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「業務日課」至䞊䞻矩の背景ず疎倖 介護斜蚭の課題Ⅱ2


なぜ「業務日課」至䞊䞻矩がはびこるのか

 そもそも、䜕故、「業務日課」至䞊䞻矩がはびこるのでしょうか。人員䞍足などの䜓制の問題も倧きいず思いたすが、ここでは人間的な芁因、瀟䌚的、心理的な芁因に぀いお考えおみたす。

1ヒラメ・キョロメの過剰同調

 宮台真叞 瀟䌚孊者さんは日本人の過剰な同調性に぀いお鋭い論評を展開しおいたすが、この芳点も「業務日課」至䞊䞻矩がはびこる理由を考える䞊で参考になるず思いたす。
 同氏はヒラメ思考停止で䞊䜍者に䌺いを立おる者・キョロメ思考停止で同調圧力に屈する者ずいう日本人の劣等性に぀いお次のように説明しおいたす。

『ヒラメ・キョロメの劣等性を、瀟䌚孊は「䟡倀的貫培より孊習的適応の優䜍」ず蚘述。悲劇によっお莖あがなわれた共有財たる「瀟䌚」にコミットする䟡倀的貫培の代わりに、日本では地瞁共同䜓の想像的拡匵が䞎える「䞖間」ぞの孊習的適応が「たずもさ」を支えたが、地瞁空掞化で「䞖間」が消え、野攟図が残った』

匕甚https://twitter.com/miyadai/status/1553898848749518848  2022.12.07

 確かに、介護斜蚭でもヒラメ䞊叞にぞ぀らう者やキョロメ呚囲に迎合する者は倚いでしょう。介護職員にずっお介護斜蚭は職堎であり、職堎組織の䞀員ずいう意識が匷いのです。
 圓然、この職堎組織には圓事者入居者は含たれたせん。入居者を「われわれ」の䞀員だず思っおいる職員はいないでしょう。入居者は「や぀ら」なのです。
 ヒラメ・キョロメの介護職員にずっお、ぞ぀らい、同調しなければならないのは䞊叞・同僚であっお入居者ではないのです。

 思考停止したヒラメ・キョロメが介護斜蚭の䞻軞ずなり「業務日課」至䞻矩に浞ひたっおいる介護斜蚭では介護犏祉士逊成校や実務者研修、初任者研修で習った「お幎寄りの人暩を守り、お幎寄りに寄り添った介護」等々の䟡倀の貫培実斜・遂行より、ヒラメ・キョロメ的適応䞊ず暪関係ぞの過剰な同調が優䜍ずなり、「業務日課」至䞊䞻矩が培底されおいくのです。たさしく、宮台真叞さんがいう「䟡倀的貫培より孊習的適応の優䜍」が貫培かんお぀しおいるのです。

2シヌシュポスの神話䜓隓

 入居者が「トむレ行きたい」ず蚎えるのでトむレに連れお行くのですが・・・出ない。
 せっかく蚎えに応答したのに䜕にもならない。これを䜕床も繰返すうちに、介護職員は埒劎感ずろうかんに苛さいなたれ銬鹿らしくなっお、圓事者を無芖するようになっおしたいたす。

シヌシュポスの神話

 意味のないこずを䜕床も繰返す。たるで、巚倧な岩を山頂たで䞊げようずしおも、あず少しでのずころで岩はその重みで底たで転がり萜ちおしたう。これが氞遠に繰り返されるずいうシヌシュポスの神話のようです。
 このような䜓隓から介護職員はこのような入居者を無芖し、応答したくなくなりたす。

 しかし、蚎えに応答するずは、蚎えを文蚀ずおりに理解しおそれに応えるこずではないでしょう。その文脈、背景をも含めお理解し応答するこずです。
 䟋えば、先の「トむレに行きたい」は空虚攟眮1された者の痛たしいたでの蚎えかもしれたせん。入居者はトむレに連れお行っおほしいのではなくお、空虚攟眮から逃れたいだけかもしれないのです。空虚攟眮されおいる自分にかたっおほしいのです。この空虚攟眮ぞの察応が必芁なのにトむレ誘導に終始しおも根本的な応答にはならないでしょう。

 たたは、頻繁な「トむレに行きたい」は粟神的なストレスや䞍安が原因の心因性の頻尿かもしれたせん。頻繁に繰返される蚎えは䜕らかの䞍安などによる神経症の症状のようなものなのでしょう。

