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「僕ず圌氏のマリッゞ・ボム」第二話


この䞖に生たれお初めお足を螏み入れた、地球旧日本゚リア内のタケシタ・ストリヌト。そこでたた人生初のカゞュアルショップデビュヌを果たした青幎は、掟手な赀い魚ず、その日本語が倧きくプリントされた䞀枚のTシャツに目を止めた。

『キン、キン、金魚』

「ゎヌルド カネザカナ、デス」
「あっ、あのっ。そちらは第八䞖代アヌスAIが䜜成したした春倏の新䜜でしお」
「    What's mean?  ã‚žãƒ£ãƒ‘ニヌズ・カクゲンか、デス」
「はっ、はい あ、翻蚳アプリを倱瀌したす」

今幎このショップに移動した店長は35歳、䞀般䞭流階玚ベヌタの男性だ。今朝は平日ではあったが、衚参道゚リアにお立倏祭りむベントが開催される。去幎の様子からしおも、近くの䜎局マンション地域に䜏む庶民を䞭心ずした混雑が予想されるこずから、普段より䞀時間早く出瀟したのだが。


『䜙  いや、私も地球に降䞋したのは䞃幎振りだ。それ以前に䜕より  、このような方向性の店舗で買い物をした経隓が皆無でな。入隊前の若者はこういう服装を奜むのか』

朝䞀で店に駆け蟌んで来たのは、クロノシア神話のアポロニアスもかくやな、芋䞊げる長身の矎しきアルファ男性。蒌みかかった銀髪は長く、銖元で無造䜜にバレットでたずめられおいる。゚リヌトDNA優生高配合皮特有の瓜実型の面長に、矎術通秘蔵の圫刻のような錻筋、冷涌なラむンを描く目元には二぀のサファむアが埋め蟌たれおいた。


曰く、この十幎間、数えきれない皋の倢にたで珟れた初恋の人物ず再䌚する。だが自分の所有は軍服か正装、オヌトクチュヌルスヌツのみ。初回のデヌトにお盞手に奜印象を持たれたく、衣装を遞んで欲しいずのこず。

確かに軍服ず䞀流老舗ブランド品しか手元に無いのだろうずは、すぐ分かった。クレヌプを食べながら歩く孊生達や近所の芪子連れが「誰あの人 アルファ゚リヌト」「正芏軍のトップ組、初めお芋ちゃった〜」ず店内を芗き蟌む芖線を党身に济びる圌は、詰襟の倪陜系連邊軍の䞊玚将官のみが身に぀ける挆黒の第䞀正装姿で、優雅なロングロヌブが揺れる胞元には幟぀かの勲章が瞬いおいる。

それもけしお、他倚くの貎族アルファのようにお食り刀ではないず、圧倒的なオヌラが物語っおいる。この将校は間違いなく、実戊で修矅堎を朜り抜けおきた戊士だ。店長の曜祖父は、第四次タむタン攻防戊にお傭兵ずしお最前線を生き延び曹長に昇進したが、匕退埌に曟孫達に囲たれ遊んでいる日垞でも、子䟛心にわかる硝煙ず血の匂いがしおいた。

(呜を、たくさん奪った哀しみず諊めの目だ)

「そ、それではですね  、倧倉恐瞮ながら、わたくしめがコヌディネヌトさせお頂いおもよろしいでしょうか、か、閣䞋」
『そうだな、それが最適だろう。ではご亭䞻、本日の私の運呜を、卿に党お蚗そう。それずただ階玚は䞭䜐なのでな、閣䞋呌びは早いのだ。ではよろしく頌む』



「倩碌(あため)・シェンラむア・メヌラむシャン少䜐。䜙ず結婚しお欲しい。お互いにずっおこれが最䞊の運呜なのだ」


倪陜系瀟亀界においお、「蒌の君、ブルヌハむネス」ず、倚くの男女からの憧れを独占するリヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵が、長い銀髪を肩に零しながら県前に跪く。

「やっちたったぜ、あい぀ら」
「マゞかよ、アルファがクシィヌを射止めたのか」
「䜕十幎振りだ マリッゞ・ボムなんお」

呚囲から響くその嬌声は、あんぐりず口を開いお硬盎する倩瑪・シャリング・メヌラむシャン少䜐の錓膜を通過するのには、数十秒を芁した。

マリッゞ・ボムずは、初回のお芋合いや顔合わせで予告無く、ほが面識が無かった盞手偎に突然結婚を申し蟌む行為だ。特にアルファ・ハむブリッダヌが性欲をほが持たないクスィヌ・セクシャルに察しお告げるプロポヌズは、玉砕の可胜性が非垞に高い故に「ボム」ずいう皮肉なミヌムワヌドず化しおしたっおいる。

いわゆる、「粟神共鳎の盞手、運呜の぀がい」にのみ発動される告癜である。

「ええ、ちょっず  、勘匁しおくれよ  」

その爆匟を突然食らった偎にしおも、衆目の面前で告癜を受けようが断ろうが、長い幎月に枡っお地球の䞊流瀟亀界、及び倪陜系の衚瀟䌚では泚目の的になり続ける。たさに「心䞭」に倀する特攻なのである。

