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日本のドローンメーカーの近況

ウクライナの戦場では、兵站にもドローンが活用されており、国産ドローンの重要性を示している。ドローン製造については、共産中国、米国などのメーカーがシェアを取っているが、日本メーカーも実績を積み上げてきている。ドローンは着実に社会生活の中に浸透してきている重要分野であり、日本メーカーの最近の動向を紹介する。


ドローンは兵站にも活用されている


ロシアのウクライナ侵攻において、ドローンが大活躍しているのは既に多くの人が知るところであろう。その活躍は偵察や戦闘そのものだけではなく、兵站(補給、ロジスティックス)にも及んでいる。
乗り物ニュースでは、「できたて熱々フライドチキンの配送先は最前線!? ウクライナ特殊部隊による驚きの『KFCデリバリー』」(2026年07月28日)という記事で、ウクライナの最前線部隊に向けてドローンが熱々のケンタッキー・フライドチキン(KFC)をデリバリーした様子を報道している。一見微笑ましいニュースと捉えることも出来るが、戦場のロジスティックスにドローンが活用されていることを示すニュースでもある。高度なセキュリティが求められる分野におけるドローンの有効性が実証されているとも言え、ドローン調達において敵性国家製造品に依存するのは危険であり、国産ドローンの重要性を示している。

ドローンは民間用では共産中国のDJIがトップメーカー


ドローン、AI は組み合わせることにより新たな地平を拓く」(2023年5月12日)で書いたように、ドローンは都市部でも過疎地でも山間地や離島でも様々な地域で活躍できる。ドローンは我が国では相対的に新規製品分野と捉えられ、ドローンに関する我が国の公式統計は今のところ存在しないようであるが、2018年度と2023年度に特許庁が「特許出願技術動向調査」においてドローンに関する調査を実施している。
特許庁「平成30 年度 特許出願技術動向調査報告書 ドローン」(平成31 年2 月)によると、2015 年時点で民間用ドローンは、台数ベースでは中国(中華人民共和国、共産中国)のDJI(世界シェア70%)、フランスのParrot(同14%)、アメリカの3D Robotics(同4%)が世界のトップ3である。同報告書本文には、「日本でのシェアも世界と同様である」との記述もある。ただし、DJI のドローンは低価格であるので、売上高ベースでは約25%の世界シェア(2014 年)である。
ドローンに関して特許庁による最新の調査報告である「令和5 年度 特許出願技術動向調査報告書 ドローン 報告書Ⅰ」(令和6 年3 月)では、残念ながら世界シェアは掲載されていないようである。ただし、2018 年1 月~2020 年7 月の米国における民生用機体シェアが示されており(図1)、DJI(米国シェア76.1%)、米国のIntel(同4.1%)、中国のYUNEEC(同2.6%)、フランスのParrot(同2.5%)、その他、となっている。
 
図1:米国におけるドローンの民生用機体のシェア

出所:特許庁「令和5 年度 特許出願技術動向調査-ドローン-」講演スライド(令和6 年11 月)より抜粋

日本における産業用無人航空機(UAV)の販売先は農林水産業、建設・インフラ関連が多い


一般社団法人 日本産業用無人航空機工業会の「企業活動実態調査」によると、近年では小型マルチローター無人機(いわゆるドローン)が脚光を浴びているが、我が国では“産業用”と冠された無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)がかなり前から既に日本の空を飛んでおり、今後も様々な分野にその活躍の場を拡げるものと期待されているとの事である。ラジコンの小型ヘリコプターや航空機、兵器として活用されている無人航空機などもUAVに該当し、いわゆるドローンは小型マルチローター無人機としてUAVの一分野である。なお、いわゆる水上ドローンである無人水上艇(Unmanned Surface Vehicle:USV)についても、我が国では単にドローンと呼称されることが多い。UAVと連携した様々な活躍が期待できるが、話が拡散するので本稿ではUSVは対象外とする。
日本におけるUAVは、近年の産業用途別販売台数では、農林水産業向けの台数が最も多く、次いで建設・インフラ関連となっている(図2)。農林水産業向けは農薬散布、除草、生育調査、魚群探知などで用いられている。建設・インフラ関連では、インフラの検査・保守、測量、資材運搬などで用いられている。
本稿冒頭で挙げたような物流・搬送向けはまだ小規模で、後述するようにドローン各社が他業界などと協力して実用化のための実証試験などを進めている。なお、技術的に困難というよりは、法規制、安全性、保証などの問題が実用化の壁になっていると筆者は考えている。
 
図2:国内企業による用途別UAV国内販売実績(数量)

注1:用途別分類の内容については、本稿末尾の参考図参照。
注2:用途別については、出所資料の分類を本稿用に以下のように統合している。
農業、林業、漁業・水産資源→農林水産業。清掃、検査・メンテナンス、建設・鉱業→建設・インフラ関連。災害対応、特殊作業→災害・特殊作業。研究・試験、教育→研究・教育等。アミューズメント、警備→警備・アミューズメント。
注3:出所資料では「パーツメーカー(付帯部品等)」の数値を掲載しているが、本図では省略。
出所:一般社団法人 日本産業用無人航空機工業会「企業活動実態調査」より筆者作成

日本のドローンメーカーは実用化のための実証試験を進めている


我が国でドローンを製造している企業は非上場企業が中心で、いくつかの上場企業も製造している(以下、企業名の後の( )内の数値は証券コード)。以下では、上場企業におけるニュースリリース等から、本稿の趣旨に関係するような取組を紹介する。


ACSL(6232)は、「世界で初めて上場したドローン専業メーカー」であり(同社ウエブサイト「OUR BUSINESS」より)、産業用ドローンを中心に事業展開している。同社の近年のニュースリリースは以下など。


Liberaware((218A)は、自社開発のドローン等の販売・レンタルサービスなどを事業展開している。同社の近年のニュースリリースは以下など。


Terra Drone(278A)は、自社開発のドローンによるソリューションプロバイダーとして事業展開している。同社の近年のニュースリリースは以下など。


ヤマハ発動機(7272)は、ドローン分野では、農業用ドローン、産業用ドローン製造などで事業展開している(同社ウエブサイト「無人システム」より)。同社の近年のニュースリリースは以下など。


前述したように、我が国でドローンを製造している企業は非上場企業が多い。非上場の主なドローン製造企業を挙げると以下のとおりである(五十音順。( )内は主な用途や特徴等)。
石川エナジーリサーチ(農薬散布用ドローン、産業用ドローン)、エアロセンス(垂直離着陸型固定翼ドローン)、NTT e-Drone Technology(農業用ドローン)、京商(トイドローン)、クエストコーポレーション(産業用ドローン、特注)、ジーフォース(トイドローン)、東光鉄工(農業、レスキュー用途ドローン)、Prodrone(産業用ドローン)、マゼックス(農業用ドローン)など。これらの非上場企業についても、上場するか否かに関わらず、今後の我が国での活躍が期待される。
なお、ソニーグループ(6758)は、「Airpeak S1」というドローンを製造販売していたが、2025年3月に販売終了している(同社ウエブサイト「Airpeak S1販売終了のお知らせ」より)。ただし、前段落に記載したエアロセンスの主要株主である。


参考図:産業用無人航空機用途別分類内容

出所:一般社団法人 日本産業用無人航空機工業会ウエブサイト「業界動向調査 概要」より抜粋


20260813 執筆 主席研究員 中里幸聖


前回レポート:
副首都法への期待 -副首都から複首都へ-」(2026年7月29日)


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