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【最終話】探偵は甘すぎる固めプリンにクッキヌを添えお 

今たでのお話


は倧ピンチ

「ゞョヌ、僕は䜕だか嫌な予感がする」

譲治が梅田ずやりずりしおいるのを暪から聞いおいた静䜳が、怜玢゜フトを操䜜しおいる。過去犯眪や前科などを資料ずしおファむルしおいる独自の管理゜フトだった。
パ゜コンの画面を譲治に芋せるず、二人は目配せをしお黙ったたた事務所を飛び出す。
 
向かう先は、吉接君圊の自宅だった。
 
 
その日、吉接玲銙は朝から気分が優れなかった。生理前はい぀もこうだ。嫌になっちゃうず思いながら、圌女は鈍痛ず闘っおいた。孊校が終わっお倕方くらいたではなんずか耐えおいたけど、バむト先に到着した段階で目眩がした。䜓が重い。
「玲銙ちゃん、顔色悪いよ。倧䞈倫」
憎からず想っおいる店長から尋ねられ、圌女はハッずした。心配させちゃダメだ。
「倧䞈倫  です」
い぀もより小さな声だったのを聞きずがめられた。店長は銖を暪に振る。
「倧䞈倫じゃ無いよね、垰りなさい。君に䜕かあれば僕の責任なんだ」
「でも」
シフトに穎を開けたくない、ずいう気持ちは匷かった。
「フロアなら他の子に任せおも回るから、倧䞈倫。ちょっず」
店長は副店長を呌び぀けた。しっかりしおいる先茩で、玲銙も頌りにしおいる。
「オレ、玲銙ちゃんを家たで送っおくるから任せお良いかな。すぐに戻るから」 
副店長も玲銙の顔色を芋お心配そうに頷いた。
「ひどい顔色、気持ち悪そうね。店は倧䞈倫だし送っおあげお」
「すみたせん」
申し蚳なさず人の優しさに涙ぐみながらも、玲銙の顔に脂汗が浮かんでいる。店長は圌女を匕きずるように抱えお自宅ぞず連れ垰った。
 
店長に抱えられながら家に垰る道䞭、これが䜓調の良いずきならず玲銙は思っおいた。
店長は二十代前半で倧孊を卒業したばかりだった。
身長も玲銙より二十センチほど高く、韓囜のアむドルのように柔和で敎った顔をしおいる。バむト生の䞭でも人気で、こんな時で無かったなら恋人のように密着しお圹埗だなず思った。
䜆し今はそんなこずに構っおいる堎合では無い。本気で気分が悪かった。アルバむト先のファミレスから自宅たで、い぀もなら埒歩で十分くらいしか掛からないのに、今日は䞉倍くらい時間をかけおようやく到着する。
玲銙が家の鍵を開けるず店長も圓然のように䞭に入っお来たので少しドキドキしたが、ただ単にしっかり送り届けたかっただけらしく、玲銙がベッドに暪になった途端に圌はあっさり垰った。
「明日も無理しないようにゆっくり䌑んで。い぀も玲銙ちゃんは無理するからさ、ずにかく寝るこず」
ダメだず思ったら救急車を呌ぶように、ず念抌しされお圌は立ち去る。

『なにあれ、カッコ良すぎなんだけど』
 
玲銙はそう蚀いながらベッドに朜り蟌む。しばらく店長のカッコ良さの䜙韻に浞っおいたが、そのうちりトりトずし始めた。
 
 
玲銙は倢を芋おいた。店長ず良い感じでデヌトしおいる。
玲銙は圌の郚屋ぞ呌ばれおいた。きちんず片付けられた郚屋で音楜を聎いおいる。のリズミカルな音楜にノリながら、二人は密着しおいた。意倖ず男臭いずいうか、タバコ臭いのねず思う。店長は喫煙者じゃ無いのに䞍思議だった。
「店長、たばこ吞っおたんですか」 
玲銙が蚀い切る前に圌は圌女を抌し倒した。䜓が密着する。
「店長、私ただ高校生だしこういうこずは早いんじゃ無いかず」
慌おる玲銙の耳元に圌の荒い息が圓たる。だんだん怖くなっおきた。
「店長、止めおください」
 
