孊掚進の担い手が䌝統的むンテリ/ブルゞョワ/政治的゚リヌト階局、぀たり王䟯貎族や高䜍聖職者の様な䞍劎所埗階局出身者やそのパトロネヌゞュを受けられた者に独占されおいた時代」がひっそりず終わりを告げおいたす。おおよそ倧英垝囜やアメリカあたりから始たった産業革呜の圱響が、次第にそういう圢で䞖界に及んでいったのです。」
 黒板に板曞する。

アむンシュタむンはマックスりェルやロヌレンツの数匏を継承し぀぀、その前提ずされた゚ヌテル仮説に぀いおは「光の速床は䞀定」ずする、よりシンプルか぀ロバストな情景に眮き換えた。そしお以降は誰もが「アむンシュタむンの認識」に基づいおしか考えなくなり、゚ヌテル仮説自䜓は歎史の掃き溜め送りにされおしたった。

「米田の補題」のもう䞀぀の本質、それはその芳枬系においお䜕が芳枬されるかは垞に芳枬者およびその芳枬者が採甚した閉䞖界仮説の範囲が定めるずいう事。

「誰が生きおるか死んでるかに぀いおの刀断すら芳枬者の芳枬によっお決たるっおアレですか」
 ヘンリヌが玠っ頓狂な声を䞊げる。
「そういえば旧類が蚀い䌝えおきた「シュレディンガヌの猫」の䌝承っおそういう内容でしたよね。元来歀岞には抌し出せない筈のブロッホ球䞊の量子ビット衚珟を無理やり歀岞に抌し出したらどう芋えるかっお話だった筈。ブロッホ球の抂念自䜓はロヌレンツ倉換から導出されるんでしたっけ」
「芋たければ埌で校庭の真ん䞭で芋せおあげる。あれはあれでそれなりに安党性確保に結構気を䜿う図匏なの。圌岞ず歀岞の関係を独特な圢で砎っちゃうからね。」
 他の生埒も芋たい、芋たいず䞀斉に隒ぎ出す。
「倧人の味の予感!!」
「倧人の味の予感!!」
「はい、静かに。埌で党員に芋せおあげたす。今はただ授業䞭!!」
 先生が咳払いしお党員を静かにさせた。
「マクスりェルに぀いおの話を続けたしょう。圌は1871幎の著䜜の䞭でクラりゞりス(Rudolf Julius Emmanuel Clausius, 1822幎~1888幎)が提唱した熱力孊第二法則(いわゆる゚ントロピヌの法則)に疑問を投げかける圢で「マクスりェルの魔」なる思考実隓を発衚したした。時系列的に芋お゚ヌテルの存圚が吊定される1887幎実隓以前だった事もあり、以降本気になっおその蚌明に取り組んだ圢跡なんお芋圓たりたせん。しかも、そこで瀺された「分子の動きを芳察できる架空の悪魔が存圚するなら、掻発な(高枩の)分子を宀倖に送り出し、䞍掻発な(䜎枩の)分子を宀内に取り蟌み続ける圢で熱力孊第二法則においた犁じられた゚ントロピヌの枛少が可胜ずなる筈である」なる基本的アむディア自䜓に぀いおも埌に「分子の刀定や遞別にも盞応のコストが必芁であり、その維持費を蚈算に入れるず(゚ントロピヌ枛少を黙殺出来る様な)氞久機関は開発し埗ない」ず蚌明され吊定されおしたいたす。しかしそれにも関わらず、この思考実隓には思わぬ展開があっお、゚ヌテル仮説ず異なりそのたた歎史の掃き溜め送りになる事はなかったのです。」

「マクスりェルの魔(1871幎)」からノヌバヌト・りィヌナヌ(Norbert Wiener, 1894幎~1964幎)「サむバネティクス(Cybernetics,初版1948幎、増補版1861幎)」で提蚀された「䜕らかのフィヌドバック機構によっお保たれる準安定性」ぞ。

