クレジットカード払いが増えた会社で、社長が見るべき請求日
1
43件のカード明細が画面に並ぶと、最初に経費の科目へ分けたくなります。けれど、資金繰りで先に知りたいのは「何の費用か」より「いつ、どの口座から落ちるか」です。明細の件数を減らしても、引落日が資金繰り表へ戻らなければ、支払いの山は見えないままです。
ここで扱う143件は、記事の起点に置いた確認対象の件数です。特定企業の実例ではありません。社長がやる作業の中心は、利用明細を資金移動の日へ戻すことです。143件の全件分類は、その後でも構いません。
明細を減らすより、落ちる日を戻す。
(この記事は約7分で読めます)
143件を引落日で束ねる
一覧は、利用日順や店舗名順に並ぶことが多い。資金繰り表が拾うのは、預金口座から資金が動く日です。買い物をした日とは見る場所が違います。ここを取り違えると、利用した月の経費一覧はできても、支払いの月の予測にはなりません。
最初の欄は経費科目にしません。まずカード会社、締日、引落日、引落口座を確認します。カード会社が同じでも複数の口座を使っているなら、口座ごとに分けて記入します。143件の一覧が、少数の支払グループへ変わる入口です。
引落日が一覧に出ていない場合は、空欄を推測で埋めません。カード会社の確認画面へ戻り、確認できた日と未確認の状態を分けて残します。推測で置いた日付は、残高見込みを誤らせるからです。
カード明細の見方を、引落日を軸に置き換えます。三つの引落日があるなら、それぞれを別の支出予定として扱い、同じ日に落ちるものだけをまとめます。

カード会社と口座を対応させる
引落日だけを見ても、どの預金が減るか分からなければ、資金繰り表の数字は動かせません。カードの名称、引落口座、確認できた支払日を一組で持ち、カード会社が複数ならカードごとに行を分けます。
確認欄には、次の三つを並べます。
カード会社の名前と、どのカードの明細か
引落先として登録されている口座
利用明細や契約画面で確認した締日と支払日
国税庁のクレジットカード納付のQ&Aでも、カード会社ごとに支払日などが異なるため、利用明細で確認する説明があります。ただし、この資料が対象にしているのは国税の納付です。一般の経費支払いの日を、その説明だけで決めることはしません。実際のカード契約や利用明細に戻って確認します。
確定額と未確定額を分ける
カード会社と口座が分かっても、画面に出ている利用額をすべて確定支出として足すと、更新途中の情報まで資金繰り表へ入り込みます。支出予定に置く数字と、確認を待っている数字を同じ欄へ入れないことが必要です。
引落日ごとに、確定額、未確定額、確認担当を置きます。未確定額は、確認待ちとして残した事実が分かる状態にしておきます。数字が合わない理由が分からないまま、確定額へ寄せてはいけません。
この整理は経費の良し悪しを判断する作業ではありません。資金が出ていく可能性を、確定しているものと更新途中のものへ分ける作業です。そこを守ると、口座残高の見込みを読むときに、確定支出と確認待ちが混ざりません。

資金繰り表の支出予定へ戻す
中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、資金繰り表の支出項目と、表を更新して使う観点を紹介しています。この整理でも、経費科目ごとの集計を先に完成させるより、引落日ごとの支出予定へ戻すほうが、資金繰りの目的に合います。
作業は、次の順番にすると迷いにくくなります。
引落日ごとに、確定額と未確定額を分けて記入する。
確定額を、実際に引き落とされる口座の支出予定へ置く。
未確定額に確認担当を付け、更新時に確定額へ移す。
三つの引落日がある月なら、三つの行を支払予定の器にします。同じ引落日でも口座が異なる場合は、口座ごとに行を分けます。カードの利用先を細かく分類した表が別にあっても、資金繰り表へ戻す段階では、資金繰り表の支出予定として日と口座を優先します。
この段階で、支払後に残る金額まで予測しようとしなくて構いません。まずは、いつ、どの口座から、どの程度の支出が出るかを同じ見方で並べます。入金予定や他の支払いと照合するときの土台ができます。

証憑確認は別の作業にする
資金繰り表へ戻す作業と、税務上どの書類を保存し、個別取引をどう判断するかは目的が違います。カード明細を引落予定へ整理できたからといって、税務上の確認まで終わったことにはなりません。
明細だけで税務判断を完結しない
国税庁は、クレジットカード会社からの請求明細書について、税務上の位置付けを説明しています。ここで必要なのは、カード会社の請求明細書を確認した事実と、個々の取引について保存・判断すべき資料を分けて考えることです。
請求明細だけで個別の税務判断を済ませる書き方はしません。取引内容や保存要件の確認が必要な場合は、税理士などの専門家へ確認を回します。資金繰り表の更新と、税務の確認先を同じ欄に押し込まないことが、後の見直しを楽にします。
予定表と帳簿を別目的で更新する
予定表は、引落日に現金が動く見込みを管理するものです。帳簿や証憑の確認は、取引の内容と税務上の扱いを整理するものです。片方を更新したから、もう片方まで済んだとは扱いません。
実務では、引落予定の確認欄と、税務確認が必要な取引の欄を分けます。社長が見たい資金の動きと、専門家へ渡す確認事項が同じ画面で混線しなければ、明細の件数が増えたときも作業の入口を見失いにくくなります。
次回更新の担当を決める
この一覧は、引落日を一度確定させて終わりではありません。更新途中の利用分が確定額へ移るとき、誰がどの画面を見て、どの欄を書き換えるかが決まっていなければ、表はすぐに古くなります。
担当者に渡す行動は、長い説明にしなくて大丈夫です。「カード会社ごとの明細を確認し、引落日・引落口座・確定額の差分を更新する」と一行にします。未確定額が残った場合は、確認待ちのままにした理由も短く記録します。
今日やるのは、143件をすべて分類することではありません。カード会社と引落口座を対応させ、三つの引落日それぞれへ、確定額・未確定額・確認担当を一行で置くことです。そうすれば、カード明細は眺めるだけの一覧から、資金繰り表へ接続する支払予定になります。税務上の保存や個別判断は、その表とは分けて確認します。
■ 銀行員には言えない資金繰り改善チェックを使ってください
ファクタリングや追加借入を考える前に、資金繰り改善の見落としを確認できるPDFを用意しました。
「銀行員には言えない 資金繰り改善・秘密のチェックリスト7選」です。
銀行に相談しづらい状態でも、先に何を並べ、何を説明できるようにするかを確認できます。
下のPDFをダウンロードして、今の状況を見ながらチェックしてください。
▼ 銀行員には言えない 資金繰り改善・秘密のチェックリスト7選 / PDF版
■ より詳しい診断をご希望の方へ
預金残高、入金予定、支払い予定、借入返済、ファクタリング利用状況を見ながら、今月だけの不足なのか、翌月も続く不足なのかを一緒に分けます。↓
■ 関連記事
このマガジンでは、
今後のあなたの取るべき行動につながる詳細を
1本ずつ深掘りした記事を公開していきます。
マガジンのフォローを忘れずにお願いします。
■ 初めての方へ
いいなと思ったら応援しよう!
暖かいご支援に感謝します。
頂いたチップは、今後も皆様にお役にたてるような情報発信をするために大切に活用をさせていただきます。応援は活動の大きな励みとなりますので、これからも暖かく見守っていただけると嬉しいです。