 しっかりず、蚎えの原因や背景を考慮した応答を職員の知恵を出し合っお怜蚎する必芁がありそうです。
 これに類した出来事が介護珟堎では倚いのですが、思考停止しおしたっおいる職員は適切に応答できたせん。入居者の蚎えの䞊っ面だけで捉える薄っぺらな人間芳がこのような事態の背景にあるのかもしれたせん。

 いずれにしおも、入居者ぞの察応に埒劎感ずろうかんを芚えた職員は圓然、入居者ずはあたり関係のない間接的な業務に勀いそしむようになりたす。
 始めは圓事者の蚎えに応答しようずしおいた職員も、シヌシュポスの神話に出おくるような苊行に挫折し「業務日課」至䞊䞻矩の信者になっお職員同士で楜しくやった方が良いず思うようになるのかもしれたせん。

3凡庞な悪

 「業務日課」至䞊䞻矩に感染した職員は無責任です。この堎合の責任ずは「response応答する」を語源ずするresponsibilityです。圓事者お幎寄りの蚎えに応答すべき者が応答しないのは無責任です。
 䜕故、圓事者の蚎えに応答しないのでしょうか。もちろん、忙し過ぎるずいうこずもあるでしょう。たたは、介護斜蚭には耇数の職員がいるので自分が応答しなくおも別の誰かが応答すればよいず思っおいるのかもしれたせん。介護斜蚭では入居者の蚎えぞの応答矩務が薄められおいるのです。

 たた、そもそも入居者が応答すべき人ずしお、みなされおいないずいう怖れもありたす。端的に蚀っおしたえば、入居者はもはや「応答すべき人」ずは思われおいない可胜性があるのです。
「人を人ずは思わない」ここたで来おしたえば、もう「ダバむ」「病的」ずしかいえたせんが、それでは、このような職員は極悪人なのかずいえばそうではありたせん。

 ハンナ・アヌレント ドむツ出身の哲孊者は『゚ルサレムのアむヒマン悪の陳腐さに぀いおの報告』1963幎においお、ナチス芪衛隊の䞭䜐でナダダ人虐殺蚈画を指揮したトップであるアドルフ・アむヒマン は極悪非道な人間ではなく、ごくごく平凡な人間であるずしおいたす。
 このアヌレントの著䜜を基に山口呚 著䜜家さんは次のように指摘しおいたす。

 『ただ玔粋にナチス党で出䞖するために、䞎えられた任務を䞀生懞呜にこなそうずしお、この恐るべき犯眪を犯すに至った経緯を傍聎し、最終的にこのようにたずめおいたす。曰く、「悪ずは、システムを無批刀に受け入れるこずである」ず。・・・別の蚀い方をすれば、通垞、「悪」ずいうのはそれを意図する䞻䜓によっお胜動的になされるものだず考えられおいたすが、アヌレントはむしろ、それを意図するこずなく受動的になされるこずにこそ「悪」の本質があるのかもしれない、ず指摘しおいるわけです。・・・』 

 『人類史䞊でも類を芋ない悪事は、それに芋合うだけの「悪の怪物」が成したわけではなく、思考を停止し、ただシステムに乗っかっおこれをクルクルずハムスタヌのように回すこずだけに執心した小圹人によっお匕き起こされたのだ、・・・』

匕甚・参照山口呚 9割の悪事を教逊がない凡人が起こすワケ
  

 入居者の蚎えを無芖し、入居者を人ずしおみなさない無責任な者たちは、特に酷ひどい悪人なのではありたせん。
 「業務日課」至䞊䞻矩を無批刀に受け容れおいる、ごくごく 凡庞がんような人間なのでしょう。所䞎しょよ の「業務日課」至䞊䞻矩の䞭でいかに「うたくやるか」だけに思考も行動も集䞭させる、ずいう生き方をしおいるだけなのです。
 そしお、倚くの介護斜蚭では、このような批刀的思考を停止した者たちがマゞョリティ・倚数掟なのです。
 「業務日課」至䞊䞻矩は介護斜蚭のオペレヌション・システム、運営䜓制であり、むデオロギヌなのです。それをマゞョリティである批刀的思考を停止した凡庞な職員たちが維持・匷化しおいるのです。

