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䜓は心の容噚です 第䞀話 事件【note創䜜倧賞】

あらすじ
家族ず共に殺された少幎は、殺された盎埌に犯人ず心を亀換されおしたい、犯人ずしお生き延びた。䞀方、亀通事故で意識䞍明になった少女。意識を取り戻した時は既に二十歳になっおいた。しかし意識を取り戻した埌、少女は近づいおきた女ず心を入れ替えられおしたう。そしお入れ替わった䜓は䜙呜が䞀幎だった。少女は自分の䜓を取り戻すために人間の心が亀換できる心亀換垫に助けを求める。心亀換垫ず少女の過去が埐々に明らかになっおいく䞭、10幎前の少幎の事件ず少女の事件が䞀本の線で぀ながる。そしお少女の䜓を奪った犯人が刀明するが 

事件


「飲みたいんだったら、あげるよ」
 元気ずいう文字を転生させたような男子は隣の女子に牛乳を枡された。実はコッペパンを食べる姿が可愛くお芋ずれおいたなんお蚀えなかった。挫画でもないのに、パンに口を぀ける床に、【はむっ】ずいう擬音が女子の背䞭越しに芋えた。
 そしお昌䌑みが終わっお垰りの䌚。男子は萜ち着きがない様子でもぞもぞず䞡足を動かしおいた。するず男子の仕草が気になった隣の女子がこそこそず話しかけおきた。
「トむレ行きたいの」
「違う。早く垰りたいの。今日、父さんずプヌル行くんだ」
「いいね。私もおうちでママのプリンが埅っおるの」
「うらやたしい 䞀回でいいから入れ替わっおそっちの家に行きたい」
 女子は男子にい぀も母芪のプリンのこずを自慢しおいた。
「じゃあ、倧人になったらね」
「え」
「秘密だよ。私ね、倧人になったら心を亀換できるの」
「うそだあ」
「うそじゃないよ。お父さんが蚀っおたもん」
 女の子が「もん」ず蚀い終わった瞬間、狙いすたしたようにチャむムが鳎った。二人は䌚話をやめお䞀目散に䞋駄箱ぞ向かった。そしお急いで靎を履くず、校舎の昇降口からクラッカヌのように飛び出した。しかし勢いが぀きすぎお男子は花壇の端に躓いおよろけそうになった。するず女子は転ばないように男子の手を぀なぎ、そのたた走り出した。
「なんか飛行機みたい」
「空たで走れるかな」
 二人が手を広げお䜜り䞊げた飛行機は校門たで飛ぶように走っおいった。
「じゃあね」
「たたね」
 たるでアクロバット飛行のように二人は校門を出たら巊右ぞ分かれた。男子は手のぬくもりを思い出しながら、明日プリンの味が矎味しかったか聞こうず決めおいた。

 しかし次の日から女子は孊校に来なくなった。
 そしお䞀ヶ月ほど経った倏䌑みの日。
 
 男子は父ずラヌメンを食べに行く玄束をしおいたので、公園から垰っおきた。そしおオダツを探しおたっすぐに台所ぞ向かった。テヌブルに䜕も眮かれおいないので、冷凍庫からアむスを取り出しおゎミを捚おようずするず、台所の隅で口ず目を開けたたた人圢のように倒れおいる母を発芋した。母の䜓の呚囲にはバケツたっぷりの赀ペンキをぶちたけたかのように真っ赀な血だたりができおいた。少幎が手に持っおいたアむスは支えを倱っお自由萜䞋し、赀く染たった床にぬちゃりず萜ちた。
「お父さん、どこ」
 怖くなっお叫んだ。するず二階からドスンずいう音がした。
「くるな」
 慌おお玄関に向かった。焊る手で靎を履こうずしたが、足が靎に入らなかった。手だけでなく足も震えおいた。しかし、䜕床か詊した埌、靎に足が入った。
 その瞬間、男子は䜕者かに襟を掎たれおいた。どんなに男子が暎れおもその手は倖れなかった。そしお男子は空䞭に持ち䞊げられ、廊䞋の脇に倒された。

 すぐさた父芪ず同じくらいの幎霢の男がたたがっおきた。男子がその顔を芋るず、絵本で芋た鬌のような血走った県をしおいた。
「やめおください」
 その瞬間、突然お腹に痛みが走った。痛みを感じた郚分に目を䞋ろすず、包䞁の柄の郚分が芋えた。その埌、お腹から芋たこずもない量の血が噎き出おきた。
 男は満足気に男子から離れお、スマホをいじりはじめた。
 男子はかすかに聞こえる父の声を聞きながら、目の前で起きおいる事を理解しようずした。

 よくわからないけど、僕は死ぬのかな。

 突然、男はスマホに向かっお叫んだ。
「どういうこずだ おい」
 なぜ叫んでいるのかわからなった。
 そしお今眮かれおいる異垞な状況を理解したいず思いながら、男子の意識は少しず぀なくなっおいき、廊䞋でヒステリックに叫んでいる男の声も次第に小さくなっおいった。

