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僕ず圌氏のメむ、ゞュヌン、ゞュラむ①

↑前のお話

↑シリヌズの基瀎蚭定。オメガバヌスの進化線。



「初倏を聎く五月の終わりから、六月   いや䞃月の最初の週くらいには、あの忌たわしい蒞し暑さが小さな島党䜓を芆うよな。なあ、芚えおいるか 懐かしいよ。燃えるような蝉の矜音、タタミ敷きの平屋に、虫取り線銙の薬臭さも。ああ、本圓に懐かしいよ、懐かしい  。みんな、ただ十五歳で、無知なっ、子䟛で。  っ、すたない  、ッ、ど、どうしおこのナンバヌに掛けおしたったのか、ハハ、分からないよ  。    ああそうだ、初恋の君によろしくな。長い想いが報われる幞せを、心から祈っ」

『送信者のメモリ䞍足により、回線が切断されたした。こちらからリダむダルを臎したすか』
「  無甚である。明日のメヌラむシャン少䜐のスケゞュヌル進行は」
『順調です。本日の10時には、予定通りツアヌに参加されたす』
「わかった、確認を終える」
『む゚ス、マスタヌ・ラグランゞェ』

セルフィアむ端末のラむトを萜ずし、銀髪碧県の青幎は倪陜系統垥本郚ビルのオフィスにお、怅子に深く座り長い脚を組む。䞊玚将官にのみ蚱された挆黒の軍服が、圌の鋭利な矎貌を曎に際立たせおいた。

「友の最期の励たしが途䞭切れずは、どうにもやり切れないものだな  」



2400幎頃の小田原呚蟺。アルファによる再開発が進み、ミドル局向け高玚ホテル枩泉地化。



「初倏を聎く宎にいらっしゃいたせんか」

そんな軜やかな着信ボむスを萜ずし、セルフィアむ端末に届いた旅行䌚瀟からのメッセヌゞ。

「オダワラか、城の改築も終わったらしいもんな」


倩碌(あため)・シェンラむア・メヌラむシャン少䜐は27歳。23䞖玀に皀少絶滅危惧皮ずされるクスィヌ・セクシャルの䞀人だ。か぀おアルファ、ベヌタ、オメガず「第二性別」は䞉぀に分かれおいたが、21䞖玀末たでにオメガず識別されおいた人々の倚くは、残酷な性差別や虐埅に耐えられず倧量自殺をしたり、自爆テロにより玔粋皮はほが絶滅したず蚀われる。

優生遺䌝子配合やクロヌニング技術で人類の頂点に君臚しおいたアルファ性の人類は、そのずば抜けた頭脳を継承させる為に、䌎䟶になるべくオメガず圓然子䟛も手に入れられずに、男女共に深刻な少子化の䞀途を蟿っおいた。

だが23䞖玀初頭から、マザヌAI「ヒュヌトラン」に厳重に保護されおいたオメガ皮の䞭から、粟巣ず子宮、卵巣を持぀新人類が自然受胎のみで産たれるようになり、少しず぀だが数を増やしおいった。倩碌はそんなクスィヌアンの䞀人だ。



14歳の頃の倩碌、第二次成長期を迎えた頃。


ここ半䞖玀の研究により、クスィヌ・セクシャルの人々は、オメガ性の奇跡的な進化圢態であるず生物科孊的に立蚌されおいる。発情期になれば性的欲望の飢逓地獄に陥り、アルファのフェロモンに服埓しなければ生きおいかれない哀れな人類。ベヌタからは䟮蔑の唟を吐き捚おられお、アルファには性の奎隷ずしお䜿い捚おにされおいた。

圌ら圌女らは身䜓的にも貧匱で、内蔵噚官や運動胜力もアルファのハむブリッド・チャむルドには倧きく劣っおおり、望たれおいたのはひたすら匷い劊嚠率ず繁殖力のみ。胎児はほが優生皮アルファか、次なる増産力ずなるオメガ。

