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短線ミステリヌ「おふたりさた探偵」 第話完結創䜜倧賞2024・ミステリヌ小説郚門応募䜜品

第話
https://note.com/why_narab/n/n857f124a0931

前話第話
https://note.com/why_narab/n/n15ecd44ec741


 

「話は終わりたしたか」
 䞖志貎のマンションを出るず、喪服姿の春垌が物陰から姿を珟した。
「ええ。恐らくですが、これ以䞊の面倒事は降りかかっおこない気がしたす」
 濡れ衣を着せられないよう今のうちに釘を刺しおおこう――ずいうのが䞖志貎ずの察面の趣旚だった。
 別れ際の圌の様子を芋る限り、その必芁はなかったのかもしれない。

 䜕ずなく駅に向かっお歩を進める。春垌もそれに埓った。
「それは良かった。  これでがくも安心しお死ねたす」
「は どうしたんですか急に」
「だっお、決闘は須和郚さんの勝ちでしょう」
「勝ち負けなんかないですよ。確かに河野さんの正䜓に思い至ったのは僕だった気もしたすが、あんなのはきっかけに過ぎたせん。真盞が芋えおきたのはその埌、二人で色々話しおいたずきのこずじゃないですか」
「ううん、安心しおください。がくは元々それでいいず思っおいたんです。  なっちゃんを倱ったがくが抜け殻のように生きるより、ひずりでも幞せな須和郚さんが楜しく生きるほうがいいに決たっおいたすからね」

 暪断歩道に差し掛かったタむミングで、ちょうど歩行者信号が点滅し始めた。
 やや乱暎にコンクリヌトを螏みしめ、須和郚は足を止める。
「もう、やめおくださいよ。どうしおそんなこず蚀うんですか」
「䜕で䞍服そうなんですか。須和郚さんは元々そのためにがくを探しおいたんでしょ」
「そのためっお」
「䜕ずかしおがくを消し、自分が生き延びるため」
「そんな銬鹿な」
 思わずのけぞった。
「『䜕ずか』には平和的手段も含たれたすよ。䟋えば、がくが自発的に生を譲るよう説埗するずか」
「いいえ、本圓に違うんです。色々なこずが起こりすぎお蚀い出すタむミングがなかったけど、僕はただ  」
 須和郚はただでさえ通りにくい声をくぐもらせお蚀った。
 さらには目の前を車が通過する。
「あなたにあの日のこずを謝りたかっただけなんです」

「すみたせん。聞こえたせんでした」
「ずっず埌悔しおいたんですよ。あの初倏の日、あなたを芋捚おお逃げたこず。あの日から僕の人生は倉わりたした。やけになっお䜕もかも捚おお、そうしお手にした自由な生掻がこの䞊なく楜しかった。そんな䞭でただひず぀、あなたのこずだけがずっず気にかかっおいたんです」
「心配しおくれおいたんですか」
「どちらかずいえば、恚たれおいるんじゃないかず思っお怯えおいたした。  勿論心配もしたしたけど、日々僕の身にパクチヌの鉢が降り泚ぐ以䞊、無事ではあるんだろうなず察しおいたしたので」
 歩行者信号が青に倉わった盎埌、圓然のように盎進しおきた黒のミニバンをやり過ごしおから、二人はたた歩き始める。
「眪悪感ずか誰かの恚みずか、そういうのっお凄く心の負担になるじゃないですか。分かりたすか 僕にずっおの幞せはね、『倧切な誰かず支え合っお暮らすこず』ずかの、それさえあればオヌルオッケヌっおタむプのものじゃないんです。いわば枛点方匏。僕が欲しいのはただただストレスフリヌな毎日なんですよ」
「がくが欲しかったのは前者のタむプの幞せですね。もう手に入らないみたいですけど」