 が、突然目が芚めた。
  
 なぜか目の前で自分が倒れおいた。父芪に映画通で買っおもらったTシャツが元々赀い色だったず芋間違えるほどに染たっおいた。自分の代わりに倒れおいる自分の䜓は苊しそうに薄目を開けおこちらを芋おいた。
 男子は自分のお腹に刺さっおいた包䞁を抜いた。抜いた腹から血が湧き氎のように溢れおきた。慌おお小さな䜓を抱きかかえおお腹の蟺りを手で抌さえた。しかし蓋を開けお倒しおしたったペットボトルのように出血が止たらなかった。
 男子はこちらの方を申し蚳無さそうな目で芋぀めた。そしおゆっくりず口を開いた。
「ボク、ごめんね」
 男子はそのたた口から倧量の血を吐いた。䜕故自分が目の前で死にそうになっおいるのか、そもそも自分が誰なのか。状況が党く理解できず、譊察が家にあがりこんでくるたでその堎で座り蟌んだたた動けなかった。

 テレビで速報が流れた。
 
 ――殺害されたのは、圓時自宅にいた父芪ず母芪、そしお十歳の息子です。殺害したずみられる男は容疑を吊定しおいたす。

 䞀人の男性が䞀家党員を刃物で惚殺するずいう痛たしいニュヌスずしお報道された。しかしその埌は通垞の殺人事件ずは違い、倧々的に報道をされるこずはなかった。
 犯人ず芋られる男が、自分は殺された息子だず䞀貫しお䞻匵を続けたからだ。
 容疑者は䌚瀟員の䞉十二歳の男性。劻ず十歳になる嚘がいた。取り調べでも被害者家族が死んだ事を嘆くばかりで、自分の事や犯行そのものに぀いおは口にする事はなかった。
 怜察や譊察は犯人の心神喪倱による事件であるず早期に刀断し、報道の自粛が行われた。
 
 怜事の䞀人は疑問に思っおいた。犯人の䞻匵する「殺された息子である」ず蚀うのは本圓ではないかず。なぜならば容疑者の蚌蚀が事実ず䞀臎しすぎる皋に䞀臎しおいた。
 もしかしたら息子の心が犯人の䜓の䞭にいるのでは。
 しかし昚日芳た映画のせいかなず倧きく頭を振った。そしお次の事件のファむルをクリックした。

 その埌、犯人は裁刀で無眪ずなり、粟神病院ぞず送られるこずになった。

事故

 あの日は家に垰るず母の䜜った手䜜りプリンが埅っおいるはずだった。母が䜜る手䜜りのミルクティヌプリンは、どんなプリン屋さんも勝おない䞖界䞀の味だ。だから汐里は䞀分䞀秒でも早く家に垰らなければならなかった。
 公園の前の暪断歩道を越えるず、目の前が汐里の䜏む自宅である。汐里は暪断歩道の前に立っお、自宅の玄関を芋぀めた。母は玄関から出おきお、暪断歩道の向こう偎に立っおいた。そしおランドセルを担ぐ汐里の姿を芋぀けるず手を振った。
 母の顔を芋るず、ミルクティヌプリンの味が頭の䞭を埋め尜くした。だから歩行者信号が青になるのを埅おなかった。汐里は巊右から車が来ないこずを確認しお赀信号にも関わらず暪断歩道ぞ飛び出した。普段なら汐里は最速五秒で道路を枡れる。玄関ず母芪がドンドンず汐里に近寄っおくる。プリンはもう目の前だ。そしお母芪が䜕か叫んだず思った瞬間、汐里の芖界は掗濯機に入れられたかのようにぐちゃぐちゃにかき回された。

 䜕が起こったかは党くわからなかった。悲鳎が聞こえおいる気もするし、䜓が揺らされおいる気もする。でも青い空はずおもキレむな気もするし、䜓䞭が痛い気もする。そしお、ゆっくりず目の前でカヌテンが閉たるかのように、光が芋えなくなった。
 
 目が芚めたらベッドで寝おいた。どうやら郚屋にいるらしいが、お気に入りのアむドルのポスタヌが貌られおいないし、枕元にりサギのぬいぐるみのバニヌちゃんはいない。自分の腕には、よくわからない管が぀ながっおいた。自分の手の平を芋るず劙に倧きい。頭を觊るず毛糞の垜子をかぶっおいた。 
 䜕が起こっおいるのか党く分からずにベッドの暪にある鏡を芗くず、頬のこけた倧人の女の人がそこにいた。廊䞋から入っおきた看護婊が倧きな声を䞊げた。
「汐里さん、起きたんですか」

 汐里のベッドを䞉人の医者ず四人の看護婊が囲んでいた。亀互に汐里の顔を芋おは嬉しそうな、そしお䞍思議そうな衚情をしおいた。その埌、䞀人の医者が残っお説明を始めた。汐里が亀通事故に遭ったこず。その埌意識を倱い、十幎間この病院で眠っおいたこず。汐里は䞀ヶ月前に読んだ蚘憶喪倱の恋愛小説を思い出し぀぀、自分の眮かれた状況をすんなりず受け入れおいた。
「じゃあ私は二十歳ずいうこずですか」
 医者はゆっくりず頷いた。
 䞭孊生や高校生も経隓しないで倧人になっおしたった。そういえば母のプリンも食べおいない。そんな事を考えおいるず、母芪が病宀に珟れた。
「汐里」
 母が泣きながら汐里に抱き぀き、䜕床も「よかった」ず蚀い続けた。自分の䞭では暪断歩道で芋おから時間くらいしか経っおいない感芚なので、母の号泣に察しお感情が远い぀かなかった。医者は䜕かあったら呌んでくださいず蚀い残しお、母ず二人きりにした。
 母は汐里が寝おいる間に䜕があったか教えおくれた。小孊校は卒業になったこず。近所に䜏んでいる二぀䞋の透菜ちゃんは高校生になるたで毎月汐里の様子を芋に来おくれおいたこず。母は病院の近くに家を匕っ越したこず。掚しおいたアむドルは結婚しお、離婚したこず。䞖界で感染症が流行し、マスクを぀ける人が増えた事。汐里は知らない間に時間が流れおいる事を少しず぀感じはじめた。
 汐里は母に質問した。
「パパは」
「今いないのよ」
「仕事」
 母がたるで芳音様のようにニッコリず埮笑んだ。
「たた説明するから」
「ねえ、お願い事があるんだけど」
「なに」
「ママのプリン食べたい。ミルクティヌの」
 母は䜕床も頷いた。
 ふず芋るず廊䞋から汐里を芋぀めるスヌツの男がいた。
「ねえ、ママ。廊䞋に倉な人がいる」
「倉な人」
「こっちをずっず芋おるんだけど」
 母は廊䞋に行き、その男を連れおきた。
「誰 ママの知り合い」
 母は銖を振った。
「実はね、汐里の事を助けおくれおる人なの」

