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九州北部旅行で考える交通機関-福岡市、唐津市、壱岐市-

今夏は福岡市、唐津市、壱岐市に旅行した。交通機関について考えることが多い旅であった。飛行機は使わず、移動は新幹線、在来線、地下鉄、バス、タクシー、船を利用した。旅行者視点で見ると、バスの活用はやや優先度が低かった。地域性もあり、これまで以上に船の利用が多くなった。交通系ICカードの全国相互利用は大変便利であった。


九州北部旅行の旅程概要


今夏は福岡県福岡市、佐賀県唐津市、長崎県壱岐市に旅行した。福岡市は家族と、唐津市、壱岐市は久留米大学に勤務する元職場同僚と旅した。
福岡市では、博多駅から車で約20分の福岡アイランドシティにあるThe358 SORAというホテルに2泊した。1日目は夕方着ということもありThe358 SORAと隣接するアイランドアイというショッピングモールで過ごした。
 
写真1:福岡市博多湾沿岸部(左:The358 SORA、中:マリンワールド海の中道、右:福岡タワー)

出所:筆者撮影

2日目は福岡アイランドシティから近いマリンワールド海の中道に行き、福岡タワーに上り、BOSS E・ZO FUKUOKAで遅めの昼食、JR博多シティ天神地下街で買い物など福岡市内を周った。
 
写真2:ドームと天神(左:BOSS E・ZO FUKUOKA隣のみずほPayPayドーム福岡、中:西鉄天神駅三越口、右:天神地下街出入口)

出所:筆者撮影

3日目は、家族は用事があり埼玉県に戻り、筆者は唐津に移動して友達と合流し、唐津城に近いからつキャッスルという宿に1泊した。日本三大松原の一つである虹の松原を少し観光したが、雨天勝ちだったので宿に早々に戻り、夕方には宿の人に聞いた唐津駅近くの繁華街にあるおススメの居酒屋に入った。なお、日本三大松原の後の2つは、静岡県静岡市の三保の松原、福井県敦賀市の気比の松原とされることが多いようである。
 
写真3:唐津(左:唐津駅、中:唐津駅前、右:唐津城)

出所:筆者撮影

4日目は、朝に壱岐島に移動した。九州北部に線状降水帯が発生し、壱岐島も断続的に土砂降りの雨となったので、シーサイドイン白鷗という宿に早々にチェックインし、特に観光はせずに同行した友達と談笑して終わった。なお、宿に籠っていたので、危険な場面には遭遇しなかった。
5日目は、昼前の船便で福岡市に戻り、博多駅で昼食後、埼玉県への帰路に着いた。

多様な交通機関と連携具合

(1)利用した交通機関

今回の九州北部旅行では、飛行機以外の多様な交通機関を利用して移動した。
東京-博多間は往復とも新幹線を利用。片道約5時間である。飛行機を利用した場合はモノレールや福岡市営地下鉄での移動時間も含めて片道約3時間半と見込まれるので、1時間半余計にかかる計算となる。なお、筆者が住んでいるさいたま市から考えるとプラス1時間弱となる。
妻子が飛行機よりも新幹線派であること、海だけでなく民間空港もない埼玉県民にとって飛行機は心理的距離が遠いこと、等が影響した。JR東日本が2031年度開業を目指して工事を進めている「羽田空港アクセス線(仮称)」の東山手ルートが完成したら上野東京ラインからも乗り換えなしで羽田空港に到着できるようになるので、将来は飛行機を選択する可能性も高まるであろうか(「東京圏において具体化している鉄道新線計画」(2024年12月23日)も参照)。
福岡市内の移動については西鉄グループによる西鉄バスが充実していると聞いていたので、バスと市営地下鉄中心で移動するつもりでいたのだが、ホテルなどを一通り予約し終えた後に第4腰椎変性すべり症を発症してしまい、タクシーを多用することになった。タクシーは福岡市、唐津市のいずれでも何回も乗車したが、初乗り料金、迎車料金などが地域により異なり、タクシー関連規制の地域性を実感できた。どちらの地域も大手タクシー会社はクレジットカードや電子マネーでの支払に対応していたが、個人タクシーは現金のみ対応が中心のようであった。
博多から天神は、行きは福岡市営地下鉄の七隈線、帰りは空港線を利用。博多から唐津への移動は、福岡市営地下鉄空港線で姪浜から先はJR九州の筑肥線に直通運転の列車に乗った。
船も活用した。マリンワールド海の中道からは安田産業汽船が運航する「うみなかライン」に乗船し、シーサイドももちのマリゾンで上陸し、福岡タワーに向かった。
壱岐島には、行きは唐津東港から九州郵船が運航するフェリーで印通寺港へ。帰りは芦辺港から九州郵船が運航するジェットフォイルで博多港へ。壱岐島への往路はそれなりに大型船だったが、風雨が強く、波浪も高く、初めて船酔いをしてしまった。
壱岐島では、同行した友達がレンタカーを予約していてくれたのだが、前に書いたように断続的な土砂降りと船酔いで観光をせずに終わってしまった。結局、港と宿の移動にのみ活用したことになる。
最終日、雨天の中、博多港から博多駅まではバスを利用した。結局、当初の目論見とは異なり、バス活用はこの時だけとなった。
 