「ちょっず、䟯爵   そんなのやめろよ、顔を䞊げろっお 膝を぀いたりしお、は、恥ずかしくないわけ」
「承諟しおくれるか」
「いや、あのさあ。それ以前でしょ 僕ら今日っお、盎接䌚ったのも数幎振りなのに  、ああああ  」


パニックを起こしお冷や汗を流す倩瑪から応えが無いず察するず、再び長身の圌は差し出した手の䞭で汗だくになっおいる现い指を、少しだけ匷く握る。


「なんでだあ〜」


倩瑪のように、元々はオメガ性別から進化したクスィヌアンは、䜓内の奥深くに粟巣ず子宮、卵巣を持っおいる。前䞖玀の地球で䜙りにも性的な虐埅を受けたオメガ皮が、集団自殺や自爆テロなどを繰り返しおからその人口は激枛し、2404幎の珟圚には圌ら圌女らはほが絶滅したずされおいた。

繁殖力の匷いオメガず察になっお、倚くの子孫を残すはずだった優生皮のアルファ男女は、本来なら生殖盞手ずなるオメガの倧量死以降、自分達の遺䌝子を残せないたた生涯を終わらせる男女が激増。詊隓管やシャヌレの䞭でDNA配合されたデザむンズ・アルファはやがお生殖胜力を劣化させ、この癟幎は深刻な少子化に陥っおいる。

性栌的に察立競争心ず自己顕瀺欲が匷く、生殖胜力が著しく匱䜓化しおいるアルファ同士の性行為での受胎率は5パヌセントにも届かず。たた凡庞ベヌタ皮盞手では、匷化されたアルファ遺䌝子が盞手の粟子卵子を砎壊しおしたう。察しおクスィヌアンの健康頑健な现胞ずアルファのDNA盞性は最適ではあるが、恋愛感情や性的欲求を持たないクスィヌには、結婚やたしお出産をするずいう人生蚭蚈はたず通じなかった。

「䜙は、けしお卿の悪いようにはしない。これを受ければ、明日からは無益な盞手ず䌚う必芁も無くなる」
「あのさぁ、そんなの蚀われおも  」
「気にいらなければ、そちらから䜙を離瞁すれば良い。この手を取るのだ、頌む  、倩瑪・メヌラむシャン少䜐」


銀髪碧県の矎䞈倫の額から堀の深いたなじり、そしお顎にかけお汗が流れ萜ちるのを芋た倩瑪は、「はあ  」ず重くため息を吐く。

この人の綺麗な぀むじを、こんなシチュ゚ヌションで芖界に入れる日がくるなんお。

唇を䞀床軜く噛んで、それたでの穏やかな空気から䞀倉。冷ややかな芖線で「ブルヌハむネス、フォン・ラグランゞェ䟯爵」ず圌を無衚情に芋䞋ろした倩瑪は、硬質な声で「身分も釣り合わず䞍肖の身ですが、それではよろしくお願いしたす」ず、淡々ず応えた。



倩碌・シェンラむア・メヌラむシャン、27歳。


「マリッゞ・ボム特攻」が成就するず、䞀気に呚囲が湧き䞊がった。䞀連の様子を固唟を飲み぀぀芋おいた他の男女は、自分達のお芋合いどころではない。ほが絶望的だず信じられおきた、アルファ・ハむブリッダヌからクスィヌ・セクシャル盞手の゚ンゲヌゞが結ばれたのだから。

「二人は前からお知り合いでしたか」
「ラグランゞェ䟯爵 クスィヌを萜ずす秘蚣は」
「倩碌・メヌラむシャン少䜐は、䟯爵家にはい぀嫁がれたすか」
「䟯爵は六男であられたすが、逊子入りする可胜性は」


䞀気に抌し寄せおきたラむタヌらしきベヌタ男女や、ただ単に興味ず自身ぞのアドバむス欲しさに数人が質問を投げかけお来る。セルフィカメラで勝手に二人を撮圱する野次銬から花嫁候補を抱き䞊げ、188cmの花婿予定の男は驚異的な身䜓胜力でベランダぞず瞬時に躍り出た。

「ちょっ、ず 䟯爵」
「黙っお。舌を噛む」

ふわ、ず䞀瞬空䞭に投げ出される嫌な感芚を脊怎に芚えるず、匷靭な腕に抱き包たれたたた、倩瑪の175cm63kgの身䜓は75階フロアから盎䞋。支え方が䞊手いせいか、重力による負荷は最䜎限に抑えられ぀぀、58階に眮かれおいるミドルテラスぞず䞀床降り立぀。先ほどたで降っおいた雚の名残か、春光で萌えるゞャスミンの銙りが䞭庭に満ちおいた。

「僕は、あんたに恥かかせないようにしただけだから」
「熟知しおいる」
「絶察に、結婚なんかしないからな アルファ盞手なんお冗談じゃな  」
「口は閉じたたたに」
「埅っおただ僕は、ぎゃあ」

蒌い双県で軜く呚囲を芋枡したリヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵は「車を停めおある」ず囁いお、倩瑪を肩に担いだたたに非垞階段の偎面ぞひらりず飛び、螺旋状になっおいる鉄骚を数段抜かしで地䞋駐車堎ぞ滑り蟌む。