 母の説明によるず、この男は汐里の医療費を党お払っおくれおいるずいう。汐里は慌おお男の人にお蟞儀をした。
「ありがずうございたす」
「瀌ずか芁りたせんよ。私の人生の業なんです」
 汐里には蚀葉の意味が難しすぎた。
「こんなに埅遇のいい病宀で十幎居続けられたのも、枋谷さんのおかげなんだから」
 どうやらこの枋谷ずいう人はお金には困っおいないらしい。幎霢はおそらく五十歳䜍ず思われるが、母ず劙に芪しげなのが気になった。汐里はもう䞀回お蟞儀をした。枋谷は銖を振るず爜やかな笑顔を芋せた。
「もう、倧䞈倫そうだね。このあずの人生は盀石だ」
 やっぱり蚀葉が難しかった。

 怜査やリハビリを兌ねお、汐里はあず䞀ヶ月入院を続けるこずになった。リハビリ時間以倖は母にもらったスマホで色々なこずを調べおいた。䞀番驚きだったのは、質問をするず友達のように応えおくれるで、わからないこずがあればすぐに答えおくれる。

 い぀も母は枋谷ず二人で䌚いに来た。父ではない男ず垞に䞀緒なのは少し居心地が悪い。
「ねえ、ママ」
「なに」
「枋谷さんはい぀たで䞀緒にくるの」
 母は真剣な顔になった。
「これからずっず汐里ず䞀緒にいるのよ」
 母の蚀葉が理解できなかった。
「なんで」
「汐里のお父さん代わりになっおもらうの」
「パパは パパはどうなるの」
 母は蟛そうな衚情で告げた。
「パパずママは離婚したの」
「なんで」
「汐里のためよ」
「どういうこず」
 枋谷が母の背埌に立った。そしお母の肩に優しく手を眮いお、汐里に語りかけおきた。
「あたりお母さんを責めない方がいいよ」
「おじさんには関係ない」
「枋谷さんの事をおじさんずか蚀わないの」
「パパを捚おたくせに」
「汐里ちゃん、君のお母さんはお父さんを捚おたんじゃないよ」
「お父さんみたいに汐里ちゃんずか、呌ばないで」
 母ず枋谷が父をどこかに捚おおしたおうずしおいる。汐里は母が自分の知っおいる母ず別人に芋えおきた。
「話を倉えたしょ。汐里の奜きなプリン䜜っおきたの」
 母は鞄から小さな保冷バックを取り出した。そしお汐里にプリンを手枡そうずした。しかし汐里は䞋を向いお手を䌞ばさなかった。
「もうこなくおいい。二床ず来ないで」
 母芪ず枋谷は、垃団をかぶっおしたった汐里を眮いお病宀を出おいった。
 
 二時間埌、枋谷は䞀人で汐里の病宀に蚪れた。
「二床ず来ないでっお蚀ったでしょ」
 枋谷は汐里の蚀葉を無芖し、攟眮されおいたプリンを冷蔵庫に入れた。
「お母さん、プリンを嬉しそうに䜜っおたよ」
 汐里は台所に枋谷がいたこずを考えるだけで苛立ちが募った。
「汐里ちゃんのためにず思っおいたけど、ごめんね」
 枋谷はそう蚀うず、ベッドのそばに倧きなリュックサックを眮いた。
「これ、䜿っおいいから。もう少し色々分かったら、お母さんの苊劎もわかるはずだ。䞖間は悪魔だらけだっおこずを」
 盞倉わらず汐里にはわからない蚀葉を残しお枋谷は去っおいった。

 その日以降、汐里の蚀う通り二床ず母ず枋谷が病宀に来るこずは無かった。

亀換垫

  ――そちらでアルバむトしおいる男ですが、元殺人犯ですよ。

 店長は男に向かっお頭を䞋げた。
「ごめんな、今日で終わりにしおくれないかな」
 これでアルバむトを突然クビになったのは五回目だ。今回の店長はいい人だっただけに、残念だった。

 男は家に戻るず、゜ファに寝転んだ。䞀人では広すぎる䞀軒家のため、䞀階のリビングだけが男の行動範囲だ。
 リビングのテヌブルに眮かれおいる手玙を芋お、男はこの家に初めお来たずきの事を思い出しおいた。

 粟神病院からこの家に車で送っおくれたのはこの男性の劻だった。
 家に着くず、リビングにあるダむニングぞ盎行した。そしお怅子に男を座らせるず、事務的な口調で䌝えおきた。
「私の奜きだったあなたは、もう死んだの。この家はあなたのものしおおいたから」
 女は鍵ず手玙をテヌブルに眮くず、家から出おいこうずした。男が玄関の方を芋るず、女は振り向いた。
「最埌に、なにか私に蚀う事無いの」
 男は小さくごめんず呟いた。女はかすかに残っおいた垌望を党お吐き出すようなため息を぀いお、玄関から出おいった。

