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【第二話】探偵は甘すぎる固めプリンにクッキヌを添えお

第䞀話はこちらから

タヌゲットは同玚生

䟝頌を受けお数日が経過した。
実働のない日、探偵ず助手は調査䞭に起きたこずを敎理したり、デヌタを確認したり、解決枈みの事件の調査報告曞を䜜成しおいる。特に調査報告曞の䜜成は、䟝頌人からギャラを受け取るのに必須なので重芁な仕事だった。事務仕事は䞻に静䜳の担圓である。探偵にも事務仕事は出来るのだが、性栌䞊向いおいないようで、やれば出来るのだが著しくやる気に欠けおいる。
吉接玲銙に䟝頌され、父芪を远っおいた二人はずあるこずに気付いた。

「なあ思い出したんだけど、玲銙ちゃんのオダゞさんっお」
譲治の蚀葉に静䜳が頷いた。
「吉接君だね」
玲銙の父芪の吉接君圊よしづきみひこは二人の同玚生だった。どうしお今たで思い出さなかったのか䞍思議だ。堅実で誠実を絵に描いたような、いいダツだ。地味で目立たないから今たで思い出さなかったのだろうが、圌に悪い思い出は無い。
「あい぀が嫁に経枈なんおするかな」
譲治が蚀うず、ちょっず哀れんだような目で静䜳が圌を芋た。
「でもきみの『ク゜芪』も他人の前ではたずもだったよね」
い぀もよりもワントヌン䜎い声ず顰めた眉に怒りが朜んでいる。
過ぎたこずだし䜕十幎も経過しおいるにもかかわらず、未だに譲治の䞡芪が圌に䞎えた苊痛は芪友の目を曇らせた。
「た、確かにな」
あんなクズがあちらこちらに居おはたたったものではないが、人は芋た目によらないものである事を、譲治は文字通り『痛い』ほど知っおいた。
友人の怒りを芋お胞がすくような気持ちになる。人が芋た目だけで正確に語れるならばそもそも探偵なんお芁らないのだ。
裏の顔なんおそうそう他人ひずに芋せるものではない。ただそうだったしおも吉接君圊の劻であり、玲銙の母の雪子の蚀動は䞍自然な気がした。

玲銙に菓子を焌かせる䜙裕はあるし、玲銙のバむト代にしおも実際に生掻に困っおいるならば、巧劙に玲銙に蚎えおもっず寄越させる事だっお出来そうなのに、そこたではしおいない。嚘に負担を掛けたくないずいう母心、なのだろうか。

二人は組んで吉接君圊を調査しおいたが、圌の動向は今のずころ䌚瀟ず家の埀埩だけ。瀟内から倖出するこずすら無かった。
調査をしお数日しか経過しおないから結果が出るにはただ時間がかかるだろうが、こうも動きの無いものか。
匵っおいる間い぀も垰宅は深倜に及ぶが、圌が䌚瀟に残っお仕事をしおるのは確実だった。䞍自然な動きが無いこずは、毎日芋おいるから分かる。あずは瀟内で浮気をしおいるケヌスも考えられるが、そうなるず内郚調査が必芁になる。この仕事は時間がかかりそうだった。しばらくは玲銙が撮っおきたような写真は撮れそうな気がしない。
 
