見出し画像

11月に買った本・読んだ本

 今年1月から続けている毎月の読書記録。
 岩手1泊旅行と2級管工事施工管理技術検定の二次試験、そして福島へのプロレス観戦遠征など、予定がみっちみちに詰まっていた11月。
 結果、読書時間も先月に続いてやや少なめに。
 それでも、旅先で買ってきた本などもあり、小説、エッセイ、政治関連書籍、そしてコミックスと、様々なジャンルの読書を楽しむことが出来た。
 いつものとおり「書評」ではなく、あくまで私的な「読書感想メモ」程度の雑文ではあるけれど、備忘録として書いておこうと思う。



『あの人と、あのとき、食べた。』/椹野道流

 作家・椹野道流(ふしのみちる)先生の最新刊。
先に別のnoteにも書いたが、いわゆる「フードエッセイ」ではあるものの、それだけではない。
 もちろん、登場する食べ物ひとつひとつが美味しそうで、それも魅力ではある。読み終えた翌週にはお正月でもないのに黒豆を煮てしまったし、煮物に入れるこんにゃくは椹野先生のレシピを真似て切れ目を入れて結ぶようになった。
 けれど、そんな美味しいものと同じくらい心にじんわりと響いてくるのは、それらの美味しいものを「あの人」と一緒に食べた日の思い出であり、今は亡き「あの人」への深い思い。
 切ない。なのに、あたたかい。


 作中のとあるエピソードには、椹野先生が作家としてデビューした際のことが綴られていた。
 その中の担当編集者からの言葉に、深く頷かされたりもした。
 昨今流行りのプロット重視の小説指南とは、真逆の言葉。情報商材的な小説講座に違和感を覚えていた私には、こちらの言葉のほうが、素直に受け入れられた。
 読んで良かった。


『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』/高市早苗 編著

 帯を見るといかにも内閣総理大臣就任後に出版されたように思われるが、出版されたのは昨年9月。高市早苗議員が石破茂議員に敗れた自由民主党総裁選挙の前である。
 帯の裏面にも記載されているが、この本は岸田文雄内閣時代の2023年から2024年にかけて、高市首相(当時は議員)が主催した政策研究会「『日本のチカラ』研究会」での専門家の講演と、講演後の質疑応答とをまとめたものである。

 序章によれば、書籍化にあたっては各講演者に確認の上、「ここだけの話」的な部分はカットしてあくまで許可を得られた内容だけを掲載しているとのこと。しかし、読み進めると「許可を得られた部分だけでこの内容ということは、許可を得られなかった部分ではどんな内容が語られていたの?!」と驚愕。
 そのくらい、濃い。
 高市氏の首相就任後、日本のマスメディアの偏向報道や外務省内に存在する反日分子等の問題が次々と明らかになっているが、2023年の時点ですでに問題視していた有識者が多数存在していたことが分かる。
 良著。1年遅れではあるが、読んで良かった。
 と同時に、幅広く真摯に学ぼうとする人たちに、活躍する場が与えられて良かったと心から思う。
 私は、働く人が評価される世の中のほうが好きだ。

『海』/小川洋子


 小川洋子先生の短編集。ちなみに小川洋子作品の中で私がこれまでに読んだことがあるのは、芥川賞受賞作の『妊娠カレンダー』と『博士の愛した数式』だけなのだが、『博士の愛した数式』は愛読書でもある。
 収録作は全7編。うち2編はごくごく短くて、短編というよりも掌編小説と呼ぶほうが適切かもしれない。
 この掌編小説のうちのひとつ「缶入りドロップ」が、いい。
 いや、良い悪いではなく、好きだ。読み終えて、ぽっと灯りがともるような温かい気持ちになる。
 短編の中では「ひよこトラック」と「ガイド」に引き込まれた。
 言葉を無くした少女との交流を描く「ひよこトラック」。
 言葉(作中では「題名」だが)を与えることの希望を描く「ガイド」。
 それらを描き出す言葉ひとつひとつが、また、いい。
 収録作の中には、主人公に甘える登場人物のあまりのずうずうしさに本気でイラっとしてしまった短編もあったのだが(どれとは言いませんが、旅行の話です)本気で嫌な人を描き出せるのも、作家の凄さ。
 こういう表現が出来る人に憧れる。

『風太郎の絵』/夢枕獏


 仕事が休みの日、太白区山田の老舗カレー店に夫婦でカレーライスを食べに行った帰り、萬葉堂書店に立ち寄った。
 常時10万冊以上のの品揃えを誇る萬葉堂書店は昨年30周年を迎えた古本屋だが、夫婦ともにこの日が初めての訪問。
 夫は東北の歴史や民俗学関連の書棚から、民謡関連の書籍など2冊購入。
 そして私は小説2冊と、コミックス1冊を購入。
 そのうちの1冊が、この作品。こちらもすでに別のnoteに書いたけれど、表題作「風太郎の絵」は、中学・高校時代に愛読していたコバルト文庫に収録されていた作品の再録である。
 ファンタジー小説が多いコバルト文庫時代の作品の中にあって、「風太郎の絵」は、異質かもしれないと今読み返しても思う。愛の物語であり、芸術の物語でもあり、一人の女性が作家として生きてゆくことを決めるまでの成長物語でもあり。
 自分自身が年齢を重ねた今読み返すと、初めて読んだとき以上に、心に響いた。
 何年経とうと、良いものは良い。好きだ。