 男はコンビニの制服を脱ぎ捚お、あの時劻が眮いおいった手玙を手に取った。

 ――䜕で殺したの 私の倫は人殺しなの 日蚘に曞いおある心の亀換っおなに

 男は手玙に曞かれおいた心の亀換ずいう蚀葉が気になっおいた。自分を刃物で殺害した男の䞭に自分がいる。心の亀換ずいうのはたさにあの時に行なわれたこずだ。もしかしたらこの䜓の䞻は心の亀換ができたずいうこずだ。ずなるず、男もできるのかもしれない。
 
「ボク、ごめんね」

 犯人が最埌に残した蚀葉だ。この犯行には䜕か秘密が隠されおいる。粟神病院に入院させられおいるずきに幟通りのパタヌンを考えおいた。家族ず自分をこんな最悪な事件に巻き蟌んだ奎は誰なのか。そしお䞀䜓䜕が起きたのか。

 男は最近ずっず考えおいたアむデアを行動に移すこずにした。男はスマホを握り、に曞き蟌んだ。

 【圓方、心亀換垫。誰かず心を亀換したいあなた。私が誰かず心を亀換したす。䞀緒に働いおくれるパヌトナヌ募集 心亀換垫モヌリヌ】

入院

 病院の屋䞊ぞは看護婊に承諟をもらえれば昌䌑みに行くこずが出来た。汐里にずっお屋䞊ぞでお倖を芋るのが䞖界に自分が぀ながっおいるこずを確認できる唯䞀の方法だった。そのため昌䌑みに屋䞊ぞ行くこずは日課にしおいた。

 ある日、屋䞊で䞀人の女性が汐里に話しかけおきた。
「空を駆け回れたら、気持ちいいず思わない」
 その女性は倧人の女性に芋えた。汐里もちょうど空に向かっお走りたいず思っおいたので頷いた。
「走りたいです。あの思い切り走っお、あの雲の䞭にズボっお入りたい」
「だったら雲に乗っおトランポリンしたくない」
「やりたいです 雲ンポリンしたいです」
「雲ンポリン」
「はい 昔からやりたいず思っおいお名前たで぀けおたす」

 その倩江ず名乗る女性は汐里の蚀葉を聞いお楜しそうに笑った。病院ぞ手術で䜿甚する噚具を営業する仕事をしおいお、息抜きに屋䞊にこっそり来おいるのだずいう。そろそろ䞉十歳になるのに、恋人も友達もいないず嘆いおいた。
「この歳になるずさ、空を走りたいずか蚀っおも子䟛じゃないんだからっお誰も話を聞いおくれなくお」
「そうなんですか 倧人っお倧倉ですね」
「あなただっお倧人でしょ」
 汐里は自分の姿が二十歳の女性であるこずを忘れおいた。
「そうですね。倧人にならなきゃ」
「汐里ちゃんは、どうしおここにいるの」

 汐里は自分のこずを倩江に話した。亀通事故に遭ったこず、十幎ぶりに意識が戻ったこず。倩江は汐里の話を興味深く聞いおいた。
「じゃあ、汐里ちゃんの䞭身はただ十歳なんだ」
「から倧人の女性を孊んでたす」
 汐里はスマホに向かっお質問した。
「倧人の女性っお䜕ですか」
『幎霢が十八歳を超えた女性のこずです』
 汐里ず倩江は晎れ枡っおいる青空より明るく笑った。
「汐里ちゃん、私ず友達になっおくれる」
「はい」
「じゃあ、本圓の倧人の女性教えおあげる」
「ありがずうございたす」
「恋愛関係は苊手だけどね。でも、䞀応これでも圌氏はいたこずあるんだよ」
「凄い。じゃあキスしたこずあるんですか」
 倩江は含み笑いを浮かべた。
「キスだけじゃないよ」
 汐里は挫画で芋おいたモノを想像し、顔が熱くなった。
「ありがずう、楜しかった。たた来るね」
 そう蚀っお倩江は病院ぞ戻っおいった。汐里は空に浮かんでいる綿あめみたいな雲を芋ながら、本圓に空を走れないのかなず改めお思った。

 倩江は決たっお氎曜日の昌䌑みに来おいた。汐里は氎曜日の朝になるず、倩江ず䜕を話そうか考えるのが楜しみで仕方がなかった。スマホで知る䞖界ずは違い、盎接話しおくれる倧人の䞖界は、汐里が思っおいたより魅力的だった。倩江の䌚話で汐里のスキップされおしたった十代の人生を埋めおくれるような気がしおいた。お芋舞いに誰も来ない汐里にずっおは䜕でも盞談できる友人になっおいた。
 ある日のこず、すでに倧人の䜓のはずなのに自分の胞が倧きくないこずを盞談した。するず倩江は汐里のパゞャマの襟を掎んで䞭を芗いた。そしお「私よりあるじゃん」ず぀ぶやいた。䜕を蚀っおいるのかわからず汐里は倩江の盛り䞊がった胞の郚分を芋た。するず倩江は汐里の耳元でパットを四枚入れおいるず぀ぶやいた。汐里は病宀に戻るず、パットのこずを倕方たで調べ続けた。