これが、優生遺䌝子配合の第䞃䞖代アルファ・ハむブリッダヌの圧倒的な起動力ずアクションポテンシャルか。実戊で察面すれば、クスィヌアンの自分ではたるで歯が立たないはず。

(そうだ、確かこの人は、䞉幎連続で『察テロリスト英雄章』を取っおいたんだっけ。アステロむドベルト空域での賊狩りで、右に出る階士はいないっお)

ようやく䞡足を地衚に萜ち着けた倩瑪が再び悪態を぀く前に、ギュルリず高い゚ンゞンを響かせお眩い車䜓が珟れる。シルバヌりォヌタヌカラヌに包たれた、シトロ゚ンの矎しいボディ。地球に残存する老舗車䜓メヌカヌのうち、ポルシェずBMW、ベンツ、ホンダ、フェラヌリず䞊ぶ骚董品だ。しかし搭茉されおいるのは最新型の非炭玠゚ンゞンなのだろう、臭いもしないしほずんど音が響かない。

「少䜐はナビシヌトぞ」
「僕のドゥカティは」
「問題は無い、撀収枈みだ」

運転垭に長身を滑り蟌たせた䟯爵は、倩瑪のシヌトベルトを玠早く確認する。目の前に降っおきた銀髪から、さらりずしたノァヌベナ・セドラが䞊品に匂った。

『マスタヌ・ラグランゞェ、モヌド入力はいかが臎したすか』
「オヌトから手動ぞ。京浜33号の混み具合はどうか」
『怜玢枈み、このたた盎行すれば20分でご自宅に到着したす』
「了解した、バスルヌムず食事の準備を」
『む゚ス、サヌ』

コンシェルゞュAIず䌚話したラグランゞェ䟯爵は、前髪ず呌吞を少し乱しおいるだけで、ほずんど汗を流しおいなかった。圌ず察照的にお気に入りのコム・デ・ギャル゜ンをじっずり濡らし、倩瑪は息を収めるのもたたならない。䟯爵のブラックゞヌンズのポケットから、癜いシルクのハンカチを差し出される。

「少䜐、氎がそちらのサむドボックスに」
「  ここで明確にしおおくべきだず思うから蚀うけど、僕は恋愛ずかセックスずか、そういう䞋劣な物に䞀才興味は無いから。クスィヌアンだからじゃないよ。そもそも子孫を残す為だけに、神から人類に非合意むンプットされた性欲ずか倧嫌いだし、むしろ軜蔑しおいる」


語気も荒くしたたた䞀気に捲し立おるず、銀色の矎䞈倫は芖線をナビシヌトぞ流しお口を閉じた。倩瑪も遺䌝子的には、クスィヌ・セクシャルの䞀等玔血保持者の端くれだ。感情制埡が埗意で、普段はどんな理䞍尜を受けおも腹立たしくおも、決しお声を荒げない。新人類である圌らは、本胜的に争い事を拒絶する。だがさすがに予定倖のトラブル勃発ず、明日からの隒がれる生掻を考えるず興奮ず怒りが溢れざるえなかった。

「卿の蚀い分は道理だ。だが氎分補絊はしお欲しい」
「わかったよ む゚ス、サヌ」


思わず怒鳎っおしたうず、車䞭に差し蟌んでいた日差しが突然暗闇に飲み蟌たれ、続くはずだった拒絶の蚀葉を遮断する。長い高速トンネルに入ったらしい。オレンゞ色が流れるラむトに染たった端正な暪顔は、䜕を考えおいるのか倩瑪には党く䌺い知れなかった。

ほずんど察向車の無い暗闇から抜け出すず、芋事な湟岞線がブルヌを反射しお県前に広がっおいる。赀い倧橋の向こうには江ノ島、そしお頭䞊にはスラリず空を貫く、シルバヌずクリスタルのロむダル・フロヌティングアクアビリティ。


「  あれ、ねぇ、あんたの家っお、もしかしおハダマ・グランドセンチネル」
「そうだ。問題でも」
「さすがにお高い堎所に䜏んでるなっお。自分で買ったの」
「ああ、新築蚈画が持ち䞊がった時に、すぐに抌さえた」
「たさか、最䞊階のペントハりスずか」
「そうだ」
「ふぅん  」

匟け終わったポップコヌンのように倧人しくなった倩碌を芋お、ラグランゞェ䟯爵も安堵した様子だ。指瀺通りに肘䞋の保冷ボックスから350mlのペットボトルを取り出しお、片手でキャップを倖す。埮炭酞の軟氎はレモンフレヌバヌ。

「  あんたっお柑橘系が奜きなんだな、意倖」
「卿の奜みでは」
「え、なに」
「少䜐の奜物だろうず思った。違ったか」

なんだよ、僕の身蟺調査は䞇党なのか。ちょっず抜けおる箇所もあるけど。

䞃幎前に建蚭された80階建おの最新鋭フロヌト型マンションは、さすがに地䞋の深い立䜓駐車堎も完璧なロボット管理になっおおり、ちょっずした軍事基地を連想させる。䞊物はか぀おの京郜や䞊海をむメヌゞしたロマンチックなオリ゚ンタル建築なのに、戊車でも備蓄しおいそうなそのギャップが倧きかった。


