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【自治体連携】石川県|外国人材活用ワンストップセンター研修レポート公開!

株式会社UNICOACH代表の何です。2026年5月から7月までの3か月、石川県の「いしかわ外国人材活用ワンストップセンター」で、職員2名の企業支援力強化のため、講義を行いつつ、企業訪問に同行しました。この記事は、その3か月で何をして、何が起きたかのレポートです。
いしかわ外国人材活用ワンストップセンターは、2024年に県が設置した、外国人材の受入れと定着を支援する相談窓口です。
私自身は、外国人材の活性化と日本組織の活性化を目指して取り組んでいる中、石川県とのご縁をいただき、ご一緒させていただきました。このレポートは、外国人材受入れ・活躍・定着を促進している自治体の皆さんにとってヒントになれば嬉しく思います。

背景 ─ なぜこの支援が必要だったか


外国人材の受入れ・定着を支援する相談窓口は、全国の自治体で整備が進んでいます。窓口では、来訪や問い合わせのあった企業に対し、国等の制度紹介や、外国人材の雇用・定着に関するノウハウの提供、個別相談対応などを行っています。
一方で、困っている企業からの相談を待つのみでは限界があります。日々の業務が多忙だったり、窓口の情報が十分に届いていなかったりと様々な要因で、外国人材に関する課題がありつつも、自主的にアクションを起こさない企業も存在しています。そこで、相談を待つのではなく、窓口の職員が自ら企業を訪ね、現場の言葉で課題を見つけて解決まで結びつけていく支援、いわゆるプッシュ型の支援が必要になります
しかし、この企業訪問に求められるスキルを身に付けるのは、たやすいことではありません。訪問を受けた企業が抱えている課題を発掘・深掘りし、求めるニーズに的確に応え、対応できる人材をどう育てるかは、どの地域にも共通する課題です
2024年に立ち上がった石川県のいしかわ外国人材活用ワンストップセンターでも、設立当時からプッシュ型の支援を標榜しており、2026年春には新たな体制が立ち上がりました。プッシュ型支援を実現するために、企業対応未経験の職員をどのように育成していくのか。今回UNICOACHの伴走支援は、ここから始まりました。

支援内容 ─ 何をしたか


今回の目的は、職員が自ら企業を訪問し、県内企業に主体的に関わりながらプッシュ型での企業支援ができる状態をつくること。3か月のゴールは「20社への訪問ヒアリングを完了し、職員がひとりで企業に主体的に関われる状態をつくる」と、開始時点で数字とセットで定めました。
支援は、講義と企業訪問を1週間サイクルで往復させる形で設計しました。
講義:全9回・各60分。毎回同じ型で進め、企業の3類型(活用が進んでいる企業/活用途上の企業/未導入の企業)ごとの課題仮説、アポイント取得、ヒアリングの「地図」、訪問後のレポート化を扱いました。5回のロールプレイも行いました。

企業の3類型と、訪問前に立てる課題仮説

企業訪問:22社・延べ23回。5月に5社、6月に8社、7月に10件。工作機械・化学・金属加工などの製造業を中心に、食品、外食、小売、宿泊、医療介護、測量まで、県内の幅広い業種を訪ねました。活用が進んでいる企業だけでなく、活用途上の企業、まだ採用していない企業も対象に含めています。目標の20社に対して22社、延べ23回で完了しました。

企業訪問の様子

訪問後の振り返りと、学びの言語化。訪問しただけでは残りません。次の講義で必ず振り返り、聞いた内容を自分の言葉でレポートにまとめてもらいました。
事例の体系化と企業・県への還元。22社から集まったニーズと課題感を横断して整理し、訪問企業へ事例紹介するとともに、センター設置主体である県担当者にも還元しました。訪問を一方通行のヒアリングで終わらせないための工程です。
設計上いちばん意識したのは、主導権を段階的に渡すことでした。5月は私が主導し、職員は観察する。6月は私が主導しつつ職員が補助に入る。7月は職員が主導し、私はフォローに回る。見る → 一緒にやる → 自分でやる。3か月かけて、私の役割を意図的に減らしていく設計です。

3か月の全体設計

そのうえで、最初にWHY(なぜ私たちがこの仕事をするのか)を扱いました。意味づけが自分の言葉になると、行動が変わる。WHATとHOWの力量は、そのあとの実践とフィードバックの往復で上がっていきます。

