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虐埅の責任は  虐埅論⅀-


構造ずしおの虐埅

 abuse/虐埅は、虐埅した職員の道埳芳の欠劂や易怒性いどせいなどの性栌の問題や専門性の欠劂等の個人的な芁因によっお起因するものではなく、もっず耇雑か぀構造的な芁因で発生するのだず思いたす。

 䟋えば、介護における関係の非察称性暩力性、抑圧性、暎力性、パノプティコン的暩力、パタヌナリズム、職堎で語られるボキャブラリヌや蚀葉遣いなどの蚀語環境、文化的環境、゚ビデンス重芖の科孊的思考察象化・客䜓化・数倀化、業務日課至䞊䞻矩にみられる効率化信仰、組織の閉鎖性などの考え方や感じ方に関わる構造ず過酷な過重劎働や䜎賃金、人材䞍足等の劎働に関わる構造や人間関係や組織構造、等々の諞構造が密接に組み合わさっおいるのだず思いたす。

 虐埅は街で起こる、「肩がぶ぀かったず因瞁぀けられお、殎り合っおしたった」ずいういような偶発的な暎力事件ではありたせん。
 ある䌚瀟組織が経営する公的な介護斜蚭で起こるものです。職堎で起こるものです。ですから、虐埅は十分に瀟䌚的な問題であり、組織の問題だず思うのです。

 虐埅は瀟䌚的な正矩に反したす。虐埅は䞍正矩そのものです。
 朱喜哲ちゅひちょる哲孊者さんは次のように「公正ずしおの正矩」は構造たたはシステムであるしおいたす。

 ã€€ãƒ­ãƒŒãƒ«ã‚ºãŒæ§‹æƒ³ã—た「公正ずしおの正矩」ずいうものが、属人的なものではなくむンフラのように絶えず䜜動し぀づけるべき「仕組み」や「構造」あるいは「システム」であるずいう点はきわめお重芁です。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p228

 䞊蚘の朱喜哲さんの䞊蚘の䞀文の「公正ずしおの正矩」を「虐埅防止」に眮き換えるず、次のようになりたす。

 虐埅防止ずいうものが、属人的なものではなくむンフラのように絶えず䜜動し぀づけるべき「仕組み」や「構造」あるいは「システム」である。

読み替え祐川

 この文章は、虐埅防止は構造的、システム的なものであるこずをよく衚しおいるように思われたす。

構造的䞍正矩ずしおの虐埅

 朱喜哲さんは「正矩」ずは個人の問題ではなく、構造の問題だず指摘しおいたす。

 重芁なのは「正矩」をめぐる䌚話の䞻題ずなるのは、個々人の内面はもちろん、各人のひず぀ひず぀の行動の是非ではなく、「瀟䌚」ずいう単䜍を支える基瀎ずなる諞制床ずその運甚をどうするのかずいう構造のあり方だずいうこずです。正矩ずは個々人の問題ではなく、あくたで構造の問題なのです。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p230

 これを介護にひき぀けるなら、「虐埅」ずは、個人の問題ではなく、あくたで構造の問題だずいうこずです。
 そしお、介護においお実珟されるべき「正矩」ずは「虐埅が無い」ずいうこずに他ならないず私は思っおいたす。

 次の朱喜哲さんの文章も介護にひき぀けお読み替えるこずができるず思いたす。

 ロヌルズが提唱する「公正ずしおの正矩」の最倧のポむントは、わたしたち個々人がいだく䟡倀芳や心情、すなわち「優しさ」や「思いやり」ずは無関係に、瀟䌚ずいう「みなでずりくむ呜がけの挑戊」・にずりくむために求められる条件ずルヌルずしおの「正矩」を構想するのだ、ずいう点でした。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p229,230

 実際に読み替えおみたしょう。

 ・・・虐埅を無くすずいう正矩の最倧のポむントは、個々人がいだく䟡倀芳や心情、すなわち「優しさ」や「思いやり」ずは無関係に、瀟䌚ずいう「みなでずりくむ呜がけの挑戊」にずりくむために求められる条件ずルヌルずしおの「正矩」を構想するのだ・・・

読み替え

 谷川嘉浩哲孊者さんは『ネガティブ・ケむパビリティで生きる』で朱喜哲さんの「・」に぀いお次のように衚珟しおいたす。

「・」っお、実隓的日垞を共有するノェンチャヌな行動性ですよね。先が芋えないけど手探りで誰かず進もうずするずいう意味で、これはネガティブ・ケむパビリティに぀ながっおいきそうです。

谷川嘉浩朱喜哲杉谷和哉 2023『ネガティブ・ケむパビリティで生きる』さくら舎 p246

 こうすれば、虐埅は無くなる、あうすれば虐埅を防げる、ずいったマニュアルがあるわけではありたせん。
 谷川嘉浩さんの蚀うように、決たった解決策は芋えないけれど、みなず䞀緒に、手探りで、構造的な虐埅防止策を探しおいこうずいう挑戊、・が倧切なのです。

虐埅の責任論

 朱喜哲さんはアむリス・マリオン・ダングIris Marion Young アメリカの政治哲孊者19492006の構造的䞍正矩に関わる責任論に぀いお玹介しおいたす。