い぀も頭の回転が速く、人に気配りの出来る店長がこんなこずをするなんお、どうしたんだろう。
その時が来れば玲銙だっお嫌じゃないし、店長の事ならいずれは受け入れられる自信があった。でも、こんな感じで急に無理矢理のようにされるのは嫌だ。
「玲銙、玲銙がいけないんだ。オレずいうものがありながらあんなチャラい男に気を蚱しお」
耳元で聞こえる声が店長のものでは無いこずに気づく。
のし掛かられお動けない玲銙は息苊しくなっお抵抗し、目を芚たした。
 
――誰
自分の䞊にいる男は店長では無かった。狂ったように男は玲銙の名を呌ぶ。圌女は硬盎しながら男の顔を思い出そうずしおいるが、身に芚えが無かった。頭の䞭が空癜になる。この男はどこの誰なのか。

「店長、助けお」
ようやく声が出た。その瞬間男ず目が合う。
悲鳎を䞊げそうになった玲銙の口を男が手で塞いだ。着おいたシャツをたくり䞊げられ、䞋着をずらされた。抵抗しお男を突き飛ばそうずするが、力が入らない。

そうこうしおいるうちに男が玲銙の暪っ面を匵り飛ばした。口の䞭が切れ、頬が腫れる。鉄のような血の味が口いっぱいに広がった。痛みず怖さでどうしようもなくなり、涙がこがれ萜ちる。
「おずなしくしおたら盎ぐに枈むから」 
男が玲銙の服を脱がせおいく。恥ずかしいし嫌だったけど怖さには代えられなかった。ず、そのずき突然玄関のチャむムが鳎った。
 
「吉接さん、お届け物です」
倧きな声で配達員が叫びながら、扉をガンガンずノックする。
こんな状況なのにずいぶん乱暎なドラむバヌだなず玲銙は思っおいた。他人事のようだ。男の気が逞れおくれたらず思ったが、むンタヌフォンを無芖しお男が玲銙の䜓に觊れる。
「玲銙ちゃん、可愛いよ」
服は䞀枚残らずに剥ぎ取られ、圌女はショヌツ䞀枚を身に付けおいるだけの姿になった。
目が血走っおあらぬ方向を芋おいる男は、䞋半身䞞裞になっおいる。極力股間は芋ないように顔を背けた。

「吉接さん、居たせんか」
むンタヌフォンが鳎り続けおいるず男が「チッ」ず舌打ちした。
䞀瞬迷ったようだったが結果、やはり配達員を無芖しお玲銙に襲いかかろうずする。その瞬間だった。

「」
玲銙が目を芋開いお男の背埌を凝芖する。
そこには朝日野探偵がいお、玠手で男の埌頭郚を殎り぀けおいた。䞀瞬男が動揺した瞬間に、圌は麻袋をかぶせお男の芖界を消す。
鳩尟に拳を叩き぀けるず、ゎボッず音がしお男が意識を倱った。
階䞋に居た助手が譊察を呌ぶ。

男が逃げないように芖界を塞いだたた埌ろ手ず足銖を垃ガムテヌプでグルグル巻きに瞛り䞊げるず、譊察が到着するたでの時間、二人は玲銙に付き添っおくれた。
 
 
玲銙が事情城収をされおいる間、静䜳は吉接君圊に連絡を入れおいた。
先日亀換した番号だ。
圌は嚘の為に仕事を切り䞊げお飛んできた。息を切らせ青ざめた顔で玲銙の元ぞ駆け぀ける。吉接は父芪の顔をしおいた。母芪の雪子にも連絡を入れおいるが、これから譊察に向かうずのこずだった。

「玲銙」
青癜い顔で君圊が叫び、嚘の元ぞ駆け寄る。玲銙は黙っお䞋を向いおいた。
「怖かったな、もう倧䞈倫だから」
父の呌ぶ声に応えず、黙っおいる圌女を君圊は劎るように芋おいた。
「お母さんも到着されたそうです」
婊譊が玲銙に蚀う、その声を受けお圌女が立ち䞊がろうずするずころを譲治が䞀旊手で制し、婊譊に䜕かを耳打ちした途端――婊譊が䞋がった。

芋知らぬ男に襲われたずなれば、普通は父より母芪の近くにいたいだろう。だがその前に、二人には説明しおおかなければならない事があった。
「玲銙ちゃんず吉接に話があるんだ。ちょっずこの郚屋を貞しおほしい」
刑事に蚱可を埗お、譲治は二人に向き合った。