しかし、オメガから進化したず蚀われるクスィヌには、性的欲望や恋愛思考がたるで無く、アルファを必芁ずしない粟神ず肉䜓で自立し、未来を築き䞊げおいる。


オメガがほが死滅しおしたった倪陜系においお、クスィヌアンはアルファノむドにずっお、唯䞀自分達の子孫を残しおくれる垌望。だが、その「運呜の぀がい」ず認められた者は歎史䞊にもわずか数人のみ。結婚や出産に倚額の報奚金を政府から保蚌されるにも関わらず、独身のたた生涯を終えるクスィヌが圧倒的に倚いからだ。


倩瑪も䟋倖なく恋愛や結婚、たしおや出産などに党く興味の持おない兞型的アロマンティック・クスィヌアンである。オメガ系クスィヌだった母芪は倩碌をアルファ父ずの間に生み萜ずし、たた芪友倫婊に粟子提䟛をした、遺䌝子䞊の双子の兄の父でもある。いずれは兄達がその血を残しおいくだろうず、末っ子は幌い頃からのんびりず自由を堪胜しきっおいた。



リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵。倪陜系連邊の統合本郚副長、䞭䜐。



「倩碌・シェンラむア・メヌラむシャン少䜐。䜙ず結婚しお欲しい。お互いにずっおこれが最䞊の運呜なのだ」


悠長に䞭流独身を楜しんでいたある日、倩瑪の楜倩人生に「マリッゞ・ボム」を投げ぀けおきたアルファ・゚リヌトが立ちはだかる。



倪陜系瀟亀界においお、「蒌の君、ブルヌハむネス」ず、倚くの男女からの憧れを独占するリヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵。圌が衆目の前で倩瑪に跪いた日から、スムヌズに進んで来た人生がおかしな方向ぞ歪み始めた。

圌に恥をかかせないようにその堎では承諟の返事を返したが、「絶察に婚玄も結婚もしない」ず、ラグランゞェ䟯爵には断蚀しきっおいる。だがクスィヌアンずしお、これからも倚々政府から抌し付けられるだろう芋合い瞁談を回避するには、圢だけでも二人で暮らすこずが最適だ。

自然消滅ぞの䞋り坂を転萜し続ける人類ぞ、マザヌAI「ヒュヌトラン」は、危機的な未来を回避させるべく、アルファノむドやクスィヌアンに察し、倧幅な枛皎に加えお、火星や朚星移䜏費ず氞䜏暩取埗費の助成金を保蚌しおいる。たた貧しいクスィヌに察しおは奚孊金の党額返金無効ず、老埌の安泰を確玄しおいた。

それだけに、独身者に察しおの匷匕なお芋合いや顔芋せ、ブリヌディングに察しおは半匷制的な執政を行䜿しおいる。圓然、離婚した際のフォロヌも䞇党に敎えられおいるが、䞀向に婚姻率は䞊がらなかった。

その矩務に嫌々埓う倩碌に、悪魔アスタロッツァの劂き甘やかな声でこう囁いたのが「蒌の君、ブルヌハむネス」こず、ラグランゞェ䟯爵だ。


「䜙は、けしお卿の悪いようにはしない。これを受ければ、明日からは無益な盞手ず䌚う必芁も無くなる」

「気にいらなければ、そちらから䜙を離瞁すれば良い。この手を取るのだ、頌む  、倩瑪・メヌラむシャン少䜐」


それから䞉ヶ月、倪陜系連邊軍のアルファノむド・゚リヌトである圌に盞応しい海に浮かぶ城、ハダマ・グランドセンチネルにお、奇劙な共同生掻が続いおいる。



27歳の倩碌・メヌラむシャン技術士官、少䜐。



毎幎、地球の旧日本領であったオダワラ゚リアぞ、玫陜花ず菖蒲の花、そしおクロヌン技術の結晶「むツワリホタル」を芳に行くのは、むンドア掟である倩碌の珍しいルヌティヌンだ。

富士山の近くには、ハコネ地区や䌊豆半島など名湯の宝庫が転圚。ワヌカホリックな生掻を重ねおいるせいで、溜たりきっおいる有絊䌑暇消化にちょうど良くスケゞュヌリングしおいる。

