シャドーイングに暗記は必要?覚えてしまっても効果があるのか解説
シャドーイングを続けていると、こんな疑問が出てくることがあります。
「そもそも、暗記してからやった方がいいの?」
「繰り返しているうちに覚えてしまったけど、これって意味がなくなってる?」
「そろそろ次の音源に移った方がいいのかな?」
私はこれまで250名以上の受講生のシャドーイングを見てきましたが、こうした疑問はとてもよく出てきます。
結論から言うと、シャドーイングに最初から暗記は必要ありません。
ただし、繰り返す中で自然に覚えてしまうのは問題ありません。
大切なのは、暗記することを目的にしないことです。
この記事では、シャドーイングと暗記の関係、覚えてしまったときに効果がなくなるのか、次の音源に移るべきかどうかまで整理して解説します。
シャドーイングに暗記は必要?
結論として、最初から暗記する必要はありません。
シャドーイングは、流れてくる英語の音を聞いて、少し遅れて真似して言う練習です。
事前に内容を覚えておく必要はなく、むしろ最初は聞き取りにくくても大丈夫です。
一方で、同じ音源を何度も繰り返していると、自然に内容を覚えてしまうことがあります。
これはよくあることですし、それ自体が悪いわけではありません。
ただし、暗記した内容を再生しているだけの状態になると、シャドーイングの効果は下がります。
この違いがとても大切です。
なぜシャドーイングをしていると暗記したくなるのか
受講生の方を見ていると、暗記に頼りたくなるのはとても自然なことだと感じます。
理由は主に3つあります。
暗記した方が音声についていきやすく感じるから
内容を知っていると、次に何が来るか予測しやすくなります。
そのため、「ついていけている感覚」が生まれやすく、うまくできているように思いやすいです。
覚えたフレーズを他の場面でも使えると感じるから
「この表現、会話でも使えそう」と思って覚えたくなるのも自然です。
語学学習者としては、むしろ前向きな反応だと思います。
繰り返しているうちに、気づいたら覚えていたから
これは多くの方が経験します。
何十回も練習していれば、意識しなくても頭に入ってきます。
これは「暗記しようとした」というより、練習の副産物です。
暗記そのものが悪いわけではない理由
「覚えてしまったら、もう意味がないのでは」と思う方もいますが、それは少し違います。
繰り返し練習して内容を覚えてしまうのは自然なことですし、それだけでアウトになるわけではありません。
覚えた表現がリスニングの助けになることもありますし、スピーキングで使えるようになることもあります。
問題になるのは、暗記を目的にしてしまうことや、暗記に頼りすぎて音を聞かなくなることです。
つまり、覚えること自体ではなく、どういう状態で練習しているかが大切です。
暗記に頼るとシャドーイングの効果が下がる理由
ここが一番大切な部分です。
シャドーイングの核心は、流れてくる音を耳でとらえて、それを真似して声に出すことにあります。
ざっくり言えば、シャドーイングは
聞く50%・話す50% の練習です。
ところが、暗記した内容を頭の中で再生して声に出しているだけの状態になると、耳が働かなくなります。
音声はただのペースメーカーになり、
聞く50%・話す50% が 話す100% に近づいてしまいます。
この状態では、どれだけ練習してもリスニング力は伸びにくくなります。
音を聞いて処理する機会が減ってしまうからです。
シャドーイングが暗記になっていないか確認するポイント
以下の点を、自分の練習と照らし合わせてみてください。
音源を聞いている感覚があるか
シャドーイング中、耳がしっかり音を追えていますか。
「なんとなく声を出している」状態になっているなら、音ではなく記憶を再生している可能性があります。
音源を追い抜いていないか
音声より先に言葉が出てしまっている場合、それは音を聞いて真似しているのではなく、内容を知っているから言えているだけかもしれません。
シャドーイングは、音源の少し後ろを追うのが基本です。
音源より遅れすぎていないか
反対に、音声から大きく遅れすぎるのもよくありません。
遅れが大きいと、「聞いてから思い出して言う」動きになりやすくなります。
1単語程度の遅れを意識すると、シャドーイングらしい形を保ちやすいです。
自己流の発音で言い続けていないか
「なんとなく言えている」状態で何度も繰り返しても、発音の精度は上がりにくいです。
録音して聴き返し、本当に音源に合っているか確認してみてください。
シャドーイングで本当に目指すべきこと
シャドーイングの目標は、暗記することではありません。
目指すべきは、
音声を聞いて、その音を1単語遅れくらいで真似して言える状態
を作ることです。
たとえ内容を覚えていたとしても、今流れている音を耳でとらえながら、それについていけているなら、シャドーイングとして成立しています。
逆に、頭の中にある内容を再生しているだけなら、暗記の比率が高くなりすぎています。
暗記に頼りすぎないための工夫
1つの音源だけに固執しすぎない
同じ音源を何十回も繰り返すと、どうしても内容が頭に入ってきます。
ある程度練習したら、並行して別の音源にも取り組むと、聞かなければ言えない状態を保ちやすくなります。
目安としては、2〜3つの音源をある程度同時並行で進めるのがおすすめです。
教材選びについては、
「シャドーイングにおすすめの教材6選|録音音声と生音声の違い・選び方を解説」
も参考にしてみてください。
録音して、本当に音を聞けているか確認する
自分の声を録音して聴き返すと、音源とのズレが見えやすくなります。
「言えている気がする」と「実際に音に合っている」は別です。
録音は、暗記に頼りすぎていないかを確認するうえでも有効です。
覚えてしまったら次の音源に移るべき?
「もう覚えてしまったから、次に移るべきか」と迷う方は多いです。
ただ、移るかどうかの判断基準は、覚えたかどうかではありません。
私の目安では、1つの音源に45回〜60回ほど取り組みながら、完成度を上げられたかどうかで判断します。
回数だけこなしても、雑な練習では意味がありません。
一方で、「覚えてしまったから」という理由だけで早く切り上げるのも、少しもったいないです。
同じ音源を繰り返す中でこそ、音の細かいズレに気づいたり、発音の精度が上がったりすることがあります。
覚えてしまっても、音を聞きながら追えている感覚があるなら、まだ練習の余地があります。
まとめ|覚えてしまってもよいが、暗記を目的にしないことが大切
最後に整理します。
・シャドーイングに最初から暗記は必要ない
・繰り返す中で自然に覚えてしまうのは問題ない
・ただし、覚えた内容を再生しているだけの状態になると効果は下がる
・音を聞きながら追い続けている感覚があれば、覚えていても問題ない
・次の音源に移る基準は、覚えたかどうかではなく完成度
シャドーイングは、音を聞き続ける練習です。
暗記はあくまで副産物です。
それを目的にしないことが、長期的に効果を出すための大切な考え方です。
あわせて読みたい記事
シャドーイングの基本的なやり方から確認したい方は、
「シャドーイングの正しいやり方|失敗しない6ステップ」
もあわせて読んでみてください。
また、暗記に頼りすぎて音読のようになっていないか を確認したい方は、
「シャドーイングの効果が出ない理由|音読になっていませんか?英語コーチが250名を伴走」
もおすすめです。