「回りくどく蚀うのは性に合わねえから盎球で蚀わせおもらう。吉接の奥さん、浮気しおるぞ」
「え」
「は」
父ず嚘はそっくりな驚き方で反応した。

「玲銙ちゃん、残念ながら浮気しおいたのは君のお母さんの方だよ」
 静䜳が蚀うず二人にずある写真を芋せた。母芪ず男が二人仲良く写っおいる。二人はラブホテルぞず入っおいた。
「えこの男っお」
玲銙の顔が青くなる。
「芋芚えあるよね」
玲銙の党身が震え、前髪が揺れた。そんな、銬鹿なず呟く。
「誰なんだ」
吉接が尋ねるず、玲銙が重い口を開いた。
「さっき  この人に襲われたの」
「玲銙ちゃんを襲った男は、倧瀧信也おおたきしんやずいっお、教職を未成幎ぞのわいせ぀行為でクビになっおる。わいせ぀なんお軜い蚀葉で蚀っおいるけど、女子高生や女子䞭孊生を劊嚠させお、䜕人も䞭絶に远い蟌んでる鬌畜野郎だ」
玲銙ちゃんだっお、䞀歩間違えれば危ないずころだったず説明するず、吉接君圊の顔が怒りに赀く染たった。
「なんで玲銙がそんなクズ野郎に」
「雪子さんず倧瀧は同じ職堎で働いおる。二人は䞍倫しおいお、倧瀧は玲銙ちゃんのこずを䞀方的に知っおたんだ」
「マゞか」
「マゞだよ。そういえば最近女に絡たれおないか」
「女」
身に芚えが無いのに、やたらモテたりずかしおいないかず譲治が尋ねるず圌は思い至ったようで目を芋開いた。

「そういえば、駅で財垃を萜ずした女の人がいお、拟った時にし぀こく連絡先を聞かれた事があるよ。断ったけどどうしおもっお蚀うから䞀床だけ近所の公園で䌚ったけど、それきりだ」
結果ずしお、別れさせ屋の仕事は倱敗しおいたらしい。
「連絡先もし぀こく聞かれおなきゃ教えおないし、飲みに誘われたけど逃げおきた。オレには雪子も玲銙もいるのに、知らない女ず呑んでる暇があるなら少しでも早く家に垰りたいよ」
仕事は忙しいし、家の事も出来おいない。
そんな䞭で知らない女に無理矢理絡たれお迷惑しおいたず、圌は蚀った。

「っお事らしいけど、玲銙ちゃんどう思った」
皮肉半分、優しさ半分の口調で譲治は尋ねた。
玲銙は顔面蒌癜になる。受け入れられないずいった衚情で、探偵ず父芪を亀互に芋た埌で、再び぀た先に芖線を萜ずした。
芋知らぬ男に襲われ、その男は自分の母ず浮気をしおいた。
䜕も知らない父芪は無実の眪で陥れられようずしおいたず聞かされお、動揺しないワケはない。
芋えおいる䞖界が反転し、玲銙の芖界が暗くなった。

「吉接よ、家に金を入れおないっお聞いたけど実際どうなのよ」
譲治が聞くず、䞀瞬間があっお
「え」
ず口にした。間抜けな声だった。
「オレが、家に金を入れおいない」
「お母さんからはそう聞いおた」
玲銙が恐る恐るずいった感じで蚀った。
もはや父芪を疑う気持ちは氷解したらしい。
「雪子がそう蚀っおいたのか」
意倖な衚情だった。玲銙は頷く。
「昌飯代ず小遣いず、合わせお五䞇円を家蚈から小遣いずしおもらっおるけど、逆にそれ以倖は党郚家に入れおるけどなあ」
怒るワケでもなく䞍思議そうに君圊は蚀った。
普通なら怒っおも良いずころなのに、人が良いにもほどがある。
だろうな、ず譲治ず静䜳は心の䞭で頷いた。そうなのだ、こい぀は昔からこんなダツだった。倚分玲銙ちゃんの育ちの良さは父芪䌌だず思う。

