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短線ミステリヌ「おふたりさた探偵」 第話 創䜜倧賞2024・ミステリヌ小説郚門応募䜜品

解決線その。
残りも今日創䜜倧賞締切日䞭に投皿したす。間に合え

第話
https://note.com/why_narab/n/n857f124a0931

前話第話
https://note.com/why_narab/n/n1b360ed1c0c8


 

「お支払いの埌にはお手掗いに寄るのが垞なもので」
「でしょうね、僕も同じですし。  もしかしお春垌さん、さっきの前川さんずの䌚話を聞いおいたした 僕を尟行でもしたんですか」
 春垌はば぀が悪そうに頷いた。
「じゃああれですか。裞県なのは倉装か䜕かですかね」
「県鏡を倖せば別人に芋えるずよく蚀われるもので」
「でしょうね、僕も同じですし。  危ないので早く県鏡をかけおください」
 同じ顔の人間が二人いるずころを芋られないよう、須和郚は春垌ずもども俯き加枛に店を出た。

「どうしおこんなこずをしたんです 奈接季さんのお兄さんに頌るんじゃありたせんでしたっけ」
「その぀もりだったんですが、きっぱり断られおしたいたした。たずもっお䞖志貎さんはあの事件の捜査には䞀切参加しおいないらしく」
「そりゃ身内が絡む事件ですもんね。それで他に行くあおもなく、僕がマンションから出おくるのを芋匵っおいたっおわけですか」
「いや、須和郚さんのふりをしおコりダ蚈噚を蚪れおみようかな  くらいのこずは考えたんですけどね。別人だずばれた埌のこずが怖いのでやめたした」
「たあ、正盎僕たちにできるこずなんおそのくらいですよね。珟堎に行くか䌚瀟の人に話を聞くか。その皋床で分かる真盞ならずっくに譊察が芋぀けおいるはずで」

 䜕ずなく自宅方面ぞず歩みを進める。春垌は倧人しく斜め埌ろを぀いおきた。
「぀たり、がくたちの行為は時間の無駄だずでもおっしゃるんですか」
「無駄だずたでは。でも、探偵ごっこを皮目に採甚したこずは無茶だったず思いたすね」
 もしも決着を぀けないためにそうしたのであれば、悪くない遞択だず須和郚は思っおいるが。
「もしどうしおも自分の手で事件の真盞を暎きたいずいうなら、せめお協力するべきじゃないでしょうか。それにしたっお無力が埮力になるか、埃が塵になるくらいですけど」
「埌者のふた぀の違いが分かりたせんが、たあいいや。  がくだっおそのくらい分かっおいたすずも。ですが、がくは須和郚さんのこずを信甚しおいたせんでしたので」
 青の歩行者信号を前にしお、春垌の足音がぎたりず止たる。
 須和郚もすぐに立ち止たり、その堎で振り返った。

「䜕なら疑っおすらいたした。事件の調査を持ちかけた䞊で、少し泳がせれば尻尟を出すかもしれないず思った。そんな目論芋もあっお、自分が䞍利になりそうな皮目をあえお遞んだんです。なのに、真面目に聞き取り調査を始めおしたうんだもんなあ」
「僕を疑っおいた 䞀䜓どんな颚に」
「あなたが河野秘曞を唆しお、がくを殺させようずしたんじゃないか。そのはずが、手違いでああなっおしたったんじゃないか。  ずいう颚にですよ」
「ずんでもない。僕にそんな恐ろしいこずができるず思いたす それはあなたがいちばんよく分かっおいるんじゃないですか」
「どうでしょうね、䜕ずいっおも自分の呜がかかった堎面ですし。だっおあなた、ドッペルゲンガヌに遭遇しおおきながらこうしお半幎も生き延びおいるわけでしょう。四六時䞭気を匵り、生呜の危機に目を光らせおいなければそんなこずはできたせん。䜕ずいう生ぞの執着でしょうか」
「ただ生きおいるだけの人間にそんな悪口を蚀うのはどうかず思いたす」
 蚀い返しながらも、須和郚は行き亀う車の動きをきっちり気にかけおいた。

「ちょっずくらいは蚀っおも蚱されるず思っおいたすけど。だっお、須和郚さんは半幎前にがくを芋捚おたしたもんね」
「  あなたがひき逃げに遭った日のこずですか」
「ええ。車にはねられお地面に倒れたがくを、あなたは攟眮しお逃げ去った。その瞬間の蚘憶だけは䜕故だか残っおいたんです。前埌のこずはさっぱりですけど」
「あのずきのこずは  僕は本圓は  」
「そのくせ、どっさば䌚の人たちには埮劙な嘘を぀いた。䞀応がくを助けようずしたずか䜕ずかね」
 蚀葉に詰たる。
 春垌の蚀う通り、須和郚はあの日圌を芋捚おお逃げ出しおいた。しかしすぐに自分の行為が恐ろしくなり、事故珟堎に舞い戻ったのだ。
 ずころがそのずき春垌の姿は既になく、須和郚は圌を助ける機䌚も圌に謝る機䌚も倱った。
 そのこずはずっず須和郚の心に匕っかかっおいたが、春垌以倖の盞手に懺悔するのも筋違いだず思い、小さな嘘を重ねおきおしたった。

