フルーツ狩りは楽しく、為になる-プチ旅行のススメ-
春にイチゴ狩り、夏にモモ狩りに行った。いずれも様々な収穫があった。フルーツ狩りは生産農園の周辺にもプラスの効果をもたらし、参加者に新しい知識習得の機会をもたらす。近年、インバウンド客増加、インフレ、円高などにより、国内旅行、海外旅行共に庶民には手が出にくくなっているが、フルーツ狩りなどを見直してはどうだろうか。
栃木県益子町でイチゴ狩り
(1)栃木県はイチゴ収穫量日本一
いきなり私事で申し訳ないが、昨年後半から今年前半まで持病悪化により3度の入退院を繰り返した。そのため、一人での遠出はリスクが大きいのであるが、ずっと家や病院に引き籠っていては精神が病んでしまうので、好きなフルーツを産地に食べに行く企画を実施した。
まずは4月初めに家族と栃木県益子町の吉村農園に行き、イチゴ狩りをした。我が家の子供が小さい頃に千葉県でイチゴ狩りをしたことがあり、平成から令和に代わる時の10連休中に行った静岡旅行でもイチゴ狩りを企図した(残念ながら荒天で実現しなかった)。埼玉県内でもイチゴ狩りの看板をよく見かける。しかしながら、改めてネット検索してみると栃木県の農園が多く候補に挙がったので、前述の吉村農園に行くことにした。
写真1:吉村農園(栃木県益子町)

地元のスーパーのイチゴは栃木県産を最もよく見かけ、次いで福岡県産が多かったようなイメージがあるので調べてみると、都道府県別の収穫量は1位栃木県、2位福岡県、3位熊本県、4位愛知県、5位静岡県、であった(令和6(2024)年産。栃木県ウエブサイト「全国のいちご生産割合から見た栃木県の状況」より。さらに元データは農林水産省「農林統計作況調査」)。なお、令和6(2024)年産までのデータによると、栃木県のイチゴ収穫量は57年連続日本一、作付面積は24年連続日本一、産出額は30年連続日本一だそうである。
(2)カンピョウは栃木県が独占に近い
吉村農園では新鮮でおいしいイチゴを十分に満喫し、帰路に道の駅ましこに立ち寄った。様々な産品を購入したが、駅弁の下野山菜弁当では新たな発見があった。キャッチコピーの一つに干瓢入りとあったので調べてみると、「栃木県の干瓢は、全国生産量の98%以上」を占めるそうで、ほぼ独占と言ってよい生産量である(栃木県干瓢商業協同組合ウエブサイト「かんぴょうの基礎知識」より)。全く知らなかったので、知識欲が刺激される。
カンピョウは「栄養的にもカルシウム・カリウム・リン・鉄分等が多く含まれ、加えて現代食生活に不足しがちな食物繊維も豊富」との事である。とは言え、カンピョウの食べ方としては、かんぴょう巻き位しか浮かばない。幸い栃木県干瓢商業協同組合ウエブサイトには「かんぴょうレシピ」というページがあり、カンピョウを使った様々な料理のレシピが掲載されている。「かんぴょうのきんぴら」を試してみたところ、とても美味しかった。
山梨県笛吹市でモモ狩り
(1)山梨県はモモ収穫量日本一
8月初めには友達と山梨県笛吹市の大欅園に行き、モモ狩りをした。以前、友達と桃の花を見に山梨県に行ったことがあるので、モモ狩りについても山梨県で調べた。改めて調べてみると、都道府県別のモモの収穫量は1位山梨県、2位福島県、3位長野県、4位山形県、5位和歌山県、であった(令和7(2025)年産。農林水産省ウエブサイト「令和7年産もも、すももの栽培面積、結果樹面積、収穫量及び出荷量」より)。
写真2:大欅園(山梨県笛吹市)

(2)夏のほうとう「おざら」
大欅園では新鮮でおいしいモモを十分に満喫し、帰路に信玄餅工場テーマパークがある桔梗屋に立ち寄った。猛暑日であったが、多くの人で賑わっており、駐車場に入るのもやや苦労した。信玄餅などのお土産購入も目的の一つであったが、その時の我々の第一の目的は昼食を取ることである。とりあえず甲府盆地と言えば「ほうとう」ということで、いくつかある店舗候補の中から桔梗屋併設の店に行くことにしたのである。しかしながら、猛暑にほうとうはややキツイ。そこでこれまた調べてみると、夏に食べるほうとうとでも言うべき「おざら」という郷土料理があることを知り、食べてみた(農林水産省ウエブサイト「おざら 山梨県」など参照)。厳密にはほうとうではないのであるが、夏場の郷土料理を味わえ、とても美味しかった。
フルーツ狩りから派生する様々な効果
(1)観光農園の売上額は増加基調
農林水産省「6次産業化総合調査」によると、フルーツ狩りなどの収穫体験ができる「観光農園」の2024年度の売上額は391億円で、農業生産関連事業の1.8%に過ぎない。ただし、図で示したようにコロナ禍前までは増加基調、コロナ禍の時期に落ち込んだが、再び増加基調となっている。
「観光農園」を運営している経営体数はコロナ禍初期の2019年度に大きく減少し、その後は減少基調である。一方、1農業経営体当たり売上額は増加基調で、2024年度は過去最高となっている。
なお、6次産業化総合調査における農業生産関連事業は、「観光農園」の他は、「農産物直売所」「農産加工」「農家レストラン」「農家民宿」に区分されている。
図:観光農園の売上額等

(2)派生する効果
フルーツ狩りそのものが産業としての農業の売上額を左右するほどの一大分野になるとは想像し難いが、フルーツ狩りの収益性はそれなりに良いのではないかと推測される。また、フルーツ狩り運営側にとっては産品のお土産需要や宣伝効果が見込めるであろう。
客側にとっては新鮮なフルーツを味わえることに加え、非日常的な経験ができる。また、フルーツ狩りそのものはそれ程時間がかかるものではないから、農園近隣への立ち寄り需要も喚起されるであろう。そうした過程で新たな発見などもあり、ネットを駆使して新しい知識を仕入れる刺激ともなる。農園が存在する地域にとっては、今後の新たな交流の可能性を広げることにもなるであろう。
こうした派生効果はフルーツ狩りに限った話ではなく、日帰りのプチ旅行などでも同様の効果が見込めるであろう。今年は長期の遠出は体調面から厳しいので、そうした日帰りのお出かけ中心でもう少し具体例を書こうと思っていたが、冗長になるのでイチゴ狩り、モモ狩りの話に留めておく。いずれにしても、近年、インバウンド客増加、インフレ、円高などにより、国内旅行、海外旅行共に庶民には手が出にくくなっているが、フルーツ狩りなどプチ旅行を見直してはどうだろうか。
20260824 執筆 主席研究員 中里幸聖
前回レポート:
「日本のドローンメーカーの近況」(2026年8月13日)