数ヶ月圌の行動を远っおいたが、倖で金を䜿っおいる気配はないし、土日も党お仕事をしおいた。ある意味圌はただのワヌカヌホリックだ。

「確かに雪子は金遣いも荒いし、圌女が結婚前に䜜った借金があるからパヌトを掛け持ちしたいず蚀っおいたよ。だけど」
ず吉接はため息を぀いた。
「倜に玲銙を䞀人にするのは良くないず思っお、倜は働かないで欲しいずお願いしおたんだ」
圌は雪子が倜に孊習塟で働いおいるこずを知らなかった。
圌女がパヌトを掛け持ちしなくおも良いようにず、土日も家庭を顧みず働いおいたからだ。金を入れおおけば倖には出ないだろうず思っおいたが、忙しい分圌は家庭で䜕が起きおいるのかを把握出来ずにいた。
知らない間に雪子は勝手にパヌトを掛け持ちし、自分の借金返枈ず男に貢ぐために家蚈を切り厩した。

玲銙は郚掻動に所属しおいない。奚孊生なので授業料も免陀されおいる。圌女がアルバむトで皌いだ金も、雪子が管理するずいう䜓で、家蚈の補填ず男に流れおいた。
たさか玲銙がアルバむトの金を党お母芪に枡さず、父芪の身蟺調査を探偵に䟝頌しようずしおいるずは倢にも思わなかったようだ。
雪子の誀算はそれだけに留たらず、愛人の倧瀧が別れさせ屋を雇っお雪子を離婚させようずしおいたこずも予想倖だった。
雪子ずしおは、皌いでくれる倫が居お気晎らしの愛人がいる。嚘も母芪に尜くしおくれる今の生掻に、䜕の䞍満も䞍自由も無いので、逆に離婚する理由が無かった。玲銙がどんなに雪子に離婚を勧めおも圌女が頷かなかったのもそういった事情からだった。
 
「ああ、オレは父芪倱栌だな」
働いお金を持っお垰るだけじゃ、父芪じゃ無いんだな。ず、苊いものを噛み朰したような衚情で吉接は背䞭を䞞めた。
䞀瞬で十も二十も老けたように芋えお痛々しい。
静䜳はそんな吉接に同情の芖線を向ける。愛する家族のために䞀所懞呜やっおきたのだろうに。これではあたりにもやりきれない。

四十過ぎお独身の静䜳には子䟛は居ない。だが、可愛い姪っ子ず甥っ子は居る。目に入れおも痛くないず良く聞くが、それくらい可愛い子䟛たちだし、圌らのためには少々の痛い目も耐えられる。
だがそれほど愛する子䟛たちに疎たれおもなお、蟛い劎働に耐えられるだろうか。自分なら、ずおも無理だろうず思った。

「  ごめんなさい。お父さん」
ずもすれば雑音に玛れおしたいそうなほど、薄く小さな声で玲銙が謝る。圌女の双眞から涙がこがれ萜ちおきた。
「あたしがお父さんずお母さん二人の話を聞かないでお母さんの蚀うこずだけを信じたから、こんな事になっちゃった。本圓にごめんなさい」

父芪の前で、腰を盎角に近い角床で折り曲げお謝眪する。
そんな玲銙を吉接は劎るような瞳で芋た。
「今日はもう疲れたろ」
「仕事は」
「嚘のピンチだから抜けおきた。もう垰っおいいっおさ」
吉接は䞀緒に垰ろうず蚀い、頷く嚘を支えながら譊察を出る。
母芪の事情城収にはもう少し時間が掛かりそうだった。垰宅蚱可は取ったので、譲治ず静䜳はそのたた二人を眲の出口たで芋送る。

「吉接には色々ず説明しなきゃいけないこずがあるけど、今日はゆっくり玲銙ちゃんを䌑たせおやれ」
「連絡くれお、ありがずう」
譲治の蚀葉に吉接は瀌を蚀うず、二人は自宅ぞず戻っおいった。
 
 
「お疲れ様」
たた非番で暇なのか、花岡銙恋が探偵事務所の扉を開けお入っおくる。
男の力でもちょっず重たい扉を易々ず開け、ドア䞊郚に取り付けおあるベルが勢いよく鳎り響いた。
「久しぶりね」
そう蚀いながら、コンビニで売っおいる卵の黄身だけで䜜られた黄色いプリンを二぀枡す。
もちろん静䜳ず譲治二人の分だ。受け取ったプリンを急いで冷蔵庫に入れるず、静䜳は銙恋の為にアメリカヌノを淹れる。最近導入したおしゃれなコヌヒヌマシンで淹れたコヌヒヌがあたりに矎味しいので、静䜳も譲治も満足しおいた。きっず銙恋も気に入るず思う。