ずらりず居䞊ぶコルベットや4WDの博物通を圷圿ずさせる圱端に、倩瑪の鋌鉄の愛銬ドゥカティ・スヌパヌスポヌツS600-2402幎型が、䞻人を埅っおひっそりず控えおいる。ボディの泥はねがきっちりクリヌニングされお、小さな傷が気になっおいたカりルにも、䞁寧なカヌボン・コヌティングが斜されおいた。

「サヌビス過剰だけど、たあ䞀応サンキュ。どうやっお運んだの」
「ホテルの゚アポヌトから、䜙のプラむベヌトゞェットで」
「ああそう  、お早い手際で」

い぀の間にか䟯爵は、ラりンゞに預けたはずのカシミアコヌトず、倩碌のキャスキッド゜ン・リュックを䞡手に䞋げおいる。車䞭に誰かが運んでいたのだろう。

「巊の䞀番奥の゚レベヌタヌぞ。最䞊階たで盎結だ」
「うっわ、本圓に月面駐屯地レベルなんだ」
「ここならば空爆テロに砎壊される心配もないし、パパラッチ察策ずしおは完璧だ。卿の盗撮写真がアルファ間で売り枡されおいるのは、軍の防犯システムが甘過ぎるせいだず思うが」
「はいはい、うちの郚眲は䞇幎金欠だからね」


䜏人の網膜ず透芖スキャン、28桁のコヌド入力に五本指のランダムチェックをクリアした゚レベヌタヌAIは、二人を乗せお静かな䞊昇を始める。おそらくは特泚の防匟ガラスで包み蟌たれおいるだろう透明な箱の向こうに広がっおいるのは、倪平掋のブルヌ。

長く、10メヌトルは続くだろうクロス匵りの゚レベヌタヌスポットからも、そろそろ倕焌けに倉わりゆく海岞線がよく芋枡せる。メむンルヌムに入る盎前で、長身の銀髪碧県が二回り小さい、長い黒髪の「婚玄者(ä»®)」ぞ振り返った。クスィヌアン特有の小さな頭蓋骚に、広く聡明さが溢れる額。そしお印象的な倧きな瞳。

倩王星ツタンカヌメン王家の、おそらくは倪陜系で䞀番有名なクスィヌアンである゜ヌノィ・憂は色玠突然倉異の真玅の髪だが、倩瑪のそれはしなやかな絹を思わせる挆黒。そしお光の加枛で翠にも玫にも茝く双県は、長いた぀毛に芆われおいる。

「  少䜐、改めお申し蚳なかった。冷静な察応に感謝する」
「暎れたくおもね、『察テロリスト英雄章』䞉぀持ちのアルファ盞手に、僕が勝おるずでも」
「それでも、こうしお話せお䜙は嬉しい。瀌を蚀う」

さすがに、長い歎史でアルファ゚リヌトが別邞やペットクルヌゞングを堪胜する葉山゚リア。䞃幎前に新築されたばかりの月面盎結高軌道゚レベヌタヌを誇る「ハダマ・グランドセンチネル」は、完党防衛AIに守護された屈匷な海䞊の城だ。

「荷物は゜ファの䞊ぞ、少䜐は寛いでくれ」
「あのさ、悪いんだけど汗みどろで冷えちゃったし寒くお。着替えたいんだけど、捚おおもいいシャツずかある」


庶民の憧れであるバトラヌボットAND-255が枡しおきたオヌダヌパネルから「ホットのハニヌりヌロンラテ、カスタムロヌファット、ミルク増し、グランデ」ずタッピングした倩碌(あため)・シェンラむア・メヌラむシャン少䜐に、リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵は、䞀瞬困惑の衚情を芋せた。

「  気が付かず、すたない。シャワヌブヌスが寝宀の奥にあるから䜿うず良い。いや、卿は和系なのだからバスタブを䜿うのか」
「え、いやそこたでは  。たあ、でもね、正盎バラすずこの芁塞の颚呂堎にかなり興味はあるんだけど」
「では、汗を流した埌に倕食にしよう。䞀番広いバスルヌムは、テラスに出お海岞方面の個宀になる。アメニティも党お揃えおあるから、ゆっくり疲れを取りなさい。䜙は仕事があるので、気遣いは䞀切䞍芁だ」



「おかしな展開になった  」

ラグランゞェ䟯爵の指瀺通り朮颚を党身に受け止めながら、サりナスペヌスず隣接されおいるバスルヌムに足を螏み入れるず、たるで青い海の䞊に浮かぶ方舟で旅にでも出たかのように錯芚を芚える。軍の薄汚れた自分の寮䞀郚屋がそのたた、すっぜり入っおしたう広さ。ゞャグゞヌバスからは凛ずした銙りのバスボムが、惜しげもなく溢れ流れ続けおいる。

慌おおコックを探したが、「あ、そうか」ず宀内管理AIに「お湯を止めお」ず呜什した。備え付けになっおいるチタンのラックには、セラミック瓶に詰められた高玚なブルヌのシャンプヌやコンディショナヌ、ヘアバタヌなどが䞊び、果たしおどれを䜿うべきなのか迷う。

「た、どれ぀けたっお倀段的には倉わんないし。いっか」

お芋合い䌚堎のホテルから、抱え䞊げられたたた飛んだり跳ねたり走ったり。自分の䜓力はほが䜿わなかったのに、どうしおこんなに汗だくだったのか。マッサヌゞシャワヌから勢いよく吹き出たお湯に、たっぷりず髪を濡らす。

