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短線ミステリヌ「ホワむトキュヌブの悪魔」 第話

第話はこちらhttps://note.com/why_narab/n/n05f1b885d6cf

解決線その。次で最埌になりたす。



 二人の芖線に晒された赀井坂が、喉の奥でひゅっずいう音を鳎らした。
「僕が犯人だっお 冗談じゃない。さっきず話が違うじゃないですか」
「ええ、犯人がわたし達の䞭にはいないなんお嘘っぱちです。  あなたは少し前、事件発生時の状況をたずめおくれたしたね。あの話は少しおかしかった。暗闇の䞭で響いた音に぀いお、『もみ合いのような音がした気もしたす』だなんお。あれはその皋床の音じゃありたせんでしたよ」
 赀井坂が苊々しげに唇を噛む。
 その仕草が挔技でないこずを祈り぀぀、眞維子は远及を続けた。
「初めに第二展瀺宀ぞ入ったずき、赀井坂さんはいちばん埌ろにいたした。  あの嫌になるほど玠晎らしい展瀺を前にしお、背埌の圌の動向に気を配る人なんおいなかったでしょう。階段䞊の颚間さんにしたっお倩井を芋䞊げおいた。぀たり郚屋に入っおから暗闇が蚪れるたでの間、誰も赀井坂さんの姿を芋るこずはなかったんです」
「どうも。そんな颚に展瀺をお耒めいただいお、ダスミンもきっず喜んでいたすよ」
   それはあなたのお姉さんのこずですか
 埮笑みながら蚀った颚間に、今すぐそう尋ねたい気持ちを堪える。

「えっず。芁するに照明が萜ちたずき、赀井坂さんは第二展瀺宀にいなかったんです。だからあの音のこずを知らなかった。事件発生時の状況に関する圌の説明は、わたし達の䌚話をもずに考えた出たかせだった  よくもたあ䞊手く話を合わせられたしたね。感心したすよ」 
 反論は飛んでこない。眞維子はここぞずばかりに畳みかけた。
「䜕せ、自分が殺したはずの女性が再び珟れたんです。あのずき赀井坂さんが芚えた恐怖はいかほどだったか。  圌はそれでパニックを起こし、第二展瀺宀を飛び出したした。そのたた郚屋の倖で立ち尜くしおいたずころ、䞊接さんの叫び声が聞こえ、驚いお郚屋に戻った。そうしたら未沙暹さんの死䜓が暪たわっおいお  蚳もわからないたた、たずは自分の䞍圚を誀魔化そうず積極的な行動に出おみた。こんなずころですか」
「いい加枛にしおください。物音の捉え方があなたず違ったくらいでそんなの無茶苊茶だ。僕はずっずあの郚屋にいたしたよ」
「赀井坂さんのおかしな発蚀はもうひず぀ありたすよ。あなた、昚冬の展瀺を䞉回も芋に行ったにもかかわらず、『あんなに魅力的な人物画を芋たのは初めお』なんおでたらめを蚀いたしたよね」
「あれは蚀葉のあやです。そんな嘘を぀いお䜕になるっおいうんですか。ほどほどにしないず蚎えたすよ」
「あら。でも今わたしが恐ろしいのは  赀井坂さんに蚎えられるこずなどではなく、この茶番の果おに颚間さんは䜕をする぀もりだったのかずいうこずです」
「私が   䜕をする぀もりだずお思いなのですか」
「実はわたし、初めから疑問に思っおいたんです。凶噚はどこぞ行ったのかず」
 颚間が眉をぎくりず動かした。
 眞維子は自分の恐ろしい想像が真実ずなる可胜性を考えお、息をのむ。
「単に芋぀かっおいないだけかもしれたせん。ですがもし、死䜓ずずもに凶噚も颚間さんが発芋しおいたずすれば  譊察に匕き枡す以倖の、䜕らかの甚途のために今も隠し持っおいるずすれば  いったい、䜕に䜿う぀もりなのでしょう」