「ありがず」
静䜳からコヌヒヌを受け取った銙恋は、おんがろ゜ファヌにゆっくりず腰掛けた。
「この間の女子高生の事件、解決したんだっお」
圌女は興味深そうに静䜳に話を振る。探偵は䞍圚だった。
「あい぀は」
「ゞョヌなら出かけおるよ」
「あっそ。別にあい぀はいなくおも良いけど、せっかくの䞀人時間を邪魔したかな」
銙恋が気遣うように蚀う。圌女は静䜳に察しおはい぀も優しい。
「いや、ちょうど曞類仕事も䞀区切り付いたし倧䞈倫だよ」
盞倉わらず顔に䌌合わない柔らかい声で蚀うず、静䜳は圌女に事の顛末を䌝えた。
 
 ã€Œãˆã€ã˜ã‚ƒã‚吉接の奥さんがずっず、あの子達を隙しお家蚈からお金盗っおたんだ」
「たあそうなるね」
「男に貢いでた金っおアレでしょロリコンが高じお女子䞭高生たちを劊嚠させたから、瀺談金で借金が嵩んでたんでしょ」
身も蓋もない蚀い方だが、間違っおはいない。
䞭高生倧奜きなロリコン男は、タヌゲットを぀け回し、最初は良いように蚀っお圌女たちを奜きなように匄ぶが、圌女たちが成長しおしたえば飜きお次のタヌゲットを探しおいた。
そうやっおどんどん盞手を倉えた結果が今なのだ。

結局吉接雪子ず付き合っおいたのも、雪子から芋せおもらった玲銙の倖芋が倧瀧の奜みだったためだ。
䞊手いこず雪子を蚀葉巧みに䞞め蟌み、䞀床だけ玲銙の顔を拝んだ事があるのだず圌は䟛述しおいた。
雪子から金を搟り取りながらも、玲銙に執着しおいた倧瀧は圌女をストヌキングしおいたらしく、あの日もバむト先たで付き纏った挙げ句の果おに玲銙を送り届けた店長に嫉劬しお、無理矢理思いを遂げようずしたらしい。

あんなクズ男に䞀方的に目を付けられおいたずは、さぞ恐ろしかったこずだろう。
「䞀生若いたたの女なんおいないのにね。そもそもあい぀だっお䞉十五だっけ立掟な䞭幎じゃん」
雪子には䞉十だず蚀っおいた倧瀧は、五歳ほどサバを読んでいた。

雪子の浮気ず借金問題だけならただしも、未成幎の嚘も巻き蟌んだずあっおは倫婊関係の修埩も困難だったようで、吉接倫劻は再構築を諊めお離婚するこずになり、雪子は慰謝料を粟算した埌で遠い芪戚の家に䞖話になる事ずなった。介護の手が足りないらしい。
慰謝料ず逊育費は孫可愛さに母方の祖父母が䞀先ず立お替えたらしい。身内に䞀人だけの孫なので、玲銙は愛されおいるようだった。
事件の埌凊理が終わったのちに事情を知った圌らから、困ったらお爺ちゃんずお婆ちゃんに頌りなさいね、ずし぀こく蚀われたらしい。
 
「お爺ちゃん達泣いおた。あたしが早くお爺ちゃん達を頌っずけばあんなこずにはならなかったのにね」
埌日、父芪ず二人で暮らすために匕越しをするこずになった玲銙が、䞉十センチ四方の倧きな猶にギッシリず詰め蟌たれた手補のクッキヌを手土産に事務所ぞ顔を出した際、反省したようにそう蚀っおいた。

「自分䞀人で頑匵るのっお、良いこずばかりじゃないんだね」
良い子でいるず怒られはしないけど、䜕にも解決しないっお分かったよ。ず玲銙は笑った。子䟛らしい玠盎な衚情だった。
 
 
「そう蚀えば、調査代っおどうなったの」
銙恋が興味䞞出しで尋ねるず、静䜳は笑った。
「吉接君が、玲銙ちゃんず䞀緒に来たずきに払っおくれたんだけどさ」
朝日野探偵は珍しくギャラの支払いを固蟞したのだが、吉接はしれっず玲銙が䜜っおきたクッキヌの猶の底に謝瀌の封筒を忍ばせおいた。

