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納税予定を後回しにした会社が、最初に並べる支払日

「納税予定を後回しにしてしまいました。最初に何を並べればいいですか」。資金繰りの相談で、よく出てくる問いです。払う意思がないからではありません。税、社会保険料、仕入、借入返済が別々の場所にあり、同じ時期に重なることを、社長が一枚で見られていないだけです。

仮に、通帳の残高が120万円あるとします。残高だけなら、まだ動かせそうに見えます。ところが、近い日に納税、社会保険料、仕入先への支払いが続いていれば、使えるお金の見え方は変わります。最初に必要なのは、支払う順番を決めることではありません。支払日を、近い順に同じ表へ置くことです。

「納税予定はまだ先」と書類の端に置いたまま、仕入先への支払日だけが先に埋まっていた。

支払日を見えないままにした社長の状態

(この記事は約8分で読めます)

支払日は、金額より先に「発生日」で並べる

支払予定を整理するとき、最初から金額の大小を比べると迷いやすくなります。大きな金額から並べても、少額の支払いが同じ日に重なれば、通帳から出ていく流れは変わらないからです。

先に作るのは、支払日を横に並べた簡単な一覧です。左から日付を置き、その下に「何に対する支払いか」「金額は確定しているか」「どの資料で確認したか」を書きます。金額がまだ確定していなくても、予定を消してはいけません。空欄のまま残すより、確認中だと見えるほうが、次の行動につながります。

この段階では、納税が先か、仕入が先かを決めません。日付が見えない状態を終わらせることが、最初の仕事です。

最初に集めるのは、税・社会保険料・日常の支払い

支払日の一覧に入れる資料は、経理担当者のパソコンだけにあるとは限りません。社長の机、メール、金融機関の返済予定、仕入先から届いた請求書にも分かれています。まずは、次のまとまりで集めます。

  • 税に関する通知、納付書、申告後に確認できる資料

  • 社会保険料に関する通知や、給与計算で確認している資料

  • 仕入、外注、家賃、リース、電気など、毎月出ていく支払い

  • 借入返済、カード利用分、分割払いなど、金融機関や契約に関する支払い

税や社会保険料は、会社の状況や手続きによって確認すべき資料が変わります。記憶で日付を補わず、手元にある通知や明細を見て転記します。判断に必要な資料が見つからないものは、「未確認」と書いたまま次へ進んで構いません。

税・社会保険料・仕入れなどを支払日順に置く一覧
▲ 支払う相手ごとに散らばった予定を、まず発生日の順に一枚へ並べる図解

確定していない支払日も、表から外さない

納税額がまだ確定していない、請求書が届いていない、返済予定を最新の資料で見ていない。こうした支払いを表から外すと、残高の見通しは実際より明るくなります。確定していないものは、確定していないまま表示するほうが安全です。

「決まっている」「見込」「確認中」を分ける

一覧の右端に、支払日の確度を置きます。たとえば、通知や契約書で確認できたものは「決まっている」、過去の実績から想定しているものは「見込」、資料や相手への確認が必要なものは「確認中」とします。

ここで大切なのは、見込の日付を確定日として扱わないことです。逆に、確認中だからといって一覧から消すこともしません。未確定の予定を残すこと自体が、資金不足を早く見つける手掛かりになります。

不明な日付は、確認先と確認日を一緒に書く

「確認中」だけでは、表を作ったあとに止まります。どの資料を見るのか、誰に聞くのか、いつ確認するのかを一行で添えます。社内で確認できるものと、税理士、社会保険労務士、取引先、金融機関など外部へ聞く必要があるものを分けるだけでも、作業の滞りが見えます。

入金予定と重ねて、足りない日を一日だけ先に見る

支払日を並べたら、同じ表か別の行に入金予定を置きます。売上の請求書を発行した日ではなく、実際に入金される見込みの日で見るのがポイントです。入金予定も、確定・見込・確認中を分けます。

次の順番で、最初の確認をします。

  1. 確認時点の預金残高を、通帳やネットバンキングで転記する。

  2. 入金予定を、入金日と確認資料が分かる形で置く。

  3. 支払日と入金日を重ね、残高が苦しくなりそうな最初の日に印を付ける。

ここで出すのは、会社が続くかどうかの結論ではありません。相談で最初に見せるべき日を一日だけ決める作業です。資金不足が起こりそうな日が複数あっても、まず一番早い日を特定すると、相談の話がぼやけにくくなります。

支払日と入金予定を同じ時間軸に重ねる資金繰りの図解
▲ 支払日と入金予定を重ね、残高の確認が必要な最初の日を見つける図解

支払う順番を決める前に、変えられる日と変えられない日を分ける

支払日が並ぶと、すぐに「どれを後にできるか」と考えたくなります。ただ、税や社会保険料、借入、仕入の扱いは同じではありません。会社の契約、通知、手続き、相手との関係によって確認先が変わります。

社内で確認できる支払いから、資料を揃える

請求書、契約書、返済予定表、給与計算の資料など、社内にあるものを集めます。日付と金額が同じ資料に載っているとは限りません。資料名を表に書いておくと、あとで確認し直す人が変わっても、調べる場所が分かります。

外部へ確認する支払いは、決め打ちしない

書類だけで判断できない支払いは、納付先や専門家、取引先、金融機関など、適切な確認先を切り分けます。支払日を変えられる、猶予できる、融資で埋められると先に決めないことです。制度名や対象条件、金額、期限は会社ごとの条件で変わるため、公式窓口や税務・労務・金融の専門家へ確認します。

公的な支援案内でも、相談を早めることや、資金繰りの計画を整理して支援につなげることが重視されています。だからこそ、相談の電話をする前に、支払日一覧だけは手元に置いておきます。

資金不足の相談では、支払日一覧が最初の共通資料になる

相談先が決まっていなくても、一覧は作れます。作った表を見せれば、社長の頭の中にある「何となく足りない」が、確認できる予定と未確認の予定に分かれます。相談する相手によって見る資料は変わりますが、最初の一枚に必要なのは、次の情報です。

  • 支払日、支払先、内容、金額

  • 金額と日付の確度、確認した資料

  • 入金予定日と、入金の確度

  • 残高が苦しくなりそうな最初の日

  • まだ確認できていないことと、その確認先

この一覧は、納税の扱いを決める書類でも、融資を約束する資料でもありません。あくまで、状況を正しく伝えるための土台です。税務や社会保険料の個別の納付判断、資金調達の可否、契約上の対応は、専門家や各窓口に確認してください。

資金不足の相談前に支払日一覧と確認先を整理する図解
▲ 支払日、入金予定、未確認事項を一枚にまとめ、相談時の確認点を揃える図解

今日作る一枚が、社長の相談を早める

納税予定を後回しにしたと気づいたとき、いきなり正しい支払順を出そうとしなくて大丈夫です。最初にするのは、税・社会保険料・仕入・返済などを、確認できた日付の順に並べることです。未確定のものは、未確定だと分かるように残します。

今日の作業は、一覧を作り、最初に資金が苦しくなりそうな日へ印を付け、確認先を一つ書くところまでで十分です。支払日を並べることは、支払いを遅らせる判断ではありません。早く相談できる状態を作るための、最初の整理です。

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