しかしながら、アルファやA玚富裕局のベヌタ人皮が同じく集たっおくる季節ずあっお、カゞュアルなホテルもツアヌプランも早めに完売しおしたうこずから、毎幎混み合う゚アトレむン・゚コノミヌの狭いシヌトにお、窮屈な埀埩を過ごすばかりだった。

「䜙の名前を䜿っお、プレミアムシヌトを予玄すれば良い。このような時こその利点ではないか」

圢だけの婚玄者が久しぶりに同垭した、二人だけのランチタむム。電子チケットをシルクのクロスに滑らせおきた長くしなやかな指には驚いた。倩碌の数少ない莅沢を、い぀から調べおいたのだろう。

「郜合良く䜙を利甚するべきだ。アルファの倫婊垭ならば、譊備も厳重になるだろう。卿は普段から働き過ぎおいる。ゆるりず数日䌑みなさい」

幎代物の癜ワむンで唇を濡らし、バタヌ蒞しムニ゚ルを矎しい所䜜で捌いおいる、盞倉わらず䌝説のアポロニアスを圷圿ずさせる「婚玄者(ä»®)」をがんやり眺めおいた自分は、きっず寝䞍足だったのだず思う。

「  なら、共犯者の責任ずしお僕ず䞀緒に出かけない 䟯爵も察テロ挔習がひず段萜したら、ちょっずは䌑めるんでしょ」

瞬間、完璧なテヌブルマナヌが、皿を叩くナむフの音で軜く匟けた。



倩碌ず䟯爵が䜏む、ハダマ゚リアの海岞。浮かぶのは二人の䜏むマンション。


「あ〜もう 䜙蚈な䞀蚀だったよな〜、明らかに」


シンゞュク・ステヌションの最䞊階にある、アルファ高玚将官甚のレストルヌム。倩碌は着替え終わった軍服をサむボット・コンシェルゞュに預け、代わりに受け取ったむッセむ・プリヌツのスポヌティピヌスに袖を通し終えたずころで愚痎った。

「応える気もない盞手にこう  、兄貎達みたいに甘やかされるず、末っ子䜓質ずしおどっぷり頌っちゃうんだよなあ。実際に䟿利だし、特暩階玚扱いでどこでも優先されるし」


そうでなくずも、超高玚アルファノむドのみに蚱される海の城に「䜓隓生掻」ずしお同居しおいるのである。バスルヌムもトむレも寝宀もりォヌクむンクロヌれットも、党お䞀人ず぀に分割された共働き倫婊甚マンションなのだが、広いリビングずダむニングキッチンは共有だ。


「  居候だからっお匁圓䜜っおやったら、めらえっさビックリこきたろだったな、ブルヌ・ハむネスめ」


䞖間様の芖線を誀魔化す為に「停物の婚玄者」を挔じ切ろうず倩瑪はそこそこ意気蟌んではいたが、元々の性栌が誰に察しおもオヌプンなので、同じ屋根の䞋に䞀週間もいれば惰性も出おきおしたう。

それたではボロボロの士官寮でなんずか食費を削るべく、毎日の昌ごはんは手䜜り匁圓だった。䞭身はスヌパヌのセヌルだった冷凍食品や、前の晩に煮蟌んだカレヌ、シチュヌ、パスタの残り物。倜は半額になったコンビニ食品。

お互い軍務で、ラグランゞェ䟯爵は激務の統垥本郚副長。倩碌自身も、最近泚目されるラむディング・ナニット開発チヌムのリヌダヌずしお倚忙の日々だ。

しかしながら、無料でセレブレティ・゚リアに䜏たわせおもらっおいる眪悪感がなんずなく偲びなくお、ある朝二人分の匁圓箱をテヌブルに乗せおおいた。

アルファの成人貎族男性がどれほどの食事量を摂取するのか、奜き嫌いや奜みの味が䜕か党く䞍透明だったが、圌ら圌女らにはアレルギヌもなく䜓質的な䞍安はない。

前の晩に䜜っお䞀人で食べたアボカドハンバヌグず、オニオングラタンスヌプ、雑穀米のラむスに茹でたブロッコリヌを適圓にパりチバックぞ詰め蟌んで、「良かったらランチに」ずメモ曞きしお、先にマンションを出た。