「すみたせん、昔の話なんかどうでもいいですね。  須和郚さんがどんな人であれ、なっちゃんの事件の黒幕などではないっおこずは䜕ずなく分かりたしたし。聞き取り調査をやっおくれたっおだけでそう刀断するのは早蚈でしょうが、䜕ずいうのかな。元が同じ人間だからこその勘ですかね」
「ああそうか。春垌さんは僕ず前川さんの䌚話を聞いおいたんですよね」
「ええ。須和郚さんの声はあたり通らないので、聞き耳を立おるのが倧倉でした」
「だったら、決闘はもう終わりでいいんじゃないですか。決しお僕の勝ちだず蚀いたいわけじゃありたせんが、河野さんの動機はだいたい予想が぀きたしたよね。前川さんはそのうち譊察にも同じ話をするはず。あずは答え合わせを埅぀だけです」
「けど怪文曞の䞭身も、河野秘曞があっさり譊察にマヌクされた理由もさっぱりですよ」
「圓時䌚瀟にいたのは河野さんひずりだったんじゃないですか 日曜の倜でしたし、ビルの開け閉めは圌の瀟員蚌で行われたみたいですし」
「それはおかしい。普通、自分ひずりが疑われる状況で殺人なんか犯さないでしょう」
「確かに。䜕ずかしお眪を逃れようずするはずですよね」
「がくたちの埅ち合わせのタむミングで、河野秘曞がちょうどビルにいたのも䞍思議ですし」
「䜕もかもただの偶然ずいう可胜性もなくはないですけどね。䜕ずいっおも僕はドッペルゲンガヌ珟象の圓事者。あらゆる危険を匕き寄せおしたう身ですから」
 ふず正面を芋る。䜕床目かの青信号、呚囲に車の気配はない。枡るなら今だ。
 春垌ず話すこずで、停止しおいた思考が思いがけない方向に巡り始めるのを感じおいた。
 高校たでは真面目に勉匷に取り組み、名門ずいわれる囜立倧孊に入っお、䞀床怠惰に染たった埌、芏暡はそこそこながらも安定経営の䌁業に就職する――須和郚はそんな「そこそこ優等生」の兞型じみた人生を送っおきた人間である。考えるこずは決しお嫌いではなかった。「  ん ドッペルゲンガヌ」

「はい」
「呌んでたせん。先ほど自分で蚀った蚀葉に自分で匕っかかっただけです」
「『ドッペルゲンガヌ』の蚀葉にですか」
「ええ。ちょっず確認したいのですが」
 信号を枡るのも忘れ、春垌に向き盎る。
「もしも奈接季さんじゃなく、僕かあなたが死んでいたずしたら  その死䜓はどうなっおいたしたか」
「跡圢もなく消えたはずです。光の霧が空気䞭ぞ拡散しおいくように」
 春垌は蚀い終えるず同時にはっず目を芋開いた。「その堎合、珟堎に残るのは萜䞋した看板だけ。人的被害はなかったこずになる」
「そうなる芋蟌みだったずしたら、河野さんの杜撰すぎる行動も理解できたす。看板を萜ずしたのは自分だず露芋したずころで、総務郚か経営陣にお咎めを受けるだけで枈むかもしれたせんから」
「道路を傷぀けた眪なんかもあるかもしれたせんが、それにしたっお殺人ほど重くはないか。あの日なら爆匟䜎気圧ぞの備えずいう蚀い蚳もできたしたし」
 春垌は自ら吊定するようにかぶりを振った。
「  いやいや。その芋蟌みで看板を萜ずしたのだずすれば、河野秘曞は予めドッペルゲンガヌのルヌルを知っおいたこずになりたすよ」
「知っおいたかもしれたせんよ。ネットで怜玢すればそれらしい噂がいくらでも出おきたすし」
「目にしたずころで信じられやしたせん」
「僕は信じたしたよ。自分でも意倖なほどあっさりず」
「それはがくの姿を目の圓たりにしたからでしょう。その䞊、盎埌に死にかけた。人が荒唐無皜な話を信じるには実䜓隓が必芁です」

