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ITパスポート|派遣と請負とは?労働・取引と標準化をやさしく解説

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派遣と請負のいちばんの違いは、「誰が働く人に指示(指揮命令)を出すか」です。派遣は派遣先が直接指示を出し、請負は請負会社が指示を出します。ITパスポートでは、この1点がくり返し問われます。

「派遣、請負、準委任…似た言葉が多すぎて、もう頭が痛い」と感じますよね。わかります。働き方や取引のルールは、言葉がとにかくまぎらわしいんです。

でも大丈夫。この記事では「助っ人を借りる」「工事を丸ごと発注する」といった身近な例えで、1つずつほどいていきます。スマホでスラスラ読めるように進めますね。

この記事でわかること

  • 派遣と請負の違い(=誰が指示を出すか)と、やってはいけない「偽装請負」

  • 請負契約と準委任契約の違い(完成させる約束か、まじめに作業する約束か)

  • 労働基準法・取引の法律・標準化(JISやISOなど)の名前と役割

この記事の要点(先に結論!)

  • 派遣と請負の最大の違いは、働く人に指示を出すのが「派遣先」か「請負会社」かという点です。

  • 発注者が請負で働く人に直接指示を出すと、違法な「偽装請負」になります。

  • 請負契約は仕事の完成が目的で、準委任契約は業務をまじめに行うこと自体が目的です。

  • 労働基準法とは、労働時間や休日など、働く人を守る最低限のルールを定めた法律です。

  • JIS(日本産業規格)は、2019年7月に「日本工業規格」から名前が変わった日本の国家規格です(2026年7月時点)。

1. まずは労働基準法:働く人を守る「最低ルール」

派遣や請負の話に入る前に、土台となる法律を1つ押さえましょう。労働基準法(ろうどうきじゅんほう)です。

労働基準法とは、働く人を守るための最低限のルールを定めた法律です。イメージは、会社と働く人の「最低ラインを決めたルールブック」ですね。主に、こんなことを決めています。

  • 労働時間(働く時間の上限のルール)

  • 休憩・休日(休みを取らせるルール)

  • 賃金(給料の支払いに関するルール)

  • 時間外労働(決められた時間を超えて働くときのルール)

いちばん大事なポイントは1つ。このルールを下回る契約を結んでも、その部分は無効になるということです。「働く人が同意したから」といって、最低ラインより悪い条件を押しつけることはできないんですね。

なお、決められた時間を超えて働いてもらう(残業させる)には、会社と働く人の代表とのあいだで36協定(さぶろくきょうてい)という約束を結ぶ必要があります。ITパスポートでは、この名前を知っていれば十分です。

2. 派遣と請負の違い(ここが最頻出!)

いよいよこの記事の主役です。派遣請負(うけおい)の違いは、ITパスポートで超頻出。ここをしっかり整理しましょう。

結論を先に言うと、違いは「誰が働く人に指示(指揮命令)を出すか」です。指揮命令とは、「これをやって」「次はこっち」と仕事の指示を出すことですね。

2.1 派遣:人を「借りる」。指示するのは派遣先

派遣は、イメージでいうと「助っ人を借りる」やり方です。よそから来てもらった助っ人を、自分のチームの一員として、自分が直接指示を出して働いてもらう感じですね。正式には、労働者派遣法(ろうどうしゃはけんほう)という法律にもとづく働き方です。仕組みはこうなっています。

  • 働く人を雇っているのは、派遣元(派遣会社)

  • 実際に指示(指揮命令)を出すのは、働く人が行った先の派遣先

つまり、「雇う会社」と「指示を出す会社」が別になるのが派遣の特徴です。派遣先は、来てもらった人に直接「これをやってください」と指示できます。

2.2 請負:仕事を「任せる」。指示するのは請負会社

いっぽう請負は、イメージでいうと「工事を業者に丸ごと発注する」やり方です。家のリフォームを業者にお願いする場面を思い浮かべてください。あなた(発注者)は、現場の職人さん一人ひとりに「そこをこうして」と直接あれこれ指示はしませんよね。仕切るのは、業者の親方です。請負も同じで、こうなっています。

  • 仕事を発注する側が発注者

  • 働く人に指示(指揮命令)を出すのは、仕事を引き受けた請負会社

  • 発注者は、請負で働く人に直接指示を出せない

請負は「仕事の完成」を約束して引き受ける契約です。だから発注者は「完成した成果」を受け取るだけで、途中の作業のやり方は請負会社にお任せする、という関係になります。

2.3 偽装請負:発注者が直接指示するとアウト

ここが引っかけの定番です。契約書に「請負」と書いてあっても、実際には発注者が現場の働く人に直接指示を出している——これを偽装請負(ぎそううけおい)といい、違法になります。

  • 契約の名前(「請負」と書いてあるか)ではなく、実態で判断される

  • 「請負」なのに発注者が直接指示 → 偽装請負(アウト)

なぜダメなのでしょう? 本当は派遣(=派遣先が指示を出す働き方)と同じことをしているのに、派遣のルールを守らずに人を働かせることになるからです。働く人が守られなくなってしまうんですね。