 毎週倩江ず話すのは恒䟋ずなり䞀ヶ月ほど経った。汐里は䜓の異垞もないので来週退院する事になっおいた。しかし母ずは暮らしたくない。枋谷ずいう人がお金を眮いおいったから䞀人暮らしもできるかもしれない。そんな事を倩江に盞談しようず考えおいた。
 退院したら䜕をしよう。倩江さんず䞀緒に䜏んじゃダメか。䞀緒がダメでも近くに䜏みたい。そもそも倖に出るのが心配だ。色んな事を考えながら汐里は五分に䞀回時蚈を確認しおいた。そしお屋䞊にいっお良い時間になった瞬間、汐里は屋䞊ぞ急いで向かった。
 
「汐里ちゃヌん」
 汐里は屋䞊で䞉十分埅っおいた事など䞀瞬で忘れ、走っおくる倩江に手を振った。倩江に退院のこず、そしお倖に出るのが䞍安であるこずを盞談した。するず倩江はびっくりする提案を汐里に䌝えた。
「今日少しだけ、私になっおみる」
 汐里は倩江が蚀っおいるこずがわからなかった。
「でも、どうやっお」
「簡単なの」
 倩江は自信たっぷりな衚情を芋せた。そしお汐里の手を握っお蚀った。
「私ね、心を亀換できるんだ」

 汐里は倩江の話を興味深く聞いた。倩江は心を亀換できる胜力を持っおいるずのこず。でも簡単に亀換できるわけではなく、䞡者の承諟が必芁ずのこず。
「汐里ちゃんにだったら、自分の䜓を少し貞すのは倧䞈倫。汐里ちゃんは私になりたい」
 汐里は笑顔で倧きく頷いた。
 
 倩江ず䞀緒に病宀に戻るず、汐里は蚀われるがたたベッドに座った。そしお看護婊に少しだけ郚屋に来ないようにお願いした。病宀で二人きりになったずころで、倩江は病宀のドアを閉めた。倩江は汐里を芋お埮笑んだ。汐里も笑顔のキャッチボヌルのように埮笑みを返した。
「じゃあ、はじめようか」
 汐里は倩江に蚀われるがたたパゞャマを脱ぎ、胞のあたりをさらけ出した。ふず芋るず胞の少し䞊に痣が芋えた。ただ事故の怪我の跡が残っおいるのだろうか。
「私の頭を右手で觊っお、巊手で自分の巊胞を盎接觊っおくれる」
 ベッドの暪に立っおいる倩江が近づけおきた頭に手を眮いた。そしお自分の巊手を脱いだ胞の䞊に眮いた。
「もう少し䞊」
 倩江は汐里の巊腕を少しずらした。巊腕を觊った倩江の手が氷のように冷たく感じた。
「じゃあ、私の蚀うずおりにしおね」
「うん」
「目を぀ぶっお自分の右手で心を吞うむメヌゞわかる」
「わからないです」
「右手がストロヌだず思っお。そしお私の頭がオレンゞゞュヌス」
「私、スムヌゞヌの方が奜き」
「じゃあ、私の頭にピヌチスムヌゞヌが入っおるず思っお」
 倩江の頭の䞭にピヌチスムヌゞヌが詰たっおいるのを想像しお少し面癜くなった。
「むメヌゞ、できたよ」
「じゃあ、その右手で吞っおみお」
 右手でスムヌゞヌを吞うむメヌゞをした。なぜだわからないが、汐里は右手の血管を通っお、䜕かが䜓に䞊がっおくるような感芚に陥った。そしお党おを吞い䞊げたず思った瞬間、汐里の䜓の䞭で念のようなものが枊になっお回り始めた。
「倩江さん、倉な感じがする」
「どんな感じ」
「䜓の䞭をぐるぐるかき回されおる感じがする」
「スムヌゞヌだからね。しっかり目を぀ぶっおいおね」
 汐里は倩江の蚀うずおり、目を぀ぶっお䜓の䞭の枊に吹き飛ばされないように堪えた。そしお勢いが収たった頃、倩江の頭に乗せおいた右手の感芚がなくなった。ゆっくりず目を開けるず、目の前にベッドで座っおいる汐里がいた。 
「うそ 私」
 
 目の前で起きおいるこずが信じられず、声を䞊げおしたった。汐里は自分の䜓や腕を芋た。昌䌑みに倩江が着おいた掋服だ。鏡を芗くず、自分の顔ではなく倩江の顔がこちらを芗いおいた。頬に手を添えるず、鏡の䞭の倩江も頬に手を添えた。
「倩江さん、凄い 入れ替わっおる」
 しかし汐里の姿をした倩江は声を発しなかった。無蚀でベットの脇にあるナヌスコヌルのボタンを抌した。そしお廊䞋に向かっおヒステリックに叫んだ。
「やめお 助けお 誰か」
 䜕が起こったのかわからなかった。看護婊がすぐに病宀に駆け぀けお、倩江の姿をした汐里をベッドから遠ざけた。
「䜕をしおいるんですか」
「むりやり脱がされたんです」
 ベットでは䞊半身のパゞャマを脱がされた汐里の姿をした倩江が䞡手で䜓を隠しながら泣き始めた。汐里は䜕が起こっおいるかわからなかった。
「倩江さん、どういうこずですか」
 しかし倩江の返事はなかった。そのたた看護婊に腕を捕たれお、廊䞋ぞ連れ出された。そしお廊䞋の向こうから走っおきた癜衣を着た男性に匕き枡された。䞀蚀でいいから倩江ず話をさせおくれず䜕床もお願いしたが、男性は銖を振った。そしお近くの小さな蚺察宀ぞ汐里を閉じ蟌めた。

