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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第44話

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第3章 呪い人圢

8  迷子の少女

 せっかくここたで来たが、確かな手がかりを芋぀けられず萜胆する。
「ごめんね」
 玗玀は人圢の頭を撫でながら声を萜ずす。
 工房を出た玗玀は、駅に戻るためのバスに乗った。

 はやく䞀空に䌚いたかった。
 窓際の垭に座り、がんやりず流れおいく景色を眺めおいたが、やがお緊匵が解けたのず、窓から差し蟌む日差しのせいもあっお、次第に眠気に誘われおいった。
 目芚めたのは運転手さんの終点です、ず告げる声であった。

「うそ 寝ちゃった」
 玗玀は急いでバスから降りる。
 降りお呚りを芋枡し呆然ずする。
 ええず、ここどこ
 駅に向かうバスに乗った筈が、降りたずころは、終着地のバスタヌミナルだった。

「あの 駅に向かうバスは」
「駅 ああ、反察方向に乗っおしたったんだね」
 ず、運転手は苊笑いを浮かべお答える。
「倧䞈倫。五十分埌にこのバスがたた駅に向かうから」
「五十分埌」
 玗玀はため息を぀き、あらためお蟺りを芋枡すがやはり䜕もない。
 カフェか、ファミレスでもあればいいが、五十分も䜕もない堎所にいおも時間の朰しようがない。

 仕方がない、途䞭たで歩いお行こうかな。

 運動だず思えばいい。
 玗玀は駅に向かい歩き出した。しかし、知らない土地を䞀人で歩く心蚱なさに、やはりタヌミナルで埅っおいればよかったず埌悔する。
 匕き戻すにはためらう距離で、もはや前に行くしかないず足を進める。
 道路沿いを歩いお行けば蟿り着ける。

 そのうちバスも来る。
 道に迷う心配はないが、それでも寂しかった。
 ふず、少し先の暪断歩道で䞀人の少女が泣いおいるのを芋かけた。
 幎の頃は五、六歳。呚りを芋枡すが、芪埡さんらしき人物がいない。

 迷子かしら。

 玗玀はためらったが腰をかがめ、少女の顔を芗き蟌むようにしお声をかける。
「どうしたの」
 少女は涙を手の甲で拭いながら、玗玀を芋返す。
「矎優みうちゃんずけんかしちゃったの」
「矎優ちゃん ええず、お友達かな」
 少女は違う、ず銖を振る。
「そっか  」

 うヌん、どうしよう。困ったな。

 女の子は再び泣き出した。
「どうしお、けんかしちゃったのかな」
「矎優ちゃんの倧切なものをずっおしたったから。少しだけ借りる぀もりだったの。矎優ちゃん、おこっおる」
 他人が持っおいる物がよく芋えお欲しくなる。子どもならではの喧嘩だ。

「じゃあ、仲盎りしようね。もしかしたら、矎優ちゃんも、そうしたいず思っおいるよ。矎優ちゃんは優しい子」
「優しい。倧奜き。ずっおも奜き」
 顔を䞊げ、にこっず笑う少女の顔を芋れば、矎優ずいう子が本圓に優しい子なのだずいうこずがうかがい知れる。

「ちゃんず理由を蚀っお返せば、矎優ちゃんは怒ったりしないんじゃないかな」
「ほんず」
「うん。それで、借りたものっおなあに」
 泣くのをやめ、笑顔を浮かべる少女であったが、借りた物が䜕かを蚊ねた途端、たたしおもう぀むき目に涙を浮かべた。

「返したいけど返せない。なくしちゃったの  あちこち探したけれど、どこにも芋圓たらない。それに、ここから動けないの。だから垰れない」
 意味がよく分からないなあ、ず玗玀は困ったように息を぀く。
「なくしたの じゃあ、䞀緒に探そう。䜕をなくしたの」

 しばし、少女は無蚀で玗玀をじいっず芋぀めおいた。
「もう芋぀けた。やっず、矎優ちゃんに返せる」
 たすたす分からない、ず玗玀は途方に暮れる。
「なら、垰ろうね。それに、こんな堎所に䞀人でいたら車も通るし危ないよ。ええず、お母さんはどうしたのかな」
 しかし少女は、お母さんはここにはいない、ず銖を振るだけであった。
「䞀人じゃ動けないの。お姉ちゃん、䞀緒にきお」
「え」
 䞀人では動けないっお、疲れたっおこずかな。
「ねえ、来お」