『慶応四年のハラキリ』/夢枕獏

 同じく萬葉堂書店で購入。こちらは『風太郎の絵』の横に並んでいたので、未読だし一緒に読んでみようと軽い気持ちで買ったのだが、ある意味、「風太郎の絵」とは真逆の世界だった。
 冒頭に収録された「上段の突きを喰らう獅子」にまず爆笑。
 プロレスファンのツボを次々と刺激する作品。こうくるか、の連続。そういえば、中島らもさんの『お父さんのバックドロップ』の文庫本で解説を書いていたのは夢枕獏さんだったと思い出す。プロレスへの深い愛があればこそのパロディ。目の前に光景が浮かんでくるような世界に大笑い。
 けれど表題作は、大逆襲大逆転があるかと思いきや、読み終えて呆然としてしまう切ない展開。
 この2作以外の収録作は、ギャグと下ネタとパロディの応酬。個人的にはその面白さを理解出来なかったところもあった。
 けれど、逆に言えば、それだけ幅広い文章を書けるのは文才があればこそ。さすが、プロ。
 読んで良かった。


『銀の三角』/萩尾望都

 こちらも萬葉堂書店で購入。
 萩尾望都先生のSF作品。もともと萩尾望都作品が好きだったけれど、この作品は未読だった。最近、キム・チョヨプ作品でSF小説に興味を持つようになったこともあり、今回手に取った。
 時空を超えて登場人物が生まれ変わったり再登場したりという作品世界の設定には、正直、理解が追い付かないところもあった。
 けれど、面白い。「なんかよくわかんないけど面白い」という感覚を久しぶりに体験した気がする。
 ぐいぐい引き込まれて、あっという間に読了。
 萩尾望都先生のSF作品といえば『11人いる!』が真っ先に浮かぶけれど、考えてみれば『ポーの一族』のエドガーとメリーベル、そしてアランが時を超えて世界を旅してゆくというストーリーもまたSFと言えなくもない。
 最近まで、自分はSFに縁が無いと思っていた。けれど、萩尾望都作品を通して中学・高校時代からずっとSFの世界を楽しんでいたのだと今になって気付かされた。
 好きです。


『水木しげるの遠野物語』/水木しげる(原作・柳田國男)

 こちらは岩手県盛岡市にTV番組『呑み鉄本線日本旅』のスペシャルトーク&ライブを見に行った際にJR盛岡駅内の書店で買ってきたもの。
 柳田國男の『遠野物語』は大学時代に読んだが、こうして水木しげる氏の絵とともに語られると、一層イメージが広がる。
 何より、楽しい。いや、楽しいというには語弊のある物語も含まれてはいるのだけれど。
 旅先でなければおそらく買わなかったであろう一冊。
 でも、買ってよかった。
 大事にしよう。

『まんが岩手人物シリーズ 原敬』/原作・泉秀樹 作画・下田信夫

 こちらも同じく盛岡駅で買って来たもの。
 盛岡市出身の政治家ということもあるが、ちょうど日本初の女性総理大臣誕生のタイミングだったこともあり、日本初の「平民宰相(へいみんさいしょう)」(=爵位を持たない首相)として原敬の生涯を紹介する書籍が書店の目立つ場所に平積みされていた。気になる本は多数あったけれど、とりあえず読みやすそうな児童向けコミックスを購入。
 「白河以北一山百文」と侮蔑された東北の地。
 そこから誕生した、日本初の「平民宰相」。
 歴史の教科書で「平民宰相=原敬」と記号のように暗記していたことも、その生い立ちから政治家になってゆく歩みを知れば、見え方が変わってくる。
 あらためて、原敬について深く知りたくなった。
 と同時に、政治家に暗殺という酷い最期を与えてしまった愚を、決して繰り返さないで欲しいと思った。



 11月も、読むことと書くことを楽しんだ。
 いよいよ師走。何かと忙しい時期ではあるけれど、年末年始には休みもある。自分のペースで楽しんでいこうと思う。
 読書は、楽しい。


※ 過去の読書記録はマガジンにまとめてあります。




いいなと思ったら応援しよう!

安部忍 チップよりも、一人でも多くの方々に読んでいただけるよう、気に入った記事や作品があればシェアしていただければ幸いです。 チップをいただいた際は、東北各地や能登など全国の美味しいものの購入費用として活用させていただきます。

この記事が参加している募集