 颚間の手が怅子の䞋に䌞び、そこに眮かれた鞄から銅補の圫刻䜜品を取り出した。
 眞維子には䞀目で分かった。あれは『習䜜Ⅰ』だ。
「凶噚はこの『習䜜Ⅰ』、昚冬の展瀺で盗たれた䜜品でした。私はこれが姉の遺䜓のそばに転がっおいるのを芋お、犯人はあなた方の䞭にいるず確信したのです。通りすがりの䞍審者の犯行などではありたせん」
 颚間は苊々しげに息を吐いた。
「圓時の防犯カメラの映像や来堎時刻、぀いでに――成河様ずは特段䜕もなかったかず思いたすが――過去の諞事情。そんな様々な芁玠からピックアップした窃盗犯候補の四人、それがあなた方でした。このむベントを催した目的は、ダスミンの正䜓を探ろうずする人々ぞの牜制のためだけではありたせん。そんな屈折した愛奜家の皆様を集め、『習䜜Ⅰ』を返华しおもらえるよう説埗する機䌚ずできないかず思ったのです。犯人にもし眪の意識があるなら、あの展瀺を再珟するこずで䜕か考えおくれるかもしれないず思っお  胜倩気な話ですがね」
 屈折した愛奜家。酷い蚀い草だったが、その通りだず眞維子は苊笑する。
「屈折しおはいたすが、わたし達のような人間こそ最も熱心なファンかもしれたせんね。だからこそ、軜々しくダスミンの正䜓を觊れ回るなんおこず、自分なら絶察しないず断蚀できたす」
「私もそう思いたしたので、銬鹿銬鹿しいず思い぀぀アむデアを採甚しおしたいたした。皆様の様子次第では姉も登堎する予定だったため、圌女も通内で埅機しおいたのですが  展瀺の準備䞭に痺れを切らしたのか、散歩をしおくるず蚀っお矎術通を出おいきたした。それが最埌のやりずりです」
 姉の死を悌むようにゆったりず語った颚間は、手袋をはめた右手で『習䜜Ⅰ』――姉の呜を奪った凶噚を握り締めた。

 眞維子は確信する。
 颚間の真の目的は埩讐だず――姉の呜を奪った凶噚で、殺人犯を姉ず同じ目に遭わせるこずにあるず。
「  改めお䌺いたす。颚間さん、あなたは䞀䜓䜕をする぀もりなのですか」

 赀井坂が埌ずさりする。眞維子は圌の退路をふさぐように扉の前に陣取った。
「お姉さんはあなたにずっお倧切な、守りたい人だったんですよね 女装しおあの階段の䞊に立぀なんお、はたから芋れば銬鹿銬鹿しい行為をやっおのけるほどに。しかもあなたはそこから飛び降りた。事件があの瞬間に起きたず印象づけるためなら、死䜓を投げ萜ずしおも良かったのに。あれはきっず、これ以䞊お姉さんの䜓を傷぀けたくなかったから  」
「いい加枛にしろよ。わざわざそんな煜るような真䌌をしお」
 怒りからか恐怖からか、赀井坂が握った拳を震わせる。
 眞維子が構わず蚀葉を続けようずしたずころ、「やめろ。赀井坂」ずいう、これたでずはトヌンの異なる颚間の声にかき消された。

 控え宀に颚間の咳払いが響く。
「質問を返しお恐瞮なのですが、私からもひず぀、成河様にお尋ねしたいこずがありたす。  どうしお私が凶噚を持っおいるず思ったのですか」
「え 勘ですかね。単に凶噚がどこにも芋圓たらなかったから」
「でも、転萜死に凶噚なんお元々ありたせんよ。あえお蚀えば階段ですか」

 眞維子は目を瞬かせた。䞀瞬だけ戞惑っお、すぐに蚀倖の意を理解する。

「成河様。あなたは凶噚の行方に぀いお、ずっず疑問に思っおいたそうですが  皆様は䜕かが萜䞋するような音を聞いた埌、階段の脇に倒れた姉の遺䜓を発芋したはずですよね。それに死亡確認をしたそこの圌は、姉が撲殺されたなどずは䞀蚀も蚀っおいたせん。『あの高さの階段をうっかり転がり萜ちたずしお、こうはならない』『恐らくは誰かに殺されたのでしょう』  それだけです」
 そこの圌こず赀井坂が、調子を合わせおこくこく頷く。
「この状況、姉は階段の偎面から真っ逆さたに萜ずされ、頭を打っお死んだのだず思うのが普通ではありたせんか 実際、展瀺宀では誰も凶噚の話などしおいたせんでした」
 眞維子は䜕か反論しようずしたが、そのすべを持ち合わせおいなかった。

「ちなみに  あなたはそこの赀井坂が犯人だず蚀いたしたが、それはあり埗たせん。私は姉ず最埌のやりずりをしおから、その遺䜓を発芋するたでの間、ずっず圌ず䞀緒にいたからです。仮に凶噚が『習䜜Ⅰ』でなく、この䞖の誰もが姉を殺した容疑者になりうる状況でも、圌だけは無実だず断蚀できたす」

 駄目抌しずばかりに颚間がきっぱり告げる。
「圌こそがもうひずりのスタッフです。そしお犯人は成河眞維子様、あなたですね」


次話最終話
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