セルフィアむにトヌキングコヌルが入ったのは、15時過ぎだったず思う。

『食事を、どうもありがずう』
「どういたしたしお、昚日の䜙りで悪いけど」
『たた、䜙裕がある日に食べられたら、ずおも嬉しい。矎味だった』

自炊をする者ずしお、やはり料理を耒められれば誰でも嬉しい。仕事は忙しいが、特に趣味を持たない倩碌にずっおキッチンに立぀習慣は最倧のストレス解消である。その日から、なるべく残業を枛らし、17時にはオフィスを出るように心掛けた。

晩ご飯ず翌日の匁圓のレシピをバランス良く考え぀぀、䟯爵が「奜きなように䜿いなさい。足らなければメモを」ず仕入れおいた豊富な食材で、思い切り腕を奮った。最高玚のビヌフ肉もラムチョップもワむンも、調味料か぀オリヌブオむルも。そしおナむフや䞭華包䞁、ブランドミキサヌセットも初めお䜿うものばかり。

食材ぞの出費を迷わなくなるず、ひたすら身䜓的に良い肉や野菜、魚䞭心のメニュヌを䞊べられる。

䜿い捚おバッグに入れおいるので、䟯爵が果たしお本圓に党お食べ尜くしおいるか確認はできないが、自分よりも䞉時間皋遅く垰宅するず、「あのスヌプはたた飲みたい」「どれも矎味いが、特にキャベツロヌルは奜きだ」などず話しおくれる。

そしお気付けば倩瑪自身も、コンビニや人造ミヌルを䜿甚した脂濃い匁圓を食べる日がなくなり、内臓脂肪が枛っお気になっおいた血糖倀も少し䞋がった。肌も艶が良くなり、生理䞭も爪が割れる事も無くなっお、宗教䞊の問題で䌞ばしおいる長い髪も枝切れしない。

二人の䌑みが合うように、䟯爵はかなりスケゞュヌルを现やかに調敎しおいお、氎曜日ず土日には䞋階のリストランテにお、ブランチやディナヌを食べる。

「疲れおいるなら、倖で食べよう。それずもデリバリヌが良いのか」


二人ずも共通しおよく食べる、䌑日のパンケヌキ。


「友達付き合いずしおのルヌムシェアなら、最高の盞手なんだよなあ  」


本来ならばラグランゞェ倪公家の六男ずしお結婚匏を匷匕に進め、倩碌に初倜の儀匏を呜什させられる身分の持ち䞻である。埌継者を必須ずする名門のアルファ軍人ずしお、家からも重圧を受けおいるだろうに。本圓に誠実で優しく、思い遣りに溢れおいる男だず぀くづく知り尜くした。出䌚った頃は「アルファのお坊ちゃん」ず敬遠しおいたが、今は奜意しか持おない。

だが、性的な盞手ずしお受け入れられるかは別問題なのだ。二人の間に、その䟡倀芳差が氞遠の峡谷ずしお暪たわっおいる。


『゚アロマンスカヌ、菖蒲号は間もなく発車臎したす。お客様はシヌトにお座りになっお䞋さい』

党宀オヌプンビュヌの個宀に、アナりンスが流れる。

「今頃、匁圓食べ終わったかな」

婚玄者(ä»®)の圌は、有絊を取った倩碌を起こさないたたに早朝、愛車であるアクアブルヌのシトロ゚ンを駆っお仕事に出お行った。お互い、今倜は倖食だ。こじんたりずした老舗枩泉旅通に䞀泊、倜はご無沙汰の鰻重を予玄しおある。

「倱瀌する」
「あれ、えっ、どうしたの」

軜めのノックが二回、返事をしない間もなくプレミアムルヌムぞず銀髪碧県の、぀い今も思い出しおいたリヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵が滑り蟌んできた。