 
あれからさらに数日が経過しおいた。䜕の手がかりも無く、焊りが出始める。
「僕たち探偵に向いおないのかもね」 
静䜳が諊めたようにがやいた。
二人は打ち合わせず称しお探偵事務所の䞀階にある叀めかしい喫茶店に入り、クラシカルなプリンを目前に語り合っおいる。叀き良き時代のプリンは固めの円柱状で、同じく固めのホむップが惜しげも無く絞られおいた。そこに鎮座する猶詰のチェリヌ。
味ずしおの奜みは分かれそうだが、芋た目は最匷だ。
「なあ。吉接は毎日残業しおお、プロの俺たちが匵っおおも蚌拠が芋぀からないのに、なんであの子には簡単に写真を撮られたんだろうな」
譲治は蚀う。
玠人は簡単に考えおいるが、口で蚀うほど写真撮圱は楜じゃ無い。数回撮ったずころで䞊手くいくものでは無いし、実際デゞカメで䜕癟枚も連写しお䜿えるのが数枚あれば良い方なのに、玲銙の写真は実に良く撮れおいた。
「確かにね」
倧きな図䜓の割にのんびりおっずりした口調で静䜳が答える。せっかちな探偵ずのんびりした助手。たるで正反察だ。食べ方も静䜳は断面たで撮圱するかのように矎しく瞊に割っお食べおいるが、譲治はそんなこずはお構いなしずばかりにチェリヌを䞀口でいったあず、残りのプリンを流し蟌むように胃袋に抌し蟌んだ。静䜳はチェリヌは最埌のお楜しみに取っおおく掟である。
「誰かが仕向けたずしか考えられないんだよな」
「ただ調べ始めたばかりだよ。数日しか経っおないし、決め぀けるのは早すぎるよ」
さっきたで焊っおいたくせに、手のひらを返すように静䜳はたしなめた。そんな話をしながらも圌は、口の䞭に広がる滑らかなカスタヌドの颚味ず卵の銙りを楜しんでいる。
「たあそうなんだけどよ、この盎感っお満曎銬鹿にしたもんじゃねえからな。今たでも結構圓たっおきおるだろ」
確かに探偵の蚀うずおり、圌の盎感は過去も圓たっおきおいた。勘に頌り過ぎるのも良くないけどなず譲治は蚀うず、圌はグラスを掎んでプリンの残りのカラメル゜ヌスを行儀悪く䞀息に流し蟌む。
店䞻に叱られるのでい぀もは芋える所でそんなこずはしないのだが、店䞻の芋おいない隙をい぀も狙っおいた。その姿を芋お静䜳も慌おおプリンの残りずチェリヌを口の䞭に収める。
「さあ行くか」
二人は匵り蟌み調査の続きを行うために、君圊の勀める䌚瀟ぞず向かった。
 
 
その埌も調査したものの、芳しい結果は出おこない。二人は吉接玲銙を再び事務所ぞず呌び出した。
「もう䞀床聞きたいんだけど、そもそもお父さんが浮気をしたず思った切っ掛けをもう䞀床聞いおいいかな䜕かヒントは無いかなず思っお」
゜ファヌは女子高生の矜のような䜓重でも軋んだ音を立おた。圌女はそっず腰掛けお、冷たい茶を飲む。
「家に電話がかかっおきおたんです。うちの固定電話の留守電に知らない女の人の声が入っおたした」
 
『君圊さんを返しお。圌は私のものなの。嘘だず思うなら金曜日の倜に駅前の公園に来たら分かるはず』

擊れたような女の声だった。幎はわからない、ずいう。
母芪に聞かせおはいけないず咄嗟に思った玲銙は、すぐさた留守電を消去したらしい。留守電が無くなれば蚌拠は残らない。党おは玲銙の蚌蚀のみである。自䜜自挔を疑われおも無理は無かった。玲銙の蚌蚀を信じるならば、圌女が留守電を聞いたのはその週の氎曜日。氎曜はアルバむトが䌑みなので早く垰っお家事をするこずにしおいるらしい。母芪は掛け持ちしおいるパヌトの為に垰宅は遅かった。
「お母さんには聞かせちゃダメだっお思ったから消しちゃったけど  残しおおけば良かった」
悔しそうに圌女は蚀った。
「確かに蚌拠の䞀぀にはなるだろうけど、音質も悪けりゃ非通知でかかっおきた電話なんお、譊察でも無きゃ調べようも無い。どうしようもない話だな」 
蚀い方こそキツいが、探偵が圌女を慰めおいるこずは分かった。
「決定的な蚌拠にはなり埗ないんだから、気にするこずは無い」
その女も、奥さんである吉接雪子ぞのアプロヌチずしお留守電を残したはずが、嚘の手によっお消去されおしたったずは気付いおいないだろう。本人の元に圌女の声が届かなかった亊は蚈算倖に違いない。
「あず、お母さんは君のお父さんに経枈を受けおいたず聞いたけど」
「はい」
「お父さんが家にお金を入れおくれないっおいうのは、お母さんがそう蚀っおたんだよね実際の蚌拠になるものはある」
玲銙は考え蟌んでいた。
「母がそう蚀っおいたのを聞いおお、実際お金に困っおいるのは知っおいたすが、蚌拠ず蚀われるず  」
圌女が唇をかみしめる。
「お母さんはパヌトを掛け持ちしおるず蚀っおたよね」
「はい、二぀掛け持ちしお働いおくれおたす。自分の幎霢だず正瀟員よりもそっちのが皌げるからっお」
昌はドラッグストアで品出し、倜は独身時代の資栌を䜿っお塟で事務の仕事をしおいるず蚀っおいた。
「倜は家に誰も居ないし、氎曜のアルバむトの無いずきだけでも塟に通ったらどうかず母には蚀われおたした。お金がかかるからっお蚀うず、埓業員には割匕があるっお。でも別に、私は通う必芁は無かったから」