「なにをやっおるんですか」
 男性の声のかけ方は倩江の事を知っおいるような口ぶりだった。小さな䞞怅子に座らされた汐里は深呌吞をした。最初だけは焊った雰囲気だったが、その埌男性は優しく汐里に向かっお優しく語りかけおきた。
「柀田さん。萜ち着いおください。明日は入院ですよ」
 なんのこずを蚀っおいるかわからなかった。しかし男性の話を聞きながら少しず぀状況を理解しおいった。この男性は医者であるこず。倩江ずいう名前は停物で、本圓の名前は柀田銙だずいうこず。柀田はこの医者の患者であるこず。柀田の病気の状態は埐々に悪くなっおおり、明日からこの病院で入院予定だったこず。病気は治る芋蟌みがなく、䜙呜が䞀幎であるこず。
 
 汐里は膝の䞊に䞡手を眮いお、倪ももを匷く握りしめた。そしお立ち䞊がっお郚屋を出お行こうずした。
「倩江さんに聞いおくる」
「だから倩江さんっお誰なんですか」
「柀田さんは倩江さんなんです」
 汐里は医者になにがあったのか説明した。医者は汐里の話を聞きながら、倧きく頷いおくれた。
「だから、倩江さんから䜓を戻しおもらわないず」
「そうだね。じゃあ僕が䞀緒に぀いおっおあげよう」

 医者は優しく笑うず、汐里の病宀たで䞀緒に぀いお着おくれた。汐里が入院しおいた病宀には、誰もいなかった。医者は近くにいた看護婊に蚊ねた。
「患者さんは」
「トむレに行くっお先ほど蚀っおたしたけど」
 しかし倩江は二床ず病宀ぞ垰っおこなかった。

 次の日、汐里は前の病宀で柀田ずしお入院する事になった。あの時枋谷が眮いおいった鞄の䞭には銀行の通垳ずハンコがあり、通垳の䞭には二千䞇円皋のお金が入っおいた。
 そしお医者は病宀に汐里を呌び、柀田ず呌ばれる汐里の䜓の病状を䌝えた。難しい病名は汐里にはわからなかったが、肺ず䞋半身に問題があっお、半幎くらいで歩けなくなるず蚀われた。
「あず䞀幎で倩江さんを芋぀ければいいんですね」
「そうですね」
「早く芋぀けられるずいいな。そうすれば亀換しお元に戻れるし。にも探すの助けおもらいたす」
「いいですね」
 汐里が病宀を出おいくず、医者は脳怜査の予玄状況を確認し始めた。

亀換

【心亀換垫事務所亀換盞談所】
 誠実そうにスヌツを着た愛慕は、向かいに座っおいる女性の話を敎理しおいた。
「぀たり、掚しのホストず心を亀換しお今たで䜿ったお金を取り返したいず」
「あい぀、ク゜だから」
「その埌どうなさるんですか」
「私以倖の客から集金かな。そしおロッカヌにでも保管しお。䞀億、いや五億くらい貯たったら心を元に戻しお。䞀千䞇くらいあげるから」
「お埗なお話ですね」
「でしょ 協力しおくれたらこんなVRで䜜った事務所じゃなくお本物の事務所を借りれるよ。六本朚ずか赀坂ずかに」
「そうですよね、最高です。お話はよくわかりたした」
「じゃあ、早く」
「しかし亀換しおしたうず、ク゜なホストにク゜な心が入れるこずになっお、トむレの掃陀が倧倉になる」
「は」
「お匕き取りください」
 愛慕は笑顔で垭を立぀ず、手のひらを倩井ぞ向けた。するず愛慕の手の平にトむレットペヌパヌが珟れた。
 女性は愛慕を睚み぀けるず、シュンずいう音を立おおを消えた。 

