エッセイには描写が必要
みずさんが書かれた記事を読んだ。
2026年はエッセイを書くことを目標にしている、と書いている。これまで書いてきたものは、自分なりの視点で見た事実をつらつらと書いている日記でしかなく、面白味がないそうだ。
みずさんは、エッセイを考える材料として、薮内たけのこさんの記事を引用している。そのなかでエッセイは、他人に読まれることを前提にしているどうか、描写がされているかどうかと書いてあった。
私も「描写」という表現が気になって、薮内たけのこさんの記事をたどった。すると、仲高宏さんの記事を引用していた。
ここに描写について具体例を交えて書いてあった。犬の散歩を例に以下のように対比させている。
犬をつれて散歩しました。犬はかわいいと思います。
犬はさっさとリズミカルな足取りで歩く。私はさっきから尻尾と肛門を拝んでばかりだ。犬め、こちらを振り返るくらいのことはできないのだろうか?文句の一つでも言いたくなる。
後者の文章のほうが、犬がどんな様子で歩いていて、飼い主がどんなことを思い浮かべているのかがありありと伝わる。前者も、主観的な事実であることは変わらないのだが、具体的な様子は伝わってこない。犬と散歩していることは分かるし、その犬がかわいいことは分かるのだが、書き手と読み手が想像する散歩の様子と犬のかわいらしさは異なる。
この記事を読んで思い出したのが、せきしろさんが書かれた『たとえる技術』という本。気になったので読み返した。
この本では、あらゆる感情や距離感などを「~のように」「~のような」、とたとえて表現する方法を教えてくれる。
最初は「うれしい」について書いているのだが、うれしさについて「とても」「凄く」「大変」を使うのは幼稚で、大人ならやめたほうがいいと言っている。目のつけどころが鋭い上司に指摘されるほどに刺さる。かと言って、「死ぬほど」「尋常ではないほど」「夢かと思うほど」を使うのもありふれていて、相手に気持ちが伝わることはないと書いている。
では、どうやってうれしさをたとえたらいいのか。
具体例が5つ挙げられている。
・「この犬、他の人に懐くこと滅多にないのよ」と言われた時のようにうれしい
・最後の期末テストが終わった時のようにうれしい
・思っていたより買取額が高かった時のようにうれしい
・大浴場に自分ひとりだけのようにうれしい
・二度寝してもオッケーな時間だった時のようにうれしい
これら5つを読むと、それぞれうれしいことは間違いないのだが、うれしさの大小や感覚は違うことが分かる。
私も、「仕事上がりの一杯のようにうれしい」や「値下げシールの貼り始めに出くわしたときのようにうれしい」「期間限定品の最後の1つを買えたときにのようにうれしい」などの例を思いついた。どのうれしさも同じではない。
最近読んだnoteに、自分の精神の図太さを屋久杉にたとえている人がいた。これも精神の太さを樹の幹にたとえて表している。
「うれしい」に関わらず、自分が見聞きしたり、感情が動いたことに対して、日頃から姿形・種類を分類しておけば、日常的に使えるかもしれない。たとえば、バスケットボールを見ると、「丸さ」「大きさ」「色」「弾力」「手触り」「匂い」など複数の情報が得られる。丸さはボールなので他のボールと比べてもそんなに変わらないかもしれないが、大きさは違うし、色も濃茶色なのか、明るめなのか違う。弾力にしても、サッカーボールやテニスボールとは違うし、手触りは手にフィットするようなザラザラがついている。これはサッカーボールやバレーボール、野球ボールとは違う。匂いも独特なゴム臭さがある。
1つの物には複数の側面があるので、「ただのボール」では終わらせずに多くの情報をキャッチできるように、他の物と比べる癖をつけることで、新しく接したものがどの位置にあるのかを瞬時にたとえられる気がする。ここでは同じボールのくくりで比較したが、別にボール以外でも共通点はあるはず。
『たとえる技術』で書かれている描写を仲さんの例に当てはめると、「リズミカルな」という犬の歩き方がそうだろう。飼い犬が歩いてるのではく、走っているとしたら、「犬は獲物を追いかけるライオンのように走る」とか「犬は逃走者を見つけたハンターのように走る」とかも描写に当たるのではないかと思う。
たとえ方のコツとして、たとえたい対象物をどんどんと抽象化させていく、と書いている。
たとえば、アイドルは「アイドル→女性→人間→動物→生物→地球」と抽象化させている。ここでは「こんな女性アイドルは嫌だ」というお題を与えられていて、「どんな女性は嫌か?」「どんな人間は嫌か?」「どんな動物は嫌か?」...と、考える。思いついた嫌な項目を「◯◯なアイドルは嫌」と答えて完成。動物くらいなら理解されるかもしれないが、生物、地球までいくと、疑問符しか湧かないだろう。
ただ、私が書いた「犬が走る」の例はこれで説明できる。犬を動物に抽象化した上で、他の走る動物としてライオンと人間に具体化させて書いたという風に。
私もこれに気づいたからには、日々の文章に一文は取り入れていく。
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