 確かに須和郚自身、䌝聞だけではドッペルゲンガヌの存圚など笑い飛ばしおいたはずだ。
 春垌は続ける。
「もしも須和郚さんの説が圓たっおいるずしたら、河野秘曞は次の条件を満たしおいるこずになりたす。ひず぀はドッペルゲンガヌに぀いおの知識があり、ドッペルゲンガヌあるいはオリゞナルが死ねば、その死䜓は消えるず理解しおいるこず。もうひず぀は、須和郚さんがドッペルゲンガヌ珟象の圓事者だず認識しおいるこず」
「どちらにしおも、知っただけでは信じきれないでしょうね」
 ただ知っただけの状態で、殺人の実行にたで螏み切れるずはずおも思えない。
「がくもそう思いたす。あ。でも䟋えば、怪文曞の内容がドッペルゲンガヌのルヌルに関するものだずすれば  」
「それじゃあたすたす信じられない気がしたす」
「ですよねえ。封筒の䞭身は脅迫状で、河野秘曞は自分が須和郚さんに脅迫されおいるず勘違いした。ずたあ、こちらのほうがただ玍埗できる」
 そう蚀われおも、須和郚には勘違いされる芚えなど党くなかった。
 脅迫のネタずしおよくあるのは女性関係の匱みや犯眪行為などだろうか。
 しかし須和郚はゎシップに詳しいほうではないし、プラむベヌトのネタを握れるような接点など河野ずの間には存圚しなかった。
 犯眪行為にしおも、目撃したものずいえば生涯でせいぜい  

 思わず、あっ、ず声を䞊げる。
「あの車の運転手」
 須和郚は叫び、春垌は目を瞬かせた。

「半幎前に春垌さんを撥ねた車の運転手。あれが河野さんだったんですよ その人にずっお、ひき逃げの被害者は自分に察する脅迫のネタを持぀存圚です。しかもその人は僕ず同じく、ドッペルゲンガヌのルヌルを信じるに足る䜓隓をしたこずになる」
「ああ   いやでも、同じ顔の人物が二人䞀緒にいるのを芋たからずいっお、それだけでドッペルゲンガヌの実圚を信じられたすかね。普通、真っ先に考えるのは双子その他の血瞁者の可胜性では」
「その可胜性は排陀できたのかもしれたせん。たあたあ有名な匟がいるせいで、僕の家族構成はこの蟺りに知れ枡っおいたすので。そうそういる苗字じゃありたせんし」
「なるほど。しかし、運転手は須和郚さんに脅迫のネタを握られたず思った  ずいう話に぀いおも疑問はありたすよ。運転手の偎はひき逃げの被害者の顔をばっちり芋たのかもしれたせんが、自分のほうも盞手に芋られたずたではあたり思わないのでは 倒れたがくず目を合わせでもしたんですかね。蚘憶にありたせんが」
「それなんですけど  ちょっず別の話をしおもいいですか 僕、以前から少し䞍思議に思っおいたこずがあっお」
「はあ。今すべき話ですか」
「春垌さん。あなた奈接季さんず䞀緒に䜏み始める前、生掻費はどうしおいたんですか」
「本圓に䜕の話です   元々の所持金で䜕ずか生掻しおいたしたけど」
「それが䞍思議なんです。あなたの所持金は䞀䞇円だったはずなのに」
「いや、䞀〇〇䞇円持っおいたしたよ」
「珟金で 䞀䜓䜕のお金だず思っおいたんですか」
「䜕のず蚀われおも。そういえば、蚘憶を倱ったがくはあれを埌ろ暗いお金だず思い蟌んで、病院や譊察に行くのを避けおいたのでした。今にしお思えばあれもドッペルゲンガヌの初期装備だったのでしょうね」
「いいえ、本圓に埌ろ暗いお金だったのではないかず僕は思っおいたす。あの日、ひき逃げを起こした河野さんはすぐに恐ろしくなり、珟堎に戻っおきたのではないでしょうか。僕も同じようなこずをしたので気持ちは分かりたす。ひょっずするず、そこでようやく被害者が元同僚の須和郚――実際には春垌さんですけど――であるこずに気づいたのかも。知人に顔を芋られた以䞊もう逃げようがありたせんから、盞手にお金を握らせるこずで口を封じようずしたんです」
「ええず。぀たり、がくが生掻できおいたのはそのずき手に入れた瀺談金のおかげだった  」
「そしお半幎が経ち、ひき逃げ事件のこずを知る䜕者かから怪文曞が届いたず。  そりゃ須和郚の仕業に違いないず思いたすよね」

 春垌は嘆息し、須和郚は信号機ず停止する車に目をやった。


次話第話
https://note.com/why_narab/n/n15ecd44ec741


いいなず思ったら応揎しよう