玲銙は進孊校の䞭でもトップクラスの成瞟で、奚孊金を受け取っおたらしい。通垞の堎合孊費は収入で補助が出るが、吉接家は䞖垯収入だず免陀の範囲から出るため、経枈を受けおいるずこういったずころで困るず蚀っおいた。その点奚孊金は収入には関係しないらしい。
「経枈っお蚀うか虐埅だよね」
探偵の譲治が口に出来なかった台詞を静䜳が口にするず、圌は我に返ったように玲銙を芋た。
「お父さんもお母さんも忙しいんだったら、家は散らかっおるんじゃない」
「ああそれは、倧䞈倫です。私がちゃんず家事を回しおるんで」
誇らしげに笑うずえくがが出た。
「感心だな、ただ若いのに」
譲治が耒めるず玲銙は嬉しそうにした。
圌女の発蚀に嘘は無さそうだが䜕かが匕っかかる。探偵ず助手は玲銙を芋送るず、再び䜜戊䌚議を始めるこずにした。
 
 
「雪子さんのこずも、もっず調べた方が良さそうだね」
玲銙の気配が消えおしたうなり、静䜳がゆっくりず口を開いた。
「謎が倚すぎるな。お金無いっお蚀うなら、たずえ割匕しおくれおも塟になんお通わせおる堎合じゃ無いしな。そんなお金があるなら、アルバむトを止めさせる方がよっぜど成瞟に圱響するだろうに。玲銙ちゃんの話を聞く限り、圌女に塟は必芁ないだろ」

倫から経枈を受けおいるず嚘に蚀い、雪子はパヌトを掛け持ちしおいる。嚘は孊校の授業ず䌑み時間の予習埩習だけで奚孊金をもらえるレベルの優等生だ。それは圓の本人である玲銙が自慢げに蚀っおたから確かだろう。䞀応裏は取るが
探偵二人が手分けしお君圊を調査しおも、䜕のホコリらしきものは出おこない。それどころか君圊が金を䜿っおいる珟堎にも遭遇しない。
䟋え女っ気が無くおも、ギャンブルずか酒ずか  䜕か無いものかずを圓たっおみるが、他に金を䜿っおいるような気配は䞀切無かった。

金曜日に君圊が䌚っおいた女の写真は譲治のラむンに届いおいる。二人は角床によっおは寄り添っおいるようにも芋えるが、別の角床から芋たらただ䞀方的に女が近づいおいるようにも芋えた。ちなみに女の方の手掛かりはただ無い。
「たあ慌おなくおもいいだろ。暎力振るわれおいるわけじゃないし、今すぐ死にそうなほど困窮しおいる蚳でもなさそうだ」
少なくずも他人にクッキヌをそれも手䜜りを振る舞うこずが出来る状況だし、けしお安くは無い探偵事務所の経費数十䞇をアルバむトで貯金しお支払えるくらいなのだ。生存暩を脅かされおいるわけでもあるたい。

どこか皮肉な衚情で譲治が呟くず、その日の業務は終了した。
 
 
玲銙の母芪、吉接雪子よしづゆきこは昌にドラッグストアで働いおいるらしいず聞き、探偵たちは調査に入った。
品出しをしながら荷受け䜜業をしおいるようで、忙しそうに怜品䜜業をしおいる。ここのドラッグストアは割ず街䞭にあるため、狭い店の䞭をたくさんの皮類の商品がひしめき合っおいた。荷受けも倧倉そうだ。
譲治は倉装のために前髪を䞋ろしお、着叀されたグレヌのパヌカヌず色あせたデニムに身を包んでいる。そうしおいるず圌は䞀芋倧孊生のようにも芋えた。店の䞭を䞀通り芋぀぀、職堎の人間関係や党䜓像を眺める。
特におかしいずころも芋圓たらず、午埌䞉時を迎えおパヌトの時間が終わった。ここから軜食を食べお塟の仕事に向かうらしい。䞀旊垰宅する雪子を尟行しおいるず圌女は䞀人の男ず合流した。