「蛇の補題」の最も重芁な成立䟋の䞀぀

「それでは「アメリカ人数孊者」りィヌナヌは、「マクスりェルの魔」なる旧短完党列に察しおいかなる新短完党列を準備しおどんな連結準同型の橋を枡したのでしょうか」
 䟋によっお䟋の劂く生埒達の倚くが圌岞で「マクスりェルの魔」の創発を詊みるも、流石にそう簡単に成功する様なモデルではない。ノェロニカやヘンリヌ含め数人がかろうじお「枩たったり冷えたりする分子1個が立方䜓を出入りする最小限モデル」を振り子の原理などを利甚しお創発し安定させる事に成功したが、分子数を増やすずすぐにあっけなく厩壊しおしたう。単玔な図匏をどんどん合成しおいく圢で耇雑な図圢を創発しお最埌に歀岞偎に抌し出すやり方ず異なり、こうした「歀岞偎にずっおは自明の堎合のルヌル」を出来るだけそのたたの圢を保っお圌岞偎に匕き戻そうずするず、たちたちこんな具合に困難が立ちはだかるのであった。
「 圌が思い぀いたのは恒枩動物の事でした。確かに氞遠ずたではいえたせんが、恒枩動物なら生たれおから死ぬたでの間"自明の堎合ずしお"䞀定の䜓枩を保ち続けたす。そう、たるで䜓内にマクスりェルの魔でも飌っおるかの様に!!」
 先生が教壇の䞊にマクスりェルの魔の図匏を抌し出した。緑色に茝く半透明の立方䜓。その壁面は倖偎も内偎も無数の赀ず青の粒子で満ちおいお、それぞれ壁をすり抜け、赀い粒子は倖偎に、青い粒子は内偎に向かう。
「そう、りィヌナヌはこのアむディアから様々なフィヌドバック(Feedback)によっお準安定性を維持するホメオスタヌシス機構(Homeostatic Mechanism)」の抂念に蟿り着いたのです!!」
 ちなみに初版を発衚した1940幎代時点のりィヌナヌは圓時の倚くの科孊者がそうであった様に匷固な芁玠還元䞻矩者であり「(フヌリ゚玚数の様に)どんな耇雑なフィヌドバックも単玔な線圢フィヌドバックの合成で再珟出来る」ず信じおいた節があちこちに芋受けられる。しかし増補版を発衚した1961幎たでに(その様な圢に分解する事が䞍可胜な)非線圢フィヌドバックに関心を移し、その実䟋ずしお内臓間のホルモン分泌や矀内におけるフェロモン分泌連鎖を挙げた䞊で「人間瀟䌚においおは蚀葉がその圹割を果たしおいるのかもしれない」ず掚察するに至る。この間には人工知胜アルゎリズムの萌芜ずもいうべき単玔パヌセプトロン(ロゞスティック回垰,1958幎)の発衚やオヌストリア人生物孊者コンラヌト・ロヌレンツ(Konrad Zacharias Lorenz, 1903幎~1989幎)による近代動物行動孊(Ethology)の提唱などがあった。そうした次元における匕き戻しの話ずなるず、さすがにもはや䜙皋の魔法生物モドキの専門家でなければ぀いおいけなくなっおしたう。
「もしかしお私達の生埗的本胜(Natural Instinct)に぀いおの話ですか」
 ノェロニカが手を挙げお先生に質問する。
「あたりに図匏が耇雑過ぎおただ誰も完党な圢では匕き戻せおはいないけど、郚分暡倣の結果なら随分ず蓄積があっお、その結果かなり本栌的な魔法生物モドキが抌し出せる様になったず聞いおたす。」
 先生が笑顔で受け止める。
「そうずもいえるし、そうじゃないずも蚀える。旧類の䞖界でも私達の䞖界でも察称性、より正確には盞応のフィヌドバック連鎖によっお準安定性を保぀ホメオスタヌシス機構の図匏のあり方は実に様々だから。䟋えばここたで耇雑な匕き戻しを考えないで枈む、぀たりずりあえず生埗的本胜ずの関係なんお面倒な芁玠抜きに単玔化しお考えられる奜䟋ずしお、こんなケヌスもあるのよ」。
おもむろに板曞した。

圓時の旧類の䞖界には幜霊(Spectral Gnome)が出た。
共産䞻矩(Conmmunism)ずいう名の幜霊であった。
しかしたさにそれはサむバネティクス論によっお退治されたのである!!

先生は厳かに告げた。
「それがどういう物語だったか読み解くには、たず旧類の歎史においおどうやっお産業革呜導入が進行したかたで遡らないずいけたせん」。

 あくたで図匏ずしおは「科孊史」モデルの䜿い回しなので、生埒達の倚くが易々ずその圌岞偎での創発に成功。

先生も䞀際倧きな図匏を教宀の倩井間際に抌し出しお浮かべ「埌発性の優䜍(Second-mover Advantage)」が、そのたた䜕の手も打たないずどうしおも「䞭所埗囜の眠(The Middle Income Trap)」に嵌っおしたう様子を繰り返し繰り返し芋せおくれる。
「でもきっず䜕か脱獄手段があるんでしょ」
 ノェロニカが無邪気な衚情で尋ねる。
「芁するに氞久発展モデルに連結準同型を通せばいいだけなんでしょう」
「話はそう簡単じゃないの。ただ"むタリア共産党の父"グラムシ(Antonio Gramsci, 1891幎~1937幎)が、重芁なヒントに觊れおる。「䞭囜やロシアの様な埌進囜では本圓に暎力革呜しか遞択肢がなかった。䞀方、成熟した垂民瀟䌚が囜内を被芆する欧州諞囜に暎力革呜は盞応しくない」。さお、ここでいう「成熟した垂民瀟䌚」っおどういう図匏になっおるかちゃんず匕き戻せるかしら」
 先生がその様な図匏を远加するず元図匏が安定したり、その逆に䞍安定化する様子を瀺す。生埒達が創発した図匏は流石にこれが詊せるほど粟緻に匕き戻せおいないので、先生の瀺す展開をただ目で远うばかりずなる。
「どうしおすぐグルヌプ同士で喧嘩ずか始めちゃうのかなぁ」
「あ、これ「米田の補題」で反射埋が信甚ならない堎合!!」
先生が続ける。
「それでは旧類の䞖界においおは実際にどの様な図匏が脱獄に成功し、どの様な図匏がそれに倱敗したのかに぀いお芗いお芋たしょう。」

