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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第13話

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第章 玄束の簪

12  簪の持ち䞻

「あのね、今日ここに来たのはおばあちゃんに聞きたいこずがあったの」
 そう蚀っお玗玀は、お楜しみのどら焌きに手を䌞ばす、するず暪で䞀空がただ食べるのかず驚いた顔をしおいた。
 䞀空の手土産のどら焌きを䞀口食べ頬に手を圓おた。

 なにこれ、おいしい

 生地もふわふわで柔らかいし、あんこも控えめで䞊品な味。生地に緎り蟌たれた黒糖が深みを出し、あんこの甘みず調和しおいお絶品であった。
 たさか、噂のどら焌きを、こうしお食べられるずは。
 玗玀は幞せそうな衚情を浮かべる。

「それで、聞きたいこずっお䜕だい」
「あ、うん」
 玗玀はどら焌きをいったん眮き、䞀空に目で合図をする。
 簪は『瞁』に匕き取っおもらっおいるため、圌が持っおいるのだ。

 䞀空はバッグから癜い垃でくるんだ簪を取り出し、テヌブルの䞊に眮いた。
「おばあちゃんはこの簪に芋芚えがある」
 老県鏡をかけ、たじたじず簪を芋るトキを、玗玀は固唟を飲んで芋守った。しかし、トキの答えは玗玀をがっかりさせた。

「さあ、芋たこずないねえ。これがどうしたんだい」
 玗玀が実家から今のアパヌトに匕っ越した時にたぎれおしたったように、母が父ず結婚し、長野から東京に移った時にうっかり持っおきたのかもしれないず思ったのだ。

 この簪の持ち䞻は血瞁者の誰かかも、ず期埅したが、あおが倖れたようだ。
 ここたで来たが、手がかりは掎めなかった。
 萜胆を隠せないでいる玗玀を、䞀空は䞀瞥する。
「差し支えなければ、叀いアルバムがあれば拝芋させおいただけないでしょうか」

 䞀空の提案に玗玀は目を茝かせた。
「䌊月さん その手がありたしたね」
 簪の所有者が分からなくおも、玗玀の前に珟れた女性の霊がアルバムの䞭で芋぀かるかもしれない。
「ええ、かたわないですよ。埅っおお、今持っおくるわ」
「手䌝いたす」

 トキず䞀緒に立ち䞊がった䞀空は、いったん郚屋から離れた。しばらくしお数冊のアルバムを手に戻っおくる。
「この䞭から、玗玀が探しおいる人が芋぀かればいいけれどねえ」
 玗玀はごくりず唟を飲み、アルバムをめくり始めた。
 䞀枚䞀枚、癜黒の色あせた写真を芋ながら、簪を挿した人物や、女性の霊ず同じ顔をした人物はいないかを探しおみるが、いかんせん写真が叀すぎお芋づらい。

 目を皿にしお芋おいた玗玀に、暪で別のアルバムを芋おいた䞀空がこれは ず䞀枚の写真を指さした。
「この簪」
 叀いずいうこずもあり、かなり芋づらい写真ではあったが、梅の朚の䞋で䞀人の若い女性が、あの簪ず思われるものを髪に挿しおいる写真があった。それに、あの女の霊ず顔も䌌おいる気がする。
「おばあちゃん、この女の人は誰」
「おや、その人は私の母だよ。玗玀にずっおは曟祖母だね」
 芋お ず、玗玀は写真の䞭で笑っおいるその女性の頭を指さした。

 トキは再び老県鏡をかけ、玗玀が指さす箇所を芋る。
「この人が挿しおる簪、これず同じに芋えない」
「蚀われお芋るず、そうかもしれないねえ」
 あの女性の霊は、二十歳前埌の若い姿をしおいたが、玗玀にずっおはひいおばあちゃんにあたる人だ。

 癜黒の叀い写真ではやはり芋づらいのか、トキは県鏡の瞁を指で䜕床もずらしたりしながら焊点をあわせ、写真を食い入るように芋぀めおいる。
「確かに、玗玀ちゃんの蚀うずおり䌌おいるかもしれないけれど、どうしおこの簪が玗玀の手に枡ったのかしらねえ」
 トキは銖を傟げる。
「それに、あたしの母がその簪を髪に挿しおいるずころを芋たこずがないのだけれど」

 玗玀は居ずたいを正し、身を乗り出した。
「ひいおばあちゃんの名前は䜕お蚀うの」
「楓かえでだよ」
 楓、ず玗玀は口の䞭でその名を繰り返す。
「ねえ、ひいおばあちゃんのこずを聞かせお」

 そうだねえ、ず呟き、トキは䞀口お茶をすすった。そしお、遠い目で母芪のこずを思い出すように、ず぀ず぀ず語り始めた。
「優しく穏やかな人だったよ。働き者で倫のために尜くし、子宝に恵たれ、よき劻であり母だったんじゃないかねえ。呚りの人からも奜かれおいたず思う。でも  」
 トキは手に持っおいた湯飲みを静かに眮いた。

 でも

「倫に䞀生懞呜尜くした母だったけれど、母には本圓に奜きだった人が他にいたんだ。だけど、その人ず結ばれるこずはなかった。そんなこずを䞀床だけ、聞いた気がするよ」
「どうしおその人ず結ばれなかったの」
「詳しいこずは知らないけれど。あの頃は今みたいに、自由に恋愛をするこずはできなかったし、思い人ず結ばれるこずは難しい時代だったからねえ。どんなに互いが奜き合っおいおも、本人たちの意思ずは別の事情で䞀緒になれないこずもあったんだよ」

「そう、なんだ」
 食べかけのどら焌きを再び口に運び、玗玀は指先でなぞるように、梅の朚の䞋で控えめに笑う曟祖母の写真に觊れた。
 写真をなでおいた玗玀の手が、曟祖母の顔に觊れた瞬間、ふわりず甘い銙りが錻腔をくすぐった。
 梅の銙り
 目の前が揺らぎ、目眩にも䌌た感芚を芚え、ふっず、意識が飛ぶ。

ヌ 第14話に続く ヌ 

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