「請負なのに、発注者が現場で直接指示していないか」。ITパスポートでは、この見分けがよく問われます。

3. 請負契約と準委任契約の違い

派遣・請負と並んでまぎらわしいのが、請負契約準委任契約(じゅんいにんけいやく)の違いです。どちらも「仕事をお願いする契約」ですが、約束する中身が違います。

3.1 請負契約:完成させて納品する約束

請負契約は、「仕事を完成させること」が目的の契約です。イメージは、「家のリフォームを完成させて引き渡す約束」ですね。

  • 目的は仕事の完成(完成させて納める義務がある)

  • 完成した成果に問題があれば責任を負う(契約不適合責任)

「ちゃんと完成させて渡す」ところまでが約束なので、結果に責任を持つ契約、と覚えましょう。

3.2 準委任契約:まじめに作業する約束

準委任契約は、「決められた業務をきちんと行うこと自体」が目的の契約です。イメージは、「まじめに家庭教師をする約束」

家庭教師は、毎回きちんと教える約束はしますが、「志望校に合格させます」とまでは約束しませんよね。それと同じです。

  • 目的は業務の遂行(作業を行うこと自体。完成までは約束しない)

  • 善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)を負う

善管注意義務とは、「善良な管理者として、ふつう期待される注意をはらって仕事をする義務」のこと。むずかしい言葉ですが、要するに「プロとして、きちんと注意して作業する義務」です。「完成の約束はしないけれど、いいかげんにやってはいけない」。これが準委任のポイントです。

4. 取引に関する法律(取適法・特商法・PL法)

次は、会社どうしや、会社とお客さんのあいだの「取引」を公正にするための法律です。名前と役割がわかれば十分です。

4.1 中小受託取引適正化法(旧・下請法)

まず注意してほしい法律があります。中小受託取引適正化法(ちゅうしょうじゅたくとりひきてきせいかほう)、略して取適法(とりてきほう)です。

これは、立場の強い側(親事業者)が、仕事を受ける側(中小の事業者)に対して、代金の支払いを遅らせたり、不当に値引きを迫ったりするのを防ぐ法律です。取引を公正に保つのが役割ですね。

ここが今回いちばん大事なポイントです。この法律は、もともと「下請法」(したうけほう)という名前でした。2026年1月1日から「中小受託取引適正化法(取適法)」という新しい名前に変わっています(2026年7月時点)。

名前が変わったばかりなので、試験本番では旧名称の「下請法」で出題される可能性もあります。どちらの名前で出ても「同じ法律だ」とわかるように、新旧どちらもセットで覚えておくと安心です。

4.2 特定商取引法とPL法

取引に関わる法律を、あと2つ軽く押さえましょう。

  • 特定商取引法(とくていしょうとりひきほう)…通信販売や訪問販売などで、消費者がトラブルにあうのを防ぐ法律。契約を後から解除できる「クーリングオフ」のルールなどがあります。

  • 製造物責任法(PL法)(ピーエルほう。PLはProduct Liability=製造物責任の略)…製品の欠陥でケガや損害を受けたとき、製造した会社に落ち度(過失)があったかどうかに関係なく、責任を負わせる法律です。

どちらも「消費者を守る法律」という大枠でとらえておけば、ITパスポートでは十分です。

5. 標準化:みんなでルールをそろえる

最後は標準化(ひょうじゅんか)です。法律とは少し毛色が違いますが、第2章でセットで出てきます。

標準化とは、製品やデータ、手順などの「共通ルール」を決めることです。イメージは、「電源プラグの形をそろえる」こと。どのコンセントにも挿さるから、安心して家電を買えますよね。ネジのサイズやコードの規格が世界でそろっているのも、標準化のおかげです。

5.1 標準の決まり方は3つ

標準には、大きく3つの決まり方があります。

  • デジュレスタンダード公的な機関が正式に決めた標準(後で紹介するJISやISOなど)

  • デファクトスタンダード市場で広く使われて、結果的に事実上の標準になったもの

  • フォーラム標準関心のある企業や団体が集まって作った場(フォーラム)で決めた標準

デファクトスタンダードのイメージは、「気づいたら、みんなが使っていて標準になっていた」もの。パソコンのWindowsや、キーボードの文字の並び(QWERTY配列)が代表例です。誰かが「これを標準にしよう」と決めたわけではないのに、広まって定番になったんですね。

フォーラム標準は、その中間だと思ってください。国の機関が決めるわけでも、市場での勝ち負けで決まるわけでもなく、関係する会社どうしが集まって話し合い、そこで取り決めるやり方ですね。

この3つは、シラバスVer.6.5の用語例にそろって並んでいます(小分類8。2026年8月時点)。決めたのは、お役所か・市場か・集まった会社か。 この3択で見分けられますよ。