い぀も敎えられおいる長髪は汗に乱れ、軍服から着替えたのか倩瑪がプレれントずしお莈った、グレヌプリントTシャツにブルヌデニム、蒌いハヌフカヌディガン姿。ただ䞀぀だけ、足元に茝く挆黒の革靎だけが異様だった。アルマヌニの牛革だろう、い぀も芋慣れたクラシカルデザむンだ。

「すたない、突然  。葬儀が早く終わったのでな。ただ間に合うかず」
「葬儀 聞いおなかったけど  、その、もう良いの」
「ああ、終わった」
「ず、ずにかく座りなよ。あんたが汗かいおるずこ、初めお芋たよ」

今たで寂しいくらいに広く感じられたパヌティヌションが、圌の倧柄な存圚感で䞀気に華やぐ。䞍謹慎だが、ほんのちょっずだけ、はしゃいでしたいそうな高揚を抑えられない。

「その、魚  」
「なに あ、このTシャツ 気に入ったから結構着回しおるよ」

少し前に、タケシタ・ストリヌトにおラグランゞュ䟯爵が倩碌の着替え甚に、家に買い溜めしおおいた金魚柄の商品だ。コットン特有の吞氎力も速也性も感觊も奜きで、もう䞀枚自分で違う柄を賌入しようかず考えおいる。あれ以来、店長ずもすっかり銎染みになり、時々店内で珈琲やお茶を楜しむ仲だ。

「卿に貰った服だが、着こなしはこれで間違いないか」
「倧䞈倫、髪の毛は鳥の巣みたくなっおるけどね。ちょっず埌ろ向いおくれる あ、ハンドタオル䜿っお」
「ありがずう」

胞元に「無敵の玔愛男子」ず曞かれたTシャツを着た長身の矎䞈倫が、苺プリントのタオルで顔から銖筋の汗を拭う。倩碌は普段からポヌチに入れおいる折り畳みブラシで、その銀糞を解いた。芯がしなやかで、癖がかなり匷くうねっおいるりェヌブだが、圌の性栌そのたたに玠盎だ。

「AI、ニュヌスを」
『む゚ス、マスタヌ・ラグランゞェ』

最新型の液晶パネルから、慌ただしいマスコミドロヌンの映像が飛び出しおきた。

『  未明、亡くなられたアルフォヌド・フォン・リストベル男爵は28歳。アルファの名門リストベル家の長男で䞀人息子でした。数々の歊勲を䞊げられた英雄の突然の自死に困惑したのか、軍郚も公匏な発衚をしないたた、先皋身内のみの葬儀が終えられた暡様です』


画面に幟぀か映し出され、流れ去っおいく軍曹姿のその青幎の顔も髪も瞳も、そしお䜕より冷涌な面差しも。目の前で汗を拭く青幎ずよく䌌おいた。

「ねぇ、この人っおさ  」
「埓兄匟だ、父方の。䞀昚日、䜙の個人端末にこれが」

サむドテヌブルに、圌がい぀もの長い指でセルフィアむを滑らせる。


「初倏を聎く五月の終わりから、六月   いや䞃月の最初の週くらいには、あの忌たわしい蒞し暑さが小さな島党䜓を芆うよな。なあ、芚えおいるか 懐かしいよ。燃えるような蝉の矜音、タタミ敷きの平屋に、虫取り線銙の薬臭さも。ああ、本圓に懐かしいよ、懐かしい  。みんな、ただ十五歳で、無知なっ、子䟛で。  っ、すたない  、ッ、ど、どうしおこのナンバヌに掛けおしたったのか、ハハ、分からないよ  。    ああそうだ、初恋の君によろしくな。長い想いが報われる幞せを、心から祈っ」


プツリず、音源が切られお宀内が灰色の沈黙に包たれる。

「  遺蚀、みたいだね」
「おそらくはそうだろう。䜕故、䜙にだけ残したのかが分からない。倧孊たでは同窓だったが、この数幎は盎接䌚う機䌚も少なくお。アルは  、埓兄はアルファ女性達ず結婚も長く続いおいお、五人も子䟛を人工授粟に成功させおいた」


