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「知っている」と「やってみた」のあいだにあるもの——VISが大事にしたい現場感と失敗の共有

note読者の皆さま、こんにちは。Veritas In Silicoの中村です。
今日は、社内でも繰り返し伝えている「仕事の進め方」について、少しだけ言語化 してみます。研究職以外の方にも当てはまる内容ですので参考にして頂けたら幸いです。
技術そのものの話というより、VISがどんな姿勢で研究開発 に向き合っているか、という話になります。
私たちはAI創薬という領域にいます。どうしても「論文」「アルゴリズム」「理屈」の世界に見えやすい。もちろんそれらは重要です。ただ、実際に価値を生むのは、机上の理解だけでは足りない場面が多い。ここに、研究開発型企業の面白さと難しさがあると思っています。


「知っている」ことと「できる」ことは、驚くほど違う

何かを“知っている”状態と、実際に“やってみた”状態は、別物です。
教科書で勉強した内容、論文で読んだ方法、理論としての理解——これらは出発点として必要です。一方で、実務や実験に入った途端に、急に違う景色が見えてきます。
特に論文については、構造上どうしても限界があります。
論文には「うまくいかなかった仮説」や「失敗した実験」は基本的に載りません。現実の研究は、むしろそちらの方が情報量として大きいのに、です。
だからこそ、研究開発で本当に強くなるには、現場で手を動かして、失敗を含めた“実体験”を積む必要があります。VISが現場感を大切にする理由はここにあります。

VISが気を付けていること:大きく二つあります

社内向けにはいつももう少し踏み込んで言っているのですが、noteではポイントだけに絞ります。VISでは、特に次の二つを重視しています。

  1. 「現場で実務を行うこと」を重視する

研究でも開発でも、実際にやって初めて触れられる“本質”があります。
創薬は、頭の中で完結しません。データの前処理ひとつ、実験条件ひとつで、結果は大きく変わる。そこで問われるのは、単に賢いかどうかではなく、「現場の摩擦」を理解し、前に進めるかどうかです。
AI創薬の会社というと「ソフトウェアだけ作っているのでは」と思われることもありますが、VISはそうではありません。もちろんソフトウェアも重要です。ただ、創薬で価値を出すには、現場の研究開発と地続きである必要がある。これは、会社として意識的に守ってきた点です。

2.「失敗したこと」を共有する文化をつくる

もう一つ、VISがとても大切にしたいのは、失敗の共有です。
研究会議で「どれだけ成功したか」を発表することももちろん大事です。しかしそれ以上に価値があるのは、

  • うまくいくと思って、正しくやったのに、うまくいかなかった

  • どこがボトルネックだったのか、仮説は何だったのか

  • 次に何を変えるべきか、代案は何か

こういった情報です。これが組織の血肉になります。
また、これは科学倫理の観点でも重要です。「失敗を言いづらい空気」は、長期的には判断の歪みや隠ぺいの温床になり得る。研究開発型企業として、それは避けなければいけません。
製薬業界では、失敗する研究の方が圧倒的に多いのが現実です。失敗そのものを責めるのではなく、失敗から学び、次の一手を提案し、前進する。その積み重ねが、結局いちばん強いと思っています。
ここで一つだけ付け加えると、「ダメ出し」が当たる場面は確かにあります。ですが、VISの目的は“あてっこクイズ”ではありません。創薬や技術開発を前に進めることが目的です。だったら、指摘で終わらせず、次の打ち手まで持っていく方が建設的です。

最後に:相談できる文化が、研究開発を強くする

中村としては、研究会議などで素直に「うまくいかなかった」を相談でき、共有され、解決につながる議論ができる文化を、これからも大事にしていきたいと思っています。
VISの価値は、目に見える成果だけでなく、こうした「日々の当たり前」の積み重ねから生まれます。今後も、会社の中で大切にしている考え方も、折に触れて発信していきます。