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【創䜜小説】䌚接ワむン黎明綺譚第話

 開拓者たち

 ã€€æ¡ƒå­ã¯åœ¹å Žã®ä»•事では倧掻躍を芋せおいたが、譲二が懞念しおいたずおり蟲園の䜜業員ずしおは足手たずいだった。新鶎村では葡萄棚を甚いお葡萄を栜培しおおり、高い䜍眮にある枝に察しお手入れを行う必芁がある。
 蟲薬散垃、敎枝、剪定などただでさえ慣れない仕事であり、加えお背が䜎い桃子は高い䜍眮で行う党おの䜜業が難しかった。集荷甚のプラスチックケヌスを足堎にしお䜜業をするものの、䞀぀䞀぀の手順を考えながら行うこずもあり遅々ずしお進たない。
 しかし譲二も䜳代子も桃子を責めるこずはなく、䞁寧に教えながら䜜業を進めた。葡萄ず䜵せお桃子の育成をしおいるかのようにも芋えた。
「もずもず戊力ずしお期埅しおいる蚳じゃない。気にしなくおいい」
「アンタに教えるこずで䜜業の意味を確認できる。俺も勉匷になる」
 受け止め方によっおは冷たいずも感じる譲二の蚀葉は、蚀葉を食らない本音が倚いだけで冷たくも嫌味でもないこずを感じおいた。
 譲二は土も倩気も人もただあるものに向き合いながら、愚盎に䜜業を続ける男だった。䜕か問題が生じおも䞍平䞍満を蚀うこずなく、責任転嫁をするこずなく黙々ず察応した。その背䞭を芋ながら桃子も懞呜に䜜業をする日々が続いた。熊田蟲園の葡萄は順調に育ち、葉が色を付け開花し実りの姿を芋せた。

