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天気が悪くなると現れる、山のアイドル

——その日は、雨の中を黙々と下っていました。

山を歩いていると、ときどき思いがけない出会いがあります。

それは絶景だったり、誰かとの会話だったり。

そして、ときには山の人気者だったりします。

今回の相手は、ライチョウでした。


台風接近の剱岳

その日は一泊二日で剱岳へ。

本当は剣沢キャンプ場でテント泊をする予定でした。

ところが台風が接近しており、天気予報を見るたびに不安が大きくなります。

そこで予定を変更し、一日目のうちに剱岳へ登頂。

テントの受付でも、

「今夜は荒れそうだから小屋泊にした方がいいですよ」

と声を掛けていただきました。

素直に従い、劔山荘へ。

その判断は正解でした。

夜になると雨風はどんどん強くなり、窓の外では台風が通過していきます。

布一枚のテントではなく、小屋の中で過ごせたことに心から感謝しました。


雨の下山

翌朝も天気は回復せず、雨。

とはいえ、あとは下山するだけです。

カッパを着込み、黙々と歩き始めました。

景色は見えません。

立山連峰の大展望もありません。

ただ雨音だけが続いていました。


雷鳥沢へ下る途中で

ライチョウに出会ったのは、雷鳥沢へ下っている途中でした。

ふと視線を向けると、

そこにいたのは六羽のライチョウ。

六羽のライチョウ

雨に打たれながら、じっと休んでいました。

雨に打たれながらじっとしています

晴れた日にはなかなか会えないのに、

天気が悪くなると現れる。

まるで山のアイドルのようです。


雨の日だからこその出会い

ライチョウたちは動きません。

こちらも急ぐ下山ではなかったので、少し離れた場所から静かに眺めていました。

寒そうにも見えるし、

どこか落ち着いているようにも見える。

近づいても逃げませんでした

雨の中だからこそ見られた光景でした。

晴れていれば、きっと違う場所にいたのでしょう。

雨の日は景色こそ少なくなります。

それでも、その日にしか出会えないものがあります。


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実際に剱岳を歩いた山行記録はこちら
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まとめ

山へ行く理由は人それぞれです。

山頂だったり、稜線だったり、絶景だったり。

でも、あとになって思い出すのは、こうした予想外の出来事だったりします。

台風接近で予定を変え、

雨の中を歩き、

そして出会った六羽のライチョウ。

決して派手な出来事ではありません。

それでも今では、剱岳の景色と同じくらい印象に残っています。

山は晴れの日だけが特別ではない。

そんなことを教えてくれた出会いでした。

素敵な時間をありがとうございました。

ライチョウは『天気が悪い日の方が会いやすい』と聞きますが、この日ほどそれを実感したことはありませんでした。

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