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イラスト制作#02|秋の上高地を描く

今回は久しぶりに、イラストの制作過程について書きます。

私は普段、世界各地の風景や建築をモチーフにしたイラストを描き、ポストカードやZINEを制作しています。

先日、ポストカードを販売していたとき、お客さんから「秋の上高地を描いてほしい」というリクエストをいただきました。

私は秋の上高地を訪れたことがなく、どのような景色なのかイメージを持っていませんでした。

きっときれいな景色なのだろうと調べてみると、山々を背景に川が流れ、黄色やオレンジに染まった木々が並ぶ、とても美しい場所でした。

これから少しずつ秋に近づく時期でもあり、これまで制作してきたポストカードとは、また違った彩りの一枚になりそうです。

せっかくいただいたリクエストをきっかけに、秋の上高地を描いてみることにしました。

今回は、そのイラストが完成するまでの制作過程を紹介します。

構図をラフに落とす

まずは、秋の上高地の写真をいくつか見比べながら、どの景色を切り取るか考えました。

今回は、奥に連なる山々と、そこから手前へ流れる川を中心に構成しました。

画面左側の背の高い木から右奥の山々へ、そこから斜めに左手前の石へ移り、最後に右手前へ広がる川へと、モチーフがZ字につながるように配置しました。

左右に視線を動かしながら景色をたどれるZ字構図によって、縦長の画面に広がりと奥行きを持たせています。

上部には「KAMIKOCHI」の文字と余白を大きく取り、トラベルポスターらしいデザインにしました。

まず描いたラフがこちらです。

iPadのProcreateで描いたラフ

この段階では細部を描き込まず、山、川、木、石などの大まかな位置を決めています。

ラフの段階で配色も決める

構図が決まったら、ラフの上に色を置きながら全体の配色を考えます。

キーとなる色を決めていく

以前は、実際の風景に近い色を選んでイラストを制作していました。

しかし、これまでさまざまなイラストやポスターを見る中で、現実の色をそのまま再現するよりも、印象的な色を少し大胆に取り入れた方が、一枚の絵として風景を美しく見せられると感じるようになりました。

先日、Postcrossingを通じて受け取った海外のポストカードにも、実際の風景より強調された配色が使われており、その色づかいによって街の魅力が鮮やかに表現されていました。
その時の記事のリンクです。

今回は秋らしさが伝わるように、木々には黄色やオレンジ、山には青紫や淡いピンク、川には青緑を選びました。

影の部分も、単純に同じ色を暗くするだけではなく青や紫など別の色も使い、明るい部分との違いを強調しました。色の差を大きくすることで、形を単純化しても立体感が生まれ、遠くから見たときにも景色がはっきりと見えるようにしています。

幾何学的な形で風景を組み立てる

構図と配色が決まったら、Affinity Designerを使ってイラストを作っていきます。

私は風景を細かく写実的に描くのではなく、直線や面を組み合わせた、幾何学的な形に置き換えて表現しています。

一つひとつを見ると抽象的な多角形ですが、少し離れて見ると木や石、山として見える。そのくらいの抽象度を探りながら形を作っていきます。

私は風景を描くとき、画面の下側から作り始めることが多く、今回も左下の石から始めました。

ラフの線画に沿って、一つずつ形を作っていきます。石は明るい面と影になる面をそれぞれ異なる形に分け、ラフの段階で決めておいた色を当てはめていきました。

色の違いだけでなく、面の形をはっきり分けることで、幾何学的な表現の中にも立体感を持たせています。

その後、川岸や木々を少しずつ増やしていきます。

木も葉を一枚ずつ描くのではなく、角張った面を重ねながら全体の輪郭を作りました。

近くで見ると幾何学的な形ですが、遠くから見ると黄色く色づいた木に見えるように調整しています。

続いて、中央を流れる川、橋、右側の建物を加えます。

川を入れると、奥から手前へ向かう画面の流れが、よりはっきりしてきました。

最後に、背景となる山々を作ります。

山が加わることで、手前の石や川、木々から奥の山まで、一つの景色としてつながりました。

構図と色が決まったあとは、ひらめきというよりも、決めた形を一つずつ積み重ねていく地道な作業です。

仕上げ|質感の追加と色の調整

すべての形ができたら、Procreateでテクスチャを加え、細かな色を調整します。

この段階で「KAMIKOCHI」の文字も配置し、イラストと文字を一つのデザインとして見ながら、全体のバランスを整えていきます。

最後に、空の配色をいくつか試し、作品のイメージに最も合うものを選びます。

最終的に選んだのは、ラフの段階でも考えていたピンクです。

木々の黄色やオレンジ、山の青紫、川の青緑とも相性がよく、それぞれの色をきれいに見せてくれました。

いろいろ試した結果、最初に考えていた配色へ戻ることになりました。

秋の上高地、完成

こうして完成したのが、秋の上高地を描いたイラストです。

お客さんのリクエストから始まった、今回の制作。

まだ訪れたことのない場所ですが、写真を見ながら景色の特徴を探し、自分なりの形と色に置き換えていきました。

誰かが見てみたいと思った風景を、自分なりに考えながら形にしていく。普段とは少し違うきっかけから始まる制作も、面白いものだと感じました。

イラストはこれで完成です。

次はこの作品を印刷に回し、実際のポストカードに仕上げていきます。

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