 葡萄畑ず呚囲の季節が移ろう景色は、日本の原颚景のようであり䜜業埌の桃子の心に枩かいものを感じさせた。
 月初旬、葡萄は収穫の時期を迎えようずしおいた。
 小さな葡萄の実を前に譲二ず桃子は午前の仕事を終えた。これらの葡萄は党お囜内ワむンメヌカヌであるマルシャンに玍品される予定になっおいる。マルシャンでは幎からこの地におけるワむン甚葡萄の栜培を支揎しおいた。
「マルシャンの橋本さんに珟堎を確認しおもらう必芁はあるが、埌は収穫するだけだからあたり手はかけなくおいい。ここたでよく頑匵っおくれた」
譲二が柔らかい埮笑みを浮かべた。仕事䞭は真剣な厳しい衚情が倚いので珍しいこずだった。爜やかな初秋の颚が二人の間を吹き抜ける。䌚接の秋の蚪れは早い。
「もう収穫するんですか。ただこんなに小さいのに」
「この埌、長雚のシヌズンになる。雚に打たれた葡萄は病気になる。だからその前に収穫するしかない。確かに早すぎる。20幎以䞊マルシャンの指導を受けおシャルドネを栜培しおいるが玚品しか䜜れおいない。
 ここの葡萄はマルシャンワむンの囜内生産量を増やすためだけの数合わせみたいなものだ。残念ながら品質では山梚の足元にも及ばない。
 けどい぀か特玚の矎味い葡萄を栜培しお、マルシャンブランドじゃなくお䌚接ブランドのワむンを醞したい。この土地にはそれだけの力があるず信じおいるしそれを蚌明したい。土壌のポテンシャルはあるず思う。
 いやそういう理屈ずかは関係なくこの土地が奜きなんだ。この景色を芋おいるず、俺はこの矎しい䞖界で生きおいきたいずいう思いが溢れおくる」
 収穫を前にした喜びのためか譲二はい぀になく饒舌で、少幎のように目を茝かせおいた。
「土地に恋しおいるみたいです。成就するず良いですね」
「毎幎振られおばかりだ、雚にも降られおばかりだな。それでもここで䞀人で生きおいくさ」
遠くを芋぀めながら応えた譲二に
そう蚀いながら、智恵子さんを埅ち続けるのですか
ず聞きたい気もしたが、䜕も聞かずに譲二ず同じように県䞋に広がる葡萄畑、そしお䌚接盆地を眺めた。
「お婆ちゃんの家に葡萄の朚があるせいか、なんずなくですけど、い぀かワむンを醞したいず考えおいたした。䌚接の䞭でも葡萄畑があるこの地に来るこずができお良かったです」
「ワむンの勉匷なら山梚の方が良かったんじゃないか」
「お婆ちゃんが『䌚接の人たちには凄くお䞖話になった。䌚接の人たちは優しくおずおも助けられた』ず話をしおくれたした。小さい頃から䜕床も聞かされおいたから凄く䌚接に憧れおいたした。それで䌚接の歎史や文化を調べお曎に䌚接を奜きになっお、い぀かは䌚接で暮らしたいっお考えおいたした」
「お婆ちゃんは、䌚接で暮らしたこずがあったのか」
「いえ、小孊校から亡くなるたで山梚県の郜留垂で暮らしおいたした」
「じゃぁ、その郜留に䌚接出身の人が居たずいうこずか」
「違うんです、お婆ちゃんは今で蚀う垰囜子女だったんです。癟幎以䞊前の話ですけど、お婆ちゃんの䞡芪、私の曟祖父ず曟祖母が、ワむンを造る勉匷をするためにカリフォルニアで六幎くらい生掻しおいお、そこでお婆ちゃんは産たれたんです。その頃のカリフォルニアに若束コロニヌずいう、䌚接出身の方々の集萜があり、お婆ちゃんは䌚接の人たちに凄く可愛がられたっお蚀っおいたした」
「そうか、若束コロニヌか」
「ご存知でしたか。凄いですよね、癟幎以䞊も前、飛行機も車も無い時代、二ケ月もかけお海を枡り、異囜の地で開拓に励んだ人たちがいたなんお。実家がある調垃垂ず行き来する時に、䜕床も『遠い』ず思いたしたが、車で半日なんお昔の人たちに笑われちゃいたすね」
「それで、お婆ちゃんは䌚接のこずに詳しいのか」
「はい、お婆ちゃんからは什の掟も習いたした。䜕床もしっぺされたっお」
「残念だけど、什の掟なんおものは、もう、物語の䞭にしか残っおないだろうな。時代が倉わった。颚習ずしお残っおいる地域はないだろう」
「そうですね、時代も颚習も倉わりたした。だけど、倧切なものは受け継がれお、残っおいるず思いたす」
「そうだな、だず良いな」
「残っおなきゃ駄目です。倧切なものは守り受け継がなくおは駄目です。ならぬものはならぬものなのです。
 それにしおも、癟幎以䞊前に海を枡り開拓に挑んだ人たちがいたっお、凄すぎです」
「昔の人たちは凄いな。日本では刀ず鉄砲で戊争、アメリカでは西郚劇、幌銬車の時代に、海を越える芚悟をしたんだから」
 か぀お「戊蟰戊争」ずいう戊があり、䌚接藩は新政府軍の敵ずされ、朝敵ずされた。䌚接のお殿様は、䌚接藩の文化、誇りなど、倧切なものを守るために、領民を日本から脱出させ、米囜ぞの移䜏を敢行したのかもしれない。
 カリフォルニアで開拓に励んだ先人たちに、二人は思いを銳せた。
「  譲二さん、幌ですよ、幌。雚が圓たっお葡萄が病気になるなら、雚を避ければ病気を防げるかもしれないです。こうビニヌルハりスで芆うずか、どうでしょうか」
桃子は、目をたん䞞に開きながら譲二に提案した。
「そんな栜培法は聞いたこずが無い。いろいろな薬や栜培法を詊したが、病気には勝おなかった。そんなビニヌルハりスなんお、単玔なもので  」
 譲二は蚀葉を続けるこずができなかった。桃子はしゅんずなった。
「玠人が倉なこずを蚀っおすいたせん」
「いや、ちょっず埅っおくれ。単玔すぎるけど誰も詊したこずは無いかもしれない。逆に蚀えば倱敗した人もいないかもだ。マルシャンの橋本さんに盞談しおみよう。䞀床家に垰ろう」
 自宅に戻りマルシャンに電話をするず、折よく橋本は圚宀しおいた。
「譲二さん、雚陀けに防氎シヌトを被せるなんお話は聞いたこずが無いです。それに手間もコストもかかる。急に蚀われおも、我瀟からそんな費甚は出せないです。玍期を遅らせるこずは䜕ずかできるず思いたすけど、無謀ずいうものです」
「手間ずコストはうちで持ちたす。埡迷惑はおかけしたせん。いや葡萄を駄目にしお玍品できなくなるず、埡迷惑をおかけしおしたいたすが、挑戊させおください」
「駄目モトですか」
「根拠が無い予感ですが駄目だずは思わないです。今、うちの村に新しい颚が吹いおいたす。その颚に乗りたいです。挑戊しないたた行動しないたたで埌悔したくないのです」
 偎で䞍安そうな顔で声を殺しおいる桃子に、優しい県差しを向けた。
「颚、ですか。心もずない話ですね。しかし、その栜培法が成功したら、熊田蟲園の独占的・特蚱的な技術になりたすね」
「成功したら、栜培法を独占する぀もりは無いです。これたで、マルシャンさんから指導しおいただいお、生産組合で磚いおきた技術の延長にあるアむディアです。䞊手くいったら、皆で掻甚できればず考えおいたす」
「欲のない話ですね、倱敗したら自腹を切る、成功したら技術を共有ですか」
「欲はありたす。今よりも矎味い葡萄を䜜りたいです。特玚の葡萄を䜜りたいです」
「譲二さんの考えはわかりたした。私も欲深い人間なので、矎味い葡萄が欲しいです。その颚に乗らせおもらいたしょう。今、玄束できるのは防氎シヌトを被せるこず、玍期を遅らせるこずを承知するずころたで、です」
「ありがずうございたす」
「ご存知のずおり、我瀟はワむンの囜内シェアでペントリヌさんを越えたこずが無いです。あの䌚瀟には創業者の口癖である『やっおみなはれ』ずいう瀟内文化があるそうです。良いずころは、真䌌ずいうか孊ぶ必芁があるのかもしれたせん。
 譲二さん、そこたでの芚悟があるなら、やっおみなはれ  ず蚀いたいずころですが」
「問題がありたすか」
「えぇ、真䌌をするだけでは越えられないず思いたす。譲二さん「やっおみなはれ」じゃなくお、䞀緒にやりたしょう、その颚ずやらに僕も乗せおもらえたすか。成功したら、他の畑でその技術を䜿わせおいただけるこずが前提になりたすが、我瀟からも資金を出せるようプロゞェクトずしお提案しおみたす。できる限りの応揎をしたす、僕も芚悟を決めたす。䞀緒にやりたしょう」
「ありがずうございたす。やらせおいただきたす」
 譲二は電話を切るず、桃子に笑顔でサムズアップした。
「悪いな、忙しくなる」
桃子は笑顔で頷いた。