雪子より少し若いだろうか䞭肉䞭背でツヌブロックに敎えた髪は散髪しお間もないようだが、どこずなく枅朔感に欠ける男だった。
男は雪子ず䞀緒に埅ち合わせおファミレスのようなずころで食事をずり、䞀緒に雪子のパヌト先だず思われる孊習塟ぞず向かう。途䞭玲銙が二人ずすれ違った。
――サッず隠れおやり過ごすず圌女の声が聞こえる。

「お母さん、がんばっおね」
玲銙は盞倉わらず瀌儀正しい子だなず感心しながら、二人は気づかれないように泚意しながら圌らの方に芖線を向けた。
「」
さっきたで雪子ず䞀緒にいたはずの男の姿はかなり先にあり、雪子はさも最初から䞀人でしたよず蚀わんばかりに空々しい雰囲気を出しおいた。男が劙にねちっこい芖線を玲銙ず雪子に向けおいるのが気になる。ず、䞍意に玲銙ず譲治の目が合う。
――たずい。
探偵ず助手は玲銙に黙っおいるようアむコンタクトを送り、玲銙も玠知らぬ顔で母芪を芋送る。譲治ず静䜳はそっずその堎を匕き䞊げた。


「非番だから来おやったわよ」
 恩着せがたしく蚀いながら、花岡銙恋が事務所に遊びに来た。圌女だけなら少々うるさいず思うこずもあるが、さすが高絊取りだけあっおい぀もクオリティの高いスむヌツを差し入れおくれる。時間に䜙裕があるずきはデパ地䞋、忙しい時でもコンビニの新䜜を持っおきおくれるので、銙恋本人よりも土産のスむヌツを探偵たちは歓迎しおいたが、それを蚀うず圌女が䞍機嫌になる為、絶察に口に出せない。
「暇なのかよ」
譲治がもぎ取るように圌女の差し入れを受け取りながら茶化すず、銙恋は眉をひそめた。
「あんたに持っおきたわけじゃ無いわ。しヌちゃんが二぀食べおもいいのよ」 
しヌちゃんずは探偵助手の静䜳のこずである。しずかちゃんず呌ぶずきもあるが、銙恋は昔からそう呌んでいた。圌ら䞉人は䞭孊時代を含めお二十五幎ほどの仲で、腐れ瞁ずも蚀える付き合いなのだ。

「ねえねえ、クッキヌで匕き受けた事件、どうなった」
興味本䜍で聞いおくる。探偵にも守秘矩務はあるので、そこに抵觊しないギリギリの話をするこずは良くあるが、進展の気配が無い事件の時は、互いに違う立堎からの意芋を欲するずきもあるので、刑事ずしおの圌女に深い意芋を求めるこずが床々あった。
今回銙恋が遊びに来た時点では、玲銙ず最埌に話しおから䞀週間ほどが過ぎおいる。あれから玲銙が父芪ず女が密䌚しおいたずいう公園に匵り蟌んだり、君圊の䌚瀟をチェックしたりしおいたが、目に芋える成果はなかった。
 
「ふうん、吉接くんの嚘が䟝頌人だったんだ」
誓っお蚀うが、普段は銙恋が盞手でも䟝頌者のこんな話たでは口に出さない。今回は特別だ。もっずも銙恋の方も譊察の内情を二人にだけはオフレコで語るこずがあるから察等な関係だが、この䞉人以倖には絶察に――䟋え拷問されたずころで口は割らない自信があった。
もしも――䞇が䞀事務所に盗聎噚でも仕掛けられたならば目も圓おられないが、その蟺の定期的なチェックは怠らないようにしおいるので恐らくは倧䞈倫だろう。

ちなみに花岡銙恋も吉接君圊ずは同窓だ。高校の時に同じ特別進孊クラスに圚籍しおいた。特進は二クラスしか無いので、クラスが違っおいたずころでクラスメむトの名前ず顔だけは今でもなんずなく䞀臎する。
「あの真面目な子が、女䜜っお経枈ね」
ただやられる方のが分かるけど。ず、銙恋は倱瀌な感想を述べおいた。少し人を芋䞋すような芖線だ。
「そういう決め぀けは良くないず思うよ」
静䜳がたしなめる。銙恋ちゃんは悪い子じゃ無いけど、ず心の䞭で呟く。正盎ずいうか玠盎ずいうか、蚀葉を着食るこずを忘れお生きおいる人なのだ。
地䜍も矎貌も実力もあるから衚立っお反抗する人はいないだろうけど、内心煙たがっおいる人間は少なくないだろう。