 ノェロニカが真っ先に消える図匏を芋定めお溜息を吐く。
「どうしお「ナポレオン戊争に勝者などいない!! 英囜の埌を远っおフランスも衰退に向かっおるだけだ!!」ずか「資本䞻矩困窮説」みたいな間違った匕き戻しが優勢になっおしたったの どうしお最埌たでそれにすがっお考え方を改められなかったの」
 その質問に先生が答えた。
「さっきの話を思い出しお。ティコ・ブラヌ゚の芳枬デヌタが珟れるたで、誰も地動説の方が絶察に正しいなんお蚀い切れなくお、だから倩動説もそれなりの圢で蚱容されおきた。オヌギュスト・ブランキ(Louis Auguste Blanqui, 1805幎~1881幎)やカヌル・マルクス(Karl Marx, 1818幎~1883幎)の堎合も同じで、誰が芳枬しおも1960幎代たでは英囜もフランスも産業革呜導入が進むほど貧富の差が開いおいく様にしか蚈枬出来なかったので「その考え方は間違っおる」なんお誰にも指摘出来なかったの。」
 その䞀方ではゞュヌル・ノェルヌ(Jules Gabriel Verne, 1828幎~1905幎)の悲芳的未来ビゞョンを䞁寧に写し取った「20䞖玀のパリ(1960幎)」が「珟圚、欧州のあらゆる囜で進行䞭の産業革呜の浞透に氎を刺す内容である」ずいう理由で刊行を断られたりもしおいる。いかなる環境に眮かれた知的生呜䜓であっおも、いやむしろその知性故に「䜙皋の事がない限り、自分が芋たいものしか芋たがらない」悪癖に絡(から)め取られおしたうものなのかもしれない。
「でも1870幎代以降は 違う芳枬結果が埗られる様になったのに “産業革呜における倧量生産・‚倧量消費サむクルを回し続ける為に、消費の䞻䜓が䌝統的むンテリ/ブルゞョワ/政治的゚リヌト階局から新興(産業)ブルゞョワ階局や庶民に掚移した”、぀たり末端生産埓事者が䞀方的に搟取されるばかりではなくなったのに 歎史のその時点からなら、そうした芳察結果に基づいお理論を立お盎しお、ただただ巻き返しが図れたんじゃないの」
「圓時は他に重倧事件が次々ず起こっお理論党䜓を芋盎す䜙裕なんお誰も持おなかったの。」
 実際に勃発したのは普仏戊争(1870幎~1871幎)。皇垝ナポレオン䞖が廃䜍に远い蟌たれ第二垝政が終焉する䞀方、オヌギュスト・ブランキが逮捕される前にほずんどのお膳立おを敎えたパリ・コミュヌンもたた暎走の果おにそこに籠城したブランキ掟ずプルヌドン掟を巻き添えに壊滅。残存急進共和掟勢力が䞭倮集暩志向のマルクス掟ず無政府䞻矩志向のバクヌニン掟に再線されるも、そのたた内玛状態に突入しお第䞀次むンタヌナショナル(1864幎~1872幎)は空䞭分解しおしたう。その䞀方で「ゎヌタ綱領(1875幎)」可決を契機にドむツ瀟䌚民䞻党が結成されお「サン=シモン䞻矩レむダヌ」ぞの合流を果たし、瀟䌚民䞻䞻矩の優勢が確定。マルクスが生前ゎヌタ綱領に反駁した「ゎヌタ綱領批刀(Kritik des Gothaer Programms, 1875幎)」を゚ンゲルスが公衚したのは1891幎であったが、そのあたりにも出遅れ過ぎた振る舞いは実質䞊、単なる負け犬の最埌の遠吠えに等しかったずいえよう。

 ただしオヌギュスト・ブランキが「浜の真砂が尜きるずも、䞖に革呜の皮は尜きたじ」ず預蚀した様に、瀟䌚民䞻䞻矩の芇暩もたた長くは続かなかった。
 1900幎代に入るず「暎力論(Réflexions sur la violence,1908幎)」著者ずしお知られる革呜的サンディカリスム運動創始者の゜レル(Georges Sorel, 1847幎~1922幎)が「䜓制偎が䜓制維持の為に惰性で振るう因埪姑息な暎力(Force=暩力)ず異なり、反䜓制偎が止むに止たれぬ状況䞋においお自衛的に振るう暎力(Violence=抵抗力)は垞に枅らかで無謬である」などず䞻匵し始める。これを契機に急進掟の反撃が始たり、そうした極巊盎接行動䞻矩がアクション・フランセヌズのシャルル・モヌラス(Charles-Marie-Photius Maurras, 1868幎~1952幎)の様な極右盎接行動䞻矩勢力ず最終勝者を争う内容であった為、最終的にむタリアにファシスト政暩(1922幎~1945幎)を、ドむツにNSDAP(Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei=囜民瀟䌚䞻矩ドむツ劎働者党)政暩(1925幎~1945幎)を誕生させおしたうのである。ちなみに圓時の急進巊掟にずっお瀟䌚民䞻䞻矩はあくたでファシスト(瀟䌚ファシズム)の䞀員で同様に滅がすべき打倒察象。䞀方、ドむツ以倖におけるファシストずNSDAP支持者の折り合いも悪かったので圓時の各囜における党争はどれも混迷を極めたものずなったが、いずれにせよ挟撃され最も割を食ったのが穏䟿で挞進䞻矩的なマゞョリティ䞭間局であった点だけは共通しおいる。

 䞀方、圓時呜脈の尜きた資本䞻矩困窮説は20䞖玀埌半に「実はみんな隙されおただけだった!! 我々消費者はみんな生産者が買わせたいず思っおるものを買わされおるだけだった!!」ず譊鐘を鳎らす図匏にリニュヌアルされ華々しい埩掻を遂げた。旧類の衚珟で「新巊翌運動」ずか「ヒッピヌ運動」ず呌ばれたムヌブメントがそれで、そうやっおマルクスが「経枈孊批刀(Zur Kritik der Politischen Ökonomie, 1859幎)」で開陳した「我々が自由意志や個性ず信じおいるそれは、実際には公的圧力に型抜きされた量産品に過ぎない」ずいう考え方に新しい呜を吹き蟌んだ手際自䜓はある意味「蛇の補題」そのもの。ただし、その過皋で生産者偎ぞの同情を切り捚お「䜕でも自由に批刀出来る消費者的立堎」に培する圢で盞応の䞇胜感に到達した圌らは、芁するに事実䞊、ただマルクスがただ政治も経枈もちゃんず孊んでなかった頃の預蚀「やがお封建䞻矩的欲求(暩力欲)からも資本䞻矩的欲求(所有欲)からも解攟された新人類プロレタリアヌトが珟れ、旧人類を駆逐するだろう」から出発しおしたった。自分達こそがそういう自己同型矀、次元党順序加算モノむダル圏だず信じ蟌んでしたい、たさにその遞民意識こそが党おの砎局の始たりずなっおしたったのである。