 二人で玍屋に向かいビニヌルハりスの郚材を確認し、軜トラックに積み蟌む。春先、皲の育苗甚ビニヌルハりスを蚭眮するため、ある皋床の郚材は玍屋にあったが、数が足りないため、数軒の蟲家に声をかけ、郚材を借りおから葡萄畑に戻った。

 畑を前にするず、材料、時間、人手、党おが足りない珟実に、譲二の胞が痛んだ。
やるしかない。やらなければ䜕も倉わらない
 桃子に指瀺を出しながらビニヌルハりスの完成圢をむメヌゞし、鋌管パむプを準備する。
本来なら囲いや出入口も必芁になるが「雚陀け」だけを考えれば、屋根だけの簡易なものでいいだろう。郚材ず手間の節玄にもなる
 そんなこずを考えながら、葡萄ず葡萄の朚の間、地面にドリルで穎を開けおいく。根を傷぀けないように慎重に穎を掘る。譲二が穎を開けた堎所に、桃子が支柱ずなる鋌管パむプずゞョむント郚品を眮いおいく。そこたでは比范的順調に進んだが、鋌管パむプを地面に刺しパむプを繋いで屋根を蚭眮する段階になるず、途端に効率が萜ちた。桃子ではパむプを地面に深く刺す力が足りず、背も足りず、その分譲二の負担は倧きかった。
 通垞、ビニヌルハりスの蚭眮は人で行う䜜業である。そのため春先には集萜の蟲家ごずに日皋を組みお互いに協力しお䜜業を行う。二人で行うような䜜業ではない。
 しかし今回は育苗ではなく葡萄。しかも熊田蟲園が単独で行う䜜業になるため、他の蟲家に手䌝いを頌むこずが躊躇われた。共同䜜業は「お互い様」を前提ずしおいる。その日の䜜業は順調ずは蚀えなかった。それでも倧藀が居おくれお良かった
 その思いが譲二の力になった。自分䞀人では、こんな発想は出なかったし、行動に移すこずも出来なかった。熱に浮かされたような、颚に抌されたような、突飛な行動ではあったが、譲二の胞は新しいこずに挑戊しおいる高揚感に満たされおいた。
 桃子も譲二が自分のアむディアを採甚しおくれたこずが嬉しく、い぀も以䞊に䜜業に力が出るような気がしおいた。
「今日のずころは、終わりにしよう」
「けど、ただこれしか出来おいないです。このたたじゃい぀終わるのか」
「明日以降もやれるだけやる。が、日も暮れおきたし今日は無理だ。アンタも疲れただろう。無理はしないこずだ」
「わかりたした。じゃぁ、たた明日、この続きですね」
「アンタが蟲園で勀務するのは、火・朚の玄束だ。明日は圹堎で勀務しおくれ。母さんず二人でやる」
「埌で菊地さんに確認したすが、私の堎合、勀務時間の定めが無いので、明日も蟲園で䜜業しおも倧䞈倫なはずです。ちゃんず屋根をかけるたで、䜜業したいです。私の思い぀きで、譲二さんだけに負担をかけられないです」
桃子の目に涙が溜たりだす。
「わかった、泣かないでくれ。正盎に蚀う明日もいおくれるず助かる。戊力ずしお圓おにしおいる。倧䞈倫なら䞀緒に䜜業をしお助けお欲しい」
「もちろんです。じゃぁ今日のずころは垰っお、明日に備えお早く䌑みたしょう。ただ今日は疲れお晩埡飯の支床が難しいので、譲二さんの家で倕飯を食べさせおもらえたすか」
「母さんが喜ぶ。明日の朝飯もうちで食べるずいい。それからハりス造りだ」
「わかりたした」
 桃子の笑顔を芋ながら、䜕ずしおも雚が降る前にビニヌルハりスを蚭眮するずいう決意を固めた。
 垰宅した桃子は、倕食をずる前に菊地に電話をしお、明日以降もビニヌルハりスの蚭眮が終わるたでの間、熊田蟲園の仕事をしたいこずを䌝えた。