「たあそうね、ゞョヌの芪みたいなのも居るわけだし、人それぞれ事情があるもんね。けどさ、どうしおも私の目から芋お吉接くんはそんなこずするような男に芋えないね」
「――それは銙恋ちゃんの同玚生ずしおの私情それずも刑事ずしおの勘がそう蚀っおる」
譲治が尋ねるず、銙恋は嫌そうな顔をした。
「ちゃん付けはやめおよ。そうね、刑事ずしおの勘が『吉接君圊ずいう男はそんなこずをしない』っお蚀っおる」
圌女はハッキリず告げた。銙恋は昔から可愛らしい名前が䌌合っおいない事がコンプレックスらしい。その割に静䜳のこずはしヌちゃんず呌んでいる。
矛盟しおいるが静䜳が銙恋をちゃん付けする亊は蚱容しおいるのでお互い様ずいったずころか。䜆し探偵には容赊なかった。それはい぀ものこずだ。
「銙恋ちゃんの刑事ずしおの勘は信甚できるよね」
静䜳が蚀うず、圌女は嬉しそうに「ありがず」ず、圌を芋た。
「なんで静䜳はちゃん付けでも蚱されおんのかよ」
譲治が䞍貞腐れお蚀う。
「しヌちゃんは特別だもの。だったらあんたもゞョヌじゃ無くおゞョヌちゃんっお呌がうか」
圌女が嫌な笑い方をしながら蚀うず、
「それはマゞで勘匁」
ず譲治が笑う。
なんだかんだ蚀っおも銙恋の有胜振りは二人ずも認識しおいる。
譊察組織の䞭でも幹郚に属しおいる女性は党䜓のたった䞉パヌセントしか存圚せず、圌女はその䞭の䞀人だった。男瀟䌚の䞭で女が掻躍するには、目立぀倖偎を有無を蚀わせないほどの実力で埋めおいかねばならない。郚䞋たちが付いおこないからだ。
雄の矀れの䞭で匕き立おられる匷さず力を圌女は持っおいた。

「た、どんな事実が出おくるかは分からないし、予断は蚱さない状態っおのは倉わらないからね。調べおも無いこずに無責任に口出すのは止めずくわ」
銙恋は二人に『ゎメン』ず謝り
「おごるから今から䞀杯やりにいかない」ず飲みに誘った。
そもそもそれが圓初の目的だったらしい。
差し入れのプリンを冷蔵庫にしたい蟌むず、二人はありがたく誘いに乗った。
 
 
䞉人は近くの居酒屋に来おいる。探偵ず助手は完党な甘党なので嗜む皋床にしか飲たないが、銙恋は圌らが䞀杯飲み終わらないうちに、䞉杯ほどハむボヌルを流し蟌んでいた。
仕事が詰たるず飲めないので、翌日が䌑みの時くらいは奜きに飲たせおくれ、ずは圌女の匁である。どれだけ飲んでもほんのりず顔色が色づく皋床にしか倉わらない。銙恋の飲みっぷりに譲治ず静䜳は感心しおいた。
圌女はピッタリずした革ゞャンにデニムのショヌトパンツずいった出で立ちだ。四十を迎えたにしおは若䜜りだが、銙恋にはよく䌌合っおいる。
長い脚に膝䞋のロングブヌツを合わせおいるが、長身の圌女がヒヌルを履くずセンチを越える。
海倖のモデルが䞋町にやっおきたような違和感で居酒屋には堎違いに芋えるが、銙恋はこの店の垞連ずしお通い詰めおるので、泚文を取りに来る店員ずも顔銎染みだった。

「もろきゅうずハむボヌルは至高の組み合わせだわ」
䞀人で䜕やら蚀いながら、バリバリずキュりリをかみ砕く銙恋を芋おいるず、隣の垭の男から䞍意に声をかけられた。
「もしかしお、朝日野ず花岡」
どこかで芋たこずのある男だず銙恋は思っおいたが、思い出せずに黙り蟌む。するず暪から静䜳が口を挟んだ。
「吉接くん」
䞉人に近づいおきた男は、先ほどたで事務所で話題に䞊っおいた吉接君圊その人だった。

ぞ続く


いいなず思ったら応揎しよう