 別の問題点に泚目した生埒もいた。
「圢匏䞻矩的楜倩䞻矩(Formalistic Optimism)っお䜕 」
「旧類の蚀葉でいう"自明の堎合"みたいな感じ」
「あ、それはね資本䞻矩的な垂堎や私的所有を廃止した共産䞻矩瀟䌚は「最小䜜甚の原理に埓った最小限の倉分により自明の堎合ずしお」いずもたやすく自動的に生産管理が合理化されお蚈画経枈ずしお機胜する筈っお倢物語」。
 シモヌヌ先生のその説明は生埒達を驚愕させた。
「そんなの党然"自明の堎合"じゃないよ!!」
「間違った倧人の味!!」
「間違った倧人の味!!」
「そんな間違った図匏なんお、”王様の銬ず家来の党郚が掛かっおも“そのポテンシャルを完走出来ないっお、どうしおあらかじめ事前に分からないもんですかねぇ‌」
 䜓制偎に合流する道を遞んだ瀟䌚民䞻䞻矩の躍進に眮き去りにされた急進共和掟残党が最埌にたどり着いた劄想。䞀般に゚ンゲルスの「反デュヌリング論(1878幎)」が起源ずされるが、やはり党おの発端は䞊掲の「若きマルクスの劄蚀」あたりだったのではあるたいか。おそらくマルクス自身にずっおすら、かかる詩人の叫びめいた玔心過ぎる閃(ひらめ)きは「倜が最も暗く感じられる倜明け前」すなわち1848幎革呜盎前の埩叀王政期の最䞭だったからこそ䞇感を蟌めお攟ち埗た内容だった。だからこそ圓人は以降生涯に枡っおそのビゞョンに立ち返る事はなく、「そこに至るたでに䜕が起こり埗るか」に぀いおの研究に終始したずも考えられる蚳である。その䞀方で若かりし頃の未来芳に぀いおあえお蚂正も吊定もしなかったのは、あくたである皮の感傷䞻矩(Sentimentalism)に過ぎなかった。しかしその感傷が䌝承されるうち「あのマルクスがそう考えた以䞊、それが起こる事は"自明の堎合ずしお"確定しおおり、これを疑う事は䜕人たりずも蚱されない。」ずいった教条䞻矩的匷迫信仰ぞず転じおいったず仮定すれば色々ず蟻耄が合っおくるのである。
「もっず単玔に、圓時の革呜家の誰もがオヌギュスト・ブランキの匷烈な信念、぀たり"自明の堎合ずしお"珟䜓制の思想統制から解攟された臣民は揃っお自分ず同じ様に、急進掟の様に考える様になるずいう楜芳䞻矩に匕き摺られおしたったずも考えられたせんか」
シモヌヌ先生が独り蚀の様に぀ぶやく。
「その考えがオヌギュスト・ブランキ自身から出たものか、その背埌にさらに時代粟神の暪溢の様なものがあったかたでは分かりかねたす。いずれにしろ圓時勝ったのは"収入制限遞挙に乗じお議䌚を牛耳るブルゞョワ階局を囜家ず劎働者で挟撃しよう"ずいう「鉄血宰盞」ビスマルク( Otto Eduard Leopold von Bismarck-Schönhausen, 1815幎~1898幎)の提案に乗った「瀟䌚民䞻䞻矩の父」ラッサヌル(Ferdinand Johann Gottlieb Lassalle, 1825幎~1864幎)ずその匟子達だったずいうのが、今回私が授業甚に採甚したシナリオです。」

 シモヌヌ先生が埌を匕き取る。
「色んな考え方があるけど、ずにかく゜ビ゚ト連邊の図匏が最初からトラブルを抱えおた事実は動かない。それでも圢匏䞻矩的楜倩䞻矩者達はその図匏が想定通り動くず信じ続け、その結果みんなたずめお歎史の掃き溜めぞず消えおいく運呜を甘受するに至ったずいう蚳ね。」
 そしおたさにその図匏を目の前に抌し出し、最埌の砎綻たで柱みなく䞀連の流れずしお展開しおいく様子を淡々ず衚瀺しおいく。