倩瑪は䟯爵の長髪を軜めの線み蟌みにたずめお、自分が愛甚しおいるヘアゎムで結び、ラむムノァヌベナのヘアミストで少しだけ濡らした。リュックに入れおいたりォヌタヌボトルを手枡す。

「ご葬儀、お疲れ様でした」
シヌトに腰かけたたたで、倩碌がペコリず頭を䞋げるず、
「いたみいりたす」䟯爵もたた埋儀に返す。


「恋愛結婚  、なわけないか。党員が芪同士の決めた奥さん達だったの」
「うむ、四回ブリヌリングを成功させお男爵家も安泰ず聞き、幞せだずばかり  」
「  結婚ず子䜜りがスムヌズだったからっお、本人の幞せがそこにあったかは䞍透明だろ」

すぐ傍で話を聞いおいた仮初の婚玄者の蚀葉に、ラグランゞェ䟯爵は蚀葉を飲み蟌む。深いアメゞストの瞳は真っ盎ぐ、盞手のスレヌトブルヌを反射させおいた。

「そうだろうか」
「さあ、人によるかな。でも少なくずも、僕は結婚むコヌル幞せずいう思考には同意しないね。そもそも、家同士の決めた盞手ず  、それも耇数なんお。アルファにずっおは圓たり前かもだけど、僕なら絶察に嫌だし、なんだか」

  なんだか、赀ん坊補造マシヌンみたい。

蒌の君、瀟亀界のブルヌ・ハむネスは蚀葉を倱う。すっかり沈柱した空気感に、黒髪の婚玄者は「でも、䟯爵が来おくれお嬉しいよ」ず柔らかく埮笑んでくれた。

「今日は、䞀人で食事をしたくなかったのだ」
「うん」
「すたない、卿はひずり旅を奜むずいうのに」
「僕も、ちょっず寂しかったよ。䞉日間、ほずんど話しおいなかったもんね」


小さな指が、䞀瞬迷っおから銀色の前髪を解く。䟯爵は驚いお肩を振るわせる。倩碌が自分から肌に盎接、觊れおくれるなど。


『お客様、右手をご芧䞋さい。このトンネルを抜けるず初倏の富士山がパノラマ状に眺められたす。カメラをご準備の方はサンルヌフ宀ぞどうぞ。シャッタヌチャンスを逃さずに』

「僕、撮圱しに行っおくるね。䟯爵も萜ち着いたら来おみお。今頃の富士山はずっおも綺麗だよ」

咄嗟に、二回り小柄な背䞭に手を䌞ばしたが、そのたた黒鳳蝶は飛び去っおしたった。ただ頬に圌の指の優しさが残っおいる。数分間、ラグランゞェ䟯爵は立ち䞊がれなかった。

「結婚や子䟛が幞せずは限らない」

その蚀葉は、深く自分の奥の䜕かを抉った。だが瞬時に癒しの䜓枩が䞎えられたせいなのか、血が溢れる前に傷は治癒し也いおしたう。

「それでも、この時間。䜙はずおも幞せだ  」

名ばかりの婚玄者の埌を远うべく、銀髪の貎公子は光溢れる初倏の車窓ぞ、飛び出した。


【僕ず圌氏の、メむ、ゞュヌン、ゞュラむ】


すみたせん もっず続きが描きたかったんですけど、早起きしお山圢県米沢垂に向かわねばならんので、今回はここたで チェックは旅通でしたすね
新幹線にお、䞊杉謙信公のお膝元ぞ行きたす

チェック、取り敢えず終わりたした。今倜は米沢垂の奥地にある、氎田に囲たれた秘湯にお䞀泊。明日は高速バスで仙台ぞ行くかな〜。




スキやコメントをい぀もありがずうございたす。偶然ここに蟿り着いた貎方も、是非ごゆっくりお過ごし䞋さい。そしおお気に召したらフォロヌやオススメ、たたはそちらのnoteにおご玹介などをよろしくお願いしたす。



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雲州鳩 マダム、ムッシュ、貧しい哀れなガンダムオタクにお恵みを  。

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