 愛慕は埮笑みながらトむレットペヌパヌを机の䞋に隠した。
「モヌリヌさん、次お呌びしたすね。名前は、汐里さんです」
「汐里」

 車怅子の女性が愛慕ずモヌリヌの目の前に珟れた。
「はじめたしお汐里さん。車怅子のアバタヌですか」
「はい、病気で歩けなくなっおしたったので」
「ここはVRです。アバタヌはご自分に合わせる必芁ございたせんよ」
 愛慕が指を鳎らすず、車怅子は猫をむメヌゞした゜ファに倉わった。
「凄い」
「VRですからね、なんでもできるんです」
「VRっお初めおなので。先生に党郚やっおもらったからただ良くわかっおないんです」
「病院にいらっしゃるんですか」
「はい。入院䞭です」
「なぜ心の亀換を」
「亀換垫はあなたですか」
「いえ。私は亀換垫の盞棒です。副業で探偵を」
「探偵」
「あたり気にしないでください。ずりあえず私は心亀換はできないのです」
「今日、亀換垫の人はここにはいないんですか」
「私ず亀換垫のモヌリヌ、あずはこのVRの管理人のダモ。この盞談所にはこの䞉人がいたす」
「亀換垫の方を呌んでくれたすか」
「この事務所はVRなので、䞀瞬で姿を倉えるこずができたす」
 愛慕が指を鳎らすず、事務所は䞀瞬で電車の車内に倉わった。再び指を鳎らすず、刑務所の面䌚宀ぞず倉わった。
「亀換垫に䌚いたいんです」
「それは眪を償っおから」 
「ふざけおたす?」
「  呌びたす」
「なんで嫌そうなんですか」
「しょうがない。呌びたすか」
 愛慕は事務所の奥のドアを指さした。突然呚りが暗くなり、RPGのラスボスが出おきそうな音楜が流れ始めた。そしお雷の音ず共にドアが開き、䞭から黒マントに぀ばの広い垜子を被った、たるで魔術垫のような栌奜をした男が珟れた。
「はじめたしお、茪廻が亀わる接点の刹那でお䌚いしたしたね。心亀換垫のモヌリヌです」
 モヌリヌは手に持った杖を振るず、事務所の壁は倖偎に䞀気に倒れ、海に壁のない郚屋が浮いおるようだった。
 汐里はモヌリヌをキョトンず芋぀めおいた。
 そこぞ愛慕が耳打ちした。
「あなたが呌べっお蚀ったからですよ」
 汐里はモヌリヌの前にズカズカず歩いおいった。
「本圓に心亀換できるんですか」
「誰に察しお蚀っおるのだ。心亀換垫の俺に蚀っおるのか」
「じゃあ誰ができるんですか 心亀換」
「心亀換は䞖界で俺しかできない」
 汐里はモヌリヌに右手を差し出した。
「じゃあ私の䜓、返しお」
「なんで」
「私の䜓だから」
「返すも䜕も、借りおいない」
「貞しおたせんから」
 モヌリヌは杖を垜子の䞭にしたうず、小さな黒板を取り出した。そしお二人の人間ず間に矢印を曞いた。
「借りたものは、返すこずができる。でも借りおいないものは返せない。こうじゃなければ論理的に砎綻しおいる」
「難しい蚀葉はよくわからないです」 
 汐里は䞋唇を噛んだ。
「じゃあ、簡単な蚀葉で説明しおください」
「私の䜓が盗たれたんです」

 汐里は自分の身に起きたこずを話した。亀通事故のこずや、意識を倱っおいたこず。そしお倩江ず名乗る女に䜙呜十ヶ月くらいの䜓ず亀換させられたずいうこず。汐里が話をする間、モヌリヌは感情を抌し殺した目で汐里を芋おいた。愛慕は汐里に頭を䞋げた。
「ご説明ありがずうございたす。そういうこずだったんですね」
「でも、モヌリヌは私の䜓を盗んだわけではないっおこずよね」
「䞖界に俺しか亀換垫がいないずするず、俺が盗んだこずになる。しかし俺は亀換しおいない。ずなるず論理的には俺以倖に亀換垫がいるこずになる。愛慕」
「はい」
「俺はもしかしおこの女の䜓を盗んだのか」
「いや、盗んでたせん」
「でも亀換垫は䞖界で俺だけなんだから、俺がこの女の䜓を盗んでいないず論理的に成り立たない」
「䜕蚀っおるんですか」
「この䞖界には盗んでいない俺ず盗んだ俺がいる。぀たりこれはパラレルワヌルド  」
「ねえ、ちょっず。話が党然芋えないんだけど」
「あなたは党然論理的じゃない。話は芋るもんじゃない、聞くものだ」
「論理ずか知らないし」
「埅お。そもそも、なんでタメ語なんだ」
「もう、垰る」
 汐里は右耳に手を䌞ばし、事務所からログオフしようずした。しかし愛慕は汐里の右手を掎んだ。

「埅っおください」
「なによ」
「私、探偵っおいいたせんでした その犯人探したしょうか 私にいい考えがありたす」
「ホント」
「ええ。ただし䞀぀だけお願いごずがございたす」
 愛慕は汐里に耳打ちした。
「おい、勝手に決めるな」
「モヌリヌ、お仕事のお手䌝いしおくれる人必芁じゃないですか」
 汐里は愛慕の提案に嬉しそうに頷いた。
 
 汐里が心亀換事務所を蚪れた次の日、に意識䞍明だった時に病宀で寝おいる汐里の顔写真ず共に以䞋の文章が投皿された。

 【圌女は䜙呜䞀幎の女性ず無理やり心を亀換させられたした。䞀幎もするず亀換させられた人物の䜓のたた死んでしたいたす。これはある意味殺人です。もしこの顔の人物がいたら、をください。心亀換垫 皐月ノ城】

 投皿はデマだず思われお、誹謗䞭傷ずネットのおもちゃずなった。しかし、この投皿にあるリプが぀いた事でタむムラむンの流れが少し倉わった。

 ――皐月ノ城ずかよく知らないけど、心亀換垫のモヌリヌは本物だよ。僕はモヌリヌさんに心を入れ替えおもらった事がありたす。

 ――私も心亀換経隓者です。〇ななおく良かったっお今でも思っおる。亀換垫のモヌリヌさんありがずうございたす。本圓かどうかは 心は䜓の容噚 で調べおみればわかりたす。

 ――〇にたいず思っおる人、䞀床怜蚎しおみおください。

 モヌリヌに関するリプは、あっずいう間に䞇バズを超えた。そしお皐月ノ城ではなくモヌリヌに察しお心亀換をしお欲しいずいう人達が増え始めた。

 ――敎圢が怖いから私も亀換しお欲しい。 心は䜓の容噚

 ――これ䜓ガチャからの解攟っおこずだろ 心は䜓の容噚

 ――モヌリヌ神 心は䜓の容噚

 そしお、心は䜓の容噚 のタグず共に、倧量の心亀換垌望が投皿された。

 【心亀換事務所・巚倧な川】
 モヌリヌがでバズっお以来、汐里は事務所で亀換垌望者のチェックに远われおいた。愛慕ずダモが垌望者ず連絡を取っお、プロフィヌルを曞類にしおいる。汐里はむカダに浮かびながら、川に浮いおいる巚倧亀の甲矅に積み䞊がっおいく亀換垌望者の曞類を䞀件ず぀チェックした。汐里は亀の姿をした愛慕に話しかけた。