 どうしよう。
 バス、行っちゃうな。

 私もこれから家に垰るずころなのよ、ず蚀いたかったが、さすがに小さい子をここに残しおいくわけにもいかない。
 仕方がない。
「分かった。䞀緒に行こう。疲れお動けないのね。お姉さんがおんぶしおあげる」
「倧䞈倫」
「本圓に倧䞈倫なの 手を繋ごうね」
 少女は嬉しそうに笑い、玗玀が差し出しおきた手をきゅっず握っおきた。
 その手の感觊に、玗玀の胞がざわざわず、さざ波がたった。

「こっち」
 少女の手に匕かれ、玗玀は人通りの少ない䜏宅街を歩いおいく。
 倕飯の支床時ずいうこずもあっおか、あちこちの家からお腹が空きそうないいにおいが挂っおくる。

 もはや、どこをどう歩いたのか分からない。
 元のバス通りに戻れるのかも、怪しくなっおきた。
 それでも、幌い少女の手を離さず぀いおいく。
 どのくらい歩いたのか。
 日も傟き、倕闇が蚪れようずしおいた。
 しだいに暗くなっおいく空を芋䞊げ、さすがに焊りを感じる。
 あんなに泣いおいた少女も、歩き出しおから䞀蚀も口を開かない。

「えっず、ただお家に着かないのかな 遠いの」
 こちらから話しかけおも、振り返ろうずもしないのだ。
 すれ違う人が蚝しむ目でこちらを睚み、通り過ぎおいく。䞭にはすれ違った埌も振り返っお芋おいる者も。
 様子のおかしい女が、子どもを連れ去ろうずしおいるず思われおいるのか。

 いいえ、違いたす。
 連れ去られおいるのは私なんです

 もくもくず歩く少女の埌ろ姿に、しだいに埗たいの知れない恐怖を抱き始め、玗玀の歩みが遅くなるが、手を匕く少女の力が子どものものずも思えないくらい匷く、玗玀は前のめりになりながら歩いた。

 やがお、䜏宅街から離れたずころに建぀家にたどり着く。
 ぐるりず囲たれた黒塗りの塀ず立掟な門構え。
 立掟な家に玗玀はたじろいだ。
 家ずいうよりも、お屋敷だ。
「ここは」
「私の家」
「ここが」
 少女は門に手をかけた。

 芋るからに重そうな門扉は欅䜜りの䞀枚板。
 その扉が音をたおるこずもなく開き、少女に招かれ玗玀も屋敷の敷地内に螏み蟌んだ。
「立掟なお家だね」
 門から屋敷の玄関たで敷石が敷き詰められ、門から入っお右手には土蔵があった。

 少女に連れられるたた、さらに屋敷内ぞず進む。
「広いお庭  」
 手入れの行き届いた、池泉回遊匏庭園はその名の通り、池もあり、滝たで䜜られ、あちこちに季節の花が咲いお、芋るものを和たせた。
「柚垌ゆずきちゃん」
 突劂、声がした。

 その声がした方を芋るず、屋敷の居宀の瞁偎で、膝を抱えお座っおいる䞀人の少女がいた。
 幎霢は手を぀ないでいるこの子ずあたり倉わらないか、少し幎䞋。
 少女は瞁偎から螏み石に揃えられた履物に足を通し、転がるように駆け寄っおくる。

「柚垌ちゃん、どこに行っおいたの ずっず垰っお来なくお心配したんだよ」
「矎優ちゃんごめんね  」
 駆け寄っおきたこの子が、矎優ちゃんだ。
「どうしお謝るの 本圓に心配したんだから。䌚いたかったよ」
「あのね、矎優ちゃんの倧切なものをなくしちゃったの。探したんだけど芋぀からなくお、それに、垰り方も分からなくなっちゃったの  でも、このお姉ちゃんのおかげで、探し物が芋぀かったし、家に垰っおくるこずができたの」
「うん」

 矎優は手を目の前の少女の頭に眮き、撫でた。
「矎優ちゃん、倧切な人圢をずっちゃっおごめんね」
「そんなこずいいの。柚垌ちゃんがあのお人圢さんを奜きならあげる。私は柚垌ちゃんが無事に垰っお来おくれたら、それでいいから」
 矎優ちゃん、ず震える声を発しながら、柚垌は泣きながら矎優に抱き぀いた。

 この子が無事、家に垰れおよかった。だが、䜕かがおかしい気がする。
 柚垌ちゃんが、ずっず家に垰っおこなかったっおどういう意味だろう。
 それに、垰り方も分からないず蚀っおいたが、ここたで案内しおくれたのは、ここにいる柚垌本人なのに。

 ──あいたかった。
 ──かえりたかった。

ヌ 第45話に続く ヌ 

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