写真4:船関係(左:うみなかライン、中:印通寺港フェリーターミナル出入口、右:ジェットフォイル)

出所:筆者撮影

(2)関東人による交通機関への感想

福岡市内のバスが充実しているのは、乗車しなくても街を移動していて実感できた。ただし、一般論として、初見の旅行者には地名などがピンと来ないためバスは利用しづらい。
首都圏ではJRと民鉄各社は主要駅で接続しており、また地下鉄と民鉄各社の相互乗り入れも進展している。そうした視点で見ると、福岡でのJRと西鉄は接続を意図的に避けているように思えてしまう。同様の事は大阪でも感じた。設備投資を伴うので簡単ではないだろうが、もう少し連携を取るよう工夫できないものだろうか。
日常的な足として多様な船が往来しているのは、一種の感動があった。同様の事は、広島や高松に旅行した時も感じた。四方を海に囲まれた日本は、船の日常性と重要性を重視する施策をさらに積極化してもよいのではないだろうか。ただし、関東人と言っても、横浜市民などは船については埼玉県民とは異なる感覚を持っていそうではある。
JR、市営地下鉄、バス、それぞれについて交通系ICカードが利用できるのは大変便利であった。交通系ICカードの全国相互利用は2013年3月に開始されたそうだが、今後もこのサービスを継続・発展させていって欲しいものである。

マンガ・アニメの聖地巡礼には至らず


福岡県は九州の玄関口にあたるともいえる立地であり、九州の他県が舞台となっているマンガ・アニメ作品などでも空港、駅、公共施設などが登場することも多いようである。
今回の旅行で筆者は、たかぎ七彦氏による元寇を描いたマンガである『アンゴルモア 元寇合戦記 【博多編】』(角川コミックス・エース)にまつわる地域を周ってみたい想いはあった。しかしながら、同行した子供達が現時点では全く関心が無いこと、諸般の事情により筆者自身の予習(マンガを読んで聖地を確認など)が出来なかったこと、等々により早々に断念した(家族に提案すらしなかった)。
久保ミツロウ氏、山本沙代氏原案のアニメ『ユーリ!!! on ICE』の作品の舞台となった長谷津のモデルが、佐賀県の唐津市だそうである。我が家では今回同行しなかった子供が一時期相当ハマっていたのだが、筆者はチラ見程度でさほど関心が無かったため、現地に行ってから気付いた。著作権の関係で画像掲載は見送るが、宿泊した「からつキャッスル」にも『ユーリ!!! on ICE』に関連する展示が沢山あった。
壱岐島は「神々が宿る島」と言われ、「古事記」や「日本書紀」に登場する神話時代の神々をお祀りする神社も鎮座する。まさに日本神話の聖地である。マンガ・アニメとは別に筆者は日本神話にも大変関心を持っており、壱岐島の神社巡りを楽しみにしていたのだが、九州北部が線状降水帯による大雨に見舞われたため、観光は断念せざるを得なかった。
総じて、今回の旅行先はマンガ・アニメの聖地巡礼の候補となり得る地域であったのだが、旅行する側にその用意が無いとせっかくの機会を逃してしまう。その典型のような旅行ではあった。なお、旅行そのものは十分に楽しかったことを付け加えておく。

余禄:小豆島の入込客数


マンガ・アニメの『聖地巡礼』-小豆島、下灘駅、予讃線-」(2024年8月6日)にて、「『からかい上手の高木さん』のアニメが2018年以降、実写テレビドラマ、実写映画は今年(2024年)であることを考えると、その聖地巡礼効果が本格化するのは、正に今年であろう。来年の今頃に公表されるであろう統計には、数値的にも効果が明らかになるのではないだろうか。」と書いた。香川県より「令和6年 香川県観光客動態調査報告(確定版)」が公表されているので、2024年のデータを追加したのが下図である。
残念ながら、小豆島入込客数そのものは、コロナ禍前の水準には届かなかったようである。しかしながら、確実に前年より増加している。今年(2025年)も8月3日に小豆島まつり(土庄町)が開催され、アニメ『からかい上手の高木さん』の主題歌を歌う大原ゆい子氏のステージイベントが行われたようである。また、「TVアニメ『からかい上手の高木さん』西片クエスト~小豆島土庄町エリアVer.~」というイベントが8月2日~8月31日まで開催されている。
 
図:小豆島入込客数

出所:香川県ウエブサイト観光統計「令和6年 香川県観光客動態調査報告 (確定版)」(令和7年7月)より筆者作成


20250819 執筆 主席研究員 中里幸聖


前回レポート:
日本らしさとしての『海の日』『山の日』」(2025年7月29日)


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