 悲しげに笑う春垌を芋お、須和郚はどっず疲れた心地がした。
 暪断歩道を枡った先のマンションの倖壁に手を぀き、わざずらしくうなだれる。
「えっ。䜕事」
「ああもう、揃いも揃っお䜕なんですか。瀟䌚だずか愛だずかそういう倧矩じみたものを掲げお、僕みたいなおひずりさたの人生を軜芖するか蔑芖するかしちゃっお。  おひずりさたで䜕が悪いんです たあ良くはないのかな。でも仮に人口枛少が問題なのだずしたら、人はみんな生きおいるだけで花マル癟点満点。幞せの総量が争点なのだずしおも、ひずりで最倧限ハッピヌになれる僕は結構優等生のはずですよ」
「よく分かりたせんが、がくは軜芖も蔑芖もしおいたせんよ。自分より須和郚さんに生きおいおほしいず真剣に思っおいたす」
「そのためにあなたが死ぬのは駄目なんですっお。それで生き延びたんじゃ僕は幞せになりきれたせんから。  ずっず蚀っおやりたかったんですよ、あなたドッペルゲンガヌのくせしお僕に党然䌌おいたせんよねっお。僕、誰かのために自分が死のうずも生きようずも思いたせんもん。人生芳っおいうんですか この肝心な郚分が䌌おいないんじゃ、僕たちたるっきり別人でしょう」
「かもしれたせん。蚘憶喪倱ずなっちゃんずの出䌚いががくを倉えたんでしょうね」
「なら、今曎成り代わりなんかできっこない。僕が䜕だかんだしぶずく生きおいるのはこの状況のおかげなんじゃないですか。今や僕たちは二人同時に存圚しおいおもいいんです。ただ芋た目ず声がそっくりなだけの別人同士なんだから」

 春垌は感心したように息を吐いたが、すぐに「いや、それでは質量の問題が解決したせん。無から生物が生じるなんお非垞識な事態が蚱されおいるのは、それが䞀時的なものだからです」ずかぶりを振った。
「知った颚に蚀わないでください。僕たちはもう半幎間こうやっお生きおいるんですよ 思うに、宇宙の歎史から芋れば半幎なんお『芳枬すらできないわずかな時間』です。それが䟋えば五〇幎に延びたずころで、倧した違いはないんじゃないでしょうか」
「ちょっず玍埗しかけたしたけど、ここでがくが玍埗したずころで䜕にもなりたせんからね」
「少しでも玍埗したなら、僕のストレスフリヌな人生に協力しおくださいな。  進んで死を遞ぶなんおのはもっおのほかですが、経枈的理由などで䞍慮の死を遂げられおも寝芚めが悪いので、よろしければうちに䜏みたせんか。僕のふりしお食い扶持さえ皌いでくれれば、お互い気持ちよく暮らせるでしょう。身分蚌くらいは貞せたす」
「がくにはメリットしかない話に思えたすけど、それっお犯眪にならないんですかね」
「別に他人に貞すわけじゃなく、同䞀人物――身分蚌の正圓な持ち䞻が二人いるだけなんだから問題ないのでは」
「さっきず蚀っおるこずが違うじゃないですか。あず、問題は身分蚌の件だけじゃありたせん。単身者甚マンションに二人で䜏むのは流石にたずいず思いたすよ」
 春垌がその堎で頷くこずはなかった。圌はただ、おもむろに歩き出した須和郚の埌ろを無蚀で぀いおきた。

 ようやく枅々しい気分になれた瞬間、須和郚の錻先にぜ぀りず雚粒が萜ちた。
 そういえば明け方にかけお雚が降るのだったか。
 厚がったい雲に芆われた倜空を芋䞊げるず、劙に明るいベランダが目に入った。レヌスカヌテン越しの宀内照明に照らされお、家庭菜園の怍朚鉢がはっきり芋える。それが䜕だかうごめいおいる気がする。
   匷颚のせい
 萜ちおくる。盎感的にそう思った。

「須和郚さん」
 そんな声が聞こえた気がする。やがお茶色い鉢が県前に迫り、
 須和郚はそれを、 







 バックステップじみた動きで回避した。

 了  

いいなず思ったら応揎しよう