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世界が認めたVISのAI創薬技術~学術論文発表によせて

note読者の皆さま、こんにちは。 Veritas In Silicoの中村です。
今日は、私たちの研究開発における大きな節目となる出来事をお伝えできることを、大変嬉しく思っています。この度、当社のCSOと研究員が執筆したAI創薬技術に関する研究論文が、世界的な科学専門誌『Small Science』に掲載されました(因みにサムネイルのイラストはCSOの森下が描いてこの雑誌に掲載されたものになります)。これは私たちVISにとって大きな一歩であり、研究開発に従事する者として誇りに思う瞬間です。


学術論文発表の意義——「知っている」「やってみた」そして「世界が認めた」へ

私たちは日々、AIとバイオロジーの最前線で研究開発を進めています。その成果が、世界中の科学者が読む学術誌に掲載されるということは、単なる「研究成果が発表された」以上の意味を持ちます。
学術論文は、厳しい「査読(さどく:専門家による評価)」を経て初めて掲載されます。そして今回の科学専門誌への論文掲載は、私たちの技術的アプローチや科学的根拠が、国際的な科学コミュニティから「客観的に見て信頼できる」と認められた証ともなります。
過去のnoteでもお話しした「知っているだけではダメ、やってみないと」という現場感の大切さ。今回、その「やってみた」結果が、世界で通用する「客観的に見て信頼できるもの」として認められたことは、VISの技術と研究に対する信頼性を大きく高めるものと確信しています。

VISの「AISLAR」とは?——“難しいRNA創薬”を効率化するAI技術

今回発表した論文は、当社のAI創薬を支えるスクリーニング効率化手法「AISLAR」(AI-augmented iterative screening of libraries against RNA targets)についてです。
VISは、mRNAを標的とする低分子医薬品や核酸医薬品の創薬に取り組んでいます。当社が研究対象としているRNAは非常に壊れやすい繊細な構造をしています。その「壊れやすいRNA」を扱う創薬は非常に難易度が高い領域です。特に、RNAに対して医薬品候補物質(化合物)がどのように作用するかを調べ、より良い物質に改良していく研究プロセスは、従来のタンパク質を標的とする創薬研究に比べて多くの手間と時間がかかっていました。
AISLARは、この手間と時間のかかるプロセスにAIを導入し、効率を飛躍的に高める技術です。具体的には、

  • スクリーニング効率を数倍に高める:医薬品候補物質の中から、高い活性が期待できるものを見つけ出す初期段階の研究スピードが大幅に向上します。

  • 「SAR」解析を可能にする:「SAR(構造活性相関)」とは、化合物の化学構造が少し変わると、その効果(活性)がどう変わるか、という関係性のことです。この関係性を解析することにより、より効果的で副作用の少ない薬を設計できるようになりますが、RNAターゲットではこの解析が非常に難しかったのです。AISLARは、SAR解析に適した化合物を効率的に見つけ出すことを可能にします。

  • 創薬難易度を劇的に引き下げる:AISLARを活用して効率的に創薬研究を進めることにより、mRNAを標的とする創薬の難易度が、従来のタンパク質を標的とする創薬と同程度にまで引き下げられる可能性が示されました。これは、これまで創薬困難とされてきた病気にも、新たな治療法の道を拓く大きな一歩となります。

つまり、AISLARは、当社が独自に開発した「特化型データ駆動AI」と実験技術を組み合わせることによって、これまで不可能に近かったRNA創薬における効率的な化合物設計を可能にするワークフローなのです。

研究の裏側にあるもの——VISのチーム力とデータ駆動型AI

今回の成果は、当社の研究員たちの長期間にわたる取り組みが結実したものです。実験、データ取得、モデリング、解析と、地道な作業の積み重ねがなければ、このような成果は生まれませんでした。コロナ禍の困難な状況の中でも、研究を前進させてくれた研究者チームに心から感謝しています。
VISはこれまで、mRNAを標的とした低分子医薬品という「創薬困難」な領域に挑戦してきました。その中で蓄積してきた類を見ない実験データと、近年開発に着手している「データ駆動型AI」を組み合わせることにより、AISLARのような新たなスクリーニング手法が生まれたのです。

この技術がVISの未来をどう拓くか

このAISLARをはじめとする当社のAI創薬技術は、私たちのプラットフォーム「aibVIS」をさらに強化し、共同創薬研究の可能性を広げるものです。mRNAを標的とした低分子創薬の可能性をより多くの方々に感じていただき、当社とともに様々な医薬品の創出に挑戦するパートナーが増えることを期待しています。
今回の論文発表は、VISの技術が世界に通用する科学的基盤を持っていることを示すものとなります。これからも、より多くの患者さまに一日も早く価値ある新薬が届けられるよう、研究開発に邁進してまいります。
今後とも、VISの挑戦にご期待ください。