「ねえ、本圓に倩江さんが垌望しおくるの」
「私のやり方に文句でもありたすか」
「文句はないけど、なんでこんなこずで倩江さんが連絡来るの」
 愛慕は甲矅から銖をキリンのように䌞ばした。
 「今頃その犯人はこう思っおいるのです。私、炎䞊で顔がSNS でバレバレよ。心を亀換しようずしおも皐月ノ城にお願いはできないわ。ずなるず別の心亀換垫にお願いするしかないわ。モヌリヌさヌん ず」
「芋事な論理だ。そしお䞇が䞀皐月ノ城に連絡が来おも同じだずも思っおいないだろうけどな」
 モヌリヌは、手に二぀のスマホを持っおニダリず汐里に芋せ぀けた。愛慕はモヌリヌに蚀った。
「別にスマホ二台持たなくおもアカりント二぀䜜ればよかったんですけどね」
 モヌリヌは愛慕を睚んだ。芖線を避けるように愛慕は頭を甲矅に匕っ蟌めた。そしおモヌリヌは汐里に指瀺をした。
「あず、念の為この䞭から倉わりたい人間を遞んでおいお」
「どういうこず」
「このたた自分の䜓が芋぀からないず、死ぬんだろ」

 汐里は亀の䞊に乗っおいる倧量の曞類を改めおチェックし始めた。
 しばらく曞類を芋お汐里は目が疲れおきた。暪を芋るず川岞で日向がっこをしおいた。
 「ねえ、モヌリヌさん。ちょっずは手䌝っお」
 「俺は亀換垫、あなたはアルバむト」
 モヌリヌは右手をくるっず回すず、空間にコヌヒヌを浮かび䞊がらせた。そのたた飲もうずするず、亀が銖を長く䌞ばしおコヌヒヌを暪取りしお䞀気に飲み干した。

 汐里は次の曞類を手にした。䜕か芋芚えがある顔だった。
「あ。これ、ひずりっココさんだ」
「誰だ」
「モヌリンは動画ずか芋ないの。ひずりっココ、有名なのに」
「ちょっず埅お。モヌリンはやめろ」
「なんで」
「ミステリアスな心亀換垫のむメヌゞが、ゆるキャラみたいになっおしたう」
「そっか、モヌリンリンみたいなおじさんは知らないんだ」
「だから、モヌリンじゃないし、リンを増やすな」
「ねえ、モヌリンリンリンリンリンリンリン」
「電話みたいにリンリン鳎らすな」
「ひずりっココさんに䌚いたい」
「目的倉わっおるだろ。お前の䜓を盗んだ犯人を捜しおるんだろ」
 汐里はじっずモヌリヌを芋぀めた。モヌリヌはその芖線にたじろいだ。
「そもそも、本圓にモヌリヌは心亀換なんおできるの」
「できる」
「ホント」
 汐里の疑うような芖線はモヌリヌの顔に向けられた。モヌリヌは少し顔を赀らめお芖線を倖した。
「わかった。話を聞くだけな」
「わヌい さすがモヌリン」
「かずいっお犯人探し忘れるなよ」
 モヌリヌは汐里の暪で倧量に積たれおいる曞類を指さした。
「はヌい」 
 汐里は嬉しそうにうなずいた。
「じゃあ、そろそろ病院が消灯の時間だからアルバむト終わリンリン」
 汐里はモヌリヌにりむンクをするず間髪入れずにログアりトした。
「お疲れ様ですくらい蚀えないのか、あい぀は」
「たあ、ただ䞭身は小孊校高孊幎ですから」

 再びモヌリヌの目の前に汐里が珟れた。
「蚀い忘れた」
「なんだよ」
「モヌリンは、おじさんっおいうよりおっさんの方が䌌合うね」
 モヌリヌは䞡手を倧きな網に倉えお汐里を捕獲しようずしたが、䞀瞬で消えた。
「さすがに、おっさんはおかしいだろ」

 汐里が消えた埌もモヌリヌず亀は川に浮かんでいた。
 愛慕がひょこっず甲矅から顔を出した。
「汐里っお、やっぱりあの汐里だったか」
 モヌリヌは頷いた。モヌリヌは䞍思議そうに぀ぶやいた。
「しかしどういうこずだよ、心を亀換された 誰に」
「それはちょっず俺が調べるわ」
 愛慕はモヌリヌにりむンクした。
「ずころで父芪のこず、蚀わないのか」
「蚀ったほうがいいかな」
「  わからない」
「俺もわからない」
 その埌、小䞀時間くらい川面に浮かぶ亀ずモヌリヌは波に身を任せおいた。

#創䜜倧賞2024
#ミステリヌ小説郚門

第二話

第䞉話

第四話

第五話


゚ピロヌグ


いいなず思ったら応揎しよう

田原にか 毎週ショヌトショヌトnoteずいう䌁画の運営をしおおりたす。ショヌトショヌトや猫ショヌトショヌトも曞いたりしおおりたす。サポヌトいただけたら、サポヌタ様ぞ足を向けお寝ないず蚀う特兞が぀いおおりたす。最終的には倜空にしか足を向けお寝れないほどファンが増えるのが倢です。