「人の気持ちを考えなさい」と言ってしまうお母さんへ
「これを言ったら嫌われるかな…」
「やりたいけど、怒らせたらどうしよう…」
「本当は言いたいけど、やめておこう…」
最近、生徒と話していると友達関係の相談を受けることが一気に増えました。
その中で私が強く感じていることがあります。
それは——
相手の気持ちを想像することが苦手な子供が増えていること。
もちろん、思いやりがないという意味ではありません。
むしろ逆です。
相手の気持ちを気にしすぎるからこそ、どう行動すればいいのか分からなくなってしまうのです。
例えば、
「仲良くなりたいけど、どうやって話しかければいいか分からない」
「自分の意見を言ったら友達じゃなくなってしまう気がする」
「一緒に帰りたいけど、実は私のことが嫌いかもしれない」
そんな悩みは本当によく聞きます。
中には、
「チカちゃんと喧嘩しそうだから、部活を辞めます。」
と、喧嘩が起きていないのに部活を辞めようとした生徒もいました。
大人からすると「いや、辞める前にその子と話せばいいじゃない」と思うかもしれません。
でも、本人にとってはそう簡単ではありません。
喧嘩になるかもしれない
嫌われるかもしれない
相手が何で遅るのか想像できない
そんな不安がどんどん膨らんでしまうのです。
そして色んな言動からその人の気持ちを過剰にくみ取り、考えすぎて何も言えず、その間にも不安はもっと膨らみ、友達のはずなのに何も行動を起こせなくなってしまいます。
では、どうしてこうなるのでしょうか。
人と話して、そのやり取りの中で失敗をするという経験が極端に少なくなっているからです。
自分の言動が相手にどのように伝わるのかは試行錯誤によってでしか学べません。
子供は、
「こんなことを言ったら笑ってくれた」
「この言い方は相手を傷つけてしまう」
「謝ったら意外と簡単に仲直りできた」
そんな経験を繰り返しながら、少しずつ相手の気持ちを想像できるようになります。
つまり、
相手の気持ちは人との関わりの中でしか学べないもの。
だから、ご家庭での何気ない会話をとても大切にしてほしい。
親子の会話は、子供にとって一番安全に人との関わりを練習できる場所だからです。
無条件の信頼のもと、「何をしたら相手はどう思うのか」という人の気持ちを学んでいきます。
そこで親御さんにお願いがあります。
子供に善悪だけを伝えるのと合わせて、思いも伝えてあげてください。
例えば、
「人にバカって言うな」ではなく、
「バカだと言われると、お母さんは腹が立つし、嫌な気持ちになる」と伝える。
「お礼を言え」ではなく、
「ありがとうって言ってくれると、本当に嬉しい気持ちになるし、その人を好きになるんだ」と伝える。
そんなふうに、自分の気持ちを言葉にして伝えてあげてください。
決して教育的な話を入れこまなくて大丈夫。
子供は、その1つ1つの会話から相手の気持ちの変わり方を学んでいきます。
親子だからこそ、失敗してもやり直せます。
言い過ぎても謝れます。
ぶつかっても仲直りできます。
親子のやり取りや喧嘩の積み重ねが、友達との関わり方につながっていくのです。
だから今日、お子さんと話す時は、
「学校どうだった?」
に加えて、
何かを話してくれた時には、
「それを聞いて、お母さんは嬉しかった」
「そう言われると、お父さんは少し寂しい」
そんな一言を添えてみてください。
子供は友達の気持ちを想像できるようになる前に、
一番身近な家族の気持ちを知ることから、人との関わりを学んでいくのだと思います。
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