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「その視点なかったで賞」は、ごまつぶさんへ|#エッセイしりとり

マイキー🐣さんが立ち上げた、タイトルでしりとりをつないでいく企画です。

👉 #エッセイしりとり |2026夏の陣

私が担当した「その視点なかったで賞」は、ごまつぶさんの

『ただ、尻を顔にしたかっただけなのに』

に決定しました。



今回、本当にたくさんの「その視点はなかった」に出会いました。

その中で、読み終えたあとまで強く残ったのが、この作品でした。

この賞では、

・日常のどこを拾ったか
・そこから、どこへ話を転がしたか
・読み終えたあと、何の見え方が変わったか

を大切にして、作品を読ませていただきました。

この作品が拾ったのは、自分の体を洗っているときに気づいた「尻の肌のきれいさ」です。

冒頭は、たった一行。

「尻を顔にしようと思う。」

もう、この時点で立ち止まりました。

四十年間、パンツの中で大切に守られてきた尻。

一方の顔は、日差しを浴び、北風に吹かれ、泣いて、笑って、怒ってきた。

最初は、きれいな尻と疲れた顔を交換する話として進みます。

けれど、読み進めるうちに、その見え方が変わっていきます。

泣きすぎて、まぶたが腫れた日も。

友達と笑い転げた日も。

夫と喧嘩した日も。

その全部を引き受けてきたのが、顔でした。

そもそも尻は鏡を見ない、と作者は書きます。

自分がどうなってきたのかを、確認する機会すらない。

この対比が、可笑しいのに妙に効いてきます。

シミやしわが消えるわけではありません。

それでも、それまでただ「疲れた顔」に見えていたものが、

外の世界で生きてきた時間を、まるごと引き受けてきた顔に見えてくる。

尻を顔にしたいという、どうしようもなく可笑しい発想から始まって、

読み終えるころには、自分の顔を少しだけ労りたくなっている。

しかも、最後はちゃんと笑わせてくれる。

しんみりさせたまま終わらせない、その着地まで含めて、ごまつぶさんらしい作品でした。

日常の小さな発見から、顔の見え方まで変えてしまった。

「そこを見るのか」

「そこから、そんなところへ転がるのか」

そう思わされた一本です。

ごまつぶさん。

「その視点なかったで賞」受賞、おめでとうございます

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そして、今回の企画では、それぞれ違った「視点」で作品を読む審査員のみなさんがいました。

同じ作品を読んでも、見ているところは違う。

それも、この企画のおもしろさだったのかもしれません。


【審査員のみなさん】


🏆 このタイトルヤバいで賞
🏆 ニヤけたで賞
🏆 エッセイぽかったで賞

主催・審査員|マイキー🐣さん
 



🏆 この続き読みたいで賞

特別審査員長|まき@こどもと日々成長中さん



🏆 こっそり応援したいで賞

特別審査員長|諏訪貴信さん

🏆 その視点なかったで賞

特別審査員長|天界記録


🏆 深そうに見えて中身ペラペラで賞

特別審査員長|コハクシスさん


🏆 名乗らず推したいで賞

特別審査員長|匿名さん

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楽しい企画を立ち上げてくださったマイキーさん。

一緒に作品を読んだ審査員のみなさん。

そして何より、作品を届けてくださった皆さん。

たくさんの視点に出会わせていただきました。

本当にありがとうございました。




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この賞の審査基準を決めたときの話はこちら。

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「で、決まったんですね?」

春野由衣が聞いた。

「決まりました」

三浦志帆が頷く。

鷲尾恒一がタイトルを見て、少し黙った。

「……尻?」

「尻だな」

黒瀬真琴が答えた。

久城蓮が笑う。

「最初に話してたよね。珍しい体験と、珍しい視点は別だって」

雪代先生が、あの日の黒板を振り返る。

そこには、三つの基準と、あの一行が残っていた。

① 日常のどこを拾ったか

② そこから、どこへ転がしたか

③ 読み終えたあと、見え方が少し変わったか

上手な文章を探すのではない。

その人にしか見えていなかった場所を探す。

先生は、その下に、今日の一行を書き足した。

『ただ、尻を顔にしたかっただけなのに』

少し静かになった。

やがて鷲尾が言った。

「……そこを見るのか」

春野が笑った。

「うん。たぶん、それですね」

審査員席から眺めていた夏祭りも、これでひと区切り。

あの日探し始めた、

「その視点なかった」

と言わせてくれる一本。

ちゃんと、見つかりました。

#エッセイしりとり
#エッセイ
#その視点なかったで賞

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