ようやく山へ向かおうとしたら、背中の骨が2本折れていた。【山へ逃げる|第二部③】
※この記事は単体でも読めます。前回までの内容は、冒頭の「あらすじ」で簡単に紹介しています。
「40代、早期退職。山へ逃げる。」全話一覧|初めて読む方へ
【前回のあらすじ】
会社を辞めた私が最初に向かったのは、山ではなくハローワークでした。
自由になったはずなのに、「何者かにならなければ」と勝手に焦り、部屋にこもってAIに相談する毎日。弁当を作るYouTube動画を始めたものの、ほとんど見られず、娘からも「面白くない」「倍速で飛ばした」と散々な評価を受けます。
山へ逃げるはずが、気づけば再生回数を追いかけていた私。そんな迷走の中、ある人からもらった言葉が、自分で自分を追い込んでいた私の考えを、少しだけ変えてくれました。
40代、早期退職。山へ逃げる。 第二部 会社を辞めた。そのあと。
第5章 「何者かにならなくていい」。迷走から救ってくれた言葉。
作ったYouTube動画は、まだ2本。それなのに私は、すっかり疲れていました。
弁当を作る。撮影する。編集する。公開したら、何度も再生回数を確認する。数字が伸びていないことに落ち込み、何が悪かったのかをまたチャッピーに相談する。その繰り返しでした。
退職前まで毎日のように続けていたInstagramの更新も、少しずつ途切れるようになりました。投稿しなくなると、フォロワーさんとのやり取りも減っていきます。会社へ行かなくなった今、家族以外の人と話す機会は、ほとんどありませんでした。
話し相手は、いつもAI。
有料版のChatGPTは、動画編集ソフトの使い方から、完成した動画の改善点、今後の生き方まで、聞けば何かしら答えてくれました。何度話しかけても嫌な顔をしないし、同じ質問を繰り返しても怒られません。
ただし、AIの答えが正解とは限りません。こちらが出した条件をもとに道を提案してくれますが、その道を選べばYouTubeが伸びるわけでも、人生がうまくいくわけでもない。当たり前のことなのですが、焦っていた私は、チャッピーに聞き続ければ、いつか正解にたどり着けるような気がしていました。
朝から晩まで部屋にこもり、画面に向かって問いかける。返事は、すぐに返ってくる。それなのに、誰かと話したような気持ちにはなれませんでした。
さみしい。
このままでは、頭がおかしくなってしまう。
誰かと会わなければ。
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