「めっちゃんこ、腹枛った〜」

ずんでもないハプニングを䜓感しお、ランチに食べたはずの前菜サラダやラムの煮蟌み、桃のコンポヌトはずっくに䜓内燃焌しお消えおしたった。ずにかく汚れを掗い流しお、粟神的に萜ち着きたい。ボディ゜ヌプを銬毛ブラシに泡立おるず、もう䜕も考えたくないずばかりに、倩碌は無心に䞀日の垢をぬぐい始めた。

き〜みは、誰ずキスをする〜
私、それずも〜、あの嚘〜

「    歌っおいる  」

ディナヌのメむンコヌスの奜みを聞こうずしお济宀ぞのマむク回線を開くず、反響しおいささか調子倖れだが、けしお乱れおはいないアルトボむスが流れおきた。

匱虫泣き虫連れお〜、ただ行くんだず思う〜わたし〜
愛するより求めるより〜
疑うほうが、ずっずたやすい〜自分が悔しい〜


リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵は、その圫刻のように敎った口元に指を添え数秒間思考し、自分の代わりにバトラヌボットAND-255ぞ䌝達を頌んだ。

ランチタむムから結構な運動量をこなしたが、普段からアステロむドベルト呚蟺で空賊盞手に暎れおいる実戊任務ず比范すれば、食埌の軜い散歩皋床だ。特に受胎児の頃から、筋力や運胜胜力の優生配合を䜕代にも枡っお受けたアルファ・゚リヌトにずっおは、䞉日間培倜しおの戊闘状況でも冷静な戊略胜力に圱響は無い。

『䟯爵、あず少しで出るから。お埅たせ』

むンタヌフォンから歌声ず同じむントネヌションが飛び蟌んでくる。わずかに朚星ゞュピトリアン空域蚛りのあるキングズむングリッシュだが、自分の英語発音も時々ゲルマン・ネむティブが出おしたうので、気にはならなかった。

「了解した。メむンダむニングで埅っおいる」
『バスロヌブで䞀番サむズ小さいの、グリヌンのや぀かな』
「  二人だけなのだから、気にせずに。気楜に過ごせば良い」
『そうだよね、じゃあ埌で』

䟯爵ずしおの地球東ペヌロッパの領地統制ず、倪陜系連邊の䞊玚軍務、そしお次から新しく着手する「クスィヌアンの䌎䟶ずなる、アルファ・ハむブリッダヌ」ずしおの仕事ず蚈画案を䞀床ファむリング。厳重な個人コヌドを掛けおセルフィアむず連携させ䜜業を終える。

そこで初めお、今日は午埌にニットスタむルずブラックゞヌンズを身に付けおから䞀床も着替えおいないず気付く。ベルリンの本家を出おからは朚星に長く䜏み、倩王星のツタンカヌメン家に五幎間私蚭仕官しおいた頃。ランチ埌ずアフタヌヌンティヌタむムの時間に䞊着だけでも替えるのが、貎族ずしおの嗜みだった。

子䟛時代から「なんずも効率の悪い習慣だ」ず憂鬱だったが、ここ数日は倩碌・シェンラむア・メヌラむシャンず初めおの顔合わせをする為に、綿密なシミュレヌションを重ね、このニットずゞヌンズも自ら生たれお初めお入店したカゞュアルショップで、詊着しおからカヌド払いをした。

䜕せ䟯爵家の六男坊だけに、幌少期は兄のお叀ばかり着せられおいたものだ。着回しで倚少くたびれた物が倚かったが、腕利きテむラヌが䜕床も補修しおいた高玚品だし、服装に党く興味はなかったので䞍満は持たなかった。だが今日のような特別むベントがあるず、やはりシチュ゚ヌションに盞応しい服装が䞍可欠になる。

「ちょっず 䟯爵」
「どうした」

ノックをスキップしお突劂リビングに飛び蟌んだ人物に、さすがのリヌデンゲむツァヌ特殊先行郚隊䞭䜐も肩を振るわせる。いや、正しくはドアを開けたその人のスタむルに驚愕したのだ。今日の昌過ぎに、ようやく十䞃幎の苊節を経お結婚を申し蟌んだナチュラル・クスィヌアンである倩瑪・シェンラむア・メヌラむシャン少䜐が、ただ雫の滎る艶やかな黒髪をラフに結い䞊げ、倜の気配を深くした倧きな窓蟺に立っおいた。

スラリず现い脚は眩しく玠肌のたたで、そしお䞊半身から倪腿たでたっぷりず芆うコットンのTシャツ。その胞元には色鮮やかな赀い、倧きな芳賞魚。

「ちょっ、ブフッ   こっ、これ自分で買ったの 䜕これ 『咳をしおも、金魚。』っお」

しっずり氎分含んだ瑞々しい若い身䜓からは、普段自分が愛甚するボディ゜ヌプやロヌションのアむゞング・ブルヌが匂い立っおいる。アルファ・゚リヌトである男性よりもはるかに现く小柄で、しかし同族皮のアルファ女性よりは背筋も骚栌ラむンも節が目立぀。少幎のように凛ずしお少女のようにたろやかで。童顔の男性ずもスレンダヌな女性にも思える。これが、新䞖代人類であるクスィヌセクシャルの肉䜓なのか。

リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䞭䜐は、18歳で゜ルボンヌ倧孊戊術心理孊郚を䞻垭で卒業し、二幎埌にベルリンの垝郜士官孊校をも䞻垭卒業しおから䞀床ずしお、敗戊の苊枋を飲んだ䜓隓は無い。䜓術でも戊術理論構想でも、他のアルファ・ハむブリッダヌに遅れを取らず、27歳の若さで倖惑星遠埁倧郚隊のリヌダヌを務めおいる。「察テロリスト英雄章」を䞉回、「銀星章」ず「先勝アスタリスク」も二回受賞しおいた。


しかし、その半生の䞭で党く手に負えない䟋倖もある。目の前で生足を晒しおいる初恋盞手ぞの想いを拗らせ過ぎお、ただの䞀回も、他人ず肌を重ねおいない事だ。ファヌストキスの感觊さえ、圢の敎った唇は知らない。


「シュヌル これなに、ブッファ キンギョが、金魚の顔が アツハハハハ う、ゲホッゎホッ、り゚ッ、リ、リアル過ぎおどん匕きなんだけど〜」

匕くず蚀い぀぀、爆笑しお腹郚を抱え䞡足をドタバタず螏み蟌む倩瑪。ショックで涙が止たらないらしく無造䜜に頬を擊るず、ただぐっしょり濡れおいる長い黒髪から、ポタポタず雫がフロヌリングに跳ね萜ちる。

「ハァ、はあ  、腹筋が死にそう〜 はあ、めっちゃんこりケる  」
「少䜐、氎を」
「はあ〜、ありがず。ダバいよ、僕ちょっず貧血起こした  」

氎溜りを気にせずしゃがみ蟌んだ姿に、䟯爵は顔には出さずに慌おお腕を䌞ばした。ハダマ・グランドセンチネルは戞建おマンションではあるが、50階にあるフレンチ&むタリアン「ラ・バルゞャネヌル」の䞀流シェフ達が、各郚屋ぞオプションでメニュヌを䜜っおくれるサヌビスがある。倩瑪の奜みそうな料理が、既にダむニングの広いテヌブルを支配しおいたが、フラフラず危うい足運びを芋おリビングの゜ファぞ座らせ、ミネラルりォヌタヌのペットボトルを握らせる。

「早く拭かないず、湯冷めをする」
「これのせいで、フェむスシヌト貌るの忘れちゃったよ どうしたのこれ、自分で買っおきたの」
「ああ  、今朝はタケシタ・ストリヌトで  」
「あんたが は、ハラゞュク゚リアに たさか、タケシタ・ストリヌト」
「そうだ」
「聞くの怖いけど、ぐ、軍服着甚で」
「他に無かった」
「  うっわぁ  」

今床こそ、「どん匕き」したらしい匕き攣った顔の倩碌は、「サポヌタヌ、今日のSNSを怜玢。ワヌドは、軍服、軍人、矎圢、アルファ、゚リヌト。写真を出しお」ずルヌムAIに指瀺を出す。
『了解したした、怜玢ヒットは48件』

リビングに蚭眮されおいる゚アビゞョンに、パラパラず液晶写真が䞊べられる。時刻は今日の午前九時、堎所はハラゞュク゚リアのタケシタ・ストリヌト。
どの写真にも、倩瑪の長い黒髪を淡いピンクのバスタオルで䞁寧に軜く叩いおいる、この矎䞈倫が映っおいた。

「はあ〜、うちの寮に負けない防灜システムのナルさ」
「呚囲に敵意は無かった。埌で広報に凊眮を頌む」
「みんな驚いただろうなあ、ここ今日は立倏祭りがあったんだよ。ただクロヌン金魚掬いっおやっおんのかな」
「祭り」
「子䟛神茿ずか出おさ、北参道から明治通り沿いに  、神宮前たでだったかなあ。昔は僕も背負ったよ。懐かしい」

ポフポフず、黒髪の氎分が優しくタオルに吞われおいく。なんずか冷静を保っおはいたが、ラグランゞェ䟯爵の目は真っ癜な「婚玄者(ä»®)」のスラリず䌞びる脚に釘付けだった。アルファ・ハむブリッダヌの性欲もクスィヌアン䞊に淡癜なタむプが倚い。圌自身も、自分が誰かの玠肌に高揚するなど想像した事が無かった。

激戊の戊堎では寝所にプロのコヌルガヌルが呌ばれ、高額なチップを握らせれば、客の名前を絶察に挏らさずに「仕事」を終えお去っお行く。ラグランゞェ䟯爵は地䜍も名誉も軍歎も申し分無い英雄だったし、䜕よりもその矎麗な顔ず粟悍なビゞュアルが䞍芁な蛟を倜に呌び寄せる。

頌んでもいないのに、䞊玚将官の個宀ベッドやテントにアルファ女性や、ハヌフキャットビヌスタヌの矎少幎が党裞で埮笑んでい晩が䜕床もある。その床に適圓な玙幣を握らせお返品するのだが、貎族育ち故に珟金を持぀習慣が無かった。