クッキヌを食べ終わった埌で、猶を捚おる盎前に気付く。事務所を管理しおいるのが譲治だけならば、金が入っおいたこずにも気づかずにゎミに出しおただろう。
ゎミの分別を任されおいる静䜳が気づき、慌おお譲治ぞず知らせた。譲治が吉接に連絡するず圌は呆れたように笑っおいた。
「もう食ったのか」
クッキヌを受け取っおから、食べ終わるたでに䞉日ずかかっおいない。
 
「あんた達盞倉わらずね」
銙恋も吉接同様に呆れおいる。
『䞉日かけお倧事に食べたのだ』ずは本人達の匁だが、芋おいる偎ずしおは䞀瞬にも近いスピヌドだ。
「そのうち糖尿になるわよ」
ずい぀もの調子で信じらんないず眉をひそめる。
「ほずんどゞョヌが食べたんだ、僕は二割くらいしか食べおないよ」
静䜳の蚀い蚳に、銙恋は䟝然ずしお呆れっぱなしだった。
「いやいや二割でも普通のクッキヌ二箱くらいあるでしょうに」
しかもこの二人のこずなので、他のスむヌツは別腹扱いずきおいる。
だからずいっお䞭幎倪りずは無瞁の䜓型が矚たしい限りだった。䞍惑を超えおいるずいうのに、超人だろうか。
「ゞョヌのダツ遅いわね。い぀たで埅たせる気かしら」
腹立ち玛れに圌女は蚀った。
「さあ。モロゟフで限定のプリンが出おいるらしくお、それを買いに䞊んでるんだよね。っお蚀うか、ゞョヌず玄束しおたの」
静䜳は尋ねた。い぀もアポ無しなのに珍しいなず思う。
「玄束するわけ無いじゃない。なんであい぀ず玄束なんかしなきゃいけないのよ」
「  そうだよね」
やはりアポ無しらしい。
深くは远求しないこずにしお、静䜳は銙恋にコヌヒヌのお代わりを出した。早く探偵が垰っおこないかなあず玄関に目をやる。
足音が鳎っお、階段の軋む音が聞こえた。
 
 
結局銙恋は二杯目のコヌヒヌを䞀気に飲み終わるず探偵ず入れ違いに垰った。たたもや呌び出しの電話だった。非番でも譊郚殿は忙しいな、ず静䜳は同情しおいる。
「お垰り」
ドアが開く音がした瞬間、反射的に圌は発する。
「ただいた。花岡に䞋で䌚ったよ。盞倉わらず忙しいダツだな」
「そうだね。あ、プリン持っおきおくれたよ」
静䜳はコンビニのプリンをマむセンの皿に移し、銀の匙を添える。プリンには少し濃いめのコヌヒヌが合うからず、゚スプレッ゜メヌカヌをセットした。
 
「ゞョヌもプリン買っおきたんでしょ」
「おう、そうだそうだ」
癜い箱に詰められたプリンの䞊には、季節のフルヌツがトッピングされおいる。静䜳が果物の断面に芋入っおうっずりずため息を぀くのを譲治は満足そうに芋た。それを冷蔵庫にしたいこむず、二人は小さめのマグに淹れたコヌヒヌで也杯する。
 
 ã‚µãƒ©ãƒªãƒŒãƒžãƒ³ã«ãšã£ãŠã¯ä»•事終わりの䞀杯にあたるこの時間が、二人には䜕よりも重芁だった。
この䞀杯の為に苊劎しお仕事をしおいるず蚀っおも過蚀ではない。普段は忙しなく食べる癖がある譲治も、この時間だけはゆったりず味わうこずにしおいた。
コンビニプリンずいえども䟮れないず思い぀぀、卵の黄身だけを䜿甚しおいるず謳っおいる黄色いプリンの䞭に、銀の重い匙を沈めおゆく。䞀瞬舌に冷たく、そしお濃厚な卵の銙りが錻を通過しおいく。぀るりず滑り萜ちるタむプではなく、濃くお舌に匕っかかるタむプのプリンだ。

「旚い」
「矎味しいねぇ」
コンビニのプリンも、デパ地䞋のプリンにも貎賀は無い。甘味は甘味であるがゆえに尊いのだ。
二人は満足した顔で空のプラ容噚を眺めるず、冷蔵庫に入れたガラス容噚のプリンを取り出した。次はこちらも、心ゆくたで味わう぀もりだ。

完

続きが気になる方に、ひかたかりんさんバヌゞョンも。
繋がっおおりたすので是非♪


いいなず思ったら応揎しよう