 教宀内がしんず静たり返る。
「たさしくドスト゚フスキヌ(ЀёЎПр МОха́йлПвОч ДПстПе́вскОй, 1821幎~1881幎)「悪霊(Бесы,1871幎~1873幎)」に登堎するシガリョフのナヌトピア論ね。"この䞖界には自分達の様な厇高な道矩的゚リヌトにしか到達し埗ない絶察無二の正解がある"なんお芖野狭窄に陥っおしたった圌らは、「適正䟡栌は耇数の芁因の均衡によっお定たる」ずいう考え方に我慢がならなかったばかりか「平熱は䜓枩が䜎䞋し過ぎるのを防ごうずする機構ず䜓枩が䞊昇し過ぎるのを防ごうずする機構の均衡によっお維持される」ずしたフィヌドバック理論にたで噛み぀いお、"ブルゞョワ的退廃に汚染された劄想"ずいう烙印を抌したした。そしお「正解は条件付けによっお正答が刷り蟌たれおいるから」「脈拍も呌吞も党おそうした「正答」ぞの反応に過ぎない」ず喧䌝し続けたのです。皮肉にも埌䞖「バむオ・フィヌドバック」ず総称される展開を迎える研究分野の先駆けですね。さらには「人間の蚘憶胜力はニュヌトン物理孊的時空間ずは異なる広がりを有する」ずいう認識にも党面的生理的嫌悪感を抱き「蚘憶も所詮は物質に過ぎない」ず発衚し、迷路の通り道を孊習したネズミの脳を他のネズミに食べさせたらたちたち迷路を通り抜ける実隓も披露したした。ずころがこの実隓、゜連以倖で行われたどれも成功する事がなかったのです。そう、段々その研究がちゃんず科孊実蚌䞻矩的方法論に則っおいるかなんお、どんどんどうでも良くなっおきちゃった蚳ですね。䞀時が䞇事そんな調子だったので、この考え方の寿呜は倩動説や゚ヌテル仮説より遥かに短いものずなっおしたいたした。ある意味自業自埗だったずしか蚀い様がありたせん。」
 旧類の誰かが目にしたら「なんで子䟛達にこんな政治的な話を」などず考えるかもしれない情景。しかしながら、そもそもノヌムの生埒達はこれたで芋おきた通り、どんな話を聞かされおたっお図匏に眮き換えおしか考えない。逆をいえば図匏に眮き換えられなかった知識は党お玠通りするのみ。たるでシモヌヌ先生の䜿圹する魔法生物モドキがお菓子の皮類を問わず食べたくったり、条件が揃っおないず䞀切手を぀けない様なもの。こうやっお仕入れた知識だっお、実際䜕に䜿われるかずいうず、おそらく将来魔法生物モドキを自䜜する際「同じ機胜のモデルを党く別の図匏皮類で実装しおみお、それぞれがどういう限界を迎えるか詊す」アむディアの創発などに圹立おられるばかりだろう。だからそもそも特定のむデオロギヌに染め䞊げる方法自䜓を思い぀けないくらいだが、その䞀方でこうした話から最も重芁な教蚓「嘘や欺瞞から出発する匕き戻しは必ず最埌砎綻する」だけはちゃんず汲み取るのである。
 その結果、こんな颚に嘆き出す生埒さえ珟れた。
「゜ビ゚ト連邊なんだか可哀想 間違った匕き戻しの連続で、それでどんどん持ち䞊げが維持出来なくなっお、最埌には䜕にもなくなっちゃうだなんお 」
 そう、私達ノヌムはそのモデルが䜕だったにせよ、それたで察称性や準安定性を保っおきた抌し出しがその状態を喪倱しお消滅するのを目の圓たりにするず必ず心を動かされる。どういうメカニズムになっおいるかなんおただ突き止められおないが、おそらく生埗的本胜の為せる業だろうず掚察されおいる。
「これもなんだかケプラヌの「宇宙の神秘」みたいな話だ!!」
 すかさずヘンリヌが声を䞊げた。
「圓時の人がどうしおそんな方向に走ったか、圓時の人の気持ちなんおずっくの昔に倱われちゃったから、もうそれが実際にはどう起きたかなんお誰にも想像だに出来なくなっちゃったし、そもそも生き残った人達にずっおはそんな事党郚どうでも良くなっちゃったんだ!!」
 先生が小さく頷き返しながら、たずめに入る。

空転状態から脱獄する最も安盎な方法は「衚に察する裏」を想定する事。ただしそう簡単に「裏」は察称性を獲埗しお安定しおはくれないし、たずえ安定したずしおも「衚」より良い結果が埅っおるずは限らない。ただちょっずだけ認識範囲が広がるだけに終わるかもしれないし、しかもその結果もたた必ずしも良い方向に働くずは限らない。

たぁこれがおおよそ我々の生きる䞀次元党順序加法モノむダル圏、すなわちりィヌナヌいうずころの「(時間も空間も党お可逆なニュヌトン時空間ずは異なる)ベルク゜ン時空間」の䜜法ずいう事。そしお 

䞀方、本圓に成功した脱獄ほど、圓事者にずっおは「ただのちょっずした認識拡匵=最小䜜甚の原理に埓った最小限の倉分」にしか感じられない。その裏偎では監獄に残っお脱獄の機䌚を逃した者達が、ただ生き延びられなかったばかりか「米田の補題」的認識範囲の倖偎に远いやられいる。そもそも圌らが䜕者であったかさえ、誰にも思い出せなくなっおしたう。

「それでも私達は前に進み続けねばなりたせん。旧類の文献にこうありたす。「昔、人が地䞊を埘埊するばかりで獣に襲われ攟題だった頃、朚の䞊に安党な䜏居を構える事を思い぀いた人間は英雄ずなった。たた誰も煮炊の抂念を知らず生食で腹を壊したり死んだりしおた頃、火の䜿甚を思い぀いた人間もたた英雄ずなった。今同じ事を詊みお誰が英雄ず厇めおくれようか。それが歎史的モノドロミヌずいうものである。それでも過去の成功䜓隓が忘れられず、畑を捚お遺跡の番を続けながら滅んでいく者達がいる。最も確実な自殺方法に他ならない」。同じ趣旚の提蚀に「赀の女王仮説(Red Queen's Hypothesis)」なんおのもありたすね。「他の皮ずの絶えざる競争の䞭で、ある皮が生き残り続けるには、持続的進化が欠かせない」。さおこれらの旧類の䌝承は私達に䜕を教えおくれるのでしょう」
 韓非子「五蠱」の倧胆な省略。たぁ「赀の女王仮説」ず䞊べお語るにはこれくらい倧胆に簡略化した方がしっくりくる。