WHY(意味づけ)からのスタート


3か月で起きたこと


5月、最初の企業訪問。訪問先では私が話を進め、職員2名は横で聞き、メモを取る。それが5月の姿でした。
6月の設計は「私が主導し、職員が補助に入る」でしたが、実際にはこの月の途中から、職員2名が主導になりつつありました。予定より1か月早く、主導権が移りはじめたのです。
変化がはっきり見えた場面があります。日本語教育に先進的に取り組む食品企業を訪ねたときのこと。選抜クラスをつくり、入社前に業務用語を覚えてもらう仕組みについて聞いた職員が「素晴らしい取り組みですね」と声をかけると、企業担当者からこう返ってきました。「日本人を採用するときもしているから、同じでしょう」。
このやり取りから職員が持ち帰った気づきは、「日本人も外国人も、採用と育成で重視すべきポイントは同じだ」というものでした。用意された質問に答えてもらうのではなく、自分から踏み込んだからこそ引き出せた言葉です。
もう一人の職員は、製造業の訪問先で、外国人スタッフの指導役を務める日本人社員の側を人事評価で評価する仕組みに着目しました。育てた側を評価するという定着の本質に関わるポイントを、訪問の場で自ら見つけたのです。
7月には、活用が進んでいる企業だけでなく、まだ外国人材を採用していない企業へも足を運びました。話がスムーズに広がる相手もいれば、そうでない相手もいる。うまくいかない訪問を経験できたことも、この3か月の成果だと考えています。
職員を指導する立場のスタッフからは、こんな言葉がありました。「最初は電話を取るのも緊張していた二人が、いまは企業とスムーズに、フレンドリーにやり取りしている」。
そして、3か月でいちばん大きな成果は、22社分の声が一枚に集約されたことでした。
・外国人社員同士や、受け入れ企業同士が交流・情報交換できる場がほしい
・優秀な人材に長く働いてもらうため、特定技能2号の取得を支援してほしい
・制度の手前にある、在留資格の基礎知識や、受け入れる日本人社員側の心得を知りたい

これらは1社ずつの訪問では個別のニーズにしか見えませんが、22社分を並べると、ニーズの類型化やニーズの大小などが浮かび上がります。体系化した声は、訪問企業への事例紹介と、県担当者への還元に使いました。新たな企業への支援にも、県の施策立案にも生きる材料です。そして3か月の締めくくりに開いた報告会で、お二人は訪問先で得たものを、ご自分の言葉で語りました。個別企業を訪ねる力が、地域の状況を把握し、訪問企業と県に返せる材料をつくる力に変わった。私が最も重視していた成果の基準は、ここにありました。

職員2名のコメント


センター職員 Aさん
「研修を始める前は、3か月間で、1人で主体的に企業に関われるようになるか不安でした。5月はまずアポを取ることで精一杯で。6月からは自分が中心となって話を進める機会が一気に増えて、大変だと感じることも多かったです。7月には、まだ外国人材を採用していない企業にも伺い、採用全般について幅広くお話をうかがえたことが大きな学びになりました。相手によって話が広がるときも、そうでないときもあります。これから一人で訪問することには不安もありますが、もう1名のセンター職員やリーダーの支援も得ながら、経験を重ねていきたいです。」
「研修中は質問の一覧を見ながらお話を伺っていましたが、今後は事前の情報収集と話す内容の整理をして伺い、日頃から必要な知識を身につけておきたい。企業との会話からニーズを把握して、外国人材の採用から受入れ、定着まで総合的に支援ができるように努めていきたいです。」

センター職員 Bさん
「前職では外国人ご本人の相談対応はしていましたが、企業訪問の経験は正直ゼロでした。訪問して実感したのは、こちらが緊張していたり、こう聞かれたらどうしようと思っていたりすると、それが確実に先方に伝わるということ。経営者の方の雰囲気や社員の方の生の声に触れて、企業によってこんなに違うのかと実感しました。
「この3か月で身についたのは、うかがった話を自分の言葉で言語化することです。情報をそのまま持ち帰るのではなく、その背景にある相手の意図や課題まで深掘りする。この過程が何より大事だと感じました。今後は企業への継続的な情報提供に努めるとともに、企業とワンストップセンターとの顔の見える関係をつくっていきたいです。そしていつか、石川が好きで住み続けたいけれど行きたい企業がないから都会へ、という外国人の方が、心から働きたいと思える企業に出会える機会をつくりたいです。

なぜ「伴走」なのか


企業支援の力は、研修室のなかだけでは身につきません。かといって、いきなり現場に放り出しても、経験が積み上がらないまま自信だけを失ってしまいます。
だから私は、この3か月で3つのことを大切にしました。1週間のサイクルで、講義と実践を往復させること。本番の前に必ずロールプレイを挟み、安全な場で先に失敗してもらうこと。そして、答えではなく問いとフィードバックを渡すこと。
私が正解を示せば、その場は早く終わります。けれども、それでは自分の言葉になりません。自分の言葉で語れるようになった状態を、成果の基準に置きました。
3か月かけて、私の役割を意図的に減らしていく。伴走とは、最後に自分がいなくなるための設計です。

他地域への展開


この進め方は、石川県固有のものではありません。企業の3類型を定義し、訪問先を確保し、講義と訪問を週次で往復させ、主導権を段階的に渡していく。UNICOACHでは、この型を、支援センターの立ち上げ期にある自治体でも、既存の窓口機能をプッシュ型の企業支援まで広げたい自治体でも、同じ形で再現できます。
そしてこの伴走は、職員の育成にとどまりません。現場に同行して企業のリアルに触れた職員の声が、地域のニーズや課題感を、大局観をもって把握する力となり、課題解決に向けた鍵にもなります。人を育てることと、実情把握・課題解決の土台をつくること。この2つを同時に進められるのが、伴走型の価値です。
外国人材受入れ・活用相談窓口の体制強化や、コーディネーターの育成、企業訪問の設計、企業の意識付けなどについて、ぜひ気軽にご相談ください。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。
外国人材の活性化と日本組織の活性化に向けて、これからも自治体・企業・大学と連携しながら進めてまいります!