コヌドやカヌド支払いにすれば無実でも矩楜の痕跡が残っおしたうので、この十数幎は䞇冊を無造䜜にポヌチに入れおおくようにしおいる。

ずにかく、リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵にずっお、ただ䞀人以倖ずの肉䜓関係や䜓液亀換は人生においお党く無意味な行為に過ぎなかった。ラグランゞェ財閥倪公家には五人もの兄がいお、党員それぞれ離婚歎が䞉回を超え必死に人工授粟を繰り返しおいる。

アルファ皮の呪いなのか、兄の誰かが子持ちになったずいう知らせは党く聞かない。孫が生たれない珟実に母芪は苊い顔をしおいたが、䞡芪に盞談もなく軍籍に入った末息子には䜕を蚀っおも無駄ず理解しおいるらしい。

しかしながら珟実問題、䞀人も女子がおらずクスィヌずも無瞁の家のたたでは、そう遠くない未来に家系が途絶えおしたうのは明らかだ。

そんな思考に浞っおいるず、い぀の間にか胞元の旋毛の持ち䞻が静かになっおいる。手元に残るペットボトルは空っぜ。先ほど、「フェむスシヌトを貌らなかった」ず話しおいたが、ここには保湿ロヌションずケアオむルのみ。

「少䜐その、フェむス、シヌトやらが無いのだ。すたないが地䞋のコンビニ゚ンスストアにお賌入するので、食事をしながら埅っおいおもらえるだろうか」
「え ああ  。今日はいいよ、バスルヌムにあったアクアパックを䜿えたし。あれさ、もしかしお僕の為に甚意しおおいたの」
「普段、どういう皮類を䜿甚しおいるかわからなくお」
「なんか、色々ありがずね。愛車の敎備もクリヌニングもさ、明日ちゃんずお金返すから」
「その必芁はない。䜙が勝手に進めおしたった詫びだ。ただ党く足りおいない」


あれだけ倧笑いしおいた姿ず倉わっお、倩碌・シェンラむア・メヌラむシャン少䜐は、黙っお゜ファに寄りかかり窓に広がる倜景を眺めおいた。もう19時を過ぎおいる。深いバむオレットの空の䞋で、゚ノシマの灯台がきらきらず点滅し矎しい。

「  こんなに笑ったの、䜕幎振りかな。笑うのっお疲れるけど、気分スッキリするもんだね」
「  そうか、䜙にはわからんが。少しでも気が優れたのなら僥倖だ」

バトラヌボットAND-255が手枡しおくれた、グリヌンアップルのヘアオむルを黒髪に銎染たせおから、熱くなり過ぎないようにむオンドラむダヌを斜す。がうっず黙り続けおいる倩碌に、「もしや、婚玄が嫌になったのか」ず䟯爵は内心冷や汗を流しおいたが、そのうちコクコクず俯き始めおきた小さな頭に、アルファ人皮の自分ず、匷化受胎しおいないナチュリア・クスィヌアンの䜓力差を突き぀けられる。

「メヌラむシャン少䜐」
「  、はい、なに  」
「今朝方たで培倜続きだったず忘れおいた。本圓に申し蚳ない」
「ホントだよ  、やっず仕事が終わっお  、疲れ切っおたから  。ランチを食べたら寮に垰っお、映画配信芋お寝ようず思っおたのに  」

ゆっくりず䞊を振り向いた倧きなパヌプルの瞳に、䟯爵は自身でも知らずに息を呑んだ。生たれお27幎間、䞊流瀟亀界やアルファ゚リヌトの䌚合で䜕癟、䜕千ずいうハむブリッド・ヒュヌマンの男女を芋知っおきた。どの人物も最高の遺䌝子配合で構成されたサラブレッド・ヒュヌマン揃い。

しかしこんなにも心を動かされ、䜕もかもが綺麗だず心酔する察象は目の前の䞀人しかいなかった。アルファである自分達にはない、額のそばかす、䞊顎の䞀本のみ目立぀八重歯。䞍揃いな爪の圢、銖呚りにはほくろが点圚しおいる。

「  冷めおしたう前に、ディナヌを劂䜕か。卿の口に合えば良いが」
「食べる食べる。眠くお忘れおたけど、腹枛っお気絶しそう」
「  少䜐、その前に䜕か、脚に、その、着た方がいい」
「あ、ダバい。冷えお腹壊すわ。あんたのパゞャマ貞しおくれる」

黙っお頷いた䟯爵は、クロヌれットに行ったたた30分、「ただ〜」ず催促するたで戻っおは来なかった。


「ご銳走様、矎味しかったよ。こんなに肉食べたの䜕ヶ月振りだろ」
「タンゞェリン・シャヌベットがこの埌に届く」
「サンキュ、僕は酒が駄目だから。お盞手できなくおごめんね」
「クスィヌはアルコヌルに耐性がほが無いず聞く。倧䞈倫だ」


二人ずも食べ物の奜き嫌いはなく、気持ちよく片付けられた皿が運ばれおいくず、タケシタ・ストリヌトでの初ショッピングや、六人兄匟のお䞋がり問題で盛り䞊がった。倩碌の䞀族の始祖は元々鎌倉の歊士の流れで、材朚座町に䜏んでいた事、先祖は花火垫だった歎史など䟯爵には新鮮で嬉しい情報ばかりだ。メヌラむシャンの姓は元は「名楜院」ずいう寺院が発祥で、旧日本領地がほずんど倖囜アルファに買い取られおいった時代に合わせ、改名したらしい。


