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『ちいかわ』化する社会を「どうすればいいのか」

今日は箕輪厚介さんと対談してきた。内容は『ちいかわ』問題を枕にした「格差」についてのものだ。昨日書いたように、『ちいかわ』の社会現象化が示しているのは、端的に言って、アンダークラスの「諦め」を肯定するヒーリングだろう。鎧さん(人間)の管理下で、ブラックバイト(毒草とモンスターの駆除)によって日銭を稼ぎ、貧しい暮らしの中で「友だち」と食べるインスタントラーメンを至上の喜びにする「幸福」を提示する……。

これを、「鎧さん」の中でもやや下の層にいる準上級ホワイトカラーあたりをターゲットにバカ高い生活雑貨をECで売りさばきながら、「中くらいのゴキゲン」であれ、消費で心のバランスを取って社会に文句を言うなとことあるごとに主張し、「政治的な」発言をする人たちを皮肉る糸井重里さまがその天才的な嗅覚でこの作品を「絶賛」してみせるあたりとか本当に「地獄」なのだが、問題はその先にあるだろう。

要するに、ここで描かれているのは階級の身分化にほかならない。つまり、階級上昇の可能性が最初からないし、そうした動機そのものがあらかじめ排除されている。ちいかわたちのあの種族に、「鎧さん」になりたいという動機を持つものはそもそも存在しない(なんせ、別の種族に設定されているので)。これはそれこそ無意識のレベルで、アンダークラスはもうダメだから、余計なことは考えずにインスタントラーメン的な小さな幸せで満足しよう、というメッセージとして機能してしまうだろう。

で、今日考えたいのはさらにその先の話だ。この状態ーーつまり、メリトクラシーのゲームが加速して、ほとんどの人がピケティの不等式の右辺から左辺に移動(労働所得に依存する側から、資本所得を得る側へ)ほとんど移動できなくなる(階級の身分化)状況ーーに対して、僕がいま問題だと思うのは、左右を問わず、知識人のあいだで「共同体の相互扶助でなんとかしろ」と実質的に言ってしまっている人々が主流になっていることだ。それも、言説を商売にしている人のほとんどが、大学教授や起業家などの「鎧さん」や「でかつよ」の側なので、これもまた「地獄」だと思う。

要するに、再分配を機能させるのはもう難しいし、メリトクラシーを緩和すると勝ち組の自分たちが損をするので、下々の人たちは「仲間」をつくって慰め合え、と言っているようにしか僕には聞こえないのだ。(そして、多くの人はそのハートフルな外見に騙される。)

だから僕はやっぱり、階級移動が容易なゲームの再設計や、再分配の機能回復を諦めるべきではないと思う。

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僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…

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