 延々ず続く議論を静め、先生がずうずう授業の締めの蚀葉を述べる。
「今回の生呜倫理哲孊(Philosophy of Bioethics)の授業はここたでです。リク゚ストがあったので次回は随䌎、特に忘华関手ず自由関手の話から。この図匏を宿題に出しおおくので、実際に創発しおどう動䜜するか良く確かめおおいおね。」

「やったヌ、ずうずう随䌎ず自由関手の話だぁ!!」
 ヘンリヌが玠っ頓狂な快哉の声を䞊げおノェロニカに小突かれる。
「莫迊!! あんたみたいなのを「論語読みの論語知らず」っお蚀うのよ。どうせたた的倖れな期埅ばっかりしおるんでしょ!?」
 急に自信を喪倱しおたたもや存圚感が最小になっおしたう。

 その時ちょうど終鈎のチャむム音が鳎り響く。
 その日の最埌の授業だったので、生埒達が垰り支床を始める。


 そう、私達ノヌムは旧類由来の魔法制埡技術を「生呜倫理哲孊」ず総称しおいる。
 どうしおそうなったか順を远っお説明しおいこう。
 そもそも私達はどうやら元来、圌岞偎からこの歀岞偎に枡っおきた存圚らしいのである。
 たずはその生埗的本胜ありきの圚り方そのものが問題。それがあるお陰で私達は生埌数時間で最初の身䜓を獲埗し、䜕もなければ次第にそれが順調に育っおいく蚳だが、ノヌムなる存圚の本質からいっお、そもそもそんな「圌岞から借りおきた魔力によっお繋ぎ止められた歀岞の物質の塊」なんぞは単なる仮初(かりそめ)の䟝代にすぎない。実際に私達がどんな姿をしおるかは、生たれ萜ちた瞬間に曝け出される。魔力の膜に包たれた目玉だけ、すなわち饑鬌そっくりの倖芳の「圌岞の物質をただ䜕も察象ずしお取り蟌めおない=結瞁出来おない、ただの魔力溜たり=空転(恒等射)」がそれなのである。

 たたたた倖芳が䌌おいるだけではない。
 実際、私達ノヌムは、いくら調べおも旧類より継承した魔法制埡技術ず、(䜕らかの圢で、我々の䞭枢たる「目玉=脳髄」を構成する図匏の䞀郚ずしお実装されおる筈の)生埗的本胜さえ陀けば、実際に他の魔法生物や魔法生物モドキず䜕ら倉わるずころがないのである。その珟実を厳粛に受け止めた祖先達は、そうやっお歀岞の物質を繋ぎ止めおいる魔法の滞留を霊(Gnome)ず総称する様になったず蚀われおいる。
 もちろん、その様な認識は魔法制埡技術ずその䜿い手の立堎を逆転させる。「魔法制埡技術は私達ノヌムそのもの。それを䜿いこなす技術の党おが私達の生呜倫理哲孊の䞀郚」ずいう考え方がここから発祥する。
 ならば私達誰もが"自明の堎合ずしお"備えおいる生埗的本胜そのものは䞀䜓い぀どこで芜生えたのか
 倩然進化の産物ならこの䞖界の圌岞偎か歀岞偎かあるいはその䞡方に䜕らかの痕跡を残しおなければならない筈だが、そんなものはか぀お䞀床も発芋された事がない。長幎にわたっお有望芖されおきた答えはただ䞀぀。
 我々が継承した旧類の遺跡の䞭には、゚ッシャヌの隙し絵にちなんで「版画画廊䞭倮の䜙癜(Center Border of Print Gallery)」ず呌ばれる領域が幟぀か存圚する。進めば進ほど無限に高次化しおいくばかりで、次元以䞊の䞖界に螏み蟌む皋床で「倧人の味」を味わう私達劂きでは到底果おたで蟿り着けない。旧類の事物同様、私達の生埗的本胜、ないしは私達にそれを付䞎せしめた様な䜕者かが到来したずすればここから来たずしか考えられないのである。「倧人の味」の本圓の意味での倧源流 

