余白に向き合う勇気
vol.1801
AIを使う企業ほど「残業が多い」
…最近は、そんな本末転倒な話もあるそうです…
〈日本経済新聞 / 2026年8月5日〉
パーソル総合研究所の調査によると、AIの活用によって対象業務の作業時間は平均16.7%減少したのにも関わらず、業務時間を短縮できたと答えた人は25.4%にとどまったとのこと。
作業時間が減っているのに、業務時間が増えているというのは不思議ですよね…🤔
一体全体どういうことなのでしょうか…?
AIによって残業が増えるワケ
同研究所はその理由について
「AI活用で生まれた時間を別の仕事に充てたり、AI活用の指導が集中したりすることで業務時間が膨らんでいる可能性がある」
とコメント。
この記事を受けて、経済アナリストの馬渕磨理子さんは、こう分析しております。
「日本企業では、まず他社と同じ環境を整えることがゴールになりやすい。AIを導入した結果、組織として何を生み出したいのかというところまで突き詰めていないケースが多いのではないでしょうか」。
〈ビジネス+IT / 2026年9月2日〉
「組織として何を生み出したいのか」を決めないと、そのための会議や検討、ルールづくりが増えてしまいます。
つまり、AIを導入するための新しい業務に多くの時間が割かれてしまうわけです。
一方で、これまでの業務はそのまま残っている。
これだと、業務時間が短くならないというのは確かに分かりますね…🤔
まずは、導入したことによってどの業務を効率化し、アウトプットにつなげるのかまで考える。
もちろん、これは過渡期は仕方がないことでもあります。
一方で、パーソル総合研究所が語る
「AI活用で生まれた時間を別の仕事に充てたり」
の部分について、少し意識転換が必要かもしれません。
せっかく生まれた時間や余力に対して、何も考えずに新しい業務を入れていけば、当然、忙しさは改善されません。
馬渕さんも
「生まれた時間を何に使うのかまで決めておくことが重要です」
と指摘されています。
AI導入そのものではなく、その先にどんな成果を生み出すのか。
そこから逆算して考える必要があるというわけです。
“暇”を恐れる人たち
この「生まれた時間」、つまり「余白」の使い方を明らかにしないと、無駄を生み出す可能性が高まります。
なぜなら、人は
「仕事に対して、与えられた時間を全て使い切ろうとしてしまう」
傾向にあるからです。
いわゆるパーキンソンの法則。
つまり、1の仕事を1時間で終わらす力があったとしても、2時間あれば、その時間をフルに使ってしまうわけです。
●いつも以上に丁寧に作業をする
●いつもにはない工程を加えてみる
ということを意図して時間をかけているのであれば良いのですが、ほとんどの場合は無意識で行われることが多いでしょう。
さらに留意しておきたいのが、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座の特任研究員であり、博士(心理学)・臨床心理士・公認心理師である関屋裕希さんが、日本人は特に
「『生産していない時間=価値のない時間』であるかのような前提に、とらわれてしまっている」
と指摘されていること。
つまり、時間に余白ができ、何もしていないと“役に立っていない罪悪感”を感じやすいということです。
〈FNNプライムオンライン / 2026年8月19日〉
ちなみに、関屋さんが行った韓国、台湾と3ヵ国の比較研究でも、日本は
「役に立っていないと、組織に所属してはいけないと感じる」
傾向があり、これはほかの2ヵ国では見られない価値観なのだそうです。
それゆえ、余白を恐れ、とりあえず埋める。
働き者の意識は良いことであるということは前提としつつ、一方で、この無意識の恐れを意識しないと、少なくとも生産性は高まっていかない…
同じ仕事で余白を埋めるならば、例えば「課題発見」など人間ならではの仕事に使ったり、新たなことを勉強したり、これまで会えなかった人(異業種の人など)に会いに行ったりすることの方が良いかもしれません。
この間、お話ししたように“0次情報”の獲得も必要でしょう。
余白が成果を上げる
一方、国際競争力がトップクラスで、「ビジネス効率性」5年連続1位のデンマーク人は、「余白のある働き方」をとても大切にし、余白の使い方を明確化していると言われています。
〈THE21online / 2026年8月21日〉
ここぞ、というときには情熱的に頑張るけれど、ひと段落ついたら、必ず「ひと息」入れる。
そして、チームのメンバーもしっかり「余白」を持てるように配慮する。
空いた時間には、親しい友人や親戚と過ごす以外にも、DIY、スポーツ、料理、読書、ミュージアム巡り、旅などなど、それぞれの人が過ごしたい時間を過ごしています。
これが、実は仕事にも好影響を与える。
デンマーク文化研究家の針貝有佳さんは
(1)余白があることによって、メンバーがエネルギーを充電できて、コミュニケーションが軽く楽しいものになる。
(2)余白があることによって、メンバーが別の活動を通して得た情報・体験・アイデアをチームに持ち込んでくれる。
という2点を挙げていますが、(1)はエネルギーを充電できるだけではなく、クリエイティビティを高める要因にもなると言われています。
ぼーっとしているとき、散歩しているとき、シャワーを浴びているときなどに良いアイデアが頭に浮かぶ「デフォルト・モード・ネットワーク」は、皆さんもよく耳にするでしょう。
また、(2)の別活動したことが、仕事のヒントになるというのも、よく分かります。
シュンペーターは、イノベーションを「新結合」(new combinations)、つまり、まったくのゼロから発明するというより、既存の知識・技術・資源などをこれまでとは違う形で組み合わせることであると定義しましたが、これは普段は離れている知識同士である方が良い。
マサチューセッツ工科大学のペントランド教授も
「talk outside」
と語り、普段全く接点がない「よその人」とコミュニケーションを取ることを勧めています。
このようにAIによって生まれた余白を、どのように活かすかがポイントになる。
私もついつい意味もなく詰め込みがちになってしまいますが…、少なくともAIを活用することで逆に忙しくなったとならないよう、気をつけたいと思う今日この頃です…😅
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
記事をご紹介いただきました!
キャリアメンターの八木美和さんの
【企業研究のヒント】その会社が本当に追求しているのは「カネ」ですか?「人」ですか?
という記事の中で、私が昨日書いた
売上を確実に伸ばす「MKGI」
をご紹介いただきました😊
企業が売上を上げるのは手段であって真のゴールは「社員の幸せ」である。
そうした内容に共感いただき、記事をご紹介いただきましたが、八木さんが就職する人・転職する人に向けて綴った次のメッセージにグッときます。
ぜひ社長の「言葉の温度」に触れてみてください。
最近は、SNSやブログで自身の考えを発信する社長は多いので、ぜひ採用試験を受ける前に、温度に触れておくことが得策ですね〜
八木さん、改めて記事をご紹介いただき、誠にありがとうございました!!