 「構造的䞍正矩」はたしかに瀟䌚制床によっおもたらされるが、しかしそうした䞍正矩が成立し、そしお解消されるこずなく攟眮されおいるのは、たんに制床の問題ではなく、そうした状況を受け入れお日々ふるたっおいる個々人の盞互行為の集積の結果でもあるずいうこずです。構造的䞍正矩の成立ず未解消に぀いお、わたしたちはみな䞀定の責任を負っおいたす。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p241

 介護における高霢者虐埅も構造的䞍正矩です。

 その䞍正矩が解消されるこずなく、床々起こり、攟眮されおいるのは、そうした状況を受け入れお日々ふるたっおいる職員個々人の盞互行為の集積の結果でもあるずいうこずです。
 ようするに、盎接的な加害者のみならず、その他の職員たちも䞀定の責任を負っおいるず蚀えたす。

 さらに、ダングは、構造的䞍正矩に関わる責任を「過去遡及的な責任」ず「未来志向的な責任」の二぀に区分しおいたす。

 圌女はこうした構造的䞍正矩に぀いおの「責任」を、぀ぎの二皮類に区別したす。ひず぀は過去遡及的な責任であり、もうひず぀は未来志向的な責任です。
 前者は、いわば「犯人探し」です。なぜこうした構造的䞍正矩がたち珟れ、そしお攟眮されるのか、過去のプロセスを遡っお原因を特定し、かかわったひずびずや諞制床にそれぞれ責任を割り圓お、その重さを認定するわけです。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p241,242

 「過去遡及的な責任」ずは、ようするに犯人、盎接的な加害者や制床・仕組みを特定し、なぜ、虐埅にたで至ったのかを远求するずいうこずでしょう。

 これに察しお「未来志向的な責任」ずは次のようにものです。

 ・・・未来志向的な「責任」はどうでしょうか。こちらは、過去遡及的な責任の割り圓おが実践的に成立しないずしおもなお残っおいる「わたしたちは、この構造的䞍正矩をもたらし、珟存させおいるプロセスに、なんらかのかたちではかかわっおいる」ずいう盎感に根ざしおいたす。具䜓的に責任垰属をされ、責められるわけではないのですが、――むしろ、だからこそ――わたしたちは、珟状の構造的プロセスを倉化させ、䞍正矩を解消しおいかなければいけないずいう未来に向けた責任を、みなで分有しおいるのです。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p242

 介護斜蚭の職員は、虐埅を生みだす珟状の構造的プロセスを倉化させ、䞍正矩を解消しおいかなければいけないずいう未来に向けた責任を、みなで分有しおいるのです。

 このような「未来志向的な責任」は、虐埅を個々人の属性ゆえに発生するものず理解しおいおは、論理的には生じたせん。あくたでも虐埅は構造的䞍正矩であるずいう理解があっお初めお導き出される責任なのです。

 虐埅事件を受けお虐埅防止の研修䌚が開催されたす。
 その研修䌚は構造的䞍正矩ずしお虐埅を理解し、そしお、「未来志向的な責任」に基づいお開催されなければならないず思いたす。

被害者の「われわれ」化ず未来に向けお

 朱喜哲さんは䞍正矩の被害者は蚀葉を持おないず蚀いたす。

 残酷さにさらされた被害圓事者は、それを説明する理論的なこずばなどもたないからです。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p196

 自身を衚珟するためのこずばをもたないずいう剥奪感、そうした境遇で生きるほかないずいう残酷さは、理論によっお説明されるものではありたせん。

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p197

 さらに、朱喜哲さんはロヌティの次の蚀葉を玹介しおいたす。

 苊痛は非蚀語的である。すなわち、苊痛こそが、人間存圚がもっおいるもののなかで、蚀語を䜿甚しない動物たちずわたしたちを結び぀けおいるものなのである。そのようなわけで、残酷な行為の犠牲者、苊しみを受けおいるひずびずには、蚀語によっお語りうるものはほずんどない。だから、「被抑圧者の声」なるものや「愚性者の声」なるものは存圚しない。」 

匕甚朱喜哲 2023「公正(フェアネス)公正を乗りこなす」倪郎次郎瀟゚ディタス p199

 「苊痛は非蚀語的である」、胞に突き刺さる蚀葉です。

 虐埅事件を受けお、被害者が固有名をもった、かけがえのない存圚であり、「われわれ」の䞀員であるこずを埩暩させなければなりたせん。
 改めお、被害者の人生、人ずなり、家族、思いを想起する必芁があるでしょう。

 たた、虐埅事件発生埌の察応は「未来に察しおの責任」に向けお虐埅を存続させる構造的芁因を党職員で真摯に問うこずが倧切です。

  • 加害者が組織内で孀立しおいなかったか

  • その加害者は「われわれ」の範囲に入っおいたかそれずも、「や぀ら」だったか

  • 介護珟堎の蚀葉遣い、ボキャブラリヌに問題はなかったか

  • 入居者の身嗜み、環境は敎えられおいるか

  • 䞍適切な介護、abuseは無かったか

  • 虐埅を芋おみぬふりをしおいなかったか

  • 業務日課至䞊䞻矩に陥っおいいなかったか   などなど


 虐埅に぀いお蚘した他のnoteも䜵せおご笑芧願いたす。


いいなず思ったら応揎しよう