5.2 標準化の規格と団体

デジュレスタンダード(公的に決めた標準)を作る、代表的な規格と団体を見てみましょう。名前と守備範囲がわかれば十分です。

  • JIS(ジス。Japanese Industrial Standards=日本産業規格)…日本の国家規格。2019年7月に「日本工業規格」から「日本産業規格」へ名前が変わりました(2026年7月時点)。データやサービスも対象に加わっています。

  • ISO(アイエスオー。International Organization for Standardization=国際標準化機構)…電気・電子以外の分野の国際規格を決める団体。

  • IEC(アイイーシー。International Electrotechnical Commission=国際電気標準会議)電気・電子分野の国際規格を決める団体。

  • IEEE(アイトリプルイー。Institute of Electrical and Electronics Engineers)…電気・電子技術の学会。LAN(構内ネットワーク)の規格「IEEE 802」などで有名です。

ざっくり覚えると、JIS=日本、ISO=世界(電気以外)、IEC=世界(電気)、IEEE=学会、という4つの色分けになります。

もう1つ、W3C(ダブリュースリーシー。World Wide Web Consortium)も用語例に並んでいます。Webのしくみについての規格を決めている団体ですね(小分類8。2026年8月時点)。

そして、ISOの規格には番号で呼ばれるものもあります。ISO 9000(品質)、ISO 14000(環境)、ISO/IEC 27000(情報セキュリティ)などですね。ここで番号を覚える必要はありません。 中身は、それぞれ担当する記事のほうで出てきます(情報セキュリティマネジメントはセキュリティの記事、リスクマネジメントはプロジェクトマネジメントの記事、ITガバナンスはシステム監査の記事)。

5.3 身近な標準化:JANコードとQRコード

標準化は、私たちの生活のすぐそばにもあります。代表が、商品についているコードです。

  • JANコード…商品につくバーコード(日本共通の商品コード)。レジでピッと読み取る、あの縦線です。

  • QRコード(キューアールコード)…四角い二次元コード。バーコードより多くの情報を入れられ、スマホのカメラで読み取れます。

どちらも「規格をそろえたおかげで、どの店・どの機械でも同じように読み取れる」標準化の身近な例です。

6. まとめ:3行でふりかえり

  1. 派遣と請負の最大の違いは「誰が指示を出すか」。派遣は派遣先、請負は請負会社が指示を出します(発注者が請負の人に直接指示すると偽装請負)。

  2. 請負契約は仕事の完成が目的、準委任契約は業務をきちんと行うこと自体が目的(完成までは約束しない)です。

  3. JISは日本の国家規格で、2019年7月に「日本工業規格」から「日本産業規格」へ改称されました(2026年7月時点)。

いかがでしたか? 言葉は似ていますが、「派遣=人を借りて自分が指示」「請負=仕事を任せて相手が指示」という軸をつかめば、一気に整理できます。これで第2章「法務」は完結です。まずは派遣と請負の指示の向きから覚えてみましょう!

なお、この記事は本書『いちばんやさしいITパスポート』の第2章「法務」に対応しています。第2章は範囲が広いので3つに分けていて、この記事は労働・取引の法律と標準化の担当です。知的財産権は別記事(B02a)個人情報とセキュリティの法律は別記事(B02b)で解説しています。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 派遣と請負の違いは何ですか?

A. 最大の違いは「誰が働く人に指示(指揮命令)を出すか」です。派遣では、働く人を雇うのは派遣元ですが、指示を出すのは行った先の派遣先です。請負では、指示を出すのは仕事を引き受けた請負会社で、発注者は直接指示を出せません。発注者が請負の働く人に直接指示を出すと、違法な「偽装請負」になります。

Q2. 請負契約と準委任契約の違いは何ですか?

A. 請負契約は「仕事を完成させること」が目的で、完成させて納める義務があります。準委任契約は「決められた業務をきちんと行うこと自体」が目的で、完成までは約束しませんが、プロとして注意して作業する善管注意義務を負います。「完成させて引き渡す約束」か「まじめに作業する約束」かの違い、とイメージするとわかりやすいです。

Q3. 偽装請負とは何ですか?

A. 契約の形は「請負」なのに、実際には発注者が現場の働く人に直接指示を出している状態のことで、違法です。請負では指示を出せるのは請負会社だけなので、発注者が直接指示すると本来の派遣のルールを守らずに人を働かせることになり、働く人が守られなくなります。判断は契約書の名前ではなく、実態で行われます。

Q4. JISとISOの違いは何ですか?

A. JIS(日本産業規格)は日本の国家規格で、ISO(国際標準化機構)は世界共通の国際規格を決める団体です。ISOは電気・電子以外の分野を担当し、電気・電子分野はIEC(国際電気標準会議)が担当します。なお、JISは2019年7月に「日本工業規格」から「日本産業規格」へ名前が変わっています(2026年7月時点)。


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この記事を書いた人
simic(IT資格ノート)。文系・非エンジニアの視点で、つまずきやすいIT用語を「たとえ」でかみくだきながら、資格の勉強ノートを書いています。→ くわしい自己紹介:https://note.com/simic_0531/n/n5ed7f56f1ab9

最終更新:2026年7月

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