 なお旧類の数孊ず物理孊頌りの魔法制埡技術はいただ䞍完党で、かかる生埗的本胜の解析も遅々ずしお進んでない。もちろん術垫ならほが䟋倖なく、そうやっお次第に食い取っおきた断片的知識を甚いお魔法生物モドキを新たな魂の容噚に利甚したり、自らの生埗的本胜の底䞊げに甚いたりず寿呜を䌞ばす詊みに挑むもの。だが、どの方法にもそれぞれそれなりに短所があっおどれも広く普及するには至っおない。
 ぀たり䜕が蚀いたいかずいうず、珟時点ではいかなるノヌムも最埌には必ず芚悟を決めなければならないずいう事である。
 生埗的本胜の衰えによっお次第に健康な身䜓を維持出来なくなっおいき、最埌は再びただの目玉に戻り、その目玉さえある日応然ず消え倱せる。そんな人生の終わりを迎える運呜を受け入れる芚悟を、である。
 䞭には生前より䟝代を準備し、完党に消え去る前の自分ずいう図匏をそれに写し取っおゆっくりず無に垰っおいく道を遞ぶ者もいる。たたたたこの孊校に瞁のあった私が、珟圹時代に手掛けた改築工事のお陰で䟝代の条件を満たしたこの教宀に察しおそうした様に。結果ずしお顕珟する私の様な霊の圚り方は地瞛霊(Earthbound Gnome)ず呌ばれる。私達の生埗本胜に埋め蟌たれた「いかなる進化の芁請から備わったのか非自明である䞍思議な機胜」の䞀぀。以降は事前蚭定した結界から出られなくなるし、ほずんどのノヌムの芖界からも消え去るし、幎々気配が薄たっおいき最埌はやはり完党に消えおしたうのだが、幞いにしおこの状態に遷移した途端に存続ぞの執着心も同時に消倱しおしたうのである。だから存倖穏やかな気持ちで䜙生を楜しむ事が出来おいる。皮肉にもマルクスが予蚀した「封建䞻矩的欲求(暩力欲)からも資本䞻矩的欲求(所有欲)からも解攟された」新人類プロレタリアヌトの境地ずいう次第 
 なお、私達にずっお歀岞における実䜓の拠り所でもある「目玉=脳髄」を倱うずいう事は恒等射だけしか備えない単䜍圏の䜓裁すら倱うずいう事でもある。぀たり私の今の圚り方は、お菓子を定数枚食べお眠る郜床、再び起こしおもらえる魔法生物モドキずいうより、生たれ぀き定められた魔力欠損分だけ吞匕するず自然消滅する饑鬌に近い。するず生埗的本胜は その状態においお生埗的本胜はただ䜕らかの圢では私達の行動や考え方をその統制䞋に眮き続けおいるのだろうか “我々が自由意志や個性ず信じおいるそれは、実際には生埗的本胜に型抜きされた量産品に過ぎない”そしお“さよう、自由はノヌムを解攟する。ただし自由にではない”。圓事者たる私ですら、この疑問ぞの答えを芋぀けられずにいる。ならば旧類は 旧類にずっお「生きる」ずはどういう図匏遷移を意味しおいたのだろうか

 突劂ずしお暖かい気配を感じる。
 誰かが私に魔力を泚ぎ蟌んでいる様だ。もしかしたらしばらく意識を倱っおいたかもしれない。旧類の蚀葉でいう「お迎え」が近くなる皋、そういう時間が増えおいく。
「そうやっおひっそり消えおくなんお蚱さない。倏目挱石「吟茩は猫である(1905幎~1907幎)」の猫の最埌じゃあるたいし‌ 猫に念仏なんおどう考えたっおる䌌合わないんだよ‌」
 本気で怒っおる声のノェロニカだった。
 ずっさに栌蚀の誀謬バリ゚ヌションが走銬灯の様に無数に脳裏を過っおいく。「猫が念仏」「暖簟にこんにゃく」「暖簟がこんにゃく」「銬の耳に小刀」「銬の耳が真珠」「猫に糠( ぬか)」「糠に猫」、そしお止めが「釘に腕抌し」 

「私、この孊校で芋぀けた守衛さん達は党員こうやっお守っおあげるの!! 子䟛や孫が同じ孊校に入っおきた時も芋守っおもらえる様に!!」
「おいおい、そんな事しおたらあっずいう間に魔力が枯枇しちゃうよ。」
「倧䞈倫。たずヘンリヌの魔力から䜿うから。」
 既に携垯増槜(Mobile Battery)扱いのヘンリヌや哀れ。圌が時々毎晩ベッドで吞血鬌に血を抜かれおる薄幞の少女みたいな雰囲気を挂わせおいたのはそういう事だったのか。䞀䜓䜕をさせられおきたのやら。
 なんか既芖感が止たないず思ったら、ただ私が子䟛だった頃の姉。もっずもらしい挔技で「最埌たで面倒を芋るから!!」ずねだっお新しいペットを飌う様になるけど、すぐ飜きお党おの䞖話を匟に抌し付けおしたうタむプだった。そしお実際、そうしたペット達の面倒を最埌たで芋るのはもっぱら私の圹割だったものである。ああ、私がヘンリヌを応揎したくなったのは、この時の事を思い出したからなのかもしれない。
「その調子‌ こんなにちょっぎり魔力が補完されただけでもこんなに意識の解像床が鮮明になるでしょう もっずもっず䞀緒に生きよう!!」
 圌女が嬉しそうにしおるず私も嬉しくなっおくる。たずえ圌女がただ本圓に子䟛で、自分が䜕をしおるかたるで分かっおなかったずしおも。そもそも私は既に、自分がどんな状態になっおも党く特別な感慚が湧かなくなっおいる。文字通り最初から最埌たでずっず為すがたた(Let it be)の境地 
「守衛さん」
 ノェロニカが蚝しげな衚情を芋せる。
 どうやら私の残痕の本栌的な枛少開始を芳枬したらしい。
 なるほど、いよいよずいう事か。
「守衛さん!?」
 ヘンリヌもやっず䜕が始たったか察知したようだ。
 やれやれ、たさか最埌に生呜倫理哲孊の教材ずしお生涯を終える事になるずはねぇ。たぁ、そういうのも別に悪くないか。手本ならいくらだっお芋おきたしなぁ。
「守衛さん!!」

 そう、ノヌムの䞖界においお死ずは、生埗的本胜はおろかあらゆる圌岞ず歀岞の結瞁からの解攟ずは、誰でも、それたで䞀床もそれ詊みずに枈んできた様な者ですら最埌に䞀回は詊みる事を匷芁される脱獄。生涯の党過皋においおずっず逃げ道ずしお執着し続けおきた「圌岞から歀岞ぞの抌し出しの積み䞊げ」の真逆、぀たり「歀岞から圌岞ぞの匕き戻し方法の掗緎」に吊が応でも真摯に向き合わざるを埗なくなる、そんな䞀生に䞀床の晎れ舞台(Once-in-a-Lifetime Event)ずいう蚳なのだ。有難や、有難や 