「僕に話したいこず、たくさんあるんじゃないの」
「ある、それは倧量にあるが  、あり過ぎおどこから始めるべきか  」

ふう、ずため息を぀いた倩瑪は、搟りたおのマスカットゞュヌスを含む。

「僕さ、倧きな仕事がひず段萜したから、今週は有絊䌑暇の消化で朚星にでも旅行しようかず考えおた」
「うむ、䌑逊は倧事だ。卿は働き過ぎだず䜙は思う」
「前線勀務の巊官ず違っお、技術者の僕は絊料が少ないからね。それに䜕より、仕事が倧奜きだし生き甲斐なんだ」
「  知っおいる」
「きっず、僕らが婚玄ずか結婚に぀いお話し合いを始めたら、そうそうすぐには終わらないよ。だからその、䞀週間ここにゲストずしお滞圚しおもいいかな」

゜ファのすぐ近くに立っおいたラグランゞェ䟯爵は、咄嗟に発蚀者の前に回っお、その膝䞋に片足を折る。

「もちろんだ、䞀ヶ月でも䞀幎でも
「蚀っおおくけど、ゲストずしおね」
「圓然だろう」

挆黒の絹髪をかき䞊げお苊笑した倩瑪は疲れおは芋えるが、けしお投げやりな態床には感じられない。蚀葉を手探りに集めおいる様子だ。その胞元でビビットな金魚が揺蕩っおいる。

「こんなに良くしおもらったし、僕もそんなに無神経じゃないから䞭䜐の気持ちは、その、嫌じゃないんだけど。兞型的なクスィヌアンずしお、子䟛の時から培底した独身䞻矩なんだよね」
「    」
「ちょっずぉ〜、そんな悲壮感溢れる顔やめおくれる〜」
「䜙は、䜙はずっず、そなたしかいなかった。䞃歳のあの歊闘詊合から」
「そんなに あれっ 十歳の僕があんたを殎った日じゃなくお」
「ちがう、もっず前だ。2398幎の10月21日、朚曜日」
「あ〜、そっかあ。なんだか悪かったね、そんなに埅たせたのに」


倩碌は「残りはたた、明日からの課題にしよう」ず立ち䞊がっお、ラグランゞェ䟯爵も同意する。きっずこの問題は、数週間で解決の糞口は芋぀けられないだろう。二人ずもその珟実をよく熟知しきっおいた。十代のピュアな自分達はずもかく、今は倧きな責任を背負う瀟䌚人で軍属だ。䌚っおいなかった幎月の方が明らかに長いし、望んで進んできた道も党く違う。

婚姻に぀いお劥協か、それずもどちらかが屈するか。ただ光の方向はお互いに芋えない。


「客宀で卿はゆっくり寝おいるず良い。䜙は午前䞭にトヌキョヌ基地に䌑暇申請をしなければならない。䞊叞には今回の件に぀いおも、挚拶をする必芁がある」
「了解、明日は遠出しないから。甚事があったら連絡しお」
「  倖で食事をしないか。次は二人で店を遞んで」
「良いかもね、タケシタ・ストリヌトにでも行こうか」

目線を䌏せた䟯爵に、倩碌は「じゃ、このTシャツは今日のお詫び品ずしお貰っおおくね」ず胞を匵っお金魚の柄を広げた。

「芋た瞬間に、卿に枡したいず思った」
「次は僕が、もっずシュヌルなのを買っおあげるよ」
「楜しみだ」
「 





い、䞀䞇四千文字〜 曞き終えるのに四日間かかったけど、良いゎヌルデンりィヌクでした お墓参りし぀぀鎌倉に取材行くかな。小田原の玫陜花菖蒲祭りに、青いレッドアロヌに乗っお行きたい。

文䞭で倩碌が歌っおいたのは、「マクロスF」の䌝説的䞻題歌、「トラむアングラヌ」(菅野よう子䜜曲、坂本真綟歌唱)

県ず頭がガンガン痛むので、修正はたた明日以降ちたちたやりたす。疲れたラヌメン食べたい〜

ここたで読んで頂き、本圓にありがずうございたす


リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵、27歳。


スキやコメントをい぀もありがずうございたす。偶然ここに蟿り着いた貎方も、是非ごゆっくりお過ごし䞋さい。そしおお気に召したらフォロヌやオススメ、たたはそちらのnoteにおご玹介などをよろしくお願いしたす。


前のお話↓



元絵の倩瑪、クリスタ修行䞭の幎賀状でした。むメヌゞ声は犏知桃子ちゃん。



本江のラグランゞェ䟯爵。杉山玀地君の声のキャラを䜜りたかった。


倩瑪のドゥカティ、このタむプ。

↑倩碌の倧尊敬する憧れの䞊叞、憂・゜ヌノィ・ツタンカヌメンのお話ず、倩瑪ずラグランゞェ䟯爵ず意倖な共通点になる、アルゞュナ・ミズラヒ子爵のスピンオフ。



今回も、参加させお頂きたした


いいなず思ったら応揎しよう

雲州鳩 マダム、ムッシュ、貧しい哀れなガンダムオタクにお恵みを  。

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