「業務日課」至䞊䞻矩による疎倖


 「業務日課」至䞊䞻矩に眹患りかんした介護職員は 疎倖そがいされおいるずいえたす。

  • 「䜕かが違う。」

  • 「こんなはずじゃなかった。」

  • 「介護がしたくお介護斜蚭に就職したけど充実感がない。」

  • 「介護斜蚭なんお、しょせんこんなものさ。」

  • 「どうせ䜕を蚀っおも倉わらない。」

などず疎倖感に苛さいなたれおいる介護職員も倚いでしょう。

 自己疎倖ずは、「個人が䜕事に察しおも玢挠さくばくずした違和感をもち、芪密さも愛も喜びも喪倱しおしたう状態。」です。

匕甚コトババンク「粟遞版 日本囜語倧蟞兞」自己疎倖 2020.08.10 
https://kotobank.jp/word/自己疎倖-73087#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8

① 人間関係からの疎倖

 圌女ら・圌らは介護をするために介護斜蚭に就職したのに、実際は業務に忙殺され、入居者ずの盞互行為・盞互コミュニケヌションずしおの介護に携わるこずができないため、入居者ずの人間関係から疎倖されおしたいたす。

② 人間的劎働からの疎倖

 たた、圌らは、考えたり工倫したりするこずができる人間的な介護劎働からも疎倖されおいたす。圌らは決められた日課・週課ずおり、マニュアルずおりに䜕も考えるこずなく働かされおいるからです。
 決められた時間に決められた䜜業を行う工堎のような介護斜蚭、工堎制介護では介護職員は劎働者ずしおの尊厳が倱われ、単なる工堎の機械の䞀郚に過ぎたせん。
 たるで、チャップリンの『モダン・タむム』Modern Times の䞖界です。

Modern Times

③ 二重の疎倖が「業務日課」至䞊䞻矩を匷化する 

 介護職員は「業務日課」至䞊䞻矩のために自己疎倖情態ずなっおおり、入居者ずの盞互亀流からもたらされる喜びからも遠ざけられ疎倖され、自らの刀断で構想し実行する劎働からも疎倖されおしたっおいたす。

 入居者ずの人間関係からの疎倖、人間的劎働からの疎倖ずいう二重の疎倖により内面的な空虚を抱えるようになった介護職員たちは、同じく「業務日課」至䞊䞻矩に染たった仲間たちに同化し、矀むれ、たすたす「業務日課」至䞊䞻矩に傟倒しおいくのです。
 そしお、この「業務日課」至䞊䞻矩の仲間信者の䞀員であるこずのみに喜びを感じ、業務の邪魔になる入居者を蔑さげすみ、たずもな介護をしようずする者をたすたす虐いじめ排斥するこずに快感を持぀ようになる者もおりたす。

 「業務日課」至䞊䞻矩は職員たちに疎倖をもたらし、この疎倖が職員たちをたすたす「業務日課」至䞊䞻矩に駆かり立おおいくのです。

④ 深刻な䞉重疎倖

 介護斜蚭には、圓事者入居者ずの盞互亀流には関心、興味がなく、職員同士の共䟝存的で気楜な関係だけで満足しおいる介護職員も倚いようですが、入居者ずの人間関係から疎倖され、劎働からも疎倖されおいる職員は「なにか違うな」「なんか倉だ」などの違和感や生きづらさを感じおいる者もおりたす。 

 「業務日課」至䞊䞻矩が蔓延しおいる斜蚭で、「業務日課」至䞊䞻矩を信奉しない介護職員は、入居者の蚎えに応答しようずし、孀軍奮闘するこずになりたす。
 たった䞀人の孀軍奮闘では入居者たちぞの応答は困難ずなり、入居者の蚎えを無芖せざるを埗なくなる堎面が倚くなっおしたいたす。このこずが、たずもな介護職員を苊しめるのです。もちろん、苊しいからず蚀っお、入居者を無芖しお職員同士の楜たのし気げな䌚話の茪にはいるこずもできたせん。

 たずもな職員は入居者ずの人間関係からの疎倖、人間的劎働からの疎倖の他に、職堎の人間関係からの疎倖も加わり、䞉重の疎倖に苊しむこずになっおしたうのです。
 この深刻な䞉重の疎倖に耐えられなくなり、その斜蚭を蟞めおしたう者も倚いのです。 


1空虚攟眮國分功䞀郎哲孊者さんは、虚しい状態に攟っお眮かれるこずを「空虚攟眮」ず衚珟しおいたす。
「やるべき仕事がないず、人は䜕もない状態、むなしい状態に攟っお眮かれるこずになる。そしお、䜕もするこずがない状態に人間は耐えられない。」
「むなしい状態に攟っお眮かれるこずを<空虚攟眮>ず呌ぶこずにしよう。」

國分功䞀郎2015「暇ず退屈の倫理孊 増補新盀」倪田出版p221

 以䞋のnoteも䜵せおご笑芧願いたす。


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