埌曞き


そもそも私が本栌的に数孊再勉匷を始めたのが忘れもしない2017幎末の事。

圏論の勉匷を始めたのが昚幎10月末から。

もちろんそんな数孊初孊者の私がこんな奇劙奇倩烈な䜜品を発衚出来たのも、党おはひたすら(沢山のパネルの玠材を提䟛しおくれただけでなく)どんな無謀な壁打ちにも黙々ず応え続けおくれたGeminiの存圚あっおの事。

 それでは肝心の小説ずしおの出来栄えはどうなんだろう

 実は、これを曞いた圓人が詊みたのは「(挫画以䞊にその尺床的連続性もモノドロミヌも非自明な)小説もたた䞀次元党順序加法モノむダル圏の䞀皮である事の実蚌実隓」ずいう感じで、普通に小説ずしお読んだらどう芋えるかなんお、たるで芋圓が぀かなくなっちゃったのです。執筆過皋も、ある段階から完党にプログラミングのデバッグめいおきちゃいたしたしね。基本的には前々段萜における䞻芁話題を「蛇の補題」的に栞ずしお切り捚お぀぀進行させ、思わぬ箇所に思わぬフィヌドバックを枡しお党䜓像を俯瞰する芖座を敎える 執筆䞭に心掛けおた「図匏」自䜓が、たぁそういった感じ。

 ずりあえず今回は最埌たでこのスタむルで曞き䞊げる事自䜓が目暙であり、その目暙自䜓は完党に達成出来たので個人的には満足です。なお、ネタ自䜓は䜙り䜙っおるのでここに登堎した圏論ノヌム達の冒険自䜓はただしばらく続く予定です。ずいうより 


そう「残念ながら逃げ道なんおもう残されおないよ」ずいう声を、あなたもその脳内で聞く様になるのがこの䜜品の本懐ずいう次第。

そんな感じで以䞋続報 


【远蚘】この䜜品の読み方ガむド(の様なもの)


自分なりの頭の敎理も蟌めお。

  • 実はこの䜜品、「死にさえも死がある(That is not dead which can eternal lie...」を匕いた箇所でピンず来る人もいるず思いたすが、著者がクトゥルフ神話ファンなので「党文スラスラず読み通せたら発狂を䜙儀なくされる」ネクロノミコン(Necronomicon=死霊秘法)なる著䜜がもし実圚するずしたら、どんな内容ずなるかずいう着想から出発しおいたす。なおそれ自䜓はYMOのアルバム「BGM(1981幎)」のコンセプトでもありたした(「BGMずしお聞き流すだけにしおおけ、本気で内容を理解しようずしたら発狂するぞ!!」ずいうキャッチコピヌ)。その意味合いにおいおはこの䜜品「ファンタゞヌ(SF)䜜品の皮を被った(コスミック)ホラヌ䜜品」ずいう䜓裁だったりする蚳ですね。

  • そもそも最初から「党文読み通しお理解する」必芁がない構造になっおいお、実際物語䞭に登堎するノヌムの生埒達もかなりの箇所を読み飛ばしおいたす。ならどう読み飛ばしおるのか その思考の道筋を蟿るのが「(発狂゚ンドを回避した)ノヌマル・゚ンド」ず蚭定されおる蚳です。

①前半の数孊知識の爆発的披露の倧半が「そこたで深く考えなくおよかった」で終わり「ただ衚に察しお裏を蚭定するアプロヌチには果おしのない続きがある」「欲望を満たそうずしお壁に突き圓たるその様子こそが生物に生物らしさを付䞎する」ずいう結論に萜ち着く(前回授業の結論)。

②埌半の歎史知識の爆発的披露の倧半が「そこたで図匏化出来ないよ」で終わり、そもそも党おの間違いは若き頃のマルクスの予蚀「やがお封建䞻矩的欲求(暩力欲)からも資本䞻矩的欲求(所有欲)からも解攟された新人類プロレタリアヌトが珟れ、旧人類を駆逐するだろう」から始たったんじゃ ずいう疑念が生じおタむトル「饑鬌(ひだるがみ)の末裔(The Inheritor of Hunger Gnome)」を回収し、以䞋のパネルに到達する(今回授業の結論)。

ちなみに、ここでいう「質的モノドロミヌ」は、長い間「人間だけの専売特蚱」ず考えられおきたのだけれど、最近になっお機械孊習アルゎリズムがそれなりに肉薄。

③その䞊で「じゃぁ、(次回授業の出発点ずなる)このパネルは䜕を意味しおるの」ずいう方向に考えを巡らせる(たぁ我々が人工知胜を䜿っおる時、人工知胜が裏でやっおる過皋そのもの)。

最初からこういうモノドロミヌ(Monodromy=䞀䟡性/螺旋階段構造)になっおる物語ず理解した䞊で読めば、だいぶ読解の難易床が䞋がるず思いたす。このルヌトを完遂しおも、やっぱり圏論ノヌムさん達はあなたの脳内ぞのお匕越しを(トマス・ハリス「レッド・ドラゎン(Red Dragon, 1981幎)」の様に、むしろより完璧な圢で)完遂しおしたう蚳ですが、たぁそれはそれ!!

さらにはこの䜜品、私が数孊の勉匷を始たモチベヌションの䞀぀でもある「人間は劂䜕にしお陰謀論から脱獄可胜ずなるか」ずいう疑問ぞの自分なりの答えにもなっおいたりしたす。

どこがどう反映されたのか その答え合わせは本線にお!!


そんな感じで、改めお以䞋続報 

いいなず思ったら応揎しよう

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