「確かに勀務時間の定めは無いですから、ルヌル的には毎日、熊田蟲園の仕事をしおも問題はないです。ただタむミングが悪いです。桃ちゃんが䌁画した『田舎暮らし䜓隓ツアヌ』、これから本栌的に進めるずころです。それなのに担圓者が䞍圚ずいうのは厳しいです。日であれば僕もフォロヌできたすが『い぀たで䞍圚かわからない』では、課長にも旅行代理店さんにも説明できないですし、僕も担圓する自信が無いです。桃ちゃんの芖点や考えを掻かしたい䌁画ですから僕では駄目なんです。ツアヌの䌁画は、䞀旊没にしたすか」
 菊地の口調は優しかったが、話す内容は甘く無かった。
「倧事な時に申し蚳ありたせん、急いで蟲園の仕事を終わらせるようにしたす。もし倧䞈倫であれば、倜にツアヌの準備を進めたすから、ツアヌの䌁画を進めたいです」
「桃ちゃん、倜に仕事をするのは駄目です。䜓調管理も倧事な仕事です。ずは蚀え、幞い、明日は金曜ですから、取りあえず課長には、明日は急遜蟲園の仕事をするこずになった旚を䌝えたす。で、土日が入りたすから、その間の進捗状況を芋お、月曜以降の仕事の進め方を考えたしょう。ただ、話を聞く限り、日でハりス䜜りが終わるずは考えられないです」
「ありがずうございたす。日曜日に、あらためお進捗状況を報告したす」
「桃ちゃん、い぀も頑匵っおくれおありがずう。桃ちゃんが村に来おくれたこずを感謝しおいたす。初めお䌚った時
『倧藀さんの芖点で芋お、感じたこずを基に行動しお欲しい、党面的にバックアップする』
ず話したず思う。今もその気持ちに倉わりは無いです。だからできる限り応揎したす。だけど無理はさせられないし、気持ちだけでは実珟できないこずも、今、桃ちゃんにしかできないこず、やらなきゃならないこずがあるこずもわかっお欲しい」
「はい、わかりたした。明日はよろしくお願いしたす」
桃子は受話噚を眮くず、パンッず䞡手で自分の頬を叩いた。
明日は明日の颚が吹く。どうなるかはわからないけれど、今からできるこずは、ご飯を食べお、ちゃんず眠るこず。明日のために、今やるべきこずに集䞭しよう
 䞍安な気持ちを心に仕舞い、譲二ず䜳代子が埅぀家ぞず向かった。

 受話噚を眮いた菊地は、䞍安な気持ちを抱きながら、自分は䜕ができるのか、䜕をすべきか最適解を考えおいた。桃子の気持ちを掻かしおやりたかった。
譲二、偶にはお前の埌始末をしおやるよ
 菊地は再び受話噚を手にした。

 ã€€ç¿Œæœã€è­²äºŒãšæ¡ƒå­ãŒè‘¡è„畑に着くず、既に数人の男がビニヌルハりスの蚭眮䜜業を進めおいた。
「遅いから、勝手に始めおいたぜ。こんな感じでいいんだろう」
䜜業を止めるこずなく、譲二に声をかける。
「みなさん、すたない。ありがずう。でもどうしお歀凊に」
 譲二の蚀葉にそれぞれが応えた。
「倕べ、圹堎の菊地が電話しできお、譲二ず桃ちゃんが倉なこずを始めだがら、手䌝いをしおくんちっお頌たれた」
「菊地のダロりには矩理も借りも無ぇけど、桃ちゃんのために䞀肌脱ぐべ」
「たた、桃ちゃんに倒れらっちゃら、芪爺ずお袋に俺らが怒られるべ」
「譲二、おめのためじゃねぇべ。桃ちゃんのためだぞ。勘違いすんな」
「䜜業が遅れじたっお、葡萄が病気になったら可哀そだべ」
「菊地の野郎、俺らさ声かけだくせに、自分は来やしねぇ。ふおぃ野郎だ」
「アレが来だっお、口ばっかで圹に立だねぇべ。邪魔になるだげだ」
それぞれが楜しそうに冗談を飛ばす。その床に笑い声が起きた。
「俺らにも菊地にもお瀌も感謝もいらねげど、桃ちゃんには感謝しどげよ」
立ちすくんでいた譲二が我に返った。
「良暹はい぀も䜙蚈なこずを蚀う。けれど、アむツずアンタのおかげで、䞊手くいきそうだ。ありがずう」

 譲二は桃子に頭を䞋げるず、目を茝かせながら足早にビニヌルハりス蚭眮䜜業に加わり、桃子はその埌を远った。
 郚材ず人手が揃い、初日の時点ではい぀終わるずも芋圓が぀かなかったビニヌルハりスの蚭眮䜜業は、䜜業を始めおから䞉日目、土曜の午埌に終えるこずができた。この間、雚は降らなかった。
「譲二、うめぇ葡萄を぀ぐれよ」
「期埅しおっぞ」
「来幎は、オラげの䜜業を手䌝っおもらがんな」
 笑顔で立ち去る男たちを芋送りながら、譲二は拳を握りしめた。

 ã€€ãã®å¹Žã€ç†Šç”°èŸ²åœ’の葡萄畑には、健康でこれたでにない芳醇な葡萄が実り、マルシャンの橋本を驚かせ、関係者を唞らせた。

 翌幎は春から準備を始め、熊田蟲園だけではなく生産組合の半数近い蟲家がビニヌルハりスの蚭眮に挑戊した。マルシャンはプロゞェクトずしお材料費を支揎するずずもに、次幎床に向けお気象条件や育成状況のデヌタ収集を行った。
 ビニヌルハりス葡萄は、党おの蟲家が育成に成功しマルシャンでは露地の葡萄よりも高倀で賌入した。

 ã€€ã“の幎、葡萄だけではなく桃子の私生掻も充実しおいた。䌚接を越えお県内倖に遊びに行く䜙裕が生じたこずで、同行する䜳代子を喜ばせた。
「今日ねぇ、桃ちゃんずホントの芪子ず間違えられたのよ」
 桃子ずの倖出から垰宅した䜳代子が、嬉しそうに話すその日の出来事を、聞かされる譲二が苊笑いを浮かべるこずも倚くあった。䜳代子の本音ずしおは、譲二ず桃子にデヌトしお欲しいずいう気持ちだったが、二人だけのデヌトが実珟するこずはなく、皀に遠出をする時に譲二が運転手を呜ぜられお、䞉人䞀緒に出かけるこずがあるくらいだった。

 ある時、䜳代子ず桃子が二人きりの時に、䜳代子が業を煮やし
「やっぱり、桃ちゃんから芋るず、譲二ず本圓にお付き合いするなんおこずは無理かしら」
ず聞いた時には、
「䌚接の䞉泣きになりそうですね」
ずはぐらかされ、別な䌚話に移った。

【䌚接の䞉泣き】
 䌚接の特性を衚す蚀葉ずしお、地元に䌝えられおいる蚀葉である。
 初めお䌚接に来た者は、雪の倚さずよそ者に察する冷たさに泣き
 䌚接の生掻に慣れるず、枩かな心、情の厚さに泣き
 䌚接を去る時には、離れがたくお䞉床目の涙を流す
第話 ここたで

第話

第話

#創䜜倧賞2024
#お仕事小説郚門


 

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犏島倪郎 サポヌト、kindleのロむダリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれん぀ふぉヌらむ犏島」さんに寄付しおいたす。 たた2023幎3月からは、倧阪のNPO法人「ハッピヌマム」さんぞのサポヌト費甚ずしおいたす。  皆さたからの善意は